2018/08/04(土) - 09:25
世界最大の自転車ショー、ユーロバイクで見つけた新製品をピックアップするレポートをお届けします。第7弾となる今回は、シマノ、セッレSMP、ベル、スコット&シンクロスをピックアップして紹介しよう。
シマノ:進化を遂げるシマノパーツの数々 XTR、S-PHYRE、STEPS、PRO
シマノブースでは非常に多くの新製品が登場していたが、やはりメインとなるのは6月に発表されたMTB用コンポーネントのフラッグシップ「XTR M9100」だろう。発表以来メディアキャンプなどを通し徐々にプロダクトの素性が明らかになってきていたが、実際のディティールを自分の目で確認しようと数多くの来場者が足を運んでいた。
XTR M9100はリアの変速が12段へと増加していることが大きなアップデートだ。リアの多段化は、XCのレース現場でフロントシングル(ワンバイ)が主流になってきたことで、ワイドなギアレンジが求められ始めたという背景を持つ。一方で、シマノはワンバイだけではなくフロントダブルもラインアップに用意し、使用シチュエーションや好みに合わせて選べるようにしている。詳しくは発表時の記事を確認してほしい。また、シクロワイアードでは後日スロベニアで開催されたメディアキャンプの記事を掲載する予定だ。こちらもお楽しみに。
XTRと同じかそれ以上に注目を集めていたのは、E-BIKE用アシストグループセット「STEPS」のコーナーだ。MTB向けユニット「E7000」とシティ/トレッキング向けユニット「E6100」が登場しており、トップエンドのE8000も含め、バイクブランドは想定走行シチュエーションに適したユニットを搭載することが可能となった。E8000と同様MTBユースのE7000は、最大トルクが70Nmから60Nmに引き下げられている。アウトプットは250whと変わりなく、スポーツバイクとしての高性能アシストを期待できるミドルグレードに仕上げられている。
E6100はアーバンコミューターのようなバイクに搭載するためのモデル。ドライブトレインとアシストユニットがインテグレートされたデザインが特徴だ。最大出力250wとスポーツモデルと差は無いものの、最大トルクが50Nmとされた。また、E6000と比較し20%のモーター効率の向上、210gのダイエットを達成していることもポイント。バッテリーは504Wh、418Whの2モデルが用意されており、504Whモデルを搭載しECOモードで走り続けると170kmも走りきれるという。また、アシストユニットではないが、NEXUS INTER-5Eという電動/内装変速ハブも登場している。
また、ディスプレイ用のオプションとしてデータ送受信機の「D-FLY」が登場する。BluetoothとANT+に対応しており、スマホアプリ(iOSとAndroid)やガーミン、シグマといったサイクルコンピューターでSTEPSの情報を表示させることが可能となるのだ。もちろんこれまで通り、STEPSのディスプレイも使用できるが、今までどおりGPSログを残したい場合などに活躍してくれるだろう。
続いてはシマノのハイエンドウェアラインアップから、モデルチェンジを果たす新型S-PHYREシューズを紹介しよう。大きな変更は行われていないが、細かいポイントのアップデートは数多く加えられている。現行モデルと比較し、わかりやすいのがアッパーのパンチング加工だろう。新型ではより細かく、数多く穴を開けられており、爪先部分のメッシュパーツが省略された。また、足首に近い方のBoaダイヤルのワイヤーは、樹脂パーツから取り外せなくなっている。
PROからも非常に多くのプロダクトがローンチされており、その中でも注目なのがバイクパッキング用のバッグ「DISCOVER」シリーズを用意していることだろう。トップチューブバッグやフレームバッグ、大型サドルバッグなどスタンダードなラインアップがされており、信頼性の高い製品で身の回りを固めることができる。ハンドルのドロップ部が、外側にフレアするハンドルも用意されており、シマノPROが本格的にグラベルツーリングに身を乗り出してきた。
他にもPROからは、ハンドルバーエンドに搭載するジャンクションAに対応したモデルや、ワイヤー/ケーブルをセミ内装できるモデルなども登場する。ドロッパーシートポストラインアップも充実しており、自分のバイクに適合するものを選ぶことができるだろう。
セッレSMP:新しいエルゴノミック形状を採用したF30サドルデビュー
セッレSMPがユーロバイクで発表した新型サドルF30は、これまでセッレSMPを代表する波打つエルゴノミックデザインに変更が加えられていることが大きな特徴だ。ノーズが下方へ屈曲するデザインはこれまで通りだが、座面後端部の跳ね上がりが無くなっており、ライドポジションの前後移動が行いやすくなっている。
座面もこれまでのラインアップにはないほどワイドに設計されており、用意される2モデルのうちスタンダードモデルが149mm、コンパクトバージョンが150mmとなっている。この2モデルの違いはサドルの長さであり、通常モデルが295mm、コンパクトモデルが249mmという設定だ。ロードやMTBなどで前乗りポジションを好む方などにおすすめできるだろう。
ベル:Zephyrのモデル名が「Z20」へ エアロモデルも登場
ベルが誇るハイエンドロードヘルメット「Zephyr(ゼファー)」のモデル名が、Z20へと変更される。現地担当者の発音によるとそのまま「ゼット・トゥエンティー」となるようだ。このZ20は、フォルトゥネオ・サムシックが着用するモデルで、アジャスターと一体となったMIPSが特徴。後付ではなくインテグレートデザインとすることで、より軽量で高いフィッティング性能を追求している。
そんなZ20にエアロモデル「Z20 AERO」が登場する。ベルはエアロモデルとしてSTAR PROを長らく用意してきたが、ついに同カテゴリーのニューモデルがリリースされることとなる。Z20の大きなベンチレーションホールはほぼカバーされ、空気の流れを乱さない作りとなったため優れたエアロダイナミクスを期待できるだろう。
また、ベルはハイエンドフルフェイス「FULL-9」のミドルグレード版「FULL-9 FUSION」をリリースした。ハイエンド版はカーボンシェルとすることで非常に優れた強度を確保していたが、"FUSION"版はファイバーグラス素材とすることで、強度を確保しつつ手頃な価格を実現している。マグネットで装着するチンパッドもスナップ式とされていたりと、異なる点は幾つかある。ダウンヒル競技を始めようという方にはピッタリだろう。
SPARKという新型オフロードヘルメットも登場する。ヘルメット後部にはラバーが備えられており、ゴーグルのストラップが滑りにくくなっている。ミドルグレード帯のプライスポイントに設定されており、トレイルライドでアグレッシブに攻めたいが、プロテクション性能も犠牲にしたくないという方にオススメのモデルだ。
スコット&シンクロス:新型E-MTBの「STRIKE eRIDE」とフルカーボンホイールに注目
SCALE、SPARKというクロスカントリーモデル、GENIUSというオールマウンテンモデル、ASPECTというトレッキングモデルのE-MTBをリリースしているスコット。そのラインアップに新型のSTRIKE eRIDEが加わる。E-BIKE用として生み出されたこのモデルは、アップライトなジオメトリーが採用されており、アドベンチャーライドなどに最適だという。
サスペンションは前後ともに140mm。前後同時にサスペンションのロックアウト操作が行われるTWINLOCシステムが採用されているため、操作が非常に容易であることが特徴だ。27.5インチと29インチどちらのホイールにも対応しており、好みによって使い分けることができる。
搭載されるユニットはボッシュ製で、バッテリーはダウンチューブに上手く収められている。また、ユニット部分はスコット用にアジャストしたものが装備されている。変速システムはスラムのGXとNX EAGLEを採用する。シートポストも予めドロッパー仕様だ。
また、スコット傘下のパーツブランド「シンクロス」からMTB向けフルカーボンホイールSILVERTON SLが登場。リムはもちろん、スポーク、フランジ、ハブのシェルに至るまでカーボンでできており、セットで1250gという圧倒的な重量を達成している。更にねじれ剛性は+100%、回転方向の剛性は+30%となっており、非常に優れたペダリング効率やコーナリングスタビリティを実現した。
リムプロファイルは、内幅が26mm、リムハイトが35mm、スポーク数は20本。タイヤサイズは2.25~2.4インチ推奨とされている。ハブのシステムはDTスイスの190とされているため、回転性能に関しても申し分ないだろう。SPARKの完成車に付属する一体型ハンドルバーステムなどカーボン製プロダクトが目立つシンクロスの新作には注目したい。
text&photo:Gakuto Fujiwara
シマノ:進化を遂げるシマノパーツの数々 XTR、S-PHYRE、STEPS、PRO
シマノブースでは非常に多くの新製品が登場していたが、やはりメインとなるのは6月に発表されたMTB用コンポーネントのフラッグシップ「XTR M9100」だろう。発表以来メディアキャンプなどを通し徐々にプロダクトの素性が明らかになってきていたが、実際のディティールを自分の目で確認しようと数多くの来場者が足を運んでいた。
XTR M9100はリアの変速が12段へと増加していることが大きなアップデートだ。リアの多段化は、XCのレース現場でフロントシングル(ワンバイ)が主流になってきたことで、ワイドなギアレンジが求められ始めたという背景を持つ。一方で、シマノはワンバイだけではなくフロントダブルもラインアップに用意し、使用シチュエーションや好みに合わせて選べるようにしている。詳しくは発表時の記事を確認してほしい。また、シクロワイアードでは後日スロベニアで開催されたメディアキャンプの記事を掲載する予定だ。こちらもお楽しみに。
XTRと同じかそれ以上に注目を集めていたのは、E-BIKE用アシストグループセット「STEPS」のコーナーだ。MTB向けユニット「E7000」とシティ/トレッキング向けユニット「E6100」が登場しており、トップエンドのE8000も含め、バイクブランドは想定走行シチュエーションに適したユニットを搭載することが可能となった。E8000と同様MTBユースのE7000は、最大トルクが70Nmから60Nmに引き下げられている。アウトプットは250whと変わりなく、スポーツバイクとしての高性能アシストを期待できるミドルグレードに仕上げられている。
E6100はアーバンコミューターのようなバイクに搭載するためのモデル。ドライブトレインとアシストユニットがインテグレートされたデザインが特徴だ。最大出力250wとスポーツモデルと差は無いものの、最大トルクが50Nmとされた。また、E6000と比較し20%のモーター効率の向上、210gのダイエットを達成していることもポイント。バッテリーは504Wh、418Whの2モデルが用意されており、504Whモデルを搭載しECOモードで走り続けると170kmも走りきれるという。また、アシストユニットではないが、NEXUS INTER-5Eという電動/内装変速ハブも登場している。
また、ディスプレイ用のオプションとしてデータ送受信機の「D-FLY」が登場する。BluetoothとANT+に対応しており、スマホアプリ(iOSとAndroid)やガーミン、シグマといったサイクルコンピューターでSTEPSの情報を表示させることが可能となるのだ。もちろんこれまで通り、STEPSのディスプレイも使用できるが、今までどおりGPSログを残したい場合などに活躍してくれるだろう。
続いてはシマノのハイエンドウェアラインアップから、モデルチェンジを果たす新型S-PHYREシューズを紹介しよう。大きな変更は行われていないが、細かいポイントのアップデートは数多く加えられている。現行モデルと比較し、わかりやすいのがアッパーのパンチング加工だろう。新型ではより細かく、数多く穴を開けられており、爪先部分のメッシュパーツが省略された。また、足首に近い方のBoaダイヤルのワイヤーは、樹脂パーツから取り外せなくなっている。
PROからも非常に多くのプロダクトがローンチされており、その中でも注目なのがバイクパッキング用のバッグ「DISCOVER」シリーズを用意していることだろう。トップチューブバッグやフレームバッグ、大型サドルバッグなどスタンダードなラインアップがされており、信頼性の高い製品で身の回りを固めることができる。ハンドルのドロップ部が、外側にフレアするハンドルも用意されており、シマノPROが本格的にグラベルツーリングに身を乗り出してきた。
他にもPROからは、ハンドルバーエンドに搭載するジャンクションAに対応したモデルや、ワイヤー/ケーブルをセミ内装できるモデルなども登場する。ドロッパーシートポストラインアップも充実しており、自分のバイクに適合するものを選ぶことができるだろう。
セッレSMP:新しいエルゴノミック形状を採用したF30サドルデビュー
セッレSMPがユーロバイクで発表した新型サドルF30は、これまでセッレSMPを代表する波打つエルゴノミックデザインに変更が加えられていることが大きな特徴だ。ノーズが下方へ屈曲するデザインはこれまで通りだが、座面後端部の跳ね上がりが無くなっており、ライドポジションの前後移動が行いやすくなっている。
座面もこれまでのラインアップにはないほどワイドに設計されており、用意される2モデルのうちスタンダードモデルが149mm、コンパクトバージョンが150mmとなっている。この2モデルの違いはサドルの長さであり、通常モデルが295mm、コンパクトモデルが249mmという設定だ。ロードやMTBなどで前乗りポジションを好む方などにおすすめできるだろう。
ベル:Zephyrのモデル名が「Z20」へ エアロモデルも登場
ベルが誇るハイエンドロードヘルメット「Zephyr(ゼファー)」のモデル名が、Z20へと変更される。現地担当者の発音によるとそのまま「ゼット・トゥエンティー」となるようだ。このZ20は、フォルトゥネオ・サムシックが着用するモデルで、アジャスターと一体となったMIPSが特徴。後付ではなくインテグレートデザインとすることで、より軽量で高いフィッティング性能を追求している。
そんなZ20にエアロモデル「Z20 AERO」が登場する。ベルはエアロモデルとしてSTAR PROを長らく用意してきたが、ついに同カテゴリーのニューモデルがリリースされることとなる。Z20の大きなベンチレーションホールはほぼカバーされ、空気の流れを乱さない作りとなったため優れたエアロダイナミクスを期待できるだろう。
また、ベルはハイエンドフルフェイス「FULL-9」のミドルグレード版「FULL-9 FUSION」をリリースした。ハイエンド版はカーボンシェルとすることで非常に優れた強度を確保していたが、"FUSION"版はファイバーグラス素材とすることで、強度を確保しつつ手頃な価格を実現している。マグネットで装着するチンパッドもスナップ式とされていたりと、異なる点は幾つかある。ダウンヒル競技を始めようという方にはピッタリだろう。
SPARKという新型オフロードヘルメットも登場する。ヘルメット後部にはラバーが備えられており、ゴーグルのストラップが滑りにくくなっている。ミドルグレード帯のプライスポイントに設定されており、トレイルライドでアグレッシブに攻めたいが、プロテクション性能も犠牲にしたくないという方にオススメのモデルだ。
スコット&シンクロス:新型E-MTBの「STRIKE eRIDE」とフルカーボンホイールに注目
SCALE、SPARKというクロスカントリーモデル、GENIUSというオールマウンテンモデル、ASPECTというトレッキングモデルのE-MTBをリリースしているスコット。そのラインアップに新型のSTRIKE eRIDEが加わる。E-BIKE用として生み出されたこのモデルは、アップライトなジオメトリーが採用されており、アドベンチャーライドなどに最適だという。
サスペンションは前後ともに140mm。前後同時にサスペンションのロックアウト操作が行われるTWINLOCシステムが採用されているため、操作が非常に容易であることが特徴だ。27.5インチと29インチどちらのホイールにも対応しており、好みによって使い分けることができる。
搭載されるユニットはボッシュ製で、バッテリーはダウンチューブに上手く収められている。また、ユニット部分はスコット用にアジャストしたものが装備されている。変速システムはスラムのGXとNX EAGLEを採用する。シートポストも予めドロッパー仕様だ。
また、スコット傘下のパーツブランド「シンクロス」からMTB向けフルカーボンホイールSILVERTON SLが登場。リムはもちろん、スポーク、フランジ、ハブのシェルに至るまでカーボンでできており、セットで1250gという圧倒的な重量を達成している。更にねじれ剛性は+100%、回転方向の剛性は+30%となっており、非常に優れたペダリング効率やコーナリングスタビリティを実現した。
リムプロファイルは、内幅が26mm、リムハイトが35mm、スポーク数は20本。タイヤサイズは2.25~2.4インチ推奨とされている。ハブのシステムはDTスイスの190とされているため、回転性能に関しても申し分ないだろう。SPARKの完成車に付属する一体型ハンドルバーステムなどカーボン製プロダクトが目立つシンクロスの新作には注目したい。
text&photo:Gakuto Fujiwara
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