南シナ海沿いを南下する182kmで行なわれたツール・ド・ランカウイ第2ステージは、レース前半に形成された3名がメイン集団を3分引き離して逃げ切る結果に。ステージ優勝はジェイ・トムソン(南アフリカ、南アフリカチーム)。日本勢は西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)が12位。

この日も序盤からアタックが繰り返されるこの日も序盤からアタックが繰り返される photo:www.ltdl.com.my
第2ステージの舞台はマレー半島東部のクアラ・トレンガヌーからチュカイまでの182.3km。今大会最長のコースには山岳が2つ設定されているが、いずれもカテゴリー4級で難易度は低い。この日も熱帯ならではの暑さが選手たちを苦しめた。

レースは序盤からアタックが掛かり続け、最初の1時間の平均スピードが47.6km/hをマークするほどのハイスピードな展開。鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)や五十嵐丈士(クムサン・ジンセン・アジア)もアタック合戦に加わったが、決定的な逃げは生まれない。

59km地点から逃げ始めたジェイ・トムソン(南アフリカ、南アフリカチーム)、デーヴィッド・ペル(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)、トビアス・エルラー(ドイツ、タブリス・ペトロケミカル)59km地点から逃げ始めたジェイ・トムソン(南アフリカ、南アフリカチーム)、デーヴィッド・ペル(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)、トビアス・エルラー(ドイツ、タブリス・ペトロケミカル) photo:www.ltdl.com.my1つ目の4級山岳は、山岳賞ジャージを着るピーター・マクドナルド(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)が先頭で通過し、山岳リードを広げることに成功した。

ようやく逃げが決まったのは59km地点。ジェイ・トムソン(南アフリカ、南アフリカチーム)、デーヴィッド・ペル(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)、トビアス・エルラー(ドイツ、タブリス・ペトロケミカル)の3名が飛び出すと集団は沈静化。ゴールまで80kmを残して、タイム差は最大で8分を超えた。

この日も沿道には観客の姿が絶えないこの日も沿道には観客の姿が絶えない photo:www.ltdl.com.myやがてメイン集団はリーダージャージ擁するチームジェイコ・スキンズやフットオン・セルヴェット、ISD・ネーリがコントロールを開始。しかしタイム差は思うように縮まらない。

ラスト40km地点で7分25秒、ラスト30km地点で5分50秒、ラスト15km地点で4分50秒。結局先頭の3名は3分03秒のリードを保ったまま逃げ切った。

3名でのスプリント勝負を制したジェイ・トムソン(南アフリカ、南アフリカチーム)3名でのスプリント勝負を制したジェイ・トムソン(南アフリカ、南アフリカチーム) photo:www.ltdl.com.my3名によるスプリント勝負を制したのは、普段オーストラリアのコンチネンタル登録チーム・フライVオーストラリアに所属するトムソン。アフリカ選手権のタイムトライアルで連覇を達成している23歳が、持ち味のスピードを活かしてステージ優勝を果たした。

リーダージャージを着るマイケル・マシューズ(オーストラリア、チームジェイコ・スキンズ)は4位争いのスプリント勝負を制したものの、総合首位の座はステージ2位のエルラーにスイッチ。エルラーは過去にジャイアント・アジア・レーシングチームに所属し、2006年のツール・ド・コリアで総合優勝を飾っている選手。今年からイランのタブリス・ペトロケミカルで走っている。

リーダージャージを獲得したトビアス・エルラー(ドイツ、タブリス・ペトロケミカル)リーダージャージを獲得したトビアス・エルラー(ドイツ、タブリス・ペトロケミカル) photo:www.ltdl.com.myこの日のタイム差は“3分”は最終的な総合争いにどのような影響を及ぼすだろうか?昨年の超級山岳ゲンティン・ハイランドが設定された第5ステージのタイムを振り返ると、優勝者ホセ・セルパ(コロンビア)から3分以内でゴールしたのは僅かに8人。今年もゲンティンで総合成績が簡単にひっくり返る可能性は高い。

つまり、エルラーにとって“3分”は総合争いにおいて充分なリードとは言えない。しかしエルラーが所属するタブリス・ペトロケミカルからは、ベテランのホセイン・アスカリ(イラン)や、2007年大会総合6位のガーデル・ミズバニ(イラン)、2005年TOJ(ツアー・オブ・ジャパン)富士山タイムトライアル覇者のアンドレイ・ミズロフ(カザフスタン)が出場している。タブリス・ペトロケミカルは翌日から集団コントロールを担うことになる。

日本勢は純白の全日本チャンピオンジャージを着る西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)が12位でフィニッシュ。日本人選手の動向は後ほどアップする現地レポートをご覧下さい。

レース展開はレース公式サイトより。


ツール・ド・ランカウイ2010第2ステージ結果
1位 ジェイ・トムソン(南アフリカ、南アフリカチーム)          4h06'54"
2位 トビアス・エルラー(ドイツ、タブリス・ペトロケミカル)
3位 デーヴィッド・ペル(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)
4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームジェイコ・スキンズ)    +3'03"
5位 アヌアル・マナン(マレーシア、クムサン・ジンセン・アジア)
6位 レネ・ウェイジンガー(ドイツ、フォアアールベルク・コラテック)
7位 ビダル・セリス(スペイン、フットオン・セルヴェット)
8位 ルスラン・トルバエフ(カザフスタン、カザフスタンチーム)
9位 アディク・オスマン(マレーシア、ドラパック・ポルシェ)
10位 クリストフ・ヴァンヘールデン(南アフリカ、南アフリカチーム)
12位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシングチーム)
46位 品川真寛(日本、愛三工業レーシングチーム)
72位 別府匠(日本、愛三工業レーシングチーム)
75位 綾部勇成(日本、愛三工業レーシングチーム)
79位 盛一大(日本、愛三工業レーシングチーム)
98位 五十嵐丈士(日本、クムサン・ジンセン・アジア)
101位 鈴木謙一(日本、愛三工業レーシングチーム)

個人総合成績
1位 トビアス・エルラー(ドイツ、タブリス・ペトロケミカル)      8h29'35"
2位 デーヴィッド・ペル(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)       +05"
3位 ジェイ・トムソン(南アフリカ、南アフリカチーム)            +07"
4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームジェイコ・スキンズ)   +3'02"
5位 アヌアル・マナン(マレーシア、クムサン・ジンセン・アジア)
6位 ビダル・セリス(スペイン、フットオン・セルヴェット)         +3'09"
7位 ルスラン・トルバエフ(カザフスタン、カザフスタンチーム)       +3'10"
8位 ピーター・マクドナルド(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)    +3'12"
9位 ザイナル・リズワン(マレーシア、マレーシアチーム)          +3'13"
10位 ブアロイ・オガート(タイ、タイチーム)               +3'14"
17位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシングチーム)             +3'15"
43位 盛一大(日本、愛三工業レーシングチーム)
49位 綾部勇成(日本、愛三工業レーシングチーム)
69位 品川真寛(日本、愛三工業レーシングチーム)             +3'23"
78位 別府匠(日本、愛三工業レーシングチーム)
98位 五十嵐丈士(日本、クムサン・ジンセン・アジア)
100位 鈴木謙一(日本、愛三工業レーシングチーム)

アジアンライダー賞
アヌアル・マナン(マレーシア、クムサン・ジンセン・アジア)

ポイント賞
アヌアル・マナン(マレーシア、クムサン・ジンセン・アジア)

山岳賞
ピーター・マクドナルド(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)

チーム総合成績
南アフリカチーム

アジアチーム総合成績
マレーシアチーム

text:Kei Tsuji
photo:Yufta Omata, www.ltdl.com.my

最新ニュース(全ジャンル)