2018/07/19(木) - 10:19
1級山岳ラ・ロジエールで動いた総合争い。「キャリアの中で最も美しい勝利」とマイヨジョーヌをつかんだゲラント・トーマスや、下りでアタックしたトム・デュムラン、総合2位に浮上したクリストファー・フルームら、ツール第11ステージの主役たちのコメントを紹介します。
ステージ1位&マイヨジョーヌ ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
とても現実とは思えないし、この勝利は全く予想していなかった。アタックは予定していたものではなく、本能に従って動いた。自分がアタックしてフルーミーがライバルのアタックに反応する展開になり、自分はフルーミーを待つ役目があったのでデュムランの後ろで待機。フロスティ(ミケル・ニエベ)が見えてきたので、彼には悪いけど、ステージ優勝のためにアタックしたんだ。2年連続でマイヨジョーヌを着るのは本当に素晴らしく、本当に誇らしい。
これは間違いなくキャリアの中で最も美しい勝利であり、明日はマイヨジョーヌを着てのレースを楽しみたい。象徴的なラルプデュエズをマイヨジョーヌを着て登る意味はとてつもなく大きい。
自分が総合リーダーの座に就いたものの、チームのリーダーは今も変わらずフルーミーだ。3週間のパフォーマンスに確実性のない自分と違って、彼はこれまで6回グランツールで総合優勝している。これから何が起こっても、自分のツールはすでに成功だったと言える。あと数日間はマイヨジョーヌを着たい。もちろん総合表彰台に上ることができたら最高だけど、チームの最優先事項はクリスの総合優勝だ。
ステージ2位&総合3位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)
本能のままに、衝動的にアタックした。逃げに乗っていたソーレン(アンデルセン)は下りのスペシャリストで、彼にリスクを負わない程度に下りで先行するよう指示を出したんだ。すると後続との間に距離が生まれて、そのまま逃げることにした。
子供の頃、よくこのラ・ロジエールに来てスキーを学んだ。伯父がここに別荘を持っていたので、家族でよく訪れたんだ。でもその伯父がこの春に亡くなり、その2週間後に伯母も亡くなった。父は2週間のうちに2人の兄弟を失ってしまった。今日は彼らのためにも良いパフォーマンスを見せたかった。きっと彼らは誇りに思ってくれていると思う。
ステージ3位&総合2位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)
これ以上望めないような結果。今日のステージを終えてこの状態(総合ワンツー)になるとは予想していなかった。おそらく誰もが今日のラ・ロジエールより破壊力のあるラルプデュエズに警戒していただろうし、実際に明日のほうが破壊力は大きい。とにかく今の状態はファンタスティックだ。
ゲラント(トーマス)とは打ち合わせすることなく、まず彼がアタックして先行。そうなれば自然とライバルたちが追いかけなければならない状況になるので、パーフェクトな展開だった。ダン(マーティン)のアタックは強烈で、反応できたのは自分だけだった。彼は落車で被った遅れを挽回しようとしていて、今日の走りは素晴らしかった。
総合ライバルたちの中でいま最も警戒しなければならないのはトム・デュムラン。彼のレース運びは印象的だった。でも明日はもっと大きなステージが待っているので、今日手のひらを見せなかった選手が動いてくるかもしれない。
ステージ4位 ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット)
あと少しでステージ優勝を逃してしまった。序盤から逃げに乗ったのでもう最後は限界だった。トーマスが追いついてきていることは分かっていたけど、何もできなかった。全力を出し切って勝てる時もあれば勝てない時もある。
ステージ6位 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)
チャンスだった。他の選手がアタックしないので、自分から動いてみたんだ。残り4kmから先は牽制気味になると思っていたし、少しでもタイムを挽回するためにアタックした。今日は全員がリミットぎりぎりだった。クリス(フルーム)とゲラント(トーマス)もぎりぎりの状態だったと思う。気温も高くてとにかく厳しい1日だった。現在最も良い状況にいるのはクリスだ。
(第8ステージの)落車でタイムを失ってしまったので、あまり総合成績について考えずに毎日走っている。バッドデーを迎えてどうしてもタイムを失ってしまう日もある。今日はスタートからずっとペースが速かったけど、多くの選手が明日に備えて力を出し惜しみしていたように思う。自分もここまで追い込むつもりじゃなかった。明日のステージで今日のツケが回ってくるかもしれない。
山岳ステージこそ自分の領域であり、山岳ステージをレースというよりも楽しみながら走っている感じ。楽しみには地獄のような苦しみを伴うけど、ここがシーズン最大の大舞台であり、多くの観客が声援を送ってくれる。こんな楽しみは他にはない。
ステージ8位&総合8位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
ダニエル・マーティンのアタックにすぐ反応しなかったことが最大のミス。今日は上手く自分のレースに持ち込めず、貴重なタイムを失ってしまった。でもコンディションは日に日に上がっている。脚の状態は良いので、明日のビッグステージで挽回を狙いたい。
ステージ9位 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
(2級山岳ロズラン峠の)ペースアップは下りアタックに向けての準備ではなく、誰が調子が悪いのかを見たかったから。暑さは問題ではなく、最後はチームスカイのクレイジーなリズムにやられてしまった。ハイペースな展開によってレッドゾーンに入ってしまい、そこからリカバリーできなかった。それ以上の説明ができない。調子自体は悪くないのでリズムを刻むことでペースを戻したけど、残り4km地点からずっとタイム差は広がっていった。
ステージ10位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
攻撃を仕掛けたかったけど、現実的には思うようにレースを運べなかった。強烈なリズムのおかげでタイムを失ってしまったけど、これからも戦いを続ける。
ステージ17位&マイヨブラン ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)
再びチームスカイの力が際立つ結果となった。でもバルベルデが早いタミングでアタックを仕掛けたので、チームスカイもパニックになっていたと思う。そこからずっとペースが速くて、食らいつくのに必死だった。またチャンスは巡ってくると思う。
ステージ20位 ワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)
チームメイト3人(ブエ、ジェスベール、モワナール)と逃げたけど、最後の1級山岳登坂開始の時点でリードは3分。逃げ切るのは難しいと思った。今日はチャンスを逃したけど、得意な3週目に再び攻撃を仕掛けたい。今日は山岳ポイント量産を狙ったけど、ジュリアン(アラフィリップ)からマイヨアポワを奪うことはできなかった。
ステージ敢闘賞 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
脚の調子が良かったので予定通りチームの作戦としてカードを切った。ナイロ(キンタナ)とミケル(ランダ)は総合ライバルたちと離れず走っていたし、マルク・ソレルをはじめチームメイトたちの走りは完璧だったと思う。今日レースを最も動かしたチームはモビスターだった。
チームスカイには脱帽だ。今日彼らの走りは素晴らしかった。明日以降、ツールが終わるまでモビスターは攻撃を続ける。まだまだ閉幕まで時間はあるし、明日はアルプス3連戦の最難関ステージが待っている。良い思い出が詰まっているラルプデュエズで再び輝きたい。
ステージ71位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
通常のチームジャージを着るのが久々で、変な感じがする。黄色いバイクもお気に入りだったけど、明日からはチームカラーに戻る。ツールでの夢のような日々だった。キャリアの中で最高の日々だったと言える。今日はスーパーハードなステージで、ただ走りきることで精一杯だった。
text:Kei Tsuji in La Rosiere, France
ステージ1位&マイヨジョーヌ ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
とても現実とは思えないし、この勝利は全く予想していなかった。アタックは予定していたものではなく、本能に従って動いた。自分がアタックしてフルーミーがライバルのアタックに反応する展開になり、自分はフルーミーを待つ役目があったのでデュムランの後ろで待機。フロスティ(ミケル・ニエベ)が見えてきたので、彼には悪いけど、ステージ優勝のためにアタックしたんだ。2年連続でマイヨジョーヌを着るのは本当に素晴らしく、本当に誇らしい。
これは間違いなくキャリアの中で最も美しい勝利であり、明日はマイヨジョーヌを着てのレースを楽しみたい。象徴的なラルプデュエズをマイヨジョーヌを着て登る意味はとてつもなく大きい。
自分が総合リーダーの座に就いたものの、チームのリーダーは今も変わらずフルーミーだ。3週間のパフォーマンスに確実性のない自分と違って、彼はこれまで6回グランツールで総合優勝している。これから何が起こっても、自分のツールはすでに成功だったと言える。あと数日間はマイヨジョーヌを着たい。もちろん総合表彰台に上ることができたら最高だけど、チームの最優先事項はクリスの総合優勝だ。
ステージ2位&総合3位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)
本能のままに、衝動的にアタックした。逃げに乗っていたソーレン(アンデルセン)は下りのスペシャリストで、彼にリスクを負わない程度に下りで先行するよう指示を出したんだ。すると後続との間に距離が生まれて、そのまま逃げることにした。
子供の頃、よくこのラ・ロジエールに来てスキーを学んだ。伯父がここに別荘を持っていたので、家族でよく訪れたんだ。でもその伯父がこの春に亡くなり、その2週間後に伯母も亡くなった。父は2週間のうちに2人の兄弟を失ってしまった。今日は彼らのためにも良いパフォーマンスを見せたかった。きっと彼らは誇りに思ってくれていると思う。
ステージ3位&総合2位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)
これ以上望めないような結果。今日のステージを終えてこの状態(総合ワンツー)になるとは予想していなかった。おそらく誰もが今日のラ・ロジエールより破壊力のあるラルプデュエズに警戒していただろうし、実際に明日のほうが破壊力は大きい。とにかく今の状態はファンタスティックだ。
ゲラント(トーマス)とは打ち合わせすることなく、まず彼がアタックして先行。そうなれば自然とライバルたちが追いかけなければならない状況になるので、パーフェクトな展開だった。ダン(マーティン)のアタックは強烈で、反応できたのは自分だけだった。彼は落車で被った遅れを挽回しようとしていて、今日の走りは素晴らしかった。
総合ライバルたちの中でいま最も警戒しなければならないのはトム・デュムラン。彼のレース運びは印象的だった。でも明日はもっと大きなステージが待っているので、今日手のひらを見せなかった選手が動いてくるかもしれない。
ステージ4位 ミケル・ニエベ(スペイン、ミッチェルトン・スコット)
あと少しでステージ優勝を逃してしまった。序盤から逃げに乗ったのでもう最後は限界だった。トーマスが追いついてきていることは分かっていたけど、何もできなかった。全力を出し切って勝てる時もあれば勝てない時もある。
ステージ6位 ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)
チャンスだった。他の選手がアタックしないので、自分から動いてみたんだ。残り4kmから先は牽制気味になると思っていたし、少しでもタイムを挽回するためにアタックした。今日は全員がリミットぎりぎりだった。クリス(フルーム)とゲラント(トーマス)もぎりぎりの状態だったと思う。気温も高くてとにかく厳しい1日だった。現在最も良い状況にいるのはクリスだ。
(第8ステージの)落車でタイムを失ってしまったので、あまり総合成績について考えずに毎日走っている。バッドデーを迎えてどうしてもタイムを失ってしまう日もある。今日はスタートからずっとペースが速かったけど、多くの選手が明日に備えて力を出し惜しみしていたように思う。自分もここまで追い込むつもりじゃなかった。明日のステージで今日のツケが回ってくるかもしれない。
山岳ステージこそ自分の領域であり、山岳ステージをレースというよりも楽しみながら走っている感じ。楽しみには地獄のような苦しみを伴うけど、ここがシーズン最大の大舞台であり、多くの観客が声援を送ってくれる。こんな楽しみは他にはない。
ステージ8位&総合8位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
ダニエル・マーティンのアタックにすぐ反応しなかったことが最大のミス。今日は上手く自分のレースに持ち込めず、貴重なタイムを失ってしまった。でもコンディションは日に日に上がっている。脚の状態は良いので、明日のビッグステージで挽回を狙いたい。
ステージ9位 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
(2級山岳ロズラン峠の)ペースアップは下りアタックに向けての準備ではなく、誰が調子が悪いのかを見たかったから。暑さは問題ではなく、最後はチームスカイのクレイジーなリズムにやられてしまった。ハイペースな展開によってレッドゾーンに入ってしまい、そこからリカバリーできなかった。それ以上の説明ができない。調子自体は悪くないのでリズムを刻むことでペースを戻したけど、残り4km地点からずっとタイム差は広がっていった。
ステージ10位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
攻撃を仕掛けたかったけど、現実的には思うようにレースを運べなかった。強烈なリズムのおかげでタイムを失ってしまったけど、これからも戦いを続ける。
ステージ17位&マイヨブラン ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)
再びチームスカイの力が際立つ結果となった。でもバルベルデが早いタミングでアタックを仕掛けたので、チームスカイもパニックになっていたと思う。そこからずっとペースが速くて、食らいつくのに必死だった。またチャンスは巡ってくると思う。
ステージ20位 ワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)
チームメイト3人(ブエ、ジェスベール、モワナール)と逃げたけど、最後の1級山岳登坂開始の時点でリードは3分。逃げ切るのは難しいと思った。今日はチャンスを逃したけど、得意な3週目に再び攻撃を仕掛けたい。今日は山岳ポイント量産を狙ったけど、ジュリアン(アラフィリップ)からマイヨアポワを奪うことはできなかった。
ステージ敢闘賞 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
脚の調子が良かったので予定通りチームの作戦としてカードを切った。ナイロ(キンタナ)とミケル(ランダ)は総合ライバルたちと離れず走っていたし、マルク・ソレルをはじめチームメイトたちの走りは完璧だったと思う。今日レースを最も動かしたチームはモビスターだった。
チームスカイには脱帽だ。今日彼らの走りは素晴らしかった。明日以降、ツールが終わるまでモビスターは攻撃を続ける。まだまだ閉幕まで時間はあるし、明日はアルプス3連戦の最難関ステージが待っている。良い思い出が詰まっているラルプデュエズで再び輝きたい。
ステージ71位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
通常のチームジャージを着るのが久々で、変な感じがする。黄色いバイクもお気に入りだったけど、明日からはチームカラーに戻る。ツールでの夢のような日々だった。キャリアの中で最高の日々だったと言える。今日はスーパーハードなステージで、ただ走りきることで精一杯だった。
text:Kei Tsuji in La Rosiere, France
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