2018/07/12(木) - 02:43
勾配11%の急勾配区間を乗り越えた38名の小集団によるスプリント。ブルターニュ地域圏の丘陵地帯を走る獲得標高差3,000mの難コースでペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がステージ2勝目を射止めた。
ツール・ド・フランス第5ステージはブルターニュらしさが詰まった204.5kmの丘陵コース。丘を縫うように走り、合計5つのカテゴリー山岳が詰め込まれたステージ後半はまさに登りと下りしかない。クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)の言葉を借りると「ミュール・ド・ユイのないラ・フレーシュ・ワロンヌのようなコース」。
ブルターニュの名物峠である残り45kmの3級山岳メネケルク(全長3km/平均6.2%)と3級山岳モンターニュ・ド・ロクロナン(全長2.2km/平均5.9%)、ボーナスポイントの登り(全長700m/平均9%)がピュアスプリンターたちの侵入を拒む。獲得標高差3,000mの丘陵コースを締めくくるのは、フラムルージュ(残り1kmアーチ)を切ってから始まる最大勾配11%、平均勾配4.8%の登りフィニッシュだ。
最高気温25度ほどと前日までよりも幾分下がった気温の中、ロリアンの街を171名の選手たちがスタートしていく。前日に激しくクラッシュして血だらけでフィニッシュしたティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)と2017年のマイヨヴェール獲得者マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がスタートせず。この日のステージ優勝候補でもあった2名が相次いでレースを去り、さらに3km地点で落車したロベルト・キセルロウスキー(クロアチア、カチューシャ・アルペシン)がリタイアを余儀なくされている。
これが18回目のツール出場である39歳シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)のアタックをきっかけに形成されたのは7名の逃げグループ。トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)やジュリアン・ヴェルモート(ベルギー、ディメンションデータ)、ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・スーダル)というUCIワールドチーム所属選手に加え、リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)、エリー・ジェスベール(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)、ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)がブルターニュの丘に挑んだ。
最大4分25秒まで広がったタイム差をBMCレーシングがコントロール。スプリントポイント(92.5km地点)ではフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)がサガンを下して8番手通過を果たす。ポイント賞に向けて意欲を見せたガビリアだったが、この日はマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)やアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)といったライバルたちと同様に、ステージ後半の連続山岳でメイン集団から脱落している。
フィニッシュまで100kmを残して独走に持ち込んだシャヴァネルにスクインシュとカルメジャーヌ、エデが合流して先頭は4名に。ブルターニュらしい農道のような細く曲がりくねったコースを進むメイン集団では、BMCレーシングに加えてボーラ・ハンスグローエが牽引に合流。残り50km地点で逃げグループとメイン集団のタイム差は2分を割り込んだ。後半の3級山岳でポイントを稼いだスクインシュは山岳賞ランキング首位に浮上。ラトビア人として初めてツールの特別賞ジャージを袖を通すとともに、ステージ敢闘賞まで手に入れている。
最後まで粘ったカルメジャーヌとスクインシュはボーナスポイント(残り12km地点)の手前で吸収。メイン集団の中から飛び出したジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)とグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がそれぞれボーナスタイム3秒と2秒を獲得している。
断続的にアップダウンが続く残り10km地点でアタックしたレイン・タラマエ(エストニア、ディレクトエネルジー)はチームスカイ率いるメイン集団によって吸収。危険回避のためにミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)らが強力に牽引するメイン集団が残り1kmからの急坂に突入した。
エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)がハイペースを刻む集団から残り800m地点でアタックしたのはフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)。最も勾配が増すポイントでのアタックに集団は伸び、残り500mでジルベールは一旦踏み止める。続いてマイヨジョーヌを着るヴァンアーヴェルマートが自ら先頭に立ってペースを上げると、その後ろに一人だけ軽いギアを回す世界チャンピオンがいた。
ヴァンアーヴェルマートのスリップストリームでタイミングを待ち続けたサガンがソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)とほぼ同時にスプリントを開始。残り200mから加速した両者が横並びでスプリントを繰り広げる。徐々にスピードを失うコルブレッリを引き離したマイヨヴェールのサガンが悠々と両手を挙げた。
第2ステージに続くスプリント2勝目を飾ったサガン。スプリントポイントでガビリアに1ポイントを奪われながらも、ピュアスプリンターのいないスプリントで大きくポイントを伸ばした。「今日もソニー・コルブレッリに迫られたけど先頭を守りきることができて良かった。今日のレース中に彼と話していた時、頼むから後ろから追いついて驚かせないでくれと釘を刺したのに」とサガンは笑う。
「誰かが動くだろうと思っていたらフィリップ・ジルベールがアタック。彼に追いついたところで今度はグレッグ・ヴァンアーヴェルマートがアタック。結果的にグレッグの動きが自分のスプリントへの良いリードアウトになった。だからグレッグにありがとうと言いたい。テクニカルで、アップダウンの連続で、右に左にとコーナーが連続する難しいステージをとても楽しんだよ」とサガンは余裕のコメント。大集団スプリントではガビリアに二敗しているものの、マイヨヴェール争いでは頭一つ抜けた存在であることを改めて知らしめた。
マイヨジョーヌ候補たちはタイムを失うことなく集団内でフィニッシュ。翌日は3級山岳ミュール・ド・ブルターニュを2度登るより厳しい丘陵コースが登場する。
ツール・ド・フランス第5ステージはブルターニュらしさが詰まった204.5kmの丘陵コース。丘を縫うように走り、合計5つのカテゴリー山岳が詰め込まれたステージ後半はまさに登りと下りしかない。クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)の言葉を借りると「ミュール・ド・ユイのないラ・フレーシュ・ワロンヌのようなコース」。
ブルターニュの名物峠である残り45kmの3級山岳メネケルク(全長3km/平均6.2%)と3級山岳モンターニュ・ド・ロクロナン(全長2.2km/平均5.9%)、ボーナスポイントの登り(全長700m/平均9%)がピュアスプリンターたちの侵入を拒む。獲得標高差3,000mの丘陵コースを締めくくるのは、フラムルージュ(残り1kmアーチ)を切ってから始まる最大勾配11%、平均勾配4.8%の登りフィニッシュだ。
最高気温25度ほどと前日までよりも幾分下がった気温の中、ロリアンの街を171名の選手たちがスタートしていく。前日に激しくクラッシュして血だらけでフィニッシュしたティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)と2017年のマイヨヴェール獲得者マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がスタートせず。この日のステージ優勝候補でもあった2名が相次いでレースを去り、さらに3km地点で落車したロベルト・キセルロウスキー(クロアチア、カチューシャ・アルペシン)がリタイアを余儀なくされている。
これが18回目のツール出場である39歳シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)のアタックをきっかけに形成されたのは7名の逃げグループ。トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)やジュリアン・ヴェルモート(ベルギー、ディメンションデータ)、ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・スーダル)というUCIワールドチーム所属選手に加え、リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)、エリー・ジェスベール(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)、ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)がブルターニュの丘に挑んだ。
最大4分25秒まで広がったタイム差をBMCレーシングがコントロール。スプリントポイント(92.5km地点)ではフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)がサガンを下して8番手通過を果たす。ポイント賞に向けて意欲を見せたガビリアだったが、この日はマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)やアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)といったライバルたちと同様に、ステージ後半の連続山岳でメイン集団から脱落している。
フィニッシュまで100kmを残して独走に持ち込んだシャヴァネルにスクインシュとカルメジャーヌ、エデが合流して先頭は4名に。ブルターニュらしい農道のような細く曲がりくねったコースを進むメイン集団では、BMCレーシングに加えてボーラ・ハンスグローエが牽引に合流。残り50km地点で逃げグループとメイン集団のタイム差は2分を割り込んだ。後半の3級山岳でポイントを稼いだスクインシュは山岳賞ランキング首位に浮上。ラトビア人として初めてツールの特別賞ジャージを袖を通すとともに、ステージ敢闘賞まで手に入れている。
最後まで粘ったカルメジャーヌとスクインシュはボーナスポイント(残り12km地点)の手前で吸収。メイン集団の中から飛び出したジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)とグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がそれぞれボーナスタイム3秒と2秒を獲得している。
断続的にアップダウンが続く残り10km地点でアタックしたレイン・タラマエ(エストニア、ディレクトエネルジー)はチームスカイ率いるメイン集団によって吸収。危険回避のためにミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)らが強力に牽引するメイン集団が残り1kmからの急坂に突入した。
エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)がハイペースを刻む集団から残り800m地点でアタックしたのはフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)。最も勾配が増すポイントでのアタックに集団は伸び、残り500mでジルベールは一旦踏み止める。続いてマイヨジョーヌを着るヴァンアーヴェルマートが自ら先頭に立ってペースを上げると、その後ろに一人だけ軽いギアを回す世界チャンピオンがいた。
ヴァンアーヴェルマートのスリップストリームでタイミングを待ち続けたサガンがソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)とほぼ同時にスプリントを開始。残り200mから加速した両者が横並びでスプリントを繰り広げる。徐々にスピードを失うコルブレッリを引き離したマイヨヴェールのサガンが悠々と両手を挙げた。
第2ステージに続くスプリント2勝目を飾ったサガン。スプリントポイントでガビリアに1ポイントを奪われながらも、ピュアスプリンターのいないスプリントで大きくポイントを伸ばした。「今日もソニー・コルブレッリに迫られたけど先頭を守りきることができて良かった。今日のレース中に彼と話していた時、頼むから後ろから追いついて驚かせないでくれと釘を刺したのに」とサガンは笑う。
「誰かが動くだろうと思っていたらフィリップ・ジルベールがアタック。彼に追いついたところで今度はグレッグ・ヴァンアーヴェルマートがアタック。結果的にグレッグの動きが自分のスプリントへの良いリードアウトになった。だからグレッグにありがとうと言いたい。テクニカルで、アップダウンの連続で、右に左にとコーナーが連続する難しいステージをとても楽しんだよ」とサガンは余裕のコメント。大集団スプリントではガビリアに二敗しているものの、マイヨヴェール争いでは頭一つ抜けた存在であることを改めて知らしめた。
マイヨジョーヌ候補たちはタイムを失うことなく集団内でフィニッシュ。翌日は3級山岳ミュール・ド・ブルターニュを2度登るより厳しい丘陵コースが登場する。
ツール・ド・フランス2018第5ステージ結果
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 4:48:06 |
2位 | ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
3位 | フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | |
4位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | |
5位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | |
6位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | |
7位 | グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) | |
8位 | ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)) | |
9位 | アンドレア・パスクアロン(イタリア、ワンティ・グループゴベール) | |
10位 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
DNS | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | |
DNS | ティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル) | |
DNF | ロベルト・キセルロウスキー(クロアチア、カチューシャ・アルペシン) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) | 18:22:00 |
2位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) | 0:00:02 |
3位 | フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | 0:00:03 |
4位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 0:00:05 |
5位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 0:00:06 |
6位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) | 0:00:09 |
7位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:13 |
8位 | ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)) | |
9位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:00:37 |
10位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:52 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 180pts |
2位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) | 147pts |
3位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | 78pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) | 4pts |
2位 | シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー) | 4pts |
3位 | リリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー) | 3pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)) | 18:22:13 |
2位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 0:01:08 |
3位 | マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) | 0:01:39 |
チーム総合成績
1位 | クイックステップフロアーズ | 55:45:20 |
2位 | BMCレーシング | 0:00:23 |
3位 | サンウェブ | 0:00:44 |
text&photo:Kei Tsuji in Quimper, France
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