2018/07/11(水) - 02:14
平坦なスプリンター向きの195kmで行われたツール・ド・フランス第4ステージ。相次ぐ落車を切り抜けたスプリンターたちによる接戦は、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を写真判定で下したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)の2勝目で締めくくられた。
開幕から3日間を過ごしたペイ・ド・ラ・ロワール地域圏を離れ、ツール・ド・フランスはお隣のブルターニュ地域圏へ。フランスを代表するビーチがある保養地ラ・ボールから、現職のダヴィ・ラパルティアンUCI会長が市長を務めるサルゾーに向かう195kmコースは概ね平坦。ブルターニュらしい緩やかなアップダウンを含むため獲得標高差は1,300mほどあるが、ピュアスプリンターが苦しむような大きな山岳は登場しない。
当日夜に開催されるFIFAワールドカップ準決勝フランスvsベルギーの話題で持ちきりのスタート地点を離れるとすぐ、フランス2人とベルギー2人による逃げが決まる。レースに残っている174名の選手のうち、全体の31%(フランス人35名、ベルギー人19名)を占める二大国出身選手による逃げ。前日のチームタイムトライアルで最下位という不名誉な結果を残したコフィディスは2人を逃げに乗せた。
ギヨーム・ヴァンケイルスブルク(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)、ジェローム・クザン(フランス、ディレクトエネルジー)、ディミトリ・クレイス(ベルギー、コフィディス)、アントニー・ペレス(フランス、コフィディス)という総合争いに関係しない4名の逃げは最大7分のリードを獲得。総合で4分54秒遅れのヴァンケイルスブルクに暫定マイヨジョーヌの座は渡ったが、BMCレーシングが落ち着いてタイム差をコントロールし始めた。
平均スピード43km/h前後のペースでブルターニュの田園風景の中を走る先頭4名を追いかけたのは、クイックステップフロアーズ、グルパマFDJ、ロット・スーダル。ちょうどレース中間地点のスプリントポイント(97.5km地点)に3分25秒遅れで差し掛かったメイン集団では本格的なスプリントが繰り広げられ、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)が集団先頭通過で11ポイントを獲得した。
タイム差2分前後のまま迎えたこの日唯一の4級山岳を先頭通過したのはペレス。これにより同ポイントで3名が山岳賞ランキング首位に並んだが、その中で総合成績が最も良いディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール)がマイヨアポワをキープしている。
フィニッシュまで50kmを残してタイム差は1分15秒。そのままスプリンターチームが逃げを捕まえてしまうのかと思われたが、ブルターニュ特有の曲がりくねった狭路で落車が発生したためメイン集団はスローダウンを余儀なくされる。落車に巻き込まれたダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)やミケル・ランダ(スペイン、モビスター)、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)といった総合有力候補は問題なく集団復帰した。
落車の影響で、ボーナスポイント(156.5km地点)通過時点でタイム差は3分まで拡大する。クイックステップフロアーズやロット・スーダルが急いでメイン集団のペースを戻して追撃したが、先頭4名とのタイム差は思うように縮まらない。残り15km地点でタイム差は1分35秒。スプリンターチームが集団先頭に入り乱れながらハイペースで進むメイン集団では、残り5km地点で再び大落車が発生した。
リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)やイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)、マーティンを含む落車によって集団は割れる。ウランとマーティンは集団に復帰したが、ザカリンは59秒、マルタンは1分24秒のタイムを失う結果に。
残り4km地点からフィニッシュラインまでの直線路を平均56km/hという猛烈なスピードで駆け抜けた集団は残り1km地点で逃げグループをキャッチする。そこからフィニッシュラインまでは勾配2%ほどの緩斜面。先頭に立った最終発射台役のマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)にスピードで敵う者はおらず、残り150mでガビリアが腰を上げて加速した。
後方からガビリアと同時に加速したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)が一旦は先頭に立つも、ガビリアがスピードを乗せて先頭を奪い返す。後方から勢いよく加速したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がグライペルに並び、最後はガビリア、グライペル、サガンがフィニッシュラインにハンドルを投げ込んだ。
小さく右手の拳を握ってガッツポーズしたガビリアの勝利が写真判定によって確定。初出場のツールでガビリアが第1ステージに続くスプリント2勝目を飾った。グランツールではステージ通算6勝目で、これはナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)のステージ通算5勝目を上回るコロンビア人として歴代3番目の数字。ルイス・エレーラとサンティアゴ・ボテーロがもつステージ通算8勝目の記録に近づいている。
「他のチームの協力を得られず、逃げを吸収するためにクイックステップフロアーズは力を使ってしまった。それでも最後はリードアウトまで持ち込んでくれたんだ。本当に勝利に値する走りだったと思う。大会4日目にして2勝という結果は素晴らしく、この先のステージでも多くの可能性が残されている」。クイックステップフロアーズにシーズン49勝目をもたらしたガビリアの勢いは止まらない。クイックステップフロアーズは直近の5つのグランツールでステージ通算23勝。ボーラ・ハンスグローエとサンウェブのステージ通算7勝を大きく上回っている。
ステージ2位のサガンがマイヨヴェールを守ったものの、ガビリアがポイント賞ランキングで4ポイント差の2位に浮上。「マイヨヴェール争いでサガンに対抗するのは難しいかもしれないけど、できる限りポイントを稼いで行きたい」と、最終的なポイント賞獲得に向けてガビリアは息込んだ。
開幕から3日間を過ごしたペイ・ド・ラ・ロワール地域圏を離れ、ツール・ド・フランスはお隣のブルターニュ地域圏へ。フランスを代表するビーチがある保養地ラ・ボールから、現職のダヴィ・ラパルティアンUCI会長が市長を務めるサルゾーに向かう195kmコースは概ね平坦。ブルターニュらしい緩やかなアップダウンを含むため獲得標高差は1,300mほどあるが、ピュアスプリンターが苦しむような大きな山岳は登場しない。
当日夜に開催されるFIFAワールドカップ準決勝フランスvsベルギーの話題で持ちきりのスタート地点を離れるとすぐ、フランス2人とベルギー2人による逃げが決まる。レースに残っている174名の選手のうち、全体の31%(フランス人35名、ベルギー人19名)を占める二大国出身選手による逃げ。前日のチームタイムトライアルで最下位という不名誉な結果を残したコフィディスは2人を逃げに乗せた。
ギヨーム・ヴァンケイルスブルク(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)、ジェローム・クザン(フランス、ディレクトエネルジー)、ディミトリ・クレイス(ベルギー、コフィディス)、アントニー・ペレス(フランス、コフィディス)という総合争いに関係しない4名の逃げは最大7分のリードを獲得。総合で4分54秒遅れのヴァンケイルスブルクに暫定マイヨジョーヌの座は渡ったが、BMCレーシングが落ち着いてタイム差をコントロールし始めた。
平均スピード43km/h前後のペースでブルターニュの田園風景の中を走る先頭4名を追いかけたのは、クイックステップフロアーズ、グルパマFDJ、ロット・スーダル。ちょうどレース中間地点のスプリントポイント(97.5km地点)に3分25秒遅れで差し掛かったメイン集団では本格的なスプリントが繰り広げられ、フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)が集団先頭通過で11ポイントを獲得した。
タイム差2分前後のまま迎えたこの日唯一の4級山岳を先頭通過したのはペレス。これにより同ポイントで3名が山岳賞ランキング首位に並んだが、その中で総合成績が最も良いディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール)がマイヨアポワをキープしている。
フィニッシュまで50kmを残してタイム差は1分15秒。そのままスプリンターチームが逃げを捕まえてしまうのかと思われたが、ブルターニュ特有の曲がりくねった狭路で落車が発生したためメイン集団はスローダウンを余儀なくされる。落車に巻き込まれたダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)やミケル・ランダ(スペイン、モビスター)、ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)といった総合有力候補は問題なく集団復帰した。
落車の影響で、ボーナスポイント(156.5km地点)通過時点でタイム差は3分まで拡大する。クイックステップフロアーズやロット・スーダルが急いでメイン集団のペースを戻して追撃したが、先頭4名とのタイム差は思うように縮まらない。残り15km地点でタイム差は1分35秒。スプリンターチームが集団先頭に入り乱れながらハイペースで進むメイン集団では、残り5km地点で再び大落車が発生した。
リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)やイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)、マーティンを含む落車によって集団は割れる。ウランとマーティンは集団に復帰したが、ザカリンは59秒、マルタンは1分24秒のタイムを失う結果に。
残り4km地点からフィニッシュラインまでの直線路を平均56km/hという猛烈なスピードで駆け抜けた集団は残り1km地点で逃げグループをキャッチする。そこからフィニッシュラインまでは勾配2%ほどの緩斜面。先頭に立った最終発射台役のマキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)にスピードで敵う者はおらず、残り150mでガビリアが腰を上げて加速した。
後方からガビリアと同時に加速したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)が一旦は先頭に立つも、ガビリアがスピードを乗せて先頭を奪い返す。後方から勢いよく加速したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がグライペルに並び、最後はガビリア、グライペル、サガンがフィニッシュラインにハンドルを投げ込んだ。
小さく右手の拳を握ってガッツポーズしたガビリアの勝利が写真判定によって確定。初出場のツールでガビリアが第1ステージに続くスプリント2勝目を飾った。グランツールではステージ通算6勝目で、これはナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)のステージ通算5勝目を上回るコロンビア人として歴代3番目の数字。ルイス・エレーラとサンティアゴ・ボテーロがもつステージ通算8勝目の記録に近づいている。
「他のチームの協力を得られず、逃げを吸収するためにクイックステップフロアーズは力を使ってしまった。それでも最後はリードアウトまで持ち込んでくれたんだ。本当に勝利に値する走りだったと思う。大会4日目にして2勝という結果は素晴らしく、この先のステージでも多くの可能性が残されている」。クイックステップフロアーズにシーズン49勝目をもたらしたガビリアの勢いは止まらない。クイックステップフロアーズは直近の5つのグランツールでステージ通算23勝。ボーラ・ハンスグローエとサンウェブのステージ通算7勝を大きく上回っている。
ステージ2位のサガンがマイヨヴェールを守ったものの、ガビリアがポイント賞ランキングで4ポイント差の2位に浮上。「マイヨヴェール争いでサガンに対抗するのは難しいかもしれないけど、できる限りポイントを稼いで行きたい」と、最終的なポイント賞獲得に向けてガビリアは息込んだ。
ツール・ド・フランス2018第4ステージ結果
1位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) | 4:25:01 |
2位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
3位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル) | |
4位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) | |
5位 | マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) | |
6位 | アンドレア・パスクアロン(イタリア、ワンティ・グループゴベール) | |
7位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | |
8位 | ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード) | |
9位 | ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール) | |
10位 | ティモシー・デュポン(ベルギー、ワンティ・グループゴベール) | |
DNF | アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) | 13:33:56 |
2位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) | |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 0:00:03 |
4位 | フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | 0:00:05 |
5位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 0:00:07 |
6位 | ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) | |
7位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:11 |
8位 | ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)) | |
9位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | |
10位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:00:35 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | 143pts |
2位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) | 139pts |
3位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | 72pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ディオン・スミス(ニュージーランド、ワンティ・グループゴベール) | 1pt |
2位 | アントニー・ペレス(フランス、コフィディス) | 1pt |
3位 | ケヴィン・ルダノワ(フランス、フォルトゥネオ・サムシック) | 1pt |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)) | 13:34:07 |
2位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) | 0:01:08 |
3位 | マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ) | 0:01:22 |
チーム総合成績
1位 | クイックステップフロアーズ | 41:21:02 |
2位 | サンウェブ | 0:00:16 |
3位 | BMCレーシング | 0:00:23 |
text&photo:Kei Tsuji in Sarzeau, France
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