2018/07/06(金) - 23:07
白地に赤い水玉模様が目印のマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ、略してマイヨアポワ。山岳レースを生業とするクライマーたちが狙う山岳賞ジャージのランキングシステムや候補選手を紹介します。
赤い水玉模様のマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ
ツール・ド・フランス山岳最強の証、それがマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ(略してマイヨアポワ)。他の3賞ジャージが単色であるのに対して、マイヨアポワはホワイトジャージに赤い水玉を配した奇抜なデザインであり、プロトンの中でも判別は容易だ。ジャージスポンサーを務めるのはフランスの大手スーパーチェーンのカルフール。
近年のツールの傾向として、カテゴリーの低い山岳での獲得ポイントが引き下げられている。例えば4級山岳20回先頭通過と、超級山岳1回先頭通過が同じポイント。つまり、マイヨアポワを狙うためには、こつこつと4級山岳をポイントを重ねるのではなく、難易度の高いカテゴリー山岳でポイントを稼がなければならない。
中級山岳ステージで逃げてポイントを加算するのではなく、アルプスやピレネーの難関山岳でポイントを量産する真のクライマーがマイヨアポワの候補に挙がる。なお、ピレネーの山頂フィニッシュのポイントは通常の2倍(※アルプスの山頂フィニッシュは2倍ではない)。そのため総合上位の選手たちも必然的に山岳賞ランキングの上位に絡んでくる。
カテゴリー山岳のポイント配分
・超級山岳 20pts, 15pts, 12pts, 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts
・1級山岳 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
・2級山岳 5pts, 3pts, 2pts, 1pt
・3級山岳 2pts, 1pt
・4級山岳 1pt
山岳王バルギルの復活なるか?カルメジャーヌやロラン、マイカにも注目
2017年に山岳ステージで2勝を飾るとともに、ランキング2位の選手に2倍以上のポイント差をつけてマイヨアポワを獲得したワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)は間違いなくタイトル防衛を狙ってくるだろう。サンウェブからUCIプロコンチネンタルチームのフォルトゥネオ・サムシックに移籍し、単独エースとしてツールに挑むバルギル。しかし移籍後は低迷が続いており、まだシーズン初勝利がやってきていない。開幕1週間前のフランス選手権ロードレースで7位に入って復調の兆しを見せている。
仮にどれだけ優れた登坂力を有していても、チーム内にマイヨジョーヌ狙いのエースがいる場合は自由な動きが許されない。ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)やオマール・フライレ(スペイン、アスタナ)、ダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)といったクライマーたちはエースをアシストしながら山岳ステージで動いてくるだろう。
あくまでも第一目標はマイヨジョーヌのためマイヨアポワ候補に挙げるのは失礼にあたるが、2014年と2016年にマイヨアポワを獲得しているラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)や2017年山岳賞2位のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)は目標をマイヨジョーヌからマイヨアポワにスイッチするかもしれない。
エースナンバーを付けるリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)は2年連続のステージ優勝を目指すとともに、チャンスがあればマイヨアポワも視野に入れるはず。「逃げ屋」の代名詞トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)も山岳賞争いの実績者だ。
ツール・ド・フランス2017山岳賞ランキング
1位 ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) 169pts
2位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) 80pts
3位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 64pts
4位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) 55pts
5位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) 51pts
6位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) 47pts
7位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) 45pts
8位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) 37pts
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)36pts
10位 セルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ) 32pts
歴代のマイヨアポワ受賞者
2017年 ワレン・バルギル(フランス)
2016年 ラファル・マイカ(ポーランド)
2015年 クリス・フルーム(イギリス)
2014年 ラファル・マイカ(ポーランド)
2013年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2012年 トマ・ヴォクレール(フランス)
2011年 サムエル・サンチェス(スペイン)
2010年 アントニー・シャルトー(フランス)
2009年 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア)※ドーピング違反により失格
2008年 ベルンハート・コール(オーストリア)※ドーピング違反により失格
2007年 マウリシオ・ソレール(コロンビア)
2006年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2005年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2004年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2003年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2002年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2001年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2000年 サンティアゴ・ボテーロ(コロンビア)
1999年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1998年 クリストフ・リネロ(フランス)
1997年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1996年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1995年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1994年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1993年 トニー・ロミンガー(スイス)
1992年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1991年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1990年 ティエリー・クラヴェロラ(フランス)
text:Kei Tsuji in La Roche-sur-Yon, France
赤い水玉模様のマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ
ツール・ド・フランス山岳最強の証、それがマイヨブラン・ア・ポワ・ルージュ(略してマイヨアポワ)。他の3賞ジャージが単色であるのに対して、マイヨアポワはホワイトジャージに赤い水玉を配した奇抜なデザインであり、プロトンの中でも判別は容易だ。ジャージスポンサーを務めるのはフランスの大手スーパーチェーンのカルフール。
近年のツールの傾向として、カテゴリーの低い山岳での獲得ポイントが引き下げられている。例えば4級山岳20回先頭通過と、超級山岳1回先頭通過が同じポイント。つまり、マイヨアポワを狙うためには、こつこつと4級山岳をポイントを重ねるのではなく、難易度の高いカテゴリー山岳でポイントを稼がなければならない。
中級山岳ステージで逃げてポイントを加算するのではなく、アルプスやピレネーの難関山岳でポイントを量産する真のクライマーがマイヨアポワの候補に挙がる。なお、ピレネーの山頂フィニッシュのポイントは通常の2倍(※アルプスの山頂フィニッシュは2倍ではない)。そのため総合上位の選手たちも必然的に山岳賞ランキングの上位に絡んでくる。
カテゴリー山岳のポイント配分
・超級山岳 20pts, 15pts, 12pts, 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts
・1級山岳 10pts, 8pts, 6pts, 4pts, 2pts, 1pt
・2級山岳 5pts, 3pts, 2pts, 1pt
・3級山岳 2pts, 1pt
・4級山岳 1pt
山岳王バルギルの復活なるか?カルメジャーヌやロラン、マイカにも注目
2017年に山岳ステージで2勝を飾るとともに、ランキング2位の選手に2倍以上のポイント差をつけてマイヨアポワを獲得したワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)は間違いなくタイトル防衛を狙ってくるだろう。サンウェブからUCIプロコンチネンタルチームのフォルトゥネオ・サムシックに移籍し、単独エースとしてツールに挑むバルギル。しかし移籍後は低迷が続いており、まだシーズン初勝利がやってきていない。開幕1週間前のフランス選手権ロードレースで7位に入って復調の兆しを見せている。
仮にどれだけ優れた登坂力を有していても、チーム内にマイヨジョーヌ狙いのエースがいる場合は自由な動きが許されない。ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)やオマール・フライレ(スペイン、アスタナ)、ダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)といったクライマーたちはエースをアシストしながら山岳ステージで動いてくるだろう。
あくまでも第一目標はマイヨジョーヌのためマイヨアポワ候補に挙げるのは失礼にあたるが、2014年と2016年にマイヨアポワを獲得しているラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)や2017年山岳賞2位のプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)は目標をマイヨジョーヌからマイヨアポワにスイッチするかもしれない。
エースナンバーを付けるリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)は2年連続のステージ優勝を目指すとともに、チャンスがあればマイヨアポワも視野に入れるはず。「逃げ屋」の代名詞トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル)も山岳賞争いの実績者だ。
ツール・ド・フランス2017山岳賞ランキング
1位 ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) 169pts
2位 プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) 80pts
3位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・スーダル) 64pts
4位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) 55pts
5位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) 51pts
6位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) 47pts
7位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) 45pts
8位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) 37pts
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)36pts
10位 セルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ) 32pts
歴代のマイヨアポワ受賞者
2017年 ワレン・バルギル(フランス)
2016年 ラファル・マイカ(ポーランド)
2015年 クリス・フルーム(イギリス)
2014年 ラファル・マイカ(ポーランド)
2013年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2012年 トマ・ヴォクレール(フランス)
2011年 サムエル・サンチェス(スペイン)
2010年 アントニー・シャルトー(フランス)
2009年 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア)※ドーピング違反により失格
2008年 ベルンハート・コール(オーストリア)※ドーピング違反により失格
2007年 マウリシオ・ソレール(コロンビア)
2006年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2005年 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク)
2004年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2003年 リシャール・ヴィランク(フランス)
2002年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2001年 ローラン・ジャラベール(フランス)
2000年 サンティアゴ・ボテーロ(コロンビア)
1999年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1998年 クリストフ・リネロ(フランス)
1997年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1996年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1995年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1994年 リシャール・ヴィランク(フランス)
1993年 トニー・ロミンガー(スイス)
1992年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1991年 クラウディオ・キャプッチ(イタリア)
1990年 ティエリー・クラヴェロラ(フランス)
text:Kei Tsuji in La Roche-sur-Yon, France