2018/06/24(日) - 19:57
快晴の中行われた全日本選手権ロードレース男子エリートは、最終周回で攻撃した山本元喜(キナンサイクリングチーム)が佐野淳哉(マトリックス・パワータグ)から32秒のリードを奪い優勝し、初の全日本エリートタイトルを獲得。その詳報をお伝えする。
日本一決定戦、男子エリートレースが開催される全日本選手権ロードの3日目。6月24日(日)の島根県西部の益田市上空は雲ひとつ無い快晴。早朝から日差しが降り注いだことで気温はぐんぐんと上昇し、気温は1日目に続いて30℃前後にまで上昇。14.2kmを15周回する213.0km/累積獲得標高3,825mの行程は、サバイバルレースの状況を呈すことが予想された。
朝9時にスタートの号砲が鳴った直後、いきなりレースは動いた。石橋学(チームブリヂストンサイクリング)や酒井紀章(バルバレーシングクラブ)らがスタートアタックを掛け、山本元喜(キナンサイクリングチーム)や佐野淳哉(マトリックス・パワータグ)、岡本隼(愛三工業レーシング)ら各チームのエース級選手が次々と飛び乗ることに。吉田隼人(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)や小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、新城雄大(キナンサイクリングチーム)、安原大貴(マトリックス・パワータグ)のブリッジが最終便となり、最終的に32名という巨大なエスケープが逃げ始めた。
一方、後続集団に残ったのは入部正太朗(シマノレーシング)や窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)、ディフェンディングチャンピオンでゼッケン1をつける畑中勇介(TeamUKYO)といった有力勢。各チームがエースやサブエースを含む複数名を逃げに載せたことでメイン集団を組織的に牽くチームが現れず、7周目には8分半というメイン集団が足切りになる可能性もある大差が生まれた。
失速する後続を尻目に、逃げる先頭集団内では高岡亮寛(Roppongi Express)や井上亮(Magellan Systems Japan)といった強豪ホビーレーサーが登りでペースメイク。タイム差の広がりに危機感を感じたシマノレーシングやチームブリヂストンサイクリングがメイン集団のコントロールを開始したことで、タイム差は中盤を過ぎてようやく縮小傾向に転じた。
レースの3分の2を消化した10周目、樋口峻明(那須ブラーゼン)の抜け出しをきっかけに先頭集団内の争いが勃発する。11周目の登りで抜け出した石橋が樋口を捉え、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が鈴木龍や小野寺玲のために引き戻す。この動きで岡本隼らが遅れ、先頭人数は17名に絞り込まれた。
12周目の登りでは小石祐馬(チーム右京)と山本元喜が抜け出し、この2人を追えたのは佐野淳哉、新城雄大、小野寺玲、石橋学というメンバーのみ。この時点で必死に追走するメイン集団は6分半後ろであり、チャンピオンジャージの行方は先頭の6名へと委ねられる。
追走グループからは苦しい表情を見せていた小野寺が遅れたものの、佐野と新城はおよそ2周に渡る追走の末に、全15周回中の14周目に小石と山本をキャッチ。コース再奥部の短い登りでアタックした佐野が10秒を得たが、これを山本が封じ、遅れて監督の指示を受けて小石を置き去りにした新城も合流。こうして単独の佐野vsキナン2名という構図が生まれた。
すると「新城の脚が攣っていたので自分が攻める必要があったし、今の自分なら佐野さんを千切れると思った」と言う山本が最終周回突入直後の登りで渾身のアタックを繰り出した。すると「それまで使わせられてしまった脚がいっぱいいっぱいだった」という佐野が遅れ、山本のリードは下りと平坦基調の半周を残して40秒にまで広がった。
平坦区間では佐野がタイム差を削り取ったものの、上りで生まれたリードはあまりにも大きかった。優勝に向けて突き進んだ山本は、最終的に佐野を32秒、足が攣り後退を余儀なくされた新城を2分引き離してチームメイトやスタッフが待つフィニッシュラインへ。全日本タイトル獲得を決めた直後、歓喜の涙を流すスタッフや弟の大喜らと抱き合った。
奈良出身で、鹿屋体育大学在籍時にU23カテゴリーを2連覇している山本だが、エリートタイトルは今回が初となる。NIPPOヴィーニファンティーニ時代の2016年にジロ・デ・イタリア完走を果たし、去年父親としてのスタートを切った26歳は、満面の笑みでチャンピオンジャージと金メダルを受け取った。
日本一決定戦、男子エリートレースが開催される全日本選手権ロードの3日目。6月24日(日)の島根県西部の益田市上空は雲ひとつ無い快晴。早朝から日差しが降り注いだことで気温はぐんぐんと上昇し、気温は1日目に続いて30℃前後にまで上昇。14.2kmを15周回する213.0km/累積獲得標高3,825mの行程は、サバイバルレースの状況を呈すことが予想された。
朝9時にスタートの号砲が鳴った直後、いきなりレースは動いた。石橋学(チームブリヂストンサイクリング)や酒井紀章(バルバレーシングクラブ)らがスタートアタックを掛け、山本元喜(キナンサイクリングチーム)や佐野淳哉(マトリックス・パワータグ)、岡本隼(愛三工業レーシング)ら各チームのエース級選手が次々と飛び乗ることに。吉田隼人(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)や小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、新城雄大(キナンサイクリングチーム)、安原大貴(マトリックス・パワータグ)のブリッジが最終便となり、最終的に32名という巨大なエスケープが逃げ始めた。
一方、後続集団に残ったのは入部正太朗(シマノレーシング)や窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)、ディフェンディングチャンピオンでゼッケン1をつける畑中勇介(TeamUKYO)といった有力勢。各チームがエースやサブエースを含む複数名を逃げに載せたことでメイン集団を組織的に牽くチームが現れず、7周目には8分半というメイン集団が足切りになる可能性もある大差が生まれた。
失速する後続を尻目に、逃げる先頭集団内では高岡亮寛(Roppongi Express)や井上亮(Magellan Systems Japan)といった強豪ホビーレーサーが登りでペースメイク。タイム差の広がりに危機感を感じたシマノレーシングやチームブリヂストンサイクリングがメイン集団のコントロールを開始したことで、タイム差は中盤を過ぎてようやく縮小傾向に転じた。
レースの3分の2を消化した10周目、樋口峻明(那須ブラーゼン)の抜け出しをきっかけに先頭集団内の争いが勃発する。11周目の登りで抜け出した石橋が樋口を捉え、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が鈴木龍や小野寺玲のために引き戻す。この動きで岡本隼らが遅れ、先頭人数は17名に絞り込まれた。
12周目の登りでは小石祐馬(チーム右京)と山本元喜が抜け出し、この2人を追えたのは佐野淳哉、新城雄大、小野寺玲、石橋学というメンバーのみ。この時点で必死に追走するメイン集団は6分半後ろであり、チャンピオンジャージの行方は先頭の6名へと委ねられる。
追走グループからは苦しい表情を見せていた小野寺が遅れたものの、佐野と新城はおよそ2周に渡る追走の末に、全15周回中の14周目に小石と山本をキャッチ。コース再奥部の短い登りでアタックした佐野が10秒を得たが、これを山本が封じ、遅れて監督の指示を受けて小石を置き去りにした新城も合流。こうして単独の佐野vsキナン2名という構図が生まれた。
すると「新城の脚が攣っていたので自分が攻める必要があったし、今の自分なら佐野さんを千切れると思った」と言う山本が最終周回突入直後の登りで渾身のアタックを繰り出した。すると「それまで使わせられてしまった脚がいっぱいいっぱいだった」という佐野が遅れ、山本のリードは下りと平坦基調の半周を残して40秒にまで広がった。
平坦区間では佐野がタイム差を削り取ったものの、上りで生まれたリードはあまりにも大きかった。優勝に向けて突き進んだ山本は、最終的に佐野を32秒、足が攣り後退を余儀なくされた新城を2分引き離してチームメイトやスタッフが待つフィニッシュラインへ。全日本タイトル獲得を決めた直後、歓喜の涙を流すスタッフや弟の大喜らと抱き合った。
奈良出身で、鹿屋体育大学在籍時にU23カテゴリーを2連覇している山本だが、エリートタイトルは今回が初となる。NIPPOヴィーニファンティーニ時代の2016年にジロ・デ・イタリア完走を果たし、去年父親としてのスタートを切った26歳は、満面の笑みでチャンピオンジャージと金メダルを受け取った。
全日本選手権ロードレース 男子エリート 結果
1位 | 山本元喜(キナンサイクリングチーム) | 5時間46分53秒 |
2位 | 佐野淳哉(マトリックス・パワータグ) | +32秒 |
3位 | 新城雄大(キナンサイクリングチーム) | +2分43秒 |
4位 | 入部正太朗(シマノレーシング) | +4分26秒 |
5位 | 平塚吉光(チーム右京) | +4分32秒 |
6位 | 小石祐馬(チーム右京) | +4分39秒 |
7位 | 中島康晴(キナンサイクリングチーム) | +4分44秒 |
8位 | 井上亮(Megellan Cycling Team) | +5分20秒 |
9位 | 阿曹圭佑(愛三工業レーシングチーム) | +5分37秒 |
10位 | 小森亮平(愛三工業レーシングチーム) | |
11位 | 高岡亮寛(Roppongi Express) | +5分39秒 |
12位 | 寺崎武郎(バルバレーシングクラブ) | +5分55秒 |
13位 | 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) | |
14位 | 吉田隼人(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | |
15位 | 早川朋宏(愛三工業レーシングチーム) | |
16位 | 石橋学(チームブリヂストンサイクリング) | +7分49秒 |
17位 | 鈴木龍(宇都宮ブリッツェン) | +7分52秒 |
18位 | 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) | +8分34秒 |
19位 | 下島将輝(那須ブラーゼン) | +10分10秒 |
20位 | 近谷涼(チームブリヂストンサイクリング) | +10分35秒 |
text: So Isobe, Yuichiro Hosoda
photo: Satoru Kato, Kei Tsuji, So Isobe
photo: Satoru Kato, Kei Tsuji, So Isobe
Amazon.co.jp