2018/06/08(金) - 19:12
6月9日から17日までの9日間にわたって、スイス全域を舞台にした第82回ツール・ド・スイスが開催される。ナイロ・キンタナやリッチー・ポートといったマイヨジョーヌ候補の他、ペテル・サガンやフェルナンド・ガビリアが出場する「第4のグランツール」の見どころをチェック。
チームTTと個人TT、3連続山頂フィニッシュが設定された9日間
同時期開催のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネと並んで、ツール・ド・フランスの重要な前哨戦として知られるツール・ド・スイス。7月のツールを狙うオールラウンダーやスプリンターたちがスイスに集結する。
その歴史は古く、第1回大会が開催されたのは今から85年前の1933年まで遡る。ドーフィネよりも14年も歴史が長く、今年で開催82回目。全9ステージで争われ、歴史だけではなく開催期間もドーフィネよりも長い。かつては2週間の日程で行なわれていたことから「第4のグランツール」とも呼ばれていた。レースの舞台となるのは九州本島よりも少し大きいスイス全域だ。
初日はチューリッヒの東40kmに位置するフラウエンフェルトを走る18.3kmのチームタイムトライアル。ツール前哨戦と呼ばれるだけに、ドーフィネと同様にマイヨジョーヌ候補たちはチームメイトたちとの連携確認ができる。高低差190mほどの登りを含むコースを、トップチームは51km/h程度で駆け抜けるだろう。
カテゴリーの低い山岳が組み込まれた第2ステージと第3ステージはスプリンター向き。とは言え展開によっては逃げ切りが決まる可能性もあり、登りをこなせないスプリンターは勝負に残れない。残り10km地点で2級山岳ザーネンメサー(全長6.6km/平均4.8%)を越える第4ステージも同様にアタック逃げ切りもしくは小集団スプリントに持ち込まれるだろう。
イエロージャージの行方は、後半の山岳3連戦で概ね方向性が決まると言っていいだろう。まずは後半に超級山岳モンタナヴィラージュ(全長13.5km/平均5.4%)と1級山岳ロイカーバード(全長14km/平均4.5%)を越える第5ステージが登場。いずれの山岳も平均勾配だけを見ると緩いが、部分的に9%前後の勾配を刻む区間もあるため気が抜けない
標高2,429mの1級山岳フルカ峠(全長10.2km/平均6.4%)と超級山岳クラウセン峠(全長23.8km/平均6.1%)という定番峠を越える第6ステージの獲得標高差は今大会最大の3,400m。2つのモンスターを越えると比較的平坦な道が続き、最後にフィニッシュ500m手前でピークを迎える3級山岳ウツナッハ通り(全長1.2km/平均9.9%)を駆け上がる。スイスでは珍しく急勾配のこの登りがステージ優勝に向けた発射台になるはずだ。
山岳3連戦の最後を飾るのは超級山岳アローザ(全長29km/平均3.8%)の山頂フィニッシュ。残り30kmを切ったところから延々と登りが続き、平坦路に近い緩斜面もこなしながら標高を上げていく。残り4kmを切ったところで勾配が増し、そこからフィニッシュまでの平均勾配は8.3%。最大勾配15%の区間も登場する。クライマー系選手はここで最後の攻撃を仕掛けることになる。
最終日はイタリア語圏のベッリンツォーナを舞台にした34.1kmの個人タイムトライアル。スイスでは過去に何度も最終個人TTで逆転が起こっており、想定タイム43〜44分の戦いでTTを得意とするオールラウンダーたちが巻き返しを図る。
チームTTと個人TT、3連続山頂フィニッシュが設定された9日間
同時期開催のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネと並んで、ツール・ド・フランスの重要な前哨戦として知られるツール・ド・スイス。7月のツールを狙うオールラウンダーやスプリンターたちがスイスに集結する。
その歴史は古く、第1回大会が開催されたのは今から85年前の1933年まで遡る。ドーフィネよりも14年も歴史が長く、今年で開催82回目。全9ステージで争われ、歴史だけではなく開催期間もドーフィネよりも長い。かつては2週間の日程で行なわれていたことから「第4のグランツール」とも呼ばれていた。レースの舞台となるのは九州本島よりも少し大きいスイス全域だ。
初日はチューリッヒの東40kmに位置するフラウエンフェルトを走る18.3kmのチームタイムトライアル。ツール前哨戦と呼ばれるだけに、ドーフィネと同様にマイヨジョーヌ候補たちはチームメイトたちとの連携確認ができる。高低差190mほどの登りを含むコースを、トップチームは51km/h程度で駆け抜けるだろう。
カテゴリーの低い山岳が組み込まれた第2ステージと第3ステージはスプリンター向き。とは言え展開によっては逃げ切りが決まる可能性もあり、登りをこなせないスプリンターは勝負に残れない。残り10km地点で2級山岳ザーネンメサー(全長6.6km/平均4.8%)を越える第4ステージも同様にアタック逃げ切りもしくは小集団スプリントに持ち込まれるだろう。
イエロージャージの行方は、後半の山岳3連戦で概ね方向性が決まると言っていいだろう。まずは後半に超級山岳モンタナヴィラージュ(全長13.5km/平均5.4%)と1級山岳ロイカーバード(全長14km/平均4.5%)を越える第5ステージが登場。いずれの山岳も平均勾配だけを見ると緩いが、部分的に9%前後の勾配を刻む区間もあるため気が抜けない
標高2,429mの1級山岳フルカ峠(全長10.2km/平均6.4%)と超級山岳クラウセン峠(全長23.8km/平均6.1%)という定番峠を越える第6ステージの獲得標高差は今大会最大の3,400m。2つのモンスターを越えると比較的平坦な道が続き、最後にフィニッシュ500m手前でピークを迎える3級山岳ウツナッハ通り(全長1.2km/平均9.9%)を駆け上がる。スイスでは珍しく急勾配のこの登りがステージ優勝に向けた発射台になるはずだ。
山岳3連戦の最後を飾るのは超級山岳アローザ(全長29km/平均3.8%)の山頂フィニッシュ。残り30kmを切ったところから延々と登りが続き、平坦路に近い緩斜面もこなしながら標高を上げていく。残り4kmを切ったところで勾配が増し、そこからフィニッシュまでの平均勾配は8.3%。最大勾配15%の区間も登場する。クライマー系選手はここで最後の攻撃を仕掛けることになる。
最終日はイタリア語圏のベッリンツォーナを舞台にした34.1kmの個人タイムトライアル。スイスでは過去に何度も最終個人TTで逆転が起こっており、想定タイム43〜44分の戦いでTTを得意とするオールラウンダーたちが巻き返しを図る。
ツール・ド・スイス2018ステージリスト
6月9日(土) | 第1ステージ | フラウエンフェルト〜フラウエンフェルト | 18.3km(チームTT) |
6月10日(日) | 第2ステージ | フラウエンフェルト〜フラウエンフェルト | 155km |
6月11日(月) | 第3ステージ | オーバーシュタイムハイム〜ガンジンゲン | 182.8km |
6月12日(火) | 第4ステージ | ガンジンゲン〜グシュタード | 189.2km |
6月13日(水) | 第5ステージ | グシュタード〜ロイカーバード | 155.7km |
6月14日(木) | 第6ステージ | フィエッシュ〜ゴンミスヴァルト | 186km |
6月15日(金) | 第7ステージ | エッシェンバッハ〜アローザ | 170.5km |
6月16日(土) | 第8ステージ | ベッリンツォーナ〜ベッリンツォーナ | 123.8km |
6月17日(日) | 第9ステージ | ベッリンツォーナ〜ベッリンツォーナ | 34.1km(個人TT) |
キンタナやポートらマイヨジョーヌ候補や、サガンやガビリアらが勢ぞろい
スタートラインに並ぶの18あるUCIワールドチームにアクアブルースポートとディレクトエネルジー、NIPPOヴィーニファンティーニを加えた合計21チーム。ダミアーノ・クネゴやイヴァン・サンタロミータ(イタリア)を擁するNIPPOからは、スイスレースを連戦出場中の初山翔や伊藤雅和も出場する予定だ。
昨年2年ぶり2度目の総合優勝に輝いたシモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン)がゼッケン1をつけて出場する。グランツールでは成績を残していないが、スピラクは1週間のステージレースが大得意。昨年はクイーンステージで勝利して首位に浮上し、最終個人TTでリードを守り抜いた。
7月のマイヨジョーヌ候補として注目なのがナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)とリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)。両者ともこれまで最終調整レースとしてドーフィネやルートドゥ・シュッドに出場していたが、ツール開幕が例年より1週間遅い影響か、少し開催時期が遅いスイスを選択した。キンタナはイツリア・バスクカントリー以来、実に2ヶ月ぶりのレース出場で、ミケル・ランダ(スペイン)とのダブルエース体制を組む。なお、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)は体調不良により出場を見送っている。
BMCレーシングはポートだけでなくやティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)を揃える一軍体制で、すでに試走を完了している初日のチームTTで早速リードを広げるだろう。スポンサー探しが急務のチームにとって、地元スイス(登録はアメリカ)最大のレースで結果を残す命題を背負っている。
昨年のドーフィネ総合優勝者ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)や、このスイスで2012年から大会3連覇を果たしているルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)※膝の故障により欠場が決定、2016年総合2位のヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)と兄ゴルカも総合争いに絡んでくるはず。
すでに総合表彰台に上っているバウケ・モレマ(トレック・セガフレード)とステフェン・クライスヴァイク(ロットNLユンボ)の他、オランダ勢としてはウィルコ・ケルデルマン(サンウェブ)にも注目。ミヒャエル・アルバジーニ(スイス)率いるミッチェルトン・スコットは、ジロで抜群のアシスト力を見せたジャック・ヘイグ(オーストラリア)とロマン・クロイツィゲル(チェコ)を揃えての出場となる。セルジオルイス・エナオ(コロンビア、チームスカイ)やパトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)もジロ連戦組だ。
世界王者ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は今年もカリフォルニア→スイス→ツールという流れを崩さない。スイスでは2011年から7年連続でステージ優勝(通算15勝)を飾っており、今年もサガン向きの山岳を含む平坦ステージが設定されている。
サガンと脚質の似たマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)、フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)、グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)という豪華な一流パンチャー系選手が揃う。
より平坦なステージでは、ツールに初出場する予定のフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)を中心にスプリントが繰り広げられるだろう。ガビリアに挑むのは、アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)やアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)、マグナス・コルトニールセン(デンマーク、アスタナ)らだ。
text:Kei Tsuji
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