2010/02/18(木) - 09:30
ライバルチームの奇襲攻撃にエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)敗退。ツアー・オブ・オマーン第4ステージは、横風区間での集団分裂が総合順位変動をもたらした。ステージ優勝は、昨年TOJ(ツアー・オブ・ジャパン)ステージ3勝のリー・ハワード(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)。
第4ステージのスタート地点は、選手たちが滞在している首都マスカットから300km離れた内陸部のイブリという街。選手たちは飛行機とバスを乗り継ぎ、5時間かけてスタート地点に辿り着いた。
この日は187kmの大会最長コースで、途中2つの山岳を越える。この山岳と横風が、レースに荒れた展開をもたらした。
レース開始直前に形成されたのはガティス・スムクリス(ラトビア、アージェードゥーゼル)やニコライ・トルソーフ(ロシア、カチューシャ)を含む6名の逃げ。総合5位のスムクリスが入っていたにもかかわらず、メイン集団はタイム差が6分55秒に広がるまで逃げグループを放置した。
メイン集団をコントロールしたのは、リーダージャージのエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)擁するチームスカイ。他のチームが全く集団コントロールに協力しなかったため、ひたすらチームスカイのアシストたちが集団を牽き続けた。
山岳では大きな動きは見られず、やがてレース後半の横風区間に入ると集団は活性化。ゴールまで55kmを残してボアッソンが沿道に止まって用を足したが、ライバルチームはこの動きを無視して先行してしまう。集団先頭ではサーヴェロ・テストチームを中心としたスピードアップが図られ、40名ほどの強力なグループが集団から飛び出した。
ベンナーティやトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)を始めとする多くの有力スプリンターや、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)、マルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア)などのTTスペシャリストを含む40名のグループは、ゴール40km手前で逃げグループを吸収。
メイン集団はチームスカイが牽引したが、先行した40名のグループとのタイム差は広がるばかり。結局最後は40名によるゴールスプリント勝負に持ち込まれ、ベンナーティやボーネンを抑えた20歳のリー・ハワードが優勝を飾った。
ハワードは昨年TOJ(ツアー・オブ・ジャパン)に来日し、堺ステージ、美濃ステージ、東京ステージで計3勝を飾り、ポイント賞に輝いた逸材。これまでトラック競技をメインに活躍し、2009年のトラック世界選手権オムニアムで世界チャンピオンに輝いている。団体追い抜きとマディソンでも銀メダルを獲得したトラックスターだ。
今年チームHTC・コロンビアでプロデビューを飾ったばかりのハワードは「プロ入り間もないこの僕が、トップ選手の前で優勝を飾るなんて信じられない気持ちだ。大会前半は調子が上がらなかったけど、今日は違った。集団が分裂した時、実は後方に一時取り残されたんだ。でもチームメイトと力を合わせて(先行していた40名の)グループに合流した。そこからは自信にみなぎっていたよ」と話す。
「これまでずっとベニー(アイゼル)に仕えていたけど、集団が分裂した後、彼に調子の良さを告げたんだ。すると彼はアシストとして走ってくれて、ラスト500mまで前を牽き続けてくれた」。
「大集団のスプリントはまだ慣れていないけど、今日のような比較的小さな集団でのスプリントでは僕にアドバンテージがある。もちろん将来的には大集団スプリントでも勝てるようになりたい」。また一つ、トラック競技で修行を積んだオーストラリアの才能が、ロードレースで花を開いた。
結局ボアッソンを含むメイン集団は1分以上遅れてゴール。ボアッソンは完全に総合争いから脱落すると同時に、ポイント賞と新人賞トップの座も失っている。
代わって総合トップに立ったのは、ステージ2位に入ってボーナスタイムを獲得したベンナーティ。総合2位以下とのタイム差は6秒で、ファラーが2位、この日逃げたスムクリスが3位、そしてステージ優勝のハワードが4位につけている。
レース展開はレース公式サイト、選手コメントはチームHTC・コロンビア公式サイトより。
ツアー・オブ・オマーン2010第4ステージ結果
1位 リー・ハワード(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) 4h11'31"
2位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)
3位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)
4位 ロジャー・ハモンド(イギリス、サーヴェロ・テストチーム)
5位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
6位 ステイン・ファンデンベルグ(ベルギー、カチューシャ)
7位 セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)
9位 ミヒャエル・シェアー(スイス、BMCレーシングチーム)
10位 ロバート・ハンター(南アフリカ、ガーミン・トランジションズ)
個人総合成績
1位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス) 12h12'29"
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ) +06"
3位 ガティス・スムクリス(ラトビア、アージェードゥーゼル)
4位 リー・ハワード(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)
5位 ニコライ・トルソーフ(ロシア、カチューシャ) +11"
6位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) +12"
7位 シリル・ルモワンヌ(フランス、ソール・ソジャサン) +14"
8位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームHTC・コロンビア) +16"
9位 セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル)
10位 ロジャー・ハモンド(イギリス、サーヴェロ・テストチーム)
ポイント賞
タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
新人賞
ガティス・スムクリス(ラトビア、アージェードゥーゼル)
チーム総合成績
ガーミン・トランジションズ
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
第4ステージのスタート地点は、選手たちが滞在している首都マスカットから300km離れた内陸部のイブリという街。選手たちは飛行機とバスを乗り継ぎ、5時間かけてスタート地点に辿り着いた。
この日は187kmの大会最長コースで、途中2つの山岳を越える。この山岳と横風が、レースに荒れた展開をもたらした。
レース開始直前に形成されたのはガティス・スムクリス(ラトビア、アージェードゥーゼル)やニコライ・トルソーフ(ロシア、カチューシャ)を含む6名の逃げ。総合5位のスムクリスが入っていたにもかかわらず、メイン集団はタイム差が6分55秒に広がるまで逃げグループを放置した。
メイン集団をコントロールしたのは、リーダージャージのエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)擁するチームスカイ。他のチームが全く集団コントロールに協力しなかったため、ひたすらチームスカイのアシストたちが集団を牽き続けた。
山岳では大きな動きは見られず、やがてレース後半の横風区間に入ると集団は活性化。ゴールまで55kmを残してボアッソンが沿道に止まって用を足したが、ライバルチームはこの動きを無視して先行してしまう。集団先頭ではサーヴェロ・テストチームを中心としたスピードアップが図られ、40名ほどの強力なグループが集団から飛び出した。
ベンナーティやトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)を始めとする多くの有力スプリンターや、ファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)、マルコ・ピノッティ(イタリア、チームHTC・コロンビア)などのTTスペシャリストを含む40名のグループは、ゴール40km手前で逃げグループを吸収。
メイン集団はチームスカイが牽引したが、先行した40名のグループとのタイム差は広がるばかり。結局最後は40名によるゴールスプリント勝負に持ち込まれ、ベンナーティやボーネンを抑えた20歳のリー・ハワードが優勝を飾った。
ハワードは昨年TOJ(ツアー・オブ・ジャパン)に来日し、堺ステージ、美濃ステージ、東京ステージで計3勝を飾り、ポイント賞に輝いた逸材。これまでトラック競技をメインに活躍し、2009年のトラック世界選手権オムニアムで世界チャンピオンに輝いている。団体追い抜きとマディソンでも銀メダルを獲得したトラックスターだ。
今年チームHTC・コロンビアでプロデビューを飾ったばかりのハワードは「プロ入り間もないこの僕が、トップ選手の前で優勝を飾るなんて信じられない気持ちだ。大会前半は調子が上がらなかったけど、今日は違った。集団が分裂した時、実は後方に一時取り残されたんだ。でもチームメイトと力を合わせて(先行していた40名の)グループに合流した。そこからは自信にみなぎっていたよ」と話す。
「これまでずっとベニー(アイゼル)に仕えていたけど、集団が分裂した後、彼に調子の良さを告げたんだ。すると彼はアシストとして走ってくれて、ラスト500mまで前を牽き続けてくれた」。
「大集団のスプリントはまだ慣れていないけど、今日のような比較的小さな集団でのスプリントでは僕にアドバンテージがある。もちろん将来的には大集団スプリントでも勝てるようになりたい」。また一つ、トラック競技で修行を積んだオーストラリアの才能が、ロードレースで花を開いた。
結局ボアッソンを含むメイン集団は1分以上遅れてゴール。ボアッソンは完全に総合争いから脱落すると同時に、ポイント賞と新人賞トップの座も失っている。
代わって総合トップに立ったのは、ステージ2位に入ってボーナスタイムを獲得したベンナーティ。総合2位以下とのタイム差は6秒で、ファラーが2位、この日逃げたスムクリスが3位、そしてステージ優勝のハワードが4位につけている。
レース展開はレース公式サイト、選手コメントはチームHTC・コロンビア公式サイトより。
ツアー・オブ・オマーン2010第4ステージ結果
1位 リー・ハワード(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) 4h11'31"
2位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)
3位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)
4位 ロジャー・ハモンド(イギリス、サーヴェロ・テストチーム)
5位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
6位 ステイン・ファンデンベルグ(ベルギー、カチューシャ)
7位 セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル)
8位 マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)
9位 ミヒャエル・シェアー(スイス、BMCレーシングチーム)
10位 ロバート・ハンター(南アフリカ、ガーミン・トランジションズ)
個人総合成績
1位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス) 12h12'29"
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ) +06"
3位 ガティス・スムクリス(ラトビア、アージェードゥーゼル)
4位 リー・ハワード(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)
5位 ニコライ・トルソーフ(ロシア、カチューシャ) +11"
6位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) +12"
7位 シリル・ルモワンヌ(フランス、ソール・ソジャサン) +14"
8位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームHTC・コロンビア) +16"
9位 セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル)
10位 ロジャー・ハモンド(イギリス、サーヴェロ・テストチーム)
ポイント賞
タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
新人賞
ガティス・スムクリス(ラトビア、アージェードゥーゼル)
チーム総合成績
ガーミン・トランジションズ
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
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