2018/05/21(月) - 09:08
かつてニールプライドバイクを率いたマイク・プライド氏が興した新ブランド CHAPTER2より新作のエアロロード「RERE(レレ)」が登場。ラファ東京で発表会を開催した。2作目となるバイクの概要プレゼンと緊急テストライド・インプレッションをお届けする。
左からマイキーことマイケル・ライス、マイク・プライド、クリス・ヤング photo:Makoto.AYANO
ボリューミーなエアロフォルムを纏ったブランド2作目となるニューモデル「RERE」とともに、CHAPTER2(チャプター・ツー)代表のマイク・プライド氏も来日。18日夜、東京・北参道のRapha Tokyoでプレゼンテーションが行われた。
CHAPTER2 RERE photo:Makoto.AYANO
REREとはマオリ語で”流れ”を意味しており、エアロダイナミクスを突き詰めたモデル。マオリとのハーフであるマイク氏のアイデンティティを表したデザインも大きな特徴で、ブラック基調のエッセンシャルモデルには独特の文様もあしらわれる。会場にはマイク氏の愛車を含めた3台のREREがディスプレイされた。
初作のTEREが「コンパクトエアロ」と銘打ったオールラウンドモデルであるのに対し、ピュアエアロロードとして生み出されたREREはエアロに関する知識と経験をフルに導入し設計された。
マット&グロスフィニッシュのカーボンはマーブル模様のプリプレグだ
ニュージーランドの鉱石からとったターコイズグリーンとマオリの文様が入る
REREのコンセプトは「CHEAT THE WIND(風を欺く)」。翼断面形状やカムテール形状を用いたチューブシェイプ、ボリュームを持たせたダウンチューブやフロントフォーク、後輪に沿ったシートチューブなどにより空気抵抗を削減するべく設計され、マリンスポーツ関連メーカー時代からのパートナーであるオークランド大学の風洞実験施設で、あらゆるヨー角(風向)からの風に対する挙動をテストし、空力性能を煮詰めたという。現在主流となっている25〜25mmタイヤとマッチングの良いダイレクトマウントタイプブレーキが前後に採用され、フレームからの張り出しを抑えることでも空気抵抗を低減させている。
CHAPTER2 RERE ジロ・デ・イタリアをイメージした限定モデル photo:Makoto.AYANO
特徴的なのは空気を切り裂くヘッド周辺だ。フォーククラウンをヘッドチューブ側にオフセットさせたインテグレーテッドデザインを採用し、ダウンチューブ下部にはフロントホイールとの隙間を限りなく詰める造型により乱流を抑えスムーズな空気の流れを生み出す設計が採用される。ヘッドチューブ上部の造形もエアロに配慮し、フレームと同時に開発したモノコックハンドルのMANA(マナ)も発表された。
開発に18ヶ月かかったプロジェクトはオークランド大学による風洞実験で実証。オールラウンドモデルのTEREに対し、エアロバイクのREREは向かい風では最大18%程度空気抵抗を減らすことに成功しているという。しかし剛性や乗り心地は極力TEREと同じになるように留意して設計され、形状が大きく違えどもライドフィーリングは同一であるという。
ハンドルを切るとフォーククラウン裏にジロ101回大会を意味する101が現れる
Fフォーク内側にはマオリの文様があしらわれる
マイク氏は言う。「何よりも空気抵抗低減にこだわり、CFD(数値流体力学)に基づくデザインと実験を繰り返した。すべてのチューブのエアロダイナミクスを研究し、フロントフォークの先端からリアドロップアウトまで細部に渡るまで徹底的にシェイプアップした。エアロ形状のチューブは縦剛性が高くなりすぎ、横に撓みやすくなるものだが、オールラウンドモデルのTEREと同じ剛性、フィーリングになるようにカーボンレイアップを調整。振動吸収に優れつつ、同時にBBとヘッドの剛性にこだわることで反応性や安定感もTERE同様の数値を獲得している。
会場から溢れんばかりに集まったファンを前にマイク・プライドがREREを発表する photo:Makoto.AYANO
日本のファンを前に挨拶するマイク・プライド代表 photo:Makoto.AYANO
TEREとは違うルックスでありながら、同じ乗り心地、剛性感、フィーリングを目指した。例えばダンシングしても同じ感覚になるように。REREはスタックハイトで5mm低いけれど、ライダージオメトリーは同じ。50gの重量増と引き換えに、REREはTEREより13%以上空気抵抗値が低いため、もっとスピードが出せる。リバーシブルタイプのシートポストは逆に向けることでサドルを35mm前に送ることができるため、タイムトライアルやトライアスロンにも使用できるエアロバイクだ」。
18カ国で波に乗るブランド
ニールプライドバイクを手放し、人生の第2章としてCHAPTER2ブランドをスタートさせたマイク・プライド氏から、改めてブランドのポジションや思いが語られた。
CHAPTER2 REREの発表を祝って乾杯!
「日本でのローンチイベントは、バンコック、上海、韓国、オーストラリアに次ぐ5カ国目の開催。オーストラリアが最大のマーケットで、日本は次いで2番めという重要な国です。ニュージーランドにルーツが有るCHAPTER2は現在の社員数6人という小さくてマニアックなブランドなのに、すでに18カ国に広がっている。欧米に強いブランドがたくさんあるなかで、どう道を拓いていくかはとても難しいが、小規模の手づくりバイクブランドであるメリットを最大限に活かし、開発、デザイン、研究で大手メーカーに負けないプロダクツをつくるのがCHAPTER2。忘れないのは、人はなぜバイクに乗るのか?ということ。自然を感じ、気持ちいい環境の中で、仲間と楽しむのがバイクライドの楽しさ。サイクリスト同志のエモーション、コネクションを大切にし、人が憧れるバイクを作るのがポリシーです」。
ラファ東京が用意したターコイズカラーのプディング
フランス大使館から贈られたシャンパンを手にごきげんなマイク・プライド氏
他メーカーのようなイヤーモデルを設けず、氏が考える最高のバイクをリリース。「つながり」を意識したスペシャルエディションを随時リリースし、エクスペリエンス中心のユーザーコミュニティを広げようとしているCHAPTER2。今回のローンチツアーも、スタッフ3人がタイのステージレース「ツアー・オブ・フレンドシップ」に出場しての流れで設定されたものだ。ピンクをあしらったモデルは開催中のジロ・デ・イタリアをイメージした15台のスペシャルエディションで、発表して即完売したという。
「意気込みは INNOVATE OR DIE(進化するか死ぬか)。これで2モデルになったが、REREのディスクブレーキ仕様モデルは8月。そして年内には次のモデルを発表したい」。
基本はオンライン販売だが、日本では国内責任者の「マイキー」ことマイケル・ライス氏がサイクルショップでの販売をサポートしながら展開している。「ウェブサイトで選んで直接家に届けることもできるが、信頼できるショップで組んでもらうように、ショップ経由で注文することもできるという形態を勧めている。」
CHAPTER2のスタッフたち サインは「C2」 photo:Makoto.AYANO
外苑周辺のフラットコースでREREをインプレッション
CHAPTER2 RERE XSサイズのマイク・プライド氏の愛車だ photo:Makoto.AYANO
プレゼンの行われた日、都内に入ったマイク氏を捕まえ、彼の愛車であるREREを借り出しての緊急テストライドを行った。場所は神宮クリテリウムの開催される外苑周辺で、約2時間のライドを経てのインプレッションをお届けする。
CHAPTER2 RERE を駆って神宮外苑を走る ダンシングも違和感無いフィーリングだ photo:kosuke Kamata
前回記事でも紹介したが、私(綾野/CW編集部)とマイク氏は身長168cm、手脚の長さ比率もほとんど同じという体格で、ポジションもほぼ同じ。前回のTERE同様、サドル高さえ1mmも変えずに彼のバイクに乗ることができる。プレゼンを受ける前のライドであるため、事前の情報は既出の発表内容のみという状態だ。
フォークとヘッドチューブが一体化したインテグレーテッドデザインが空力性能を高める
最大28mmまで対応するタイヤクリアランスを備える
マイク氏のREREはツアー・オブ・フレンドシップや各国でのソーシャルライドで2,000kmを乗り込んだ状態であたりがついている状態。乗ればすぐに馴染むことができた。
まずはそのルックスに関して。エアロバイク特有のマッシブなスタイルながら、XSサイズという小さなものでありながら見た目のバランスがどこも破錠しておらず、スタイリッシュ。これは低身長のマイク氏が開発の中心であるため、XSサイズはとくにバランスが秀でたものになるからだろう。
チューブの太いエアロバイクはどうしても乗り心地の硬いもの、ゴツゴツした突き上げ感があるものだが、乗り出してすぐにREREはそうではないことに気がつく。乗り心地で言えばTEREより上、快適性が高いのではないか? という「裏切られた意外性」がまず第一印象だった。
ダイレクトマウントブレーキを採用。28mmタイヤに対応する
低く設定されるシートステイ UCI認証マークがあしらわれる
タイヤに沿って弧を描くシートチューブと細いシートステイ
フォーク上部はヘッドと一体化するインテグレート設計だ
外苑周辺や聖徳記念絵画館前の路面はひび割れた箇所だらけというのは走った人なら知っているだろう。そういった箇所でもスムーズに走り抜けることができる。フォークやシートステイ周辺の振動吸収性能が効いているのか、ゴツゴツした感じがない。
ハンドリングは安定しており、高速域ではピタリと安定する。重くもなく、軽くもないニュートラルな操舵性で、つま先がタイヤに接触することもなく、ひらひらとコーナーを切れる。周回路のコーナーリングを繰り返すクリテリウム的な走りに弱点が出るかと思い繰り返し試したが、ニュートラルな性格は変わらなかった。そのルックスでエアロバイクと言えるが、扱いはオールラウンドなものだった。
XSサイズながら好感の持てる快適性と操縦性を感じた photo:kosuke Kamata前回、TEREに乗った際はホイールにカンパニョーロBORA35クリンチャーがセットされていた。今回は167製の手組みディープリムホイールで、ともにクリンチャーながらおそらくBORAよりも低い剛性のホイールだったことがその感覚の差になったのかもしれない(BORA35は高剛性なホイールだ)。
後のプレゼンでREREの剛性感やライドフィールはTEREと同じになるように設計した、と聞き、それも納得できるものだった。そしてXSサイズの良好なジオメトリーからくる乗りやすさはTERE同様に感じることができた。これも同じになるように設計したというから、驚いた。空気抵抗値の低減と引き換えに、失っているものはあまり見つけられなかった。むしろスローピングがきつくなっていることからくる低重心で、バイクは振りやすく、TEREより乗りやすい感触さえあった。しかしダンシングの際の感覚も同じになるように調整して開発したというから、ハンドルなどの違いによるものかも知れない。
一体型モノコックハンドルのMANAもエアロバイクとしての完成度を高めている。フレームやヘッドパーツ上部の特異な形状のキャップとのスマートな一体感や、手に馴染む形状。さらにバーテープにまでマオリの文様があしらわれており、デザイン的な面を含めた完成度へのこだわりを感じることができる。エアロ効果はプラシーボ効果も含むと思えば、そのデザインの一体・統一感がもたらす気持ちの高揚は、速く走れる気にさせてくれる。今回は平坦のみのテストになってしまったが、マイク氏はタイのレースで20%の激坂ダウンヒルもREREでこなし、まったく問題なかったそうだ。
ボトルケージの位置を下げられる3ツ穴を装備する photo:Makoto.AYANO
オリジナルモノコックハンドルのMANA(マナ)が搭載される
ジオメトリーに関しては「スタックハイトで5mm低いがTEREと同じライダージオメトリー」と説明されるとおり、実効数値は同じものだという。XSとSサイズには他サイズと異なる適正フォークレイクのフロントフォークをセットするという。そして謳われるのが「LINEAR STACK&REACH」つまりサイズが異なっても歪み無く比例するように設計されたジオメトリー。サーヴェロ同様、スタックとリーチを重視する考えのため、マイク氏自身は現在ウェブサイトで発表している(一般的にユーザーが見る)トップチューブ長やシートチューブ長の表記を消してしまいたいほどだという。
コーナリングもキビキビとこなす。直進安定性に優れるのみではないことがわかる photo:kosuke Kamata「正しいフィッティングのためにはスタックとリーチが重要で、各チューブの長さを表記すると、誤解や間違ったフレームサイズ選びにつながる可能性がある。つねにスタックとリーチ、実効ジオメトリーをみて欲しい。そういった意味でもフィッティングのできるサイクルショップやフィッターにフレームサイズ選びを相談して欲しい」とマイク氏は言う。
セットされたMANAモノコックハンドルバーとヘッド周辺はケーブル完全内蔵タイプではないから、その点はエアロ性能の追求という点では突き詰められてはいない。「あえてケーブルを内蔵しなかったのは、旅しやすいこと。パッキングの際にもハンドルが外しやすく、飛行機で各国のレースに出場するような際の利便性をとっています。それもCHAPTER2ユーザーのライフスタイルであって欲しいから」とマイク氏。それは毎年ツアー・オブ・フレンドシップに出場したり、各国でのソーシャルライドに出かけていく彼のスタイルそのままの提案だ。
CHAPTER2 RERE photo:Makoto.AYANO
CHAPTER2 RERE フレームセット
カーボン:Toray T700, T800 & 3K Directional Carbon
フレームサイズ:XS、S、M、L、XL
重量:フレーム998g(Mサイズ)、フォーク398g、シートポスト198g
BB:プレスフィットBB86.5
タイヤクリアランス:28mm
価格:288,480円(送料、税込)
photo&text:Makoto.AYANO
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REREとはマオリ語で”流れ”を意味しており、エアロダイナミクスを突き詰めたモデル。マオリとのハーフであるマイク氏のアイデンティティを表したデザインも大きな特徴で、ブラック基調のエッセンシャルモデルには独特の文様もあしらわれる。会場にはマイク氏の愛車を含めた3台のREREがディスプレイされた。
初作のTEREが「コンパクトエアロ」と銘打ったオールラウンドモデルであるのに対し、ピュアエアロロードとして生み出されたREREはエアロに関する知識と経験をフルに導入し設計された。
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REREのコンセプトは「CHEAT THE WIND(風を欺く)」。翼断面形状やカムテール形状を用いたチューブシェイプ、ボリュームを持たせたダウンチューブやフロントフォーク、後輪に沿ったシートチューブなどにより空気抵抗を削減するべく設計され、マリンスポーツ関連メーカー時代からのパートナーであるオークランド大学の風洞実験施設で、あらゆるヨー角(風向)からの風に対する挙動をテストし、空力性能を煮詰めたという。現在主流となっている25〜25mmタイヤとマッチングの良いダイレクトマウントタイプブレーキが前後に採用され、フレームからの張り出しを抑えることでも空気抵抗を低減させている。
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開発に18ヶ月かかったプロジェクトはオークランド大学による風洞実験で実証。オールラウンドモデルのTEREに対し、エアロバイクのREREは向かい風では最大18%程度空気抵抗を減らすことに成功しているという。しかし剛性や乗り心地は極力TEREと同じになるように留意して設計され、形状が大きく違えどもライドフィーリングは同一であるという。
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マイク氏は言う。「何よりも空気抵抗低減にこだわり、CFD(数値流体力学)に基づくデザインと実験を繰り返した。すべてのチューブのエアロダイナミクスを研究し、フロントフォークの先端からリアドロップアウトまで細部に渡るまで徹底的にシェイプアップした。エアロ形状のチューブは縦剛性が高くなりすぎ、横に撓みやすくなるものだが、オールラウンドモデルのTEREと同じ剛性、フィーリングになるようにカーボンレイアップを調整。振動吸収に優れつつ、同時にBBとヘッドの剛性にこだわることで反応性や安定感もTERE同様の数値を獲得している。
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18カ国で波に乗るブランド
ニールプライドバイクを手放し、人生の第2章としてCHAPTER2ブランドをスタートさせたマイク・プライド氏から、改めてブランドのポジションや思いが語られた。
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「日本でのローンチイベントは、バンコック、上海、韓国、オーストラリアに次ぐ5カ国目の開催。オーストラリアが最大のマーケットで、日本は次いで2番めという重要な国です。ニュージーランドにルーツが有るCHAPTER2は現在の社員数6人という小さくてマニアックなブランドなのに、すでに18カ国に広がっている。欧米に強いブランドがたくさんあるなかで、どう道を拓いていくかはとても難しいが、小規模の手づくりバイクブランドであるメリットを最大限に活かし、開発、デザイン、研究で大手メーカーに負けないプロダクツをつくるのがCHAPTER2。忘れないのは、人はなぜバイクに乗るのか?ということ。自然を感じ、気持ちいい環境の中で、仲間と楽しむのがバイクライドの楽しさ。サイクリスト同志のエモーション、コネクションを大切にし、人が憧れるバイクを作るのがポリシーです」。
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「意気込みは INNOVATE OR DIE(進化するか死ぬか)。これで2モデルになったが、REREのディスクブレーキ仕様モデルは8月。そして年内には次のモデルを発表したい」。
基本はオンライン販売だが、日本では国内責任者の「マイキー」ことマイケル・ライス氏がサイクルショップでの販売をサポートしながら展開している。「ウェブサイトで選んで直接家に届けることもできるが、信頼できるショップで組んでもらうように、ショップ経由で注文することもできるという形態を勧めている。」
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外苑周辺のフラットコースでREREをインプレッション
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前回記事でも紹介したが、私(綾野/CW編集部)とマイク氏は身長168cm、手脚の長さ比率もほとんど同じという体格で、ポジションもほぼ同じ。前回のTERE同様、サドル高さえ1mmも変えずに彼のバイクに乗ることができる。プレゼンを受ける前のライドであるため、事前の情報は既出の発表内容のみという状態だ。
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マイク氏のREREはツアー・オブ・フレンドシップや各国でのソーシャルライドで2,000kmを乗り込んだ状態であたりがついている状態。乗ればすぐに馴染むことができた。
まずはそのルックスに関して。エアロバイク特有のマッシブなスタイルながら、XSサイズという小さなものでありながら見た目のバランスがどこも破錠しておらず、スタイリッシュ。これは低身長のマイク氏が開発の中心であるため、XSサイズはとくにバランスが秀でたものになるからだろう。
チューブの太いエアロバイクはどうしても乗り心地の硬いもの、ゴツゴツした突き上げ感があるものだが、乗り出してすぐにREREはそうではないことに気がつく。乗り心地で言えばTEREより上、快適性が高いのではないか? という「裏切られた意外性」がまず第一印象だった。
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ハンドリングは安定しており、高速域ではピタリと安定する。重くもなく、軽くもないニュートラルな操舵性で、つま先がタイヤに接触することもなく、ひらひらとコーナーを切れる。周回路のコーナーリングを繰り返すクリテリウム的な走りに弱点が出るかと思い繰り返し試したが、ニュートラルな性格は変わらなかった。そのルックスでエアロバイクと言えるが、扱いはオールラウンドなものだった。
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後のプレゼンでREREの剛性感やライドフィールはTEREと同じになるように設計した、と聞き、それも納得できるものだった。そしてXSサイズの良好なジオメトリーからくる乗りやすさはTERE同様に感じることができた。これも同じになるように設計したというから、驚いた。空気抵抗値の低減と引き換えに、失っているものはあまり見つけられなかった。むしろスローピングがきつくなっていることからくる低重心で、バイクは振りやすく、TEREより乗りやすい感触さえあった。しかしダンシングの際の感覚も同じになるように調整して開発したというから、ハンドルなどの違いによるものかも知れない。
一体型モノコックハンドルのMANAもエアロバイクとしての完成度を高めている。フレームやヘッドパーツ上部の特異な形状のキャップとのスマートな一体感や、手に馴染む形状。さらにバーテープにまでマオリの文様があしらわれており、デザイン的な面を含めた完成度へのこだわりを感じることができる。エアロ効果はプラシーボ効果も含むと思えば、そのデザインの一体・統一感がもたらす気持ちの高揚は、速く走れる気にさせてくれる。今回は平坦のみのテストになってしまったが、マイク氏はタイのレースで20%の激坂ダウンヒルもREREでこなし、まったく問題なかったそうだ。
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ジオメトリーに関しては「スタックハイトで5mm低いがTEREと同じライダージオメトリー」と説明されるとおり、実効数値は同じものだという。XSとSサイズには他サイズと異なる適正フォークレイクのフロントフォークをセットするという。そして謳われるのが「LINEAR STACK&REACH」つまりサイズが異なっても歪み無く比例するように設計されたジオメトリー。サーヴェロ同様、スタックとリーチを重視する考えのため、マイク氏自身は現在ウェブサイトで発表している(一般的にユーザーが見る)トップチューブ長やシートチューブ長の表記を消してしまいたいほどだという。
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CHAPTER2 RERE フレームセット
カーボン:Toray T700, T800 & 3K Directional Carbon
フレームサイズ:XS、S、M、L、XL
重量:フレーム998g(Mサイズ)、フォーク398g、シートポスト198g
BB:プレスフィットBB86.5
タイヤクリアランス:28mm
価格:288,480円(送料、税込)
photo&text:Makoto.AYANO
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