ドーハにゴールするツアー・オブ・カタール最終ステージ。激しいスプリントバトルの末、フランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス)が勝利を掴んだ。最後までリーダージャージを守り抜いたワウテル・モル(オランダ、ヴァカンソレイユ)が第9代目王者に輝いた。

地元の子どもたちも選手たちに声援を送る地元の子どもたちも選手たちに声援を送る photo:A.S.O.最終日の第6ステージは、ドーハ郊外のアル・ワクラをスタート。80kmかけてドーハに向かい、最後は一周6kmの周回コースを8周する。もちろんコースはド平坦。大会4回目のスプリント勝負に注目が集まった。

序盤から逃げたのはニキ・テルプストラ(オランダ、チームミルラム)、パトリック・グレッチュ(ドイツ、チームHTC・コロンビア)、マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)、ベン・キング(オーストラリア、トレック・リブストロングU23)の4名。

真っ平らなコースをヴァカンソレイユ先頭にして進む真っ平らなコースをヴァカンソレイユ先頭にして進む photo:A.S.O.逃げグループは70km地点で3分50秒のリード。しかし最後のスプリント制覇を目指すリクイガス、サーヴェロ・テストチーム、ソール・ソジャサン、サクソバンク、ガーミン・トランジションズが集団のペースアップを図り、タイム差は縮小して行く。

結局逃げグループは最終周回突入後、ゴール4km手前で吸収。ここからエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)擁するチームスカイトレインが発進し、ブラドレー・ウィギンズ(イギリス)も集団牽引に加わった。

逃げたマルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)ら4名逃げたマルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)ら4名 photo:A.S.O.ラスト3kmを切るとリクイガスとクイックステップがチームスカイの前へ。ガーミン・トランジションズも対抗して先頭争いに加わったが、ラスト1kmを切るとスプリンターチームの隊列が崩れ、混戦状態の中トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)がラスト200mでスプリントを開始。一気に先頭に立った。

しかしボーネンの勢いは続かず、後方から強烈な加速で追い上げたキッキが先頭へ。ゴールライン寸前でライバルたちを抜き去ったキッキが、片手を挙げてゴールした。

最終スプリントバトルを制したフランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス)最終スプリントバトルを制したフランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス) photo:Cor Vosキッキは第4ステージに続くスプリント2勝目。下馬評で最強スプリンターに挙げられていたボーネンと今大会ステージ勝利数で並んだ。ツール・ド・サンルイスでの勝利を合わせると、今シーズン早くも3勝目だ。

「チームメイトたちはこの勝利のために身を捧げてくれた。また彼らの働きに応えることが出来て良かったよ。チームスカイが集団の先頭に立ってペースを上げたとき、後方に下がっていたんだ。でもオス、クインツィアート、ベンナーティのおかげで集団前方に復帰した。オフシーズンのトレーニングが実を結んでいると思う。チームメイトの信頼も、刺激となって良い走りに繋がったよ」。

ポイント賞のハウッスラー(サーヴェロ・テストチーム)、総合優勝モル(ヴァカンソレイユ)、新人賞クルーゲ(チームミルラム)ポイント賞のハウッスラー(サーヴェロ・テストチーム)、総合優勝モル(ヴァカンソレイユ)、新人賞クルーゲ(チームミルラム) photo:A.S.O.昨年成績が伸び悩み、チームから事実上の戦力外通告を受けたキッキ。今回の活躍で、ベンナーティと双璧を成すエーススプリンターの座を確実なものにした。リクイガスは同じメンバーで2月14日開幕のツール・ド・オマーンに出場予定だ。

第9代総合優勝者に輝いたのは、第2ステージで逃げ切り勝利を飾り、リーダージャージを最後まで守り抜いたワウテル・モル(オランダ、ヴァカンソレイユ)。ツール・ド・フランス主催者ASOにその存在を大きくアピールした。大会3連覇を狙ったボーネンは総合3位に終わった。

初日のチームタイムトライアルでペナルティーを受け、翌日から果敢な走りを見せていたハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)はポイント賞を獲得。チーム全体に1分のペナルティーが課せられたにもかかわらず、サーヴェロはチーム総合成績トップに輝いている。

レース展開はレース公式サイト、選手コメントはリクイガスの公式サイトより。

ツアー・オブ・カタール2010第6ステージ結果
1位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス)          2h42'49"
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
3位 フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)
4位 マシュー・ゴス(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)
5位 ジミー・カスペール(フランス、ソール・ソジャサン)
6位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
7位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)
8位 ロジェ・クルーゲ(ドイツ、チームミルラム)
9位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)
10位 ジョン・マーフィー(アメリカ、BMCレーシングチーム)

個人総合成績
1位 ワウテル・モル(オランダ、ヴァカンソレイユ)          15h55'17"
2位 ヘールト・ステウルス(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)    +35"
3位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)            +1'45"
4位 ロジェ・クルーゲ(ドイツ、チームミルラム)             +1'59"
5位 マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)       +2'05"
6位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、カチューシャ)          +2'09"
7位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)     +2'17"
8位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、リクイガス)           +2'28"
9位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)   +2'37"
10位 スチュアート・オグレディ(オーストラリア、サクソバンク)     +2'40"

ポイント賞
ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)

新人賞
ロジェ・クルーゲ(ドイツ、チームミルラム)

チーム総合成績
サーヴェロ・テストチーム

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, A.S.O.