ジロ・デ・イタリア開幕を2日後に控えた5月2日、開幕地イスラエルのエルサレムでチームスカイが記者会見を開き、3連続グランツール制覇を目指すクリストファー・フルーム(イギリス)が現在のコンディションやサルブタモール問題について語った。


クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
記者会見には出場予定選手8名とデイヴ・ブレイルスフォードGM、ニコラ・ポルタル監督が出席。世界各国から集まったジャーナリストやフォトグラファーに囲まれて、会見時間の90%以上をフルームが話し続けた。以下はフルームへの質問と返答。通訳を使わず、イタリア語の質問にはフルーム自身がイタリア語で答えた。

ジロについての想い 出場しようと思ったきっかけは?

イスラエルにやってきて、ジロで初めて総合優勝を狙うのは特別な気持ち。自分のキャリアはイタリアで始まって、バルロワールド時代の数年間イタリアに住んでいたこともある。今までジロに照準を合わせたことがなかったけど、ツアー・オブ・アルプスを走って、準備ができていることを確認した。

ジロへの出場は冬場にチームと行ったミーティングの中で決定した。ツールとブエルタで勝って、ジロに挑戦しない理由がなかった。前回の出場から10年近くの時間が経って、またジロに戻って総合優勝を狙うことを楽しみにしている。もちろんこのジロの後はツールにも出場する。

2011年のコンタドールのように、違反が確定してタイトルが剥奪される可能性について

いま自分は当時のコンタドールと違う状況にある。そもそも(サルブタモールの使用は治療目的で)何も間違ったことをしていないので、剥奪については考えていない。自分がレースを走ってはいけないというルールは無くて、問題となるようなことはないと考えている。

各国のカメラに囲まれるクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)各国のカメラに囲まれるクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
ロードレースのイメージを損ねる可能性があるというデュムランらの声については?

彼らのフラストレーションについては理解している。でも今は(裁定に向けたプロセスについて)何も話せない状態。自分が何も間違ったことをしていないことを証明するためのプロセスがUCIの中で進行中であり、何か新しい発表や情報が出ない限り、それについてこれ以上のコメントを続けるつもりはない。確かに情報が出てこないことに不満が漏れることは仕方がないと思っている。今後詳細が発表されたら自分の考えを理解してもらえると思う。

出場停止の可能性があれば、これがキャリア最後のジロになる?

それはない。スタートラインに立つ時点で、このジロを勝つことだけを考えている。7月(ツール)について考えながら走ることはないし、これからの3週間で最高の力を出して、最終日ローマで表彰台の真ん中に立ちたいと強く思っている。

山岳ステージなど、重要なステージの試走について

有力選手たちはそれぞれ違うアプローチでジロに挑んでいる。試走も含めてレースの一部であり、限られた時間の中で多くのステージを試走した選手もいれば、全く試走していない選手もいる。イスラエルに来てシチリアに行ってからイタリア半島を走るジロで、全てのステージをチェックするのは難しい。ゾンコランとタイムトライアル(第16ステージ)は同じエリアなのでチェックした。フィネストレ峠も登ったことがあるのでよくわかっている。

一つ一つ丁寧に返答するクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)一つ一つ丁寧に返答するクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
イスラエルでの開幕3ステージについて

第1ステージのタイムトライアルは総合狙いの選手に大きなチャンスがある。世界チャンピオンのトム・デュムランはもちろん初日のマリアローザ候補。白線や中央分離帯などの道路状況が慣れ親しんだものと異なるので、注意を払いながら残る2ステージを走る必要がある。風にも気をつけないといけないかもしれない。

治安について心配していたけど、今のところ何も問題なくイスラエル滞在を楽しめている。今朝はイスラエルのジュニア選手たちと一緒に走った。このジロが地元の若いサイクリストに刺激を与え、将来的に世界で活躍する選手が出て来ればと思う。

2つのタイムトライアルの走りがマリアローザにつながる?

タイムトライアルの結果に頼ってこのジロで勝とうとは思っていない。今年のジロのコースはとてもバランスが取れていて、山岳ステージもたっぷり用意されている。だから1つの種目でジロが決まることはなく、フルパッケージで争うことになる。様々な状況に対応できるファンタスティックなチームが自分をサポートしてくれるし、3週間の戦いが楽しみ。(マリアローザに向けた)準備はできている。

スタッフに促され、終わらない質問を切り上げるクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)スタッフに促され、終わらない質問を切り上げるクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji


text:Kei Tsuji in Jerusalem, Israel

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