2018/04/24(火) - 13:35
4月24日から6日間にわたって、スイス西部で第72回ツール・ド・ロマンディが開催される。連覇を狙うリッチー・ポートやプリモシュ・ログリッチェ、ゲラント・トーマス、そして7回目の出場となる別府史之が揃うステージレースの見どころをチェックしておこう。
舞台はスイス西部 プロローグで開幕する6日間の戦い
第二次世界大戦後すぐの1947年に初開催され、以降毎年欠かさず開催されているツール・ド・ロマンディ。2018年で開催72回目を迎える歴史あるステージレースであり、2005年からUCIプロツアー(現UCIワールドツアー)カレンダーに組み込まれている。大会期間は6日間で、アルデンヌクラシックを走り終えたばかりの選手や、グランツールに向けて調整を続ける選手たちが出場する。
ドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、リヒテンシュタインに囲まれたスイスには4つの言語圏が存在する。ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つが公用語とされており、フランス語(厳密に言うとスイスフランス語)が第1公用語として話されている同国西部のロマンディ地方がレースの舞台となる。
2018年大会は、ドイツ語とフランス語の言語的な境界線に位置するフリブールで開幕する。例年同様、大会初日はプロローグ(短距離個人タイムトライアル)。フリブールの街中を走る4kmの「時間との戦い」で大きなタイム差はつかないが、調子の良し悪しが早速数字となって現れることになる。
フリブールからフランス国境に近いジュラ州のドレモンまで北上する第1ステージには4つのカテゴリー山岳(2級、3級、2級、2級)が設定されており、獲得標高差は2,232m。残り16km地点で通過する2級山岳ル・ソメ(全長6km/平均6.5%)はステージ優勝狙いならびに総合狙いの選手たちにとって抜群の発射台になるはず。第2ステージとジュネーブにフィニッシュする最終日の第5ステージは、カテゴリー山岳を含む中級山岳コースではあるものの、難易度が低いためスプリンターたちによる集団スプリントに持ち込まれる可能性が高いだろう。
第3ステージの個人タイムトライアルで総合争いの大勢が判明すると言っていい。UCI(国際自転車競技連盟)の本拠地が置かれているエーグルに近い山岳地帯を走る全長9.9kmコースは登りっぱなしで、その高低差は785m。スタートからフィニッシュまで淡々と8%前後の勾配が続く。25分前後のこの山岳TTで黄色いリーダージャージの持ち主は変わるはずだ。
ロマンディ地方南部のヴァレー州シオンを発着する獲得標高差3,584mの第4ステージが今大会のクイーンステージ。氷河が削り出した渓谷を上っては下るコースに登場するカテゴリー山岳は5つ(1級、1級、2級、2級、1級)で、残り28km地点で最後の1級山岳レ・コロン(全長13.1km/平均6.5%)をクリア後、ローヌ川沿いのシオンまで実に高低差1,284mを下ってフィニッシュを迎える。2017年大会には2つの山頂フィニッシュが設定されていたが、2018年は山頂フィニッシュがゼロ。個々のダウンヒルテクニックが問われるシーンが多くなるだろう。
舞台はスイス西部 プロローグで開幕する6日間の戦い
第二次世界大戦後すぐの1947年に初開催され、以降毎年欠かさず開催されているツール・ド・ロマンディ。2018年で開催72回目を迎える歴史あるステージレースであり、2005年からUCIプロツアー(現UCIワールドツアー)カレンダーに組み込まれている。大会期間は6日間で、アルデンヌクラシックを走り終えたばかりの選手や、グランツールに向けて調整を続ける選手たちが出場する。
ドイツ、フランス、イタリア、オーストリア、リヒテンシュタインに囲まれたスイスには4つの言語圏が存在する。ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つが公用語とされており、フランス語(厳密に言うとスイスフランス語)が第1公用語として話されている同国西部のロマンディ地方がレースの舞台となる。
2018年大会は、ドイツ語とフランス語の言語的な境界線に位置するフリブールで開幕する。例年同様、大会初日はプロローグ(短距離個人タイムトライアル)。フリブールの街中を走る4kmの「時間との戦い」で大きなタイム差はつかないが、調子の良し悪しが早速数字となって現れることになる。
フリブールからフランス国境に近いジュラ州のドレモンまで北上する第1ステージには4つのカテゴリー山岳(2級、3級、2級、2級)が設定されており、獲得標高差は2,232m。残り16km地点で通過する2級山岳ル・ソメ(全長6km/平均6.5%)はステージ優勝狙いならびに総合狙いの選手たちにとって抜群の発射台になるはず。第2ステージとジュネーブにフィニッシュする最終日の第5ステージは、カテゴリー山岳を含む中級山岳コースではあるものの、難易度が低いためスプリンターたちによる集団スプリントに持ち込まれる可能性が高いだろう。
第3ステージの個人タイムトライアルで総合争いの大勢が判明すると言っていい。UCI(国際自転車競技連盟)の本拠地が置かれているエーグルに近い山岳地帯を走る全長9.9kmコースは登りっぱなしで、その高低差は785m。スタートからフィニッシュまで淡々と8%前後の勾配が続く。25分前後のこの山岳TTで黄色いリーダージャージの持ち主は変わるはずだ。
ロマンディ地方南部のヴァレー州シオンを発着する獲得標高差3,584mの第4ステージが今大会のクイーンステージ。氷河が削り出した渓谷を上っては下るコースに登場するカテゴリー山岳は5つ(1級、1級、2級、2級、1級)で、残り28km地点で最後の1級山岳レ・コロン(全長13.1km/平均6.5%)をクリア後、ローヌ川沿いのシオンまで実に高低差1,284mを下ってフィニッシュを迎える。2017年大会には2つの山頂フィニッシュが設定されていたが、2018年は山頂フィニッシュがゼロ。個々のダウンヒルテクニックが問われるシーンが多くなるだろう。
ツール・ド・ロマンディ2018ステージリスト
4月24日(火) | プロローグ | フリブール〜フリブール | 4.0km(個人TT) |
4月25日(水) | 第1ステージ | フリブール〜ドレモン | 166.6km |
4月26日(木) | 第2ステージ | ドレモン〜イヴェルドン・レ・バン | 173.9km |
4月27日(金) | 第3ステージ | オロン〜ヴィラール | 9.9km(個人TT) |
4月28日(土) | 第4ステージ | シオン〜シオン | 149.2km |
4月29日(日) | 第5ステージ | モン・シュル・ロル〜ローザンヌ | 181.8km |
連覇を狙うポートにログリッチェやトーマス、スピラクらが挑む
チーム登録はアメリカだが、地元スイスブランドを背負う実質的にスイスチームのBMCレーシングにとって、ツール・ド・ロマンディは落とせないレースだ。今シーズンでBMC社のスポンサー契約が切れるため、2019年以降のチーム活動は宙に浮いた状態。さらに長年チームをサポートしてきたパトロンのアンディ・リース氏が前週に死去したため、新スポンサー獲得のためにも早めに結果を出す必要がある。
BMCレーシングのエースを担うのは大会2連覇がかかったリッチー・ポート(オーストラリア)だ。ポートは1月のサントス・ツアー・ダウンアンダーを総合2位で終えたものの、呼吸器系の疾患により春のステージレースで結果を残せていない。モナコの自宅で地道にトレーニングを続けた33歳が、ローハン・デニス(オーストラリア)とティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ)という1軍を従えてロマンディ連覇を狙う。
4月上旬のイツリア・バスクカントリーで個人TT優勝&総合優勝に輝いたプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)は前年の総合3位からジャンプアップを目指す。得意とする個人TTが2つ設定されているロマンディはずばりログリッチェ向き。2016年ジロ総合4位ステフェン・クライスヴァイク(オランダ)とダブルエース体制での出場だ。
チームスカイのエースナンバーを付けるのは、直前のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュを走ったゲラント・トーマス(イギリス)。今シーズンはボルタ・ア・アルガルヴェ総合2位、ティレーノ〜アドリアティコ総合3位という成績を残しているトーマスを、新星コロンビアンクライマーのエガン・ベルナル(コロンビア)がサポートする。ベルナルはボルタ・ア・カタルーニャでの鎖骨骨折からわずか1ヶ月という超スピード復帰を果たす。
2010年大会の総合優勝者で、同じスイスのツール・ド・スイスで2015年と2017年に総合優勝を飾っているシモン・スピラク(スロベニア、カチューシャ・アルペシン)は中級ステージレースのスペシャリスト。イサギレ兄弟(スペイン)をエースに立てるここ数週間好調なバーレーン・メリダや、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュで苦汁を舐めたダニエル・マーティン(アイルランド)とルイ・コスタ(ポルトガル)を揃えるUAEチームエミレーツも強力だ。
ステージ通算7勝を飾っているミヒャエル・アルバジーニ(ミッチェルトン・スコット)やマティアス・フランク(アージェードゥーゼール)といった地元スイス勢のほか、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)らも総合上位候補に挙げられる。
平坦ステージ(第2ステージと第5ステージ)では、絶好調クイックステップフロアーズが主導権を握るだろう。何しろ、今シーズン6勝のエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)と、今シーズン4勝のフェルナンド・ガビリア(コロンビア)という、これまで別々のレースでエースを担ってきた二大スプリンターが初めてタッグを組む。ミカエル・モルコフ(デンマーク)やファビオ・サバティーニ(イタリア)といったリードアウトマンも揃っており、チーム内エース抗争などが発生しない限り死角はない。アルデンヌクラシックを終えたばかりのマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)はクイックステップコンビが脱落するような山岳ステージでスプリントを狙ってくるだろう。
コッピ・エ・バルタリ、シルキュイ・サルト、ツアー・オブ・クロアチアを連戦で出場した別府史之(トレック・セガフレード)は3年連続8回目のロマンディ出場。別府は2007年にステージ2位の成績を残している。
text:Kei Tsuji
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