2018/04/24(火) - 09:08
アメリカ・ミネソタ州ミネアポリスに拠点を構えるサイクルコンポーネントブランド、HED(ヘッド)。カーボン素材とエアロダイナミクスへの造詣が深い同社より、60mmのハイトを持つカーボンチューブラーホイール「STINGER 6」をインプレッションした。
ヘッドはアメリカ・ミネソタ州ミネアポリスに拠点を構えるサイクルコンポーネントブランド。カーボン素材やエアロダイナミクスといった技術に一日の長があり、カーボンホイールの創成期を支えたブランドとしてツール・ド・フランスを始めとするプロレースで使用された経歴を持つ。現在でもフロント3バトンホイールの「GT3」や「H3」はタイムトライアルレースでスポンサー外でも使用されるほど、プロ選手からの信頼が厚いブランドである。
そんなヘッドから今回は60mmのリムハイトを持つカーボンチューブラーホイール「STINGER6」をピックアップ。10日間に及ぶ風洞実験により、正面からの風に対するエアロダイナミクス性能を高めるのはもちろんのこと、横風に対する安定感も追求。重量も非常に軽量に仕上がっており、登りも平地もハイスピードで駆け抜けるレースユースを想定したハイパフォーマンスホイールである。
リムデザインは2006年に発案された空気抵抗と転がり抵抗を減少させるC2テクノロジーを導入。リムハイト60mmに対して28mmというリム幅を与えることで、23mm以上のタイヤをセットした時のエアロダイナミクスを最大化。その上、細部の形状は風洞実験を経て煮詰められ、進行方向正面から15度の風に対する空気抵抗を重量換算で100g減少させているという。
また、タイヤベッドが深いのもC2テクノロジーの特徴である。一般的なチューブラーリムの構造ではタイヤの保持力をセメントやテープのみに依存するが、深めのベッドにタイヤをしっかりと固定することでタイヤの変形を抑制し、コーナリング時の安定感の向上や転がり抵抗の低減を実現している。
スポークは多くのホイールメーカーに採用されているサピム社のCX-rayを採用。扁平形状が空気を切り裂き、ストレートプルでより高いテンションを掛けることが可能な高品質スポークを使用し、フロントホイールは18Hラジアル組、リアホイール24H2クロス組で組上げられる。ハブはヘッドの545ハブだ。リアハブに5つの爪と45のラチェット歯を設けたことに由来し、細かい噛み合わせによって素早い反応性を生み出す。
この構成でホイール重量は前後セット1360gをマーク。60mmハイトのカーボンホイールとして非常に軽量な値である。クイックリリース、バルブエクステンダーが付属する。価格はフロントホイールが149,300円(税抜)、リアホイールが156,600円(税抜)だ。それではインプレッションに移ろう。
ー インプレッション
「優れたエアロダイナミクスで勝手にスピードが伸びていく」高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
リムハイト60mmという高さもあり、エアロダイナミクスの良さを感じます。高速域に入ってくるとスピードが勝手に伸びていくような感覚を受けますね。その上、重量も重くないので、登りも気持ちよく登れるのは良いですね。またチューブラー独特の走りの軽さもやっぱり良いなと再確認させられます。
剛性感のバランスが硬すぎず柔らかすぎずといい感じでちょうど良いですね。一般的に柔らかいホイールは少し溜めがあってから進む感じがしますが、硬いホイールだと踏んだ瞬間に加速する感じがしますよね。その溜めと加速のバランスが良い塩梅で、私の好みな感覚でした。
もちろんこのハイトの高さですから、平坦路のスピードの伸びは非常に良かったです。優れた空力性能はこのホイールの大きな特長ですから、そこは存分に楽しめる所だと思います。もちろん下りでもスピードの伸びは体感出来ますね。巡航やそこからの加速はしやすいホイールだと思います。
1点、ダンシングの時は必要以上に切れ込む感じがあります。ホイールの硬さのせいなのか左右に引っ張られる感じがするので、注意が必要です。ですが幸いに慣れてしまえば気にならなくなる程度の違和感ですので、さほど問題にはならないと思います。それとこれは好みですが、ラチェット音は大きい方だと思います。
「60mmというリムハイト以上の空力性能を感じる」坂本聡(スポーツサイクル サカモト)
高速域からの加速が容易でスピードがどんどん上がっていくので、60mmというリムハイト以上の空力性能を感じます。剛性もしっかりとあるのでたわむ印象もなく、踏んだ分しっかり加速していきますね。ハブの回転性能も申し分なく、カーボンホイールとしての必要十分のスペックを持っていると思います。
中でもやはりエアロダイナミクスの高さは特筆すべきポイントですね。ヘッドというと昔からエアロカーボンホイールを作っていたブランドですが、エアロに関するノウハウは流石だなと感じます。リムハイトが高い分、横風への対応力やハンドリング特性の変化が気になりますが、怖さや違和感を感じることなく扱いやすいと思います。
また、チューブラーということもあり、重量が非常に軽量に仕上がっているのもトピックでしょう。そのため本格的なヒルクライムでもしっかり登ってくれますね。ただ、ヒルクライムだけのレースであれば、より軽量性に特化したホイールが向いていますから、登りも下りもあるオールラウンドコースに適していると思います。特にレースの決戦用ホイールとして最適でしょうね。
リムの内周部にラインが入っているのですが、これは成型過程で発生するもので、走行性能や安全性には影響ありません。少し外観としては気になってしまう点もありますが、それを補って余りあるほどの走行性能を持っていますので、ぜひレーサーの方に使ってほしいホイールだと思います。
ヘッド STINGER6
タイヤタイプ:チューブラー
リムハイト:60mm
リム幅:28mm
フリーボディ:シマノ10/11S対応
付属品:クイックリリース、バルブエクステンダー
重量:580g(フロント)、780g(リア)
価格:149,300円(税抜、フロント)
156,600円(税抜、リア)
インプレッションライダーのプロフィール
高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
横浜駅から徒歩10分、ベイサイドエリアに店舗を構えるアウトドアスペース風魔横浜の店長。前職メッセンジャーの経験を活かし自転車業界へ。自身はロードバイクをメインに最近はレース活動にも力を入れる実走派だ。ショップはロード・MTBの2本柱で幅広い自転車遊びを提案している。物を売るだけでなくお客さんと一緒にスポーツサイクルを楽しむことを大事にし、イベント参加なども積極的に行っている。
CWレコメンドショップページ
アウトドアスペース風魔横浜 ショップHP
坂本聡(スポーツサイクル サカモト)
60年以上続く新潟県三条市のプロショップ、スポーツサイクル サカモトの3代目代表を務める。ロードはゆったり楽しみたいロングライド派で、MTBやトライアスロン、小径車など幅広くスポーツサイクルを嗜む。お客さんにはむやみに安い製品は売らず、高くても良いものをオススメすることを重視。人との繋がりや家族との時間を大事にすることが自身のポリシー。
CWレコメンドショップページ
スポーツサイクル サカモト ショップHP
ウェア協力:シマノ
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.AYANO
ヘッドはアメリカ・ミネソタ州ミネアポリスに拠点を構えるサイクルコンポーネントブランド。カーボン素材やエアロダイナミクスといった技術に一日の長があり、カーボンホイールの創成期を支えたブランドとしてツール・ド・フランスを始めとするプロレースで使用された経歴を持つ。現在でもフロント3バトンホイールの「GT3」や「H3」はタイムトライアルレースでスポンサー外でも使用されるほど、プロ選手からの信頼が厚いブランドである。
そんなヘッドから今回は60mmのリムハイトを持つカーボンチューブラーホイール「STINGER6」をピックアップ。10日間に及ぶ風洞実験により、正面からの風に対するエアロダイナミクス性能を高めるのはもちろんのこと、横風に対する安定感も追求。重量も非常に軽量に仕上がっており、登りも平地もハイスピードで駆け抜けるレースユースを想定したハイパフォーマンスホイールである。
リムデザインは2006年に発案された空気抵抗と転がり抵抗を減少させるC2テクノロジーを導入。リムハイト60mmに対して28mmというリム幅を与えることで、23mm以上のタイヤをセットした時のエアロダイナミクスを最大化。その上、細部の形状は風洞実験を経て煮詰められ、進行方向正面から15度の風に対する空気抵抗を重量換算で100g減少させているという。
また、タイヤベッドが深いのもC2テクノロジーの特徴である。一般的なチューブラーリムの構造ではタイヤの保持力をセメントやテープのみに依存するが、深めのベッドにタイヤをしっかりと固定することでタイヤの変形を抑制し、コーナリング時の安定感の向上や転がり抵抗の低減を実現している。
スポークは多くのホイールメーカーに採用されているサピム社のCX-rayを採用。扁平形状が空気を切り裂き、ストレートプルでより高いテンションを掛けることが可能な高品質スポークを使用し、フロントホイールは18Hラジアル組、リアホイール24H2クロス組で組上げられる。ハブはヘッドの545ハブだ。リアハブに5つの爪と45のラチェット歯を設けたことに由来し、細かい噛み合わせによって素早い反応性を生み出す。
この構成でホイール重量は前後セット1360gをマーク。60mmハイトのカーボンホイールとして非常に軽量な値である。クイックリリース、バルブエクステンダーが付属する。価格はフロントホイールが149,300円(税抜)、リアホイールが156,600円(税抜)だ。それではインプレッションに移ろう。
ー インプレッション
「優れたエアロダイナミクスで勝手にスピードが伸びていく」高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
リムハイト60mmという高さもあり、エアロダイナミクスの良さを感じます。高速域に入ってくるとスピードが勝手に伸びていくような感覚を受けますね。その上、重量も重くないので、登りも気持ちよく登れるのは良いですね。またチューブラー独特の走りの軽さもやっぱり良いなと再確認させられます。
剛性感のバランスが硬すぎず柔らかすぎずといい感じでちょうど良いですね。一般的に柔らかいホイールは少し溜めがあってから進む感じがしますが、硬いホイールだと踏んだ瞬間に加速する感じがしますよね。その溜めと加速のバランスが良い塩梅で、私の好みな感覚でした。
もちろんこのハイトの高さですから、平坦路のスピードの伸びは非常に良かったです。優れた空力性能はこのホイールの大きな特長ですから、そこは存分に楽しめる所だと思います。もちろん下りでもスピードの伸びは体感出来ますね。巡航やそこからの加速はしやすいホイールだと思います。
1点、ダンシングの時は必要以上に切れ込む感じがあります。ホイールの硬さのせいなのか左右に引っ張られる感じがするので、注意が必要です。ですが幸いに慣れてしまえば気にならなくなる程度の違和感ですので、さほど問題にはならないと思います。それとこれは好みですが、ラチェット音は大きい方だと思います。
「60mmというリムハイト以上の空力性能を感じる」坂本聡(スポーツサイクル サカモト)
高速域からの加速が容易でスピードがどんどん上がっていくので、60mmというリムハイト以上の空力性能を感じます。剛性もしっかりとあるのでたわむ印象もなく、踏んだ分しっかり加速していきますね。ハブの回転性能も申し分なく、カーボンホイールとしての必要十分のスペックを持っていると思います。
中でもやはりエアロダイナミクスの高さは特筆すべきポイントですね。ヘッドというと昔からエアロカーボンホイールを作っていたブランドですが、エアロに関するノウハウは流石だなと感じます。リムハイトが高い分、横風への対応力やハンドリング特性の変化が気になりますが、怖さや違和感を感じることなく扱いやすいと思います。
また、チューブラーということもあり、重量が非常に軽量に仕上がっているのもトピックでしょう。そのため本格的なヒルクライムでもしっかり登ってくれますね。ただ、ヒルクライムだけのレースであれば、より軽量性に特化したホイールが向いていますから、登りも下りもあるオールラウンドコースに適していると思います。特にレースの決戦用ホイールとして最適でしょうね。
リムの内周部にラインが入っているのですが、これは成型過程で発生するもので、走行性能や安全性には影響ありません。少し外観としては気になってしまう点もありますが、それを補って余りあるほどの走行性能を持っていますので、ぜひレーサーの方に使ってほしいホイールだと思います。
ヘッド STINGER6
タイヤタイプ:チューブラー
リムハイト:60mm
リム幅:28mm
フリーボディ:シマノ10/11S対応
付属品:クイックリリース、バルブエクステンダー
重量:580g(フロント)、780g(リア)
価格:149,300円(税抜、フロント)
156,600円(税抜、リア)
インプレッションライダーのプロフィール
高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
横浜駅から徒歩10分、ベイサイドエリアに店舗を構えるアウトドアスペース風魔横浜の店長。前職メッセンジャーの経験を活かし自転車業界へ。自身はロードバイクをメインに最近はレース活動にも力を入れる実走派だ。ショップはロード・MTBの2本柱で幅広い自転車遊びを提案している。物を売るだけでなくお客さんと一緒にスポーツサイクルを楽しむことを大事にし、イベント参加なども積極的に行っている。
CWレコメンドショップページ
アウトドアスペース風魔横浜 ショップHP
坂本聡(スポーツサイクル サカモト)
60年以上続く新潟県三条市のプロショップ、スポーツサイクル サカモトの3代目代表を務める。ロードはゆったり楽しみたいロングライド派で、MTBやトライアスロン、小径車など幅広くスポーツサイクルを嗜む。お客さんにはむやみに安い製品は売らず、高くても良いものをオススメすることを重視。人との繋がりや家族との時間を大事にすることが自身のポリシー。
CWレコメンドショップページ
スポーツサイクル サカモト ショップHP
ウェア協力:シマノ
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.AYANO
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