2018/03/31(土) - 16:01
「クラシックの王様」と称されるロンド・ファン・フラーンデレンが4月1日に開催される。好調なクイックステップフロアーズ勢やペテル・サガン、グレッグ・ヴァンアーヴェルマートに注目の男子レースの他、與那嶺恵理出場の女子レースの注目ポイントをチェック。
難所ミュール、コッペンベルグ、オウデクワレモント、パテルベルグが登場
「モニュメント」と呼ばれる世界五大ワンデークラシックの中でも、ひと際大きな存在感を見せるのが「クラシックの王様」ことロンド・ファン・フラーンデレン(UCIワールドツアー)。1913年に初開催され、長年ベルギー北部のフランドル地方で愛され続けてきた大会が、4月1日(日)、102回目の開催を迎える。
フランス語名の「ツール・デ・フランドル」と呼ばれることもあるが、現地フラマン語(オランダ語)に準じると「ロンド・ファン・フラーンデレン」。フランドル地方最大のロードレースであり、そのステータスは「世界一」であると言える。
自転車競技熱が高いフランドル地方で開催されるだけに、沿道には熱狂的なファンが詰めかけ、頭上にはフランドルの象徴である(ベルギー全体の象徴ではない)フレミッシュライオンが描かれたイエローフラッグが翻る。今年もフランドル地方のクラシックシーズンの熱気はこのロンドで頂点に達する。人口650万人のフランドル地方にあって、毎年70万人前後の観客が沿道に駆けつけると言われる。
ロンド・ファン・フラーンデレンがそれだけ高いステータスを誇っている理由、それは他のクラシックレースには見られない過酷なコース設定だ。テクニカルかつ細い農道を駆け抜け、断続的に登場する石畳坂に挑む。コース全長は266.5km。最も高い場所でも標高150mほどだが、1日の獲得標高差は2,500m前後に達する。
1913年から1976年はヘント、1977年から1997年はセント・ニクラス、そして1998年から19年間ブルージュでスタートが切られてきたが、2017年から2021年までスタート地点はアントワープ。引き続きフィニッシュ地点はレース博物館のあるオウデナールデに置かれる。
2017年大会からの変更点は、3つめの「エイケンベルグ(石畳)」が「エデラーレ(アスファルト)」に置き換わったこと。そのほかの17つの急坂に変更は加えられていない。2017年に5年ぶりに復活した「ミュール・カペルミュール(正式名称ミュール・ファン・ヘラールツベルヘン)」は今年も健在。「ミュール」はフィニッシュから90km以上離れているが、2017年はここで勝負を決める大きな動きが生まれている。
勝負を決めるのは「オウデ・クワレモント」と「パテルベルグ」を含む大小の周回コースで、2回目の「オウデ・クワレモント」からエース級選手たちによる駆け引きが始まるだろう。渋滞によってバイクを押す選手も続出する最大勾配22%の「コッペンベルグ」を皮切りに、フィニッシュまで一瞬たりとも気が抜けない約1時間の闘いが始まる。登り単体ではなく、チーム力が問われる登り手前の位置取り合戦も重要なファクターを担う。
連続する石畳の登りでのアタック合戦を経て(集団は精鋭に絞られた状態で)、本命たちが最後の「オウデ・クワレモント」と「パテルベルグ」に突入する。この2つの名物坂はいずれも石畳に覆われており、前者が平均4%/最大11.6%/長さ2200m、後者が平均12.9%/最大20.3%/長さ360m。フィニッシュから13kmしか離れていない最後の「パテルベルグ」で決定的な動きが生まれるはずだ。
同日開催のUCI女子ワールドツアーレースはオウデナールデを発着する151kmで、急坂の数は15ヶ所。「クルイスベルグ」と「オウデ・クワレモント」「パテルベルグ」が終盤に登場するレイアウトは男子レースと共通だ。
天気予報によると、フィニッシュ地点オウデナールデの天候は曇り時々雨で、気温は最高8度/最低4度。降水確率は50%前後で、秒速6mの北西風が吹く予報が出ている。
難所ミュール、コッペンベルグ、オウデクワレモント、パテルベルグが登場
「モニュメント」と呼ばれる世界五大ワンデークラシックの中でも、ひと際大きな存在感を見せるのが「クラシックの王様」ことロンド・ファン・フラーンデレン(UCIワールドツアー)。1913年に初開催され、長年ベルギー北部のフランドル地方で愛され続けてきた大会が、4月1日(日)、102回目の開催を迎える。
フランス語名の「ツール・デ・フランドル」と呼ばれることもあるが、現地フラマン語(オランダ語)に準じると「ロンド・ファン・フラーンデレン」。フランドル地方最大のロードレースであり、そのステータスは「世界一」であると言える。
自転車競技熱が高いフランドル地方で開催されるだけに、沿道には熱狂的なファンが詰めかけ、頭上にはフランドルの象徴である(ベルギー全体の象徴ではない)フレミッシュライオンが描かれたイエローフラッグが翻る。今年もフランドル地方のクラシックシーズンの熱気はこのロンドで頂点に達する。人口650万人のフランドル地方にあって、毎年70万人前後の観客が沿道に駆けつけると言われる。
ロンド・ファン・フラーンデレンがそれだけ高いステータスを誇っている理由、それは他のクラシックレースには見られない過酷なコース設定だ。テクニカルかつ細い農道を駆け抜け、断続的に登場する石畳坂に挑む。コース全長は266.5km。最も高い場所でも標高150mほどだが、1日の獲得標高差は2,500m前後に達する。
1913年から1976年はヘント、1977年から1997年はセント・ニクラス、そして1998年から19年間ブルージュでスタートが切られてきたが、2017年から2021年までスタート地点はアントワープ。引き続きフィニッシュ地点はレース博物館のあるオウデナールデに置かれる。
2017年大会からの変更点は、3つめの「エイケンベルグ(石畳)」が「エデラーレ(アスファルト)」に置き換わったこと。そのほかの17つの急坂に変更は加えられていない。2017年に5年ぶりに復活した「ミュール・カペルミュール(正式名称ミュール・ファン・ヘラールツベルヘン)」は今年も健在。「ミュール」はフィニッシュから90km以上離れているが、2017年はここで勝負を決める大きな動きが生まれている。
勝負を決めるのは「オウデ・クワレモント」と「パテルベルグ」を含む大小の周回コースで、2回目の「オウデ・クワレモント」からエース級選手たちによる駆け引きが始まるだろう。渋滞によってバイクを押す選手も続出する最大勾配22%の「コッペンベルグ」を皮切りに、フィニッシュまで一瞬たりとも気が抜けない約1時間の闘いが始まる。登り単体ではなく、チーム力が問われる登り手前の位置取り合戦も重要なファクターを担う。
連続する石畳の登りでのアタック合戦を経て(集団は精鋭に絞られた状態で)、本命たちが最後の「オウデ・クワレモント」と「パテルベルグ」に突入する。この2つの名物坂はいずれも石畳に覆われており、前者が平均4%/最大11.6%/長さ2200m、後者が平均12.9%/最大20.3%/長さ360m。フィニッシュから13kmしか離れていない最後の「パテルベルグ」で決定的な動きが生まれるはずだ。
同日開催のUCI女子ワールドツアーレースはオウデナールデを発着する151kmで、急坂の数は15ヶ所。「クルイスベルグ」と「オウデ・クワレモント」「パテルベルグ」が終盤に登場するレイアウトは男子レースと共通だ。
天気予報によると、フィニッシュ地点オウデナールデの天候は曇り時々雨で、気温は最高8度/最低4度。降水確率は50%前後で、秒速6mの北西風が吹く予報が出ている。
登場する18ヶ所の急坂
区間 | 地点 | 名称 | 路面 | 平均勾配 | 最大勾配 | 長さ |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 121km | オウデ・クワレモント | 石畳 | 4.0% | 11.6% | 2200m |
2 | 132km | コルテケール | アスファルト | 6.4% | 17.1% | 1000m |
3 | 137km | エデラーレ | アスファルト | 4.2% | 7.0% | 1500m |
4 | 142km | ウォルヴェンベルグ | アスファルト | 7.9% | 17.3% | 645m |
5 | 151km | レベルグ | アスファルト | 4.2% | 13.8% | 950m |
6 | 155km | ベレンドリース | アスファルト | 7.0% | 12.3% | 940m |
7 | 160km | テンボッシュ | アスファルト | 6.9% | 8.7% | 450m |
8 | 170km | ミュール・カペルミュール | 石畳 | 9.2% | 19.8% | 1075m |
9 | 189km | ポッテルベルグ | アスファルト | 6.5% | 8.0% | 1300m |
10 | 195km | カナリーベルグ | アスファルト | 7.7% | 14.0% | 1000m |
11 | 211km | オウデ・クワレモント | 石畳 | 4.0% | 11.6% | 2200m |
12 | 214km | パテルベルグ | 石畳 | 12.9% | 20.3% | 360m |
13 | 221km | コッペンベルグ | 石畳 | 11.6% | 22.0% | 600m |
14 | 226km | シュテインビークドリシュ | アスファルト | 5.3% | 6.7% | 700m |
15 | 229km | ターインベルグ | 石畳 | 6.6% | 15.8% | 530m |
16 | 240km | クルイスベルグ | 石畳 | 5.0% | 9.0% | 2500m |
17 | 250km | オウデ・クワレモント | 石畳 | 4.0% | 11.6% | 2200m |
18 | 253km | パテルベルグ | 石畳 | 12.9% | 20.3% | 360m |
ジルベールの連覇なるか?サガンやGVA、ベノートに注目
スタートラインに並ぶのは18のUCIワールドチームにワイルドカード枠のスポートフラーンデレン・バロワーズ、ベランダスヴィレムス・クレラン、ワンティ・グループゴベール、WBアクアプロジェクト・ベランクラシック、ルームポット、ヴィタルコンセプト、コフィディスを加えた25チーム。各チーム7名ずつの出場で、8名ずつだった2017年までよりもプロトンのサイズは12.5%ダウンしている。
出場チームの中で最も高い戦力を誇っているのは、今シーズンすでに20勝を飾っているクイックステップフロアーズだろう。ベルギーチームはすでにレコードバンク・E3ハーレルベーケとドワーズ・ドール・フラーンデレンで勝利。ディフェンディングチャンピオンのフィリップ・ジルベール(ベルギー)がゼッケン1を付けての出場となる。
ジルベールは「昨年よりもコンディションは下」という牽制球を投げているが、クイックステップフロアーズはそれを補って余りある布陣を敷く。E3勝者のニキ・テルプストラ(オランダ)やドワーズ連覇のイヴ・ランパールト(ベルギー)、直近のクラシックで全戦トップ10フィニッシュしているゼネク・スティバル(チェコ)と、勝利を狙うことのできる駒がズラリ。引退したトム・ボーネン(ベルギー)のいないチームは依然としてロンドの主役を担う。
今シーズン目立った成績を出せていなかったため調子の低迷が噂されながらも、ヘント〜ウェヴェルヘムでの勝利で息を吹き返した感のあるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は2016年に続く2度目のロンド制覇を狙う。チームメイトのダニエル・オス(イタリア)がサガンにとって心強い存在になるだろう。
2017年にE3、ヘント、パリ〜ルーベを制したGVAことグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)はロンドで2014年2位、2015年3位、2017年2位という安定した成績を残しながらも未勝利。今シーズンはE3で3位に入っており、スポンサー撤退によって存続の危機にあるBMCレーシングを春のビッグタイトルで救いたいと願っている。もちろんルーベの連覇に向けても弾みをつけておきたいところだ。
ストラーデビアンケで優勝してブレイクし、E3で5位、ドワーズで7位という好成績を連発している24歳のティシュ・ベノート(ベルギー、ロット・スーダル)を推す声が強い。ベノートが3年前に一躍注目を集める存在となったきっかけが21歳という若さで残したロンド5位という成績だった。ベノートはその後2年間連続でロンドを途中リタイアしているが、今シーズンは一味違う。ここまでのクラシックレースで積極的な走りを見せ、トップレーサーと肩を並べるパフォーマンスを披露している。
他にも過去に2回表彰台に上っているセップ・ヴァンマルク(ベルギー、EFエデュケーションファースト・ドラパック)やオリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)、ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)といった大柄な「フランドリアン」たちにとってロンドはシーズン最大の目標レースのはずだ。
すでにダークホースとは呼べないほどの存在感を放っているシクロクロス世界王者ワウト・ヴァンアールト(ベルギー、ベランダスヴィレムス・クレラン)はベルギーのクラシックを連戦出場中。ヴァンアールトはストラーデビアンケの3位に続いてヘントで10位。2008年と2009年大会の優勝者で、38歳のステイン・デヴォルデル(ベルギー)がチームメイトとしてヴァンアールトの指南役を務める。
ティレーノ〜アドリアティコで総合優勝を飾り、グランツールからクラシックレースまで幅広く活躍するオールラウンダーのミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)も出場する。どちらかというと「アルデンヌクラシック」のスペシャリストであるクウィアトコウスキーは2016年のロンド27位が最高位。総合系チームのイメージが強いチームスカイだが、クウィアトコウスキーの他にもディラン・ファンバーレ(オランダ)やルーク・ロウ(イギリス)、イアン・スタナード(イギリス)、ジャンニ・モスコン(イタリア)という屈強なクラシックメンバーを揃えている。
ミラノ〜サンレモを圧巻の独走で制したヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)は今大会24名いる初出場選手の中の1人。「調子は良いので、何か新しいことを発明したい」と語るニバリは要注意人物。なお、ドワーズに出場して11位の成績を残したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)は欠場する。
トップスプリンターの1人に数えられながら、2015年に逃げ切りでロンドを制したアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)や、同じくクラシックレースを得意とするスプリンターで、サンレモとヘントで3位に入ったアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)にも注目。エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)やミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)、マッテオ・トレンティン(イタリア、ミッチェルトン・スコット)も上位に絡んでくるはずだ。
UCI女子ワールドツアーレースでは、直前のドワーズを制したエレン・ファンダイク(オランダ)と2017年大会の覇者コリン・リヴェラ(アメリカ)を揃えるサンウェブを中心に、過去の優勝者アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、ミッチェルトン・スコット)やマリアンヌ・フォス(オランダ、ワオディールス)の他、直近のUCI女子ワールドツアーレースで勝利しているカタジナ・ニエウィアドーマ(ポーランド、キャニオン・スラム)やアミー・ピータース(オランダ、ブールスドルマンス)といったトップ選手が勢ぞろいする。
「アルデンヌクラシック」を見据えながらベルギーレース連戦中の與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)はロンド初出場。2015年大会の覇者エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア)が欠場するため、與那嶺は高いスプリント力を誇るキルステン・ウィルド(オランダ)をアシストすることになるだろう。
レースの模様は、日本時間17:15からインターネット放送のDAZNで、スタート前からフィニッシュまでフルタイムライブ視聴が可能だ。なお、2017年のダイジェスト動画も配信されている。
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