2018/04/03(火) - 09:04
ホイールやボトムブラケットなどの各種サイクルパーツを手掛けるトーケンより、新作のカーボンクリンチャーホイール「KONAX PRO」をインプレッション。外幅27.4mmの超ワイドリムと、リムハイト52mmというプロファイルで抜群の空力性能を誇るエアロホイールをテストした。
ホイールやボトムブラケット、ヘッドパーツといったベアリングを使用した回転系パーツを得意とするTOKEN(トーケン)。今回は同社のホイールラインアップに2018モデルから登場した新作の「KONAX PRO」をピックアップ。リム、ハブ共に完全新規で設計された52mmハイトのハイエンドレーシングホイールである。
KONAX PROは同社ラインアップの中でも、”ZENITH”と呼ばれるレーシングカテゴリーの製品。同じくハイパフォーマンスホイールとして36mmハイトのVENTOUS、76mmハイトのKONAX TRIもリム高違いの新モデルとしてリリースされており、使用シーンや好みに応じて選べるラインアップとなる。
リムは外幅27.4mmとワイドリムホイールが一般的となった中でもエアロ性能を重視した広めの設計。25C以上の幅広タイヤにマッチするのはもちろんのこと、コンピューターによるCFD解析(数値流体力学)を用いてデザインされることで、横風を含めて全方向からの風に対して優れた対応力を獲得している。ニップルホール付近までボリューミーに造形され、リムにはホワイトのTOKENロゴにゴールドのモデル名、幾何学模様のブラックラインとルックスもスタイリッシュに仕上がる。
リムにはトーケンが3年の歳月をかけて開発した「CONTI-FIBER」という独自の製造テクノロジーを投入。リムの主要部分をロボットにより製造することでヒューマンエラーを防止し、カーボンファイバーの無駄な重なりを抑えるのだという。これによりカーボンの厚みを均一化し、重量と強度のバランスを最適化している。
またブレーキトラックには、ブレーキング時に発生する熱からリムの変形や破損を防ぐため高耐熱性エポキシ樹脂を使用。カーボンリムでも確実な制動力を発揮する他、専用設計のブレーキパッドを使用することでより効果的に温度上昇を防ぎ、ダウンヒルでも安心してブレーキを多用できる性能を獲得している。
スポークはサピムのCX-RAYを採用。他の大手ホイールブランドもトップモデルに使用する名品であり、高いスポークテンションがかけられるため、高剛性なホイールに仕上げる事が可能となる。フロントホイールは18本のスポークをラジアル組。リアホイールは半ドライブ側を7本でラジアル組。ドライブ側を14本で2クロス組と左右のスポーク数を2:1にすることでテンションの左右差を均一化させている。
ハブはCNC切削により作られる新型の「Z1」ハブを採用。軍事産業にも使用される高精度5軸CNCマシンを使用することで、強度の高い精巧な仕上がりを見せる。また従来品に比べフランジ幅も広げることで横剛性向上に一役買っている。
ベアリングは標準的なステンレスボールの内、1つだけをワンサイズ小さいセラミックボールに変更した、独自の「TFT(Token Free-Speed Technology)」システムを採用。これによりベアリング内のグリスが適度に混ざり合い、良好な回転性能維持に寄与している。回転系パーツに強いトーケンならではのテクノロジーと言えるだろう。
重量は52mmハイトながら前後セットで1452gと、カーボンクリンチャーらしい軽量値をマーク。リムはクリンチャー/チューブレスレディ両対応で、クイックリリースレバーとブレーキパッドが付属する。価格は240,000円(税抜)だ。それでは、インプレッションに移ろう。
― インプレッション
「向かい風でも加速感のある優れたエアロ性能」高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
まずリムハイト52mmとディープリム設計だけにエアロ効果は非常に高いと感じました。特に今回セットしたサーヴェロS3とのマッチングは高く、両者の高い空力性能が相まって伸びやかな加速感を生み出しますね。向かい風でもその印象は変わらなかったので、風を切り裂くようなエアロダイナミクスが特徴的ですね。
ホイール全体の剛性も必要十分あるので、一定の速度からアタックを掛けても反応してくれます。逆にじわじわと巡航スピードを上げていくような動きにはエアロ効果が上手く働くので、平均スピードを上げる走り方にも対応できます。どちらかと言うと、一定速度の巡航が得意なイメージですね。
リムに関しては27.4mmと比較的太めなため、ワイドタイヤとの相性も良く、タイヤがヨレないことでグリップ性能を十分に発揮できると思います。コーナーリングでも不安なく鋭角に侵入できるのはこのワイドリムのおかげだと思いますね。同時に横風への対応力も増しているのか、エアロロードに合わせても風に煽られて怖いと思うことはなかったですね。
その他、ブレーキフィーリングやハブの回転性能といった部分も、特に違和感を感じることはありませんね。1つでも懸念事項があると使うのが億劫になってしまうものなので、そういった細かい部分も大事だと思います。
またチューブレスレディに対応しているというのは購入意欲を高めるポイントですね。将来的により良い乗り心地のタイヤシステムを試す事もできますし、面白いと思います。グラフィックも主張しずぎないブラックスタイルでどんなバイクにも合うでしょう。24万円という価格は決して高くは無いですし、最新スペックのカーボンホイールを求めている人には選択肢に入るモデルではないでしょうか。
トーケン KONAX PRO
リム:カーボンチューブレスレディクリンチャー
リムハイト:52mm
リム幅:外27.4mm、内20mm
スポーク:サピム CX-RAY ストレート
重量:1452g(前後セット)
価格:240,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
横浜駅から徒歩10分、ベイサイドエリアに店舗を構えるアウトドアスペース風魔横浜の店長。前職メッセンジャーの経験を活かし自転車業界へ。自身はロードバイクをメインに最近はレース活動にも力を入れる実走派だ。ショップはロード・MTBの2本柱で幅広い自転車遊びを提案している。物を売るだけでなくお客さんと一緒にスポーツサイクルを楽しむことを大事にし、イベント参加なども積極的に行っている。
CWレコメンドショップページ
アウトドアスペース風魔横浜 ショップHP
ウェア協力:シマノ
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.AYANO
ホイールやボトムブラケット、ヘッドパーツといったベアリングを使用した回転系パーツを得意とするTOKEN(トーケン)。今回は同社のホイールラインアップに2018モデルから登場した新作の「KONAX PRO」をピックアップ。リム、ハブ共に完全新規で設計された52mmハイトのハイエンドレーシングホイールである。
KONAX PROは同社ラインアップの中でも、”ZENITH”と呼ばれるレーシングカテゴリーの製品。同じくハイパフォーマンスホイールとして36mmハイトのVENTOUS、76mmハイトのKONAX TRIもリム高違いの新モデルとしてリリースされており、使用シーンや好みに応じて選べるラインアップとなる。
リムは外幅27.4mmとワイドリムホイールが一般的となった中でもエアロ性能を重視した広めの設計。25C以上の幅広タイヤにマッチするのはもちろんのこと、コンピューターによるCFD解析(数値流体力学)を用いてデザインされることで、横風を含めて全方向からの風に対して優れた対応力を獲得している。ニップルホール付近までボリューミーに造形され、リムにはホワイトのTOKENロゴにゴールドのモデル名、幾何学模様のブラックラインとルックスもスタイリッシュに仕上がる。
リムにはトーケンが3年の歳月をかけて開発した「CONTI-FIBER」という独自の製造テクノロジーを投入。リムの主要部分をロボットにより製造することでヒューマンエラーを防止し、カーボンファイバーの無駄な重なりを抑えるのだという。これによりカーボンの厚みを均一化し、重量と強度のバランスを最適化している。
またブレーキトラックには、ブレーキング時に発生する熱からリムの変形や破損を防ぐため高耐熱性エポキシ樹脂を使用。カーボンリムでも確実な制動力を発揮する他、専用設計のブレーキパッドを使用することでより効果的に温度上昇を防ぎ、ダウンヒルでも安心してブレーキを多用できる性能を獲得している。
スポークはサピムのCX-RAYを採用。他の大手ホイールブランドもトップモデルに使用する名品であり、高いスポークテンションがかけられるため、高剛性なホイールに仕上げる事が可能となる。フロントホイールは18本のスポークをラジアル組。リアホイールは半ドライブ側を7本でラジアル組。ドライブ側を14本で2クロス組と左右のスポーク数を2:1にすることでテンションの左右差を均一化させている。
ハブはCNC切削により作られる新型の「Z1」ハブを採用。軍事産業にも使用される高精度5軸CNCマシンを使用することで、強度の高い精巧な仕上がりを見せる。また従来品に比べフランジ幅も広げることで横剛性向上に一役買っている。
ベアリングは標準的なステンレスボールの内、1つだけをワンサイズ小さいセラミックボールに変更した、独自の「TFT(Token Free-Speed Technology)」システムを採用。これによりベアリング内のグリスが適度に混ざり合い、良好な回転性能維持に寄与している。回転系パーツに強いトーケンならではのテクノロジーと言えるだろう。
重量は52mmハイトながら前後セットで1452gと、カーボンクリンチャーらしい軽量値をマーク。リムはクリンチャー/チューブレスレディ両対応で、クイックリリースレバーとブレーキパッドが付属する。価格は240,000円(税抜)だ。それでは、インプレッションに移ろう。
― インプレッション
「向かい風でも加速感のある優れたエアロ性能」高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
まずリムハイト52mmとディープリム設計だけにエアロ効果は非常に高いと感じました。特に今回セットしたサーヴェロS3とのマッチングは高く、両者の高い空力性能が相まって伸びやかな加速感を生み出しますね。向かい風でもその印象は変わらなかったので、風を切り裂くようなエアロダイナミクスが特徴的ですね。
ホイール全体の剛性も必要十分あるので、一定の速度からアタックを掛けても反応してくれます。逆にじわじわと巡航スピードを上げていくような動きにはエアロ効果が上手く働くので、平均スピードを上げる走り方にも対応できます。どちらかと言うと、一定速度の巡航が得意なイメージですね。
リムに関しては27.4mmと比較的太めなため、ワイドタイヤとの相性も良く、タイヤがヨレないことでグリップ性能を十分に発揮できると思います。コーナーリングでも不安なく鋭角に侵入できるのはこのワイドリムのおかげだと思いますね。同時に横風への対応力も増しているのか、エアロロードに合わせても風に煽られて怖いと思うことはなかったですね。
その他、ブレーキフィーリングやハブの回転性能といった部分も、特に違和感を感じることはありませんね。1つでも懸念事項があると使うのが億劫になってしまうものなので、そういった細かい部分も大事だと思います。
またチューブレスレディに対応しているというのは購入意欲を高めるポイントですね。将来的により良い乗り心地のタイヤシステムを試す事もできますし、面白いと思います。グラフィックも主張しずぎないブラックスタイルでどんなバイクにも合うでしょう。24万円という価格は決して高くは無いですし、最新スペックのカーボンホイールを求めている人には選択肢に入るモデルではないでしょうか。
トーケン KONAX PRO
リム:カーボンチューブレスレディクリンチャー
リムハイト:52mm
リム幅:外27.4mm、内20mm
スポーク:サピム CX-RAY ストレート
重量:1452g(前後セット)
価格:240,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
高木友明(アウトドアスペース風魔横浜)
横浜駅から徒歩10分、ベイサイドエリアに店舗を構えるアウトドアスペース風魔横浜の店長。前職メッセンジャーの経験を活かし自転車業界へ。自身はロードバイクをメインに最近はレース活動にも力を入れる実走派だ。ショップはロード・MTBの2本柱で幅広い自転車遊びを提案している。物を売るだけでなくお客さんと一緒にスポーツサイクルを楽しむことを大事にし、イベント参加なども積極的に行っている。
CWレコメンドショップページ
アウトドアスペース風魔横浜 ショップHP
ウェア協力:シマノ
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.AYANO
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