2018/03/07(水) - 10:46
レース終盤の3級山岳で3名がアタック。集団を38秒差で振り切ったルイスレオン・サンチェス、レミ・ディグレゴリオ、ジョナサン・イヴェールがスプリントを繰り広げ、イヴェールが勝利するとともにサンチェスが総合首位に立った。
ブールジュの街をスタートしていく選手たち photo:A.S.O.
最大7分以上のリードを得たジェイロバート・トムソン(南アフリカ、ディメンションデータ)、ファビアン・グレリエ(フランス、ディレクトエネルジー)、プシェメスワフ・カスペルケヴィッチ(ポーランド、デルコ・マルセイユプロヴァンス) photo:A.S.O.
レース序盤から逃げたファビアン・グレリエ(フランス、ディレクトエネルジー)ら3名 photo:A.S.O.
パリ〜ニース2018第3ステージ photo:A.S.O.ブールジュからシャテル=ギヨンまで、今大会最長の210kmコースで行われたパリ〜ニース第3ステージ。3つの3級山岳が後半に詰め込まれた中級山岳ステージの獲得標高差は2,700m。総合狙いのオールラウンダーたちがアタックを仕掛けるハイスピードなレース進行によって、ピュアスプリンターたちにとってはハードな展開となった。
スタートとともにアタックしたジェイロバート・トムソン(南アフリカ、ディメンションデータ)、ファビアン・グレリエ(フランス、ディレクトエネルジー)、プシェメスワフ・カスペルケヴィッチ(ポーランド、デルコ・マルセイユプロヴァンス)の3名は、ステージ距離が長いこともあり、80km地点で7分35秒もの大きなリードを得る。後半の山岳地帯に入るとロット・スーダルやグルパマFDJの集団牽引によってタイム差が縮小するとともに、逃げトリオの中でも脚の差が出始める。2つの3級山岳を先頭通過したグレリエがやがて先頭で独走を開始した。
1年前にステージ優勝を飾っているサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)と、前日の第2ステージ4位のフィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)はレース中盤にリタイア。同じく体調不良のアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)は常に集団後方での走行を強いられ、やがて集団から脱落している(ステージ最下位フィニッシュ)。
ロット・スーダルとグルパマFDJがコントロールするメイン集団 photo:A.S.O.
引き続きパリ〜ニースはフランス中部を南下する photo:A.S.O.
マイヨジョーヌを着て走るアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) photo:A.S.O.
単独で逃げ続けた先頭グレリエだったが、ロット・スーダルとグルパマFDJが率いるメイン集団によって残り35km地点で吸収。そこから残り30km地点で一旦フィニッシュラインを通過し、最後の3級山岳シャルボニエール峠(全長4.6km/平均4.7%)に突入する。登りが始まるとクイックステップフロアーズとアスタナが先頭でペースアップを開始した。
この3級山岳シャルボニエール峠で、前日のステージ優勝者ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)やナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)らスプリンターたちが次々に脱落。ハイペースで進む集団の中では、総合優勝候補の一角ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)がパンクでストップ。チームメイトからホイールを受け取ったプールスは集団復帰を急いだ。
集団先頭では、ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)に発射される形でジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)がアタック。この加速に唯一対応できたのはティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)。後方の集団は細分化され、粘っていたアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)は遅れてしまう。
先行するアラフィリップとウェレンスにはヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)がカウンターアタックで追いつき、葉の落ちた寒々しい3級山岳の頂上を通過していく。頂上通過後も登りは続き、2km先のスプリントポイントに向かう緩斜面で先頭3名(アラフィリップ、ウェレンス、フルサング)に続々と選手が合流。やがて多くの総合有力選手を含む15名ほどの追走グループも追いついた。
3級山岳でアタックするジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)とティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル) photo:A.S.O.
先行するジョナサン・イヴェール(フランス、ディレクトエネルジー)ら3名 photo:A.S.O.
フィニッシュまで20kmを残した時点で、マイヨジョーヌのデマールを含む大集団は約20名の先頭グループから1分遅れ。第1ステージの落車によって1分38秒のタイムを失っているフルサングが先頭で果敢にアタックを繰り返したが決まらない。すると、最後のスプリントポイント通過後にレミ・ディグレゴリオ(フランス、デルコ・マルセイユプロヴァンス)が抜け出し、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)とジョナサン・イヴェール(フランス、ディレクトエネルジー)が追いついた。
協調体制を築いた比較的フレッシュな先頭3名に対し、積極的にペースを作るチームを欠く追走グループはペースが上がらなかった。総合首位デマールやアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)、パンクで遅れていたプールスを含む大きな集団が残り8km地点で追走グループに合流。先頭3名を、50秒前後の差で70名の集団が追いかける展開に変わる。ロット・スーダルを中心にした追撃が組織されたが、時すでに遅かった。
リードを築いたままフィニッシュに近づき、ステージ優勝が濃厚になった先頭3名。スプリントに持ち込みたくないディグレゴリオの数回に及ぶアタックは決まらず、最終的に3名によるスプリント勝負になる。総合ジャンプアップのために前を引き続けたサンチェスのスリップストリームから脱したイヴェールが、悠々とスプリント勝利を飾った。38秒遅れの集団はデマールを先頭にフィニッシュしている。
3名によるスプリントに勝利したジョナサン・イヴェール(フランス、ディレクトエネルジー) photo:A.S.O.
イヴェールはクレディアグリコルやスキル・シマノ、ソール・ソジャサン、ベルキン、フォルトゥネオを経て2017年からディレクトエネルジーに所属する32歳。これまでツール・ド・ロマンディやブエルタ・ア・アンダルシアでステージ優勝を飾っており、今シーズンはツール・デュ・オー・ヴァルで全2ステージ優勝&総合優勝を果たしている。「決して作戦通りの勝利というわけではなく、アタックに反応すればチャンスが生まれると思っていた。長年にわたって両膝の故障に悩まされていたけど、リハビリに時間がかかることを承知の上で手術を受けて今は完治。そのおかげでトップコンディションに戻ることができたんだ。リリアン・カルメジャーヌの調子も良いので、ディレクトエネルジーとしてこの先も成績を残せると思う」と、チームにシーズン6勝目をもたらしたイヴェールは語る。
そしてマイヨジョーヌはステージ4位デマールからステージ2位サンチェスの手に。2009年にパリ〜ニースで総合優勝を飾っている34歳サンチェスは、落車によって総合争いから脱落したフルサングに代わってアスタナの総合エースを担う存在だ。「今日のフィニッシュは自分向きだった。終盤に3級山岳が登場するレイアウトは完璧に自分向き。もちろんステージ優勝を狙っていたけど、マイヨジョーヌも悪くない。しっかりリカバリーして明日のタイムトライアルで首位を守りたいと思う。パリ〜ニースの総合争いは明日開幕する。総合争いは最終日までもつれるだろう。特にウェレンスやアラフィリップ、プールスが危険な存在だと思う」と新リーダーは語っている。
翌日はサンテティエンヌ郊外を舞台にした18.4kmの個人タイムトライアル。高低差280mほどの登りを含むコースで総合成績にシャッフルがかかるだろう。
表彰台に上がるトマ・ヴォクレールとベルナール・イノー photo:A.S.O.
ステージ優勝を飾ったジョナサン・イヴェール(フランス、ディレクトエネルジー) photo:A.S.O.
総合首位に立ったルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) photo:A.S.O.
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スタートとともにアタックしたジェイロバート・トムソン(南アフリカ、ディメンションデータ)、ファビアン・グレリエ(フランス、ディレクトエネルジー)、プシェメスワフ・カスペルケヴィッチ(ポーランド、デルコ・マルセイユプロヴァンス)の3名は、ステージ距離が長いこともあり、80km地点で7分35秒もの大きなリードを得る。後半の山岳地帯に入るとロット・スーダルやグルパマFDJの集団牽引によってタイム差が縮小するとともに、逃げトリオの中でも脚の差が出始める。2つの3級山岳を先頭通過したグレリエがやがて先頭で独走を開始した。
1年前にステージ優勝を飾っているサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)と、前日の第2ステージ4位のフィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)はレース中盤にリタイア。同じく体調不良のアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)は常に集団後方での走行を強いられ、やがて集団から脱落している(ステージ最下位フィニッシュ)。
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単独で逃げ続けた先頭グレリエだったが、ロット・スーダルとグルパマFDJが率いるメイン集団によって残り35km地点で吸収。そこから残り30km地点で一旦フィニッシュラインを通過し、最後の3級山岳シャルボニエール峠(全長4.6km/平均4.7%)に突入する。登りが始まるとクイックステップフロアーズとアスタナが先頭でペースアップを開始した。
この3級山岳シャルボニエール峠で、前日のステージ優勝者ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)やナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)らスプリンターたちが次々に脱落。ハイペースで進む集団の中では、総合優勝候補の一角ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)がパンクでストップ。チームメイトからホイールを受け取ったプールスは集団復帰を急いだ。
集団先頭では、ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)に発射される形でジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)がアタック。この加速に唯一対応できたのはティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・スーダル)。後方の集団は細分化され、粘っていたアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)は遅れてしまう。
先行するアラフィリップとウェレンスにはヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)がカウンターアタックで追いつき、葉の落ちた寒々しい3級山岳の頂上を通過していく。頂上通過後も登りは続き、2km先のスプリントポイントに向かう緩斜面で先頭3名(アラフィリップ、ウェレンス、フルサング)に続々と選手が合流。やがて多くの総合有力選手を含む15名ほどの追走グループも追いついた。
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協調体制を築いた比較的フレッシュな先頭3名に対し、積極的にペースを作るチームを欠く追走グループはペースが上がらなかった。総合首位デマールやアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)、パンクで遅れていたプールスを含む大きな集団が残り8km地点で追走グループに合流。先頭3名を、50秒前後の差で70名の集団が追いかける展開に変わる。ロット・スーダルを中心にした追撃が組織されたが、時すでに遅かった。
リードを築いたままフィニッシュに近づき、ステージ優勝が濃厚になった先頭3名。スプリントに持ち込みたくないディグレゴリオの数回に及ぶアタックは決まらず、最終的に3名によるスプリント勝負になる。総合ジャンプアップのために前を引き続けたサンチェスのスリップストリームから脱したイヴェールが、悠々とスプリント勝利を飾った。38秒遅れの集団はデマールを先頭にフィニッシュしている。
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イヴェールはクレディアグリコルやスキル・シマノ、ソール・ソジャサン、ベルキン、フォルトゥネオを経て2017年からディレクトエネルジーに所属する32歳。これまでツール・ド・ロマンディやブエルタ・ア・アンダルシアでステージ優勝を飾っており、今シーズンはツール・デュ・オー・ヴァルで全2ステージ優勝&総合優勝を果たしている。「決して作戦通りの勝利というわけではなく、アタックに反応すればチャンスが生まれると思っていた。長年にわたって両膝の故障に悩まされていたけど、リハビリに時間がかかることを承知の上で手術を受けて今は完治。そのおかげでトップコンディションに戻ることができたんだ。リリアン・カルメジャーヌの調子も良いので、ディレクトエネルジーとしてこの先も成績を残せると思う」と、チームにシーズン6勝目をもたらしたイヴェールは語る。
そしてマイヨジョーヌはステージ4位デマールからステージ2位サンチェスの手に。2009年にパリ〜ニースで総合優勝を飾っている34歳サンチェスは、落車によって総合争いから脱落したフルサングに代わってアスタナの総合エースを担う存在だ。「今日のフィニッシュは自分向きだった。終盤に3級山岳が登場するレイアウトは完璧に自分向き。もちろんステージ優勝を狙っていたけど、マイヨジョーヌも悪くない。しっかりリカバリーして明日のタイムトライアルで首位を守りたいと思う。パリ〜ニースの総合争いは明日開幕する。総合争いは最終日までもつれるだろう。特にウェレンスやアラフィリップ、プールスが危険な存在だと思う」と新リーダーは語っている。
翌日はサンテティエンヌ郊外を舞台にした18.4kmの個人タイムトライアル。高低差280mほどの登りを含むコースで総合成績にシャッフルがかかるだろう。
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パリ〜ニース2018第3ステージ結果
個人総合成績
ポイント賞
1位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 31pts |
2位 | マイク・テウニッセン(オランダ、サンウェブ) | 17pts |
3位 | ジョナサン・イヴェール(フランス、ディレクトエネルジー) | 16pts |
山岳賞
1位 | ピエールリュック・ペリション(フランス、フォルトゥネオ・サムシック) | 8pts |
2位 | ファビアン・グレリエ(フランス、ディレクトエネルジー) | 8pts |
3位 | アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) | 4pts |
ヤングライダー賞
チーム総合成績
1位 | バーレーン・メリダ | 40:07:55 |
2位 | ディレクトエネルジー | 0:00:01 |
3位 | ミッチェルトン・スコット | 0:00:02 |