2018/03/07(水) - 09:15
アメリカンヘルメットブランド、ジロより新型のエアロロードヘルメット「VANQUISH MIPS」をテスト。徹底的な風洞実験を経て決定されたショートテールデザインと効率的なエアフローにより、高いエアロダイナミクスと通気性を両立したハイエンドモデルを紹介しよう。
1985年に創業したアメリカの自転車ヘルメットブランド、ジロ。確かな機能性や安全性はもちろんのこと、洗練されたデザインで多くのサイクリストから支持を受けるブランドである。過去にはグレッグ・レモンやランス・アームストロング、アルベルト・コンタドールなど、多くのレジェンド級選手が使用してきた実績を持ち、今シーズンもBMCレーシングが同社のヘルメットサポートを受ける。
今回インプレッションを行ったエアロロードヘルメット「VANQUISH MIPS」は昨年のツール・ド・フランスからレースに投入されたジロのニューモデル。風洞実験を繰り返すことで決定されたセミエアロなシェル形状とバイザーを含めたトータルシステムでエアロダイナミクスを追求。その上でベンチレーションホールを効果的に配置し、優れた通気性も確保したジロの意欲作である。
シェルデザインにはタイムトライアル用のロングテールヘルメットの後端を切り落としたカムテール形状を採用。あらゆる方向からの風に対して優れた整流効果を生み出しつつ、軽量化にも貢献する。加えてアウターシェルの後部にかけて”クリフ(崖)”と呼ばれる段差を意図的に設けることで、さらに空気抵抗を低減させる効果も獲得している。
高性能レンズで名高いツァイス製のエアロシールドを標準装備する点も同ヘルメットの大きな特徴。同社のTTヘルメットAEROHEADで培ったテクノロジーを元に、サイドまで回り込むバイザー形状とすることで空力性能向上に一役買っている。シールドはマグネットにて固定され容易な着脱を可能とするとともに、不要なシーンでは外してシェル部分に留めておける設計だ。使用されるVividレンズはコントラストを明快にし、より鮮明な視界と広い視野を提供してくれる。
各種エアロテクノロジーを随所に盛り込んだ同ヘルメットは、バイザー使用時のテストデータによると、400wの出力で40kmのタイムトライアルをした場合、前作のAIR ATTACK SHIELDよりも7秒速く、オールラウンドモデルのSYNTHE MIPSからは30秒速く走れることが証明されている。
通気口となる開口部は前部に4つ、後部に6つとエアロモデルらしく数を抑えた作りに。前方に大きく開けられたベンチレーションホールから風を取り込み、内部のエアチャネルを経て効率的に後部まで空気が通り抜ける優れたエアフローを実現することで、エアロヘルメットながら高い通気性を実現している。ジロのテストによればAIR ATTACK SHIELDよりも6.61%涼しく、オールラウンドモデルのSYNTHE MIPSと比べてもその差は僅か0.87%に抑えられているのだという。
加えて頭部への衝撃をいなし安全性を高める多方向衝撃保護システムMIPSを標準搭載。落車時の脳へのダメージを軽減するのはもちろんのこと、ジロ独自のフィッティングシステム「RocLoc Air fit」を統合したインテグレーテッドMIPSとなっており、通気性を損なうことなく快適な被り心地を実現している。
国内販売品は日本人の頭に合わせた横幅が広めなワイドフィット(WF)デザインを採用。カラーは6色展開でM(55~59cm)、L(59~63cm)の2サイズが揃う。価格は36,000円(税抜)で、取り扱いはダイアテックだ。
― 編集部インプレッション
まず顕著に感じられるのは前方の開口部から積極的に風を取り込む通気性だ。エアロヘルメットとしてベンチレーションホールが必要最低限に抑えられているものの、たった4つの開口部で十分なほどに冷却効果が備わっている。前面の4つの開口部は、そのまま内部のチャネルを通じて後方の同じく4つのホールに繋がっているため、後頭部から風が抜けるのではなく、頭頂部付近から排熱される印象だ。4方向に向かって排気が分散されるため空気の”抜け”感は体感しづらいが、前方のホール部分は冬場だと寒いほどに風当たりを感じるためシーズン問わず使える通気性に仕上がっている。
専用設計のシールドも秀逸な仕上がりを見せる。空気の抜けを考慮した構造によりレンズ内にも風が流れる感覚があり、熱がこもったりレンズが曇ったりといった問題が解消されている。広い範囲を覆うシールド形状によりサイドの風の流れもスムーズ、かつ冷たい風や飛んでくる虫をシャットアウトできる点も嬉しいところ。さらにミラーレンズにありがちな、青や赤っぽく風景が見えるようなこともなく非常にナチュラルな視界が広がる。風景の陰影がよりハッキリ映る見え方でツァイス製レンズの高性能さを感じられた。
シールドの着脱も非常に容易で、マグネットも小型ながらバチッと強力に固定されるためライド中に落ちる心配はない。顔とのスペースを考えるとメガネとの併用は難しそうだ。また編集部内で試したところ、レンズの端が頬に当たる人と当たらない人に分かれた。その点は頭部の形状により個人差があるようだ。またシールドが不要な場合は反対向きに装着しておけるが、そうするとどうしても頭部に重さを感じてしまうので、休憩時など一時的にシールドを外す使い方に留めておきたいと感じた。
被り心地はワイドフィットということもあり、どこかが狭くて当たってしまうということは全くない。フィッティングシステムと一体化したMIPS構造により、違和感のない装着感となっている。カブトのような丸型とは言わないが、タマゴ型の内部形状で幅広いライダーにマッチするだろう。ただ、比較的頭の小さな筆者だとMサイズでフィッティングダイヤルを回し切ってしまった。ジュニアや女性は一度合わせてみることをオススメしたい(CW編集部:村田悠人)。
ジロ VANQUISH MIPS WF
シェル:EPS liner with progressive layering
フィッティングシステム:Roc Loc® Air MIPS
サイズ:M(55~59cm)、L(59~63cm)
カラー:Matte Black、Matte Glacier、Matte Grey Firechrome、Matte Dazzle、Red/Black、Matte White
価 格:36,000円(税抜)
1985年に創業したアメリカの自転車ヘルメットブランド、ジロ。確かな機能性や安全性はもちろんのこと、洗練されたデザインで多くのサイクリストから支持を受けるブランドである。過去にはグレッグ・レモンやランス・アームストロング、アルベルト・コンタドールなど、多くのレジェンド級選手が使用してきた実績を持ち、今シーズンもBMCレーシングが同社のヘルメットサポートを受ける。
今回インプレッションを行ったエアロロードヘルメット「VANQUISH MIPS」は昨年のツール・ド・フランスからレースに投入されたジロのニューモデル。風洞実験を繰り返すことで決定されたセミエアロなシェル形状とバイザーを含めたトータルシステムでエアロダイナミクスを追求。その上でベンチレーションホールを効果的に配置し、優れた通気性も確保したジロの意欲作である。
シェルデザインにはタイムトライアル用のロングテールヘルメットの後端を切り落としたカムテール形状を採用。あらゆる方向からの風に対して優れた整流効果を生み出しつつ、軽量化にも貢献する。加えてアウターシェルの後部にかけて”クリフ(崖)”と呼ばれる段差を意図的に設けることで、さらに空気抵抗を低減させる効果も獲得している。
高性能レンズで名高いツァイス製のエアロシールドを標準装備する点も同ヘルメットの大きな特徴。同社のTTヘルメットAEROHEADで培ったテクノロジーを元に、サイドまで回り込むバイザー形状とすることで空力性能向上に一役買っている。シールドはマグネットにて固定され容易な着脱を可能とするとともに、不要なシーンでは外してシェル部分に留めておける設計だ。使用されるVividレンズはコントラストを明快にし、より鮮明な視界と広い視野を提供してくれる。
各種エアロテクノロジーを随所に盛り込んだ同ヘルメットは、バイザー使用時のテストデータによると、400wの出力で40kmのタイムトライアルをした場合、前作のAIR ATTACK SHIELDよりも7秒速く、オールラウンドモデルのSYNTHE MIPSからは30秒速く走れることが証明されている。
通気口となる開口部は前部に4つ、後部に6つとエアロモデルらしく数を抑えた作りに。前方に大きく開けられたベンチレーションホールから風を取り込み、内部のエアチャネルを経て効率的に後部まで空気が通り抜ける優れたエアフローを実現することで、エアロヘルメットながら高い通気性を実現している。ジロのテストによればAIR ATTACK SHIELDよりも6.61%涼しく、オールラウンドモデルのSYNTHE MIPSと比べてもその差は僅か0.87%に抑えられているのだという。
加えて頭部への衝撃をいなし安全性を高める多方向衝撃保護システムMIPSを標準搭載。落車時の脳へのダメージを軽減するのはもちろんのこと、ジロ独自のフィッティングシステム「RocLoc Air fit」を統合したインテグレーテッドMIPSとなっており、通気性を損なうことなく快適な被り心地を実現している。
国内販売品は日本人の頭に合わせた横幅が広めなワイドフィット(WF)デザインを採用。カラーは6色展開でM(55~59cm)、L(59~63cm)の2サイズが揃う。価格は36,000円(税抜)で、取り扱いはダイアテックだ。
― 編集部インプレッション
まず顕著に感じられるのは前方の開口部から積極的に風を取り込む通気性だ。エアロヘルメットとしてベンチレーションホールが必要最低限に抑えられているものの、たった4つの開口部で十分なほどに冷却効果が備わっている。前面の4つの開口部は、そのまま内部のチャネルを通じて後方の同じく4つのホールに繋がっているため、後頭部から風が抜けるのではなく、頭頂部付近から排熱される印象だ。4方向に向かって排気が分散されるため空気の”抜け”感は体感しづらいが、前方のホール部分は冬場だと寒いほどに風当たりを感じるためシーズン問わず使える通気性に仕上がっている。
専用設計のシールドも秀逸な仕上がりを見せる。空気の抜けを考慮した構造によりレンズ内にも風が流れる感覚があり、熱がこもったりレンズが曇ったりといった問題が解消されている。広い範囲を覆うシールド形状によりサイドの風の流れもスムーズ、かつ冷たい風や飛んでくる虫をシャットアウトできる点も嬉しいところ。さらにミラーレンズにありがちな、青や赤っぽく風景が見えるようなこともなく非常にナチュラルな視界が広がる。風景の陰影がよりハッキリ映る見え方でツァイス製レンズの高性能さを感じられた。
シールドの着脱も非常に容易で、マグネットも小型ながらバチッと強力に固定されるためライド中に落ちる心配はない。顔とのスペースを考えるとメガネとの併用は難しそうだ。また編集部内で試したところ、レンズの端が頬に当たる人と当たらない人に分かれた。その点は頭部の形状により個人差があるようだ。またシールドが不要な場合は反対向きに装着しておけるが、そうするとどうしても頭部に重さを感じてしまうので、休憩時など一時的にシールドを外す使い方に留めておきたいと感じた。
被り心地はワイドフィットということもあり、どこかが狭くて当たってしまうということは全くない。フィッティングシステムと一体化したMIPS構造により、違和感のない装着感となっている。カブトのような丸型とは言わないが、タマゴ型の内部形状で幅広いライダーにマッチするだろう。ただ、比較的頭の小さな筆者だとMサイズでフィッティングダイヤルを回し切ってしまった。ジュニアや女性は一度合わせてみることをオススメしたい(CW編集部:村田悠人)。
ジロ VANQUISH MIPS WF
シェル:EPS liner with progressive layering
フィッティングシステム:Roc Loc® Air MIPS
サイズ:M(55~59cm)、L(59~63cm)
カラー:Matte Black、Matte Glacier、Matte Grey Firechrome、Matte Dazzle、Red/Black、Matte White
価 格:36,000円(税抜)
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