2018/02/26(月) - 10:10
標高1,025mの岩山ジュベルハフィートに向かうアブダビツアー最大の難所でアレハンドロ・バルベルデがアタック。ミゲルアンヘル・ロペスとの一騎打ちを制したバルベルデがステージ優勝と総合優勝を果たした。
5日間にわたって開催されたアブダビツアーを締めくくるのは、大会唯一の山岳であるジュベルハフィートの山頂フィニッシュ。起伏の少ない半島の真ん中に位置する標高1,025mの岩山に向かって、平均勾配6.6%の登りが10.8kmにわたって続く。前半は8%前後の勾配が続き、残り3km地点で勾配が11%に達する難所だ。
スタートとともに形成されたのはスプリント賞ジャージを着るニコライ・トルソーフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)やアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)、マティアス・ブランドル(オーストリア、トレック・セガフレード)を含む9名の逃げグループ。レース開始から1時間が経過したところでタイム差は最大10分38秒をマークした。2つのスプリントポイントで合計13ポイントを獲得したトルソーフはスプリント賞トップの座を固めている。
アスタナが率いるメイン集団は徐々にスピードを上げ、残り50km地点でタイム差は6分50秒。モビスターやUAEチームエミレーツも集団牽引に加わり、逃げグループとタイム差2分でジュベルハフィートの麓に到着する。アブダビツアーの総合が決まる10.8kmの登坂が始まった。
ジュベルハフィートで逃げグループはグライペルとローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)の3名に絞られ、やがてクラドックが単独先頭」に。アスタナのペースメイクによって淡々とタイム差が縮まりつつある中、残り7km地点でメイン集団から最初に仕掛けたのはキャノンデール・ドラパックから移籍したダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)だった。
逃げていたクラドックを抜き去ったフォルモロにアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が反応した一方で、レッドジャージを着るローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が早くもレッドゾーンを迎えて遅れてしまう。ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)とミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)が先頭2名に追いつき、遅れてラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)、ニクラス・イーグ(デンマーク、トレック・セガフレード)も合流。こうして7名の先頭グループが形成されると、頂上まで4kmを残してロペスがアタックした。
先頭で活発な登坂バトルが繰り広げられる中、トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)は前日のスローパンクに続いてこの日は前輪の故障でストップ。2日連続のメカトラでデュムランは完全に総合争いから脱落している。
先頭ロペスに単独で追いついたのは、軽快なアタックでライバルたちを振り払ったバルベルデだった。出遅れたアラフィリップとケルデルマン、マイカの3名が懸命に追いかけたが、バルベルデとロペスがリードを20秒に広げた状態で残り1kmサインを駆け抜ける。最後はバルベルデとロペスのスプリント一騎打ちに持ち込まれ、バルベルデが悠々とフィニッシュラインで手を挙げた。下り区間も登場するラスト3kmをバルベルデは6分13秒、平均出力404W、1分間最大556Wで踏み、最終スプリントで21秒間662Wを出力して勝利している。ジュベルハフィート全体の登坂タイムは26分09秒。VAM(平均登坂速度)は1,636mだった。
「今日はロペスがキープレイヤーになると思っていた。彼はまだ若くてとても才能に溢れた選手であり、彼と走ることが総合優勝につながると思っていたんだ」と、若きコロンビアンクライマーとの登坂勝負を制したバルベルデは語る。「ジュベルハフィートは自分向きの登りだったので、そのアドバンテージを最大限生かしたかった。先週金曜日にアブダビ入りしてから、土曜日にジュベルハフィートを1回試走して、月曜日と火曜日にも2回ずつ試走。この気候にも慣れ、準備万端で勝負に挑んだ。どこでアタックすべきかもわかっていたし、昨日のタイムトライアルの走りが栄冠につながった」。
クイーンステージでの勝利によりアブダビツアー総合優勝を射止めた37歳のバルベルデ。今シーズンすでにブエルタ・ア・アンダルシアでステージ2勝&総合優勝を飾っており、これがシーズン5勝目だ。「UCIワールドツアーレースでの勝利はいつだって嬉しい。チームとしてシーズン序盤から好成績を残すことができている。来るシーズンに向けての自信につながるよ」と語るバルベルデの次戦は3月19日開幕のボルタ・ア・カタルーニャの予定。
バルベルデとの一騎打ちに敗れたロペスは総合3位フィニッシュ。「総合表彰台とヤングライダー賞は良いリザルトだと思う。チーム一丸となってトライして掴んだ結果。バルベルデは偉大なチャンピオンであり、彼と一緒に頂上まで登りきったことはある種の偉業だと思っている。彼をスプリントで破ることなんて不可能だった」と語る24歳はジロ・デ・イタリアでアスタナのエースを担う。
アラフィリップとマイカとともにタイムロスを15秒に抑えてジュベルハフィート頂上にたどり着いたケルデルマンが総合2位。「残念ながらトム・デュムランは前輪にトラブルを抱えてバイク交換しなければならなかった。最後までペースを保つことができた自分のパフォーマンスには満足している。バルベルデは毎年強くなっているアメージングな選手だ」とケルデルマンは語る。総合優勝には17秒届かなかったが、しっかりとデュムランの代役を勤め上げた。
赤いリーダージャージを着るデニスは、終始ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)らにエスコートされながら1分43秒遅れでフィニッシュしている。総合9位でレースを終えたデニスは「タイムロスを最小限に抑え込む作戦だったけど、ライバルたちのペースが速すぎた。5月のジロ・デ・イタリアに向けて現状を確認する良い機会になったし、準備が大きく遅れているわけじゃない。TTは問題ないので、これからパワーを維持しながら体重を落として登坂力を強化したい」とコメント。デニスはリッチー・ポート(オーストラリア)とともにティレーノ〜アドリアティコに出場する。
また、2017年12月のトレーニングキャンプ中にチームの許可を得ていない睡眠薬を使用したとして2ヶ月間の出場停止処分を受けた23歳のアントワン・トルホーク(オランダ)がステージ10位に入り、ヤングライダー賞2位でレースを終えた。トルホークらに睡眠薬を提供したとして解雇処分を受けたフアンホセ・ロバト(スペイン)はNIPPOヴィーニファンティーニに加入することが2月23日に発表されている。
5日間にわたって開催されたアブダビツアーを締めくくるのは、大会唯一の山岳であるジュベルハフィートの山頂フィニッシュ。起伏の少ない半島の真ん中に位置する標高1,025mの岩山に向かって、平均勾配6.6%の登りが10.8kmにわたって続く。前半は8%前後の勾配が続き、残り3km地点で勾配が11%に達する難所だ。
スタートとともに形成されたのはスプリント賞ジャージを着るニコライ・トルソーフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)やアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)、マティアス・ブランドル(オーストリア、トレック・セガフレード)を含む9名の逃げグループ。レース開始から1時間が経過したところでタイム差は最大10分38秒をマークした。2つのスプリントポイントで合計13ポイントを獲得したトルソーフはスプリント賞トップの座を固めている。
アスタナが率いるメイン集団は徐々にスピードを上げ、残り50km地点でタイム差は6分50秒。モビスターやUAEチームエミレーツも集団牽引に加わり、逃げグループとタイム差2分でジュベルハフィートの麓に到着する。アブダビツアーの総合が決まる10.8kmの登坂が始まった。
ジュベルハフィートで逃げグループはグライペルとローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)、ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)の3名に絞られ、やがてクラドックが単独先頭」に。アスタナのペースメイクによって淡々とタイム差が縮まりつつある中、残り7km地点でメイン集団から最初に仕掛けたのはキャノンデール・ドラパックから移籍したダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)だった。
逃げていたクラドックを抜き去ったフォルモロにアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が反応した一方で、レッドジャージを着るローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が早くもレッドゾーンを迎えて遅れてしまう。ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)とミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)が先頭2名に追いつき、遅れてラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)、ニクラス・イーグ(デンマーク、トレック・セガフレード)も合流。こうして7名の先頭グループが形成されると、頂上まで4kmを残してロペスがアタックした。
先頭で活発な登坂バトルが繰り広げられる中、トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)は前日のスローパンクに続いてこの日は前輪の故障でストップ。2日連続のメカトラでデュムランは完全に総合争いから脱落している。
先頭ロペスに単独で追いついたのは、軽快なアタックでライバルたちを振り払ったバルベルデだった。出遅れたアラフィリップとケルデルマン、マイカの3名が懸命に追いかけたが、バルベルデとロペスがリードを20秒に広げた状態で残り1kmサインを駆け抜ける。最後はバルベルデとロペスのスプリント一騎打ちに持ち込まれ、バルベルデが悠々とフィニッシュラインで手を挙げた。下り区間も登場するラスト3kmをバルベルデは6分13秒、平均出力404W、1分間最大556Wで踏み、最終スプリントで21秒間662Wを出力して勝利している。ジュベルハフィート全体の登坂タイムは26分09秒。VAM(平均登坂速度)は1,636mだった。
「今日はロペスがキープレイヤーになると思っていた。彼はまだ若くてとても才能に溢れた選手であり、彼と走ることが総合優勝につながると思っていたんだ」と、若きコロンビアンクライマーとの登坂勝負を制したバルベルデは語る。「ジュベルハフィートは自分向きの登りだったので、そのアドバンテージを最大限生かしたかった。先週金曜日にアブダビ入りしてから、土曜日にジュベルハフィートを1回試走して、月曜日と火曜日にも2回ずつ試走。この気候にも慣れ、準備万端で勝負に挑んだ。どこでアタックすべきかもわかっていたし、昨日のタイムトライアルの走りが栄冠につながった」。
クイーンステージでの勝利によりアブダビツアー総合優勝を射止めた37歳のバルベルデ。今シーズンすでにブエルタ・ア・アンダルシアでステージ2勝&総合優勝を飾っており、これがシーズン5勝目だ。「UCIワールドツアーレースでの勝利はいつだって嬉しい。チームとしてシーズン序盤から好成績を残すことができている。来るシーズンに向けての自信につながるよ」と語るバルベルデの次戦は3月19日開幕のボルタ・ア・カタルーニャの予定。
バルベルデとの一騎打ちに敗れたロペスは総合3位フィニッシュ。「総合表彰台とヤングライダー賞は良いリザルトだと思う。チーム一丸となってトライして掴んだ結果。バルベルデは偉大なチャンピオンであり、彼と一緒に頂上まで登りきったことはある種の偉業だと思っている。彼をスプリントで破ることなんて不可能だった」と語る24歳はジロ・デ・イタリアでアスタナのエースを担う。
アラフィリップとマイカとともにタイムロスを15秒に抑えてジュベルハフィート頂上にたどり着いたケルデルマンが総合2位。「残念ながらトム・デュムランは前輪にトラブルを抱えてバイク交換しなければならなかった。最後までペースを保つことができた自分のパフォーマンスには満足している。バルベルデは毎年強くなっているアメージングな選手だ」とケルデルマンは語る。総合優勝には17秒届かなかったが、しっかりとデュムランの代役を勤め上げた。
赤いリーダージャージを着るデニスは、終始ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)らにエスコートされながら1分43秒遅れでフィニッシュしている。総合9位でレースを終えたデニスは「タイムロスを最小限に抑え込む作戦だったけど、ライバルたちのペースが速すぎた。5月のジロ・デ・イタリアに向けて現状を確認する良い機会になったし、準備が大きく遅れているわけじゃない。TTは問題ないので、これからパワーを維持しながら体重を落として登坂力を強化したい」とコメント。デニスはリッチー・ポート(オーストラリア)とともにティレーノ〜アドリアティコに出場する。
また、2017年12月のトレーニングキャンプ中にチームの許可を得ていない睡眠薬を使用したとして2ヶ月間の出場停止処分を受けた23歳のアントワン・トルホーク(オランダ)がステージ10位に入り、ヤングライダー賞2位でレースを終えた。トルホークらに睡眠薬を提供したとして解雇処分を受けたフアンホセ・ロバト(スペイン)はNIPPOヴィーニファンティーニに加入することが2月23日に発表されている。
アブダビツアー2018第5ステージ
1位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 4:38:47 |
2位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | |
3位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 0:00:15 |
4位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | |
5位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | |
6位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:37 |
7位 | ニクラス・イーグ(デンマーク、トレック・セガフレード) | 0:00:47 |
8位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:00:55 |
9位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
10位 | アントワン・トルホーク(オランダ、ロットNLユンボ) | |
23位 | ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) | 0:01:43 |
25位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:02:03 |
54位 | トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) | 0:05:38 |
個人総合成績
1位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 16:00:11 |
2位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:00:17 |
3位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 0:00:29 |
4位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) | 0:00:31 |
5位 | ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:45 |
6位 | ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:13 |
7位 | ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | 0:01:18 |
8位 | ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 0:01:28 |
9位 | ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) | 0:01:29 |
10位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:01:37 |
ポイント賞
1位 | エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 46pts |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | 30pts |
3位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ) | 27pts |
ヤングライダー賞
1位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 16:00:40 |
2位 | アントワン・トルホーク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:01:39 |
3位 | ジュリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF) | 0:03:15 |
スプリント賞
1位 | ニコライ・トルソーフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) | 25pts |
2位 | ルディ・バルビエ(フランス、アージェードゥーゼール) | 16pts |
3位 | ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、バルディアーニCSF) | 10pts |
チーム総合成績
1位 | ボーラ・ハンスグローエ | 48:04:08 |
2位 | UAEチームエミレーツ | 0:00:53 |
3位 | BMCレーシング | 0:02:29 |
text:Kei Tsuji
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