2017/12/28(木) - 18:34
2017年の国内レースを3回に分けて振り返るシリーズ。まずは初山翔の山岳賞獲得に湧いた5月のツアー・オブ・ジャパンまでをプレーバック。
2月
2月6日から10日にインドのニューデリーで行われたアジア選手権のトラックレース。日本は、エリートの男子ポイントレースで倉林巧和(日本体育大学)、女子ポイントレースとオムニアムで梶原悠未(筑波大学)、エリート男子ケイリンで脇本雄太(JPCU福井)が優勝。合計25個のメダルを獲得する活躍を見せた。
ロードレースは2月25日から3月2日にかけてバーレーンで開催。新城幸也(バーレーンメリダ)、西薗良太(ブリヂストン・アンカー)、増田成幸、雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)ら6人が出場したチームタイムトライアルでは2位銀メダルを獲得。チームTTメンバーの小野寺怜(宇都宮ブリッツェン)は、U23個人タイムトライアルで優勝。同じく岡本隼(日本大学)はU23のロードレースで優勝し、金メダルを獲得した。
男子エリートのロードレースには、新城、増田、窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)、別府史之(トレック・セガフレード)が出場。最終盤の先頭集団に別府と新城が残りスプリント勝負に持ち込まれたが、別府の4位が最高位に終わり、メダルにあと一歩及ばなかった。
3月
ベトナムで開催された女子のステージレース「ビワセカップ」に、日本ナショナルチームが出場。唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が個人総合優勝を果たした。唐見は第2ステージの単独逃げ切りで優勝しリーダージャージを獲得。チームメイトのアシストを受けて最終日まで総合首位を守りきった。
3月18日、Jプロツアー宇都宮クリテリウムで国内ロードレースが開幕。集団スプリントから抜け出した吉田隼人(マトリックスパワータグ)が優勝。この勝利が、2017年マトリックスパワータグの快進撃の始まりとなった。
女子では地元チームの吉川美穂(ライブガーデンビチステンレ)が、大会3連覇を達成。吉川はスペインのチーム「ビスカヤ・ドゥランゴ」と行き来する1年となる。
翌19日は、初開催の宇都宮ロードレース。2014年までジャパンカップのコースとして使用されていた鶴カントリー前の登りをゴールとするロードレースが行われ、栃木県第2のチーム・那須ブラーゼンの吉岡直哉が「鶴の壁」を制し、自身とチームにとってのJプロツアー初優勝を挙げた。
3月31日から4月2日にかけて、新たなUCIステージレース「ツール・ド・とちぎ」が初開催された。栃木県内を舞台にした3日間のステージレースは、本州初の全ステージラインレースで構成され、国内レース開催の新たな可能性を示した大会となった。
勝負のハイライトは、茂木町から那須町に向かう第2ステージ。初日にステージ優勝してリーダージャージを着るサルバドール・グアルディオラ(チーム右京)が後方集団に取り残され、先行した13人の中でアタッキ・チームグストとキナンサイクリングチームの総合首位をかけた攻防が繰り広げられた。勝負はアタッキ・チームグストのベンジャミン・ヒルがステージ2位となってリーダージャージを獲得。ヒルはそのまま首位を守り、さらに山岳賞とポイント賞も獲得して初代王者となった。
地元チームの宇都宮ブリッツェンは、個人総合3位に鈴木譲、岡篤志が新人賞を獲得し、表彰台の一角を確保した。
4月
4月8日、9日に行われた、伝統の大会「チャレンジサイクルロードレース」では、国内有力チームが揃った男子エリート(A-E)のレースを横塚浩平(LEOMOベルマーレ)が制して優勝。女子は高校生や大学生、エリートの選手も出場するレースを、中学生の渡部春雅(GIANT港北Liv)が制した。
4月23日と24日に開催されたJプロツアー東日本ロードクラシック。初日は集団でのスプリント勝負となり、中島康晴(キナンサイクリングチーム)がJプロツアー初優勝を挙げた。2日目は終盤に単独で飛び出したホセ・ビセンテ(マトリックス・パワータグ)が逃げ切って優勝。2位に土井雪広が入り、マトリックスパワータグが1-2フィニッシュで他を圧倒した。
5月
5月13日から14日の2日間、トラックの全日本選手権とパラサイクリング選手権が、宮城県大和(たいわ)町の宮城自転車競技場で開催された。UCI規則改正により新たに設定された女子マディソンが国内初開催となり、JCFの強化指定Bチームとして出場した梶原悠未と古山稀絵が優勝。男子は一丸尚伍と近谷涼のブリヂストン・アンカーが優勝した。マディソンは2020年東京オリンピックで追加される事になり、注目度が高まる種目だ。
ツアー・オブ・ジャパン開幕直前の5月18日、宇都宮ブリッツェンの増田成幸が、バセドウ病の治療中である事を発表。国内レースを牽引するブリッツェンのエース離脱は衝撃を与えた。増田はこの後9月までレース欠場を余儀なくされた。
今年20回目の開催となるツアー・オブ・ジャパン。NIPPOヴィーニファンティーニのマルコ・カノラが、第2ステージの京都、第3ステージのいなべ、第5ステージの南信州でステージ優勝。ワールドツアーチームでも走れると言われる実力を見せつけた。
個人総合優勝争いは、第6ステージの富士山ステージを圧勝したオスカル・プジョル(チーム右京)がリーダージャージを獲得。その後の伊豆、東京ステージを守りきって2連覇を決めた。
一方で、初山翔(ブリヂストン・アンカー)が、日本人では20年ぶりとなる山岳賞を獲得。京都ステージで着た山岳賞ジャージを守るために連日逃げに乗る姿に、観客は大いに盛り上がった。
・・・その2に続く
text:Satoru Kato
2月
2月6日から10日にインドのニューデリーで行われたアジア選手権のトラックレース。日本は、エリートの男子ポイントレースで倉林巧和(日本体育大学)、女子ポイントレースとオムニアムで梶原悠未(筑波大学)、エリート男子ケイリンで脇本雄太(JPCU福井)が優勝。合計25個のメダルを獲得する活躍を見せた。
ロードレースは2月25日から3月2日にかけてバーレーンで開催。新城幸也(バーレーンメリダ)、西薗良太(ブリヂストン・アンカー)、増田成幸、雨澤毅明(宇都宮ブリッツェン)ら6人が出場したチームタイムトライアルでは2位銀メダルを獲得。チームTTメンバーの小野寺怜(宇都宮ブリッツェン)は、U23個人タイムトライアルで優勝。同じく岡本隼(日本大学)はU23のロードレースで優勝し、金メダルを獲得した。
男子エリートのロードレースには、新城、増田、窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)、別府史之(トレック・セガフレード)が出場。最終盤の先頭集団に別府と新城が残りスプリント勝負に持ち込まれたが、別府の4位が最高位に終わり、メダルにあと一歩及ばなかった。
3月
ベトナムで開催された女子のステージレース「ビワセカップ」に、日本ナショナルチームが出場。唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が個人総合優勝を果たした。唐見は第2ステージの単独逃げ切りで優勝しリーダージャージを獲得。チームメイトのアシストを受けて最終日まで総合首位を守りきった。
3月18日、Jプロツアー宇都宮クリテリウムで国内ロードレースが開幕。集団スプリントから抜け出した吉田隼人(マトリックスパワータグ)が優勝。この勝利が、2017年マトリックスパワータグの快進撃の始まりとなった。
女子では地元チームの吉川美穂(ライブガーデンビチステンレ)が、大会3連覇を達成。吉川はスペインのチーム「ビスカヤ・ドゥランゴ」と行き来する1年となる。
翌19日は、初開催の宇都宮ロードレース。2014年までジャパンカップのコースとして使用されていた鶴カントリー前の登りをゴールとするロードレースが行われ、栃木県第2のチーム・那須ブラーゼンの吉岡直哉が「鶴の壁」を制し、自身とチームにとってのJプロツアー初優勝を挙げた。
3月31日から4月2日にかけて、新たなUCIステージレース「ツール・ド・とちぎ」が初開催された。栃木県内を舞台にした3日間のステージレースは、本州初の全ステージラインレースで構成され、国内レース開催の新たな可能性を示した大会となった。
勝負のハイライトは、茂木町から那須町に向かう第2ステージ。初日にステージ優勝してリーダージャージを着るサルバドール・グアルディオラ(チーム右京)が後方集団に取り残され、先行した13人の中でアタッキ・チームグストとキナンサイクリングチームの総合首位をかけた攻防が繰り広げられた。勝負はアタッキ・チームグストのベンジャミン・ヒルがステージ2位となってリーダージャージを獲得。ヒルはそのまま首位を守り、さらに山岳賞とポイント賞も獲得して初代王者となった。
地元チームの宇都宮ブリッツェンは、個人総合3位に鈴木譲、岡篤志が新人賞を獲得し、表彰台の一角を確保した。
4月
4月8日、9日に行われた、伝統の大会「チャレンジサイクルロードレース」では、国内有力チームが揃った男子エリート(A-E)のレースを横塚浩平(LEOMOベルマーレ)が制して優勝。女子は高校生や大学生、エリートの選手も出場するレースを、中学生の渡部春雅(GIANT港北Liv)が制した。
4月23日と24日に開催されたJプロツアー東日本ロードクラシック。初日は集団でのスプリント勝負となり、中島康晴(キナンサイクリングチーム)がJプロツアー初優勝を挙げた。2日目は終盤に単独で飛び出したホセ・ビセンテ(マトリックス・パワータグ)が逃げ切って優勝。2位に土井雪広が入り、マトリックスパワータグが1-2フィニッシュで他を圧倒した。
5月
5月13日から14日の2日間、トラックの全日本選手権とパラサイクリング選手権が、宮城県大和(たいわ)町の宮城自転車競技場で開催された。UCI規則改正により新たに設定された女子マディソンが国内初開催となり、JCFの強化指定Bチームとして出場した梶原悠未と古山稀絵が優勝。男子は一丸尚伍と近谷涼のブリヂストン・アンカーが優勝した。マディソンは2020年東京オリンピックで追加される事になり、注目度が高まる種目だ。
ツアー・オブ・ジャパン開幕直前の5月18日、宇都宮ブリッツェンの増田成幸が、バセドウ病の治療中である事を発表。国内レースを牽引するブリッツェンのエース離脱は衝撃を与えた。増田はこの後9月までレース欠場を余儀なくされた。
今年20回目の開催となるツアー・オブ・ジャパン。NIPPOヴィーニファンティーニのマルコ・カノラが、第2ステージの京都、第3ステージのいなべ、第5ステージの南信州でステージ優勝。ワールドツアーチームでも走れると言われる実力を見せつけた。
個人総合優勝争いは、第6ステージの富士山ステージを圧勝したオスカル・プジョル(チーム右京)がリーダージャージを獲得。その後の伊豆、東京ステージを守りきって2連覇を決めた。
一方で、初山翔(ブリヂストン・アンカー)が、日本人では20年ぶりとなる山岳賞を獲得。京都ステージで着た山岳賞ジャージを守るために連日逃げに乗る姿に、観客は大いに盛り上がった。
・・・その2に続く
text:Satoru Kato