2017/11/26(日) - 01:12
野辺山初日の男子エリートはあちこちで激しい勝負が繰り広げられる接戦に。クリストファー・ヨンゲワールド(オーストラリア、Flanders JBlood)を交わした40歳のベテラン、エミル・ヘケレ(チェコ、Stevens Bikes Emilio Sports)が独走勝利を飾った。
白熱した女子レースの余韻が色鮮やかに残る中、14時45分にスタートした男子エリート。大会史上最も多い5カ国(日本、アメリカ、オーストラリア、カナダ、チェコ)から集った国際レースであり、クリストファー・ヨンゲワールド(オーストラリア、Flanders JBlood)のホールショットによって60分間の戦いが幕開けた。
太陽は姿を見せているものの、八ヶ岳から吹き下ろす風によって体感気温はかなり低め。路面コンディションは概ねドライ。スタート直後の第1コーナーでアンソニー・クラーク(アメリカ、Squid Bikes)が危うく落車しかけ、直後に位置した小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)は影響を受けてストップ。今期好調を維持している小坂は15番手付近から追い上げる展開を強いられた。
そんな混乱を尻目に飛び出したのは、全豪王者のクリストファー・ヨンゲワールド(オーストラリア、Flanders JBlood)だった。昨年覇者のギャリー・ミルバーン(SPEEDVAGEN X MAAP)や竹之内悠(東洋フレーム)らも遅れる中、ヨンゲワールドは一気に独走体制を築き上げる。
積極的に追走を担ったのは前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)。ここに全日本王者の沢田時(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)やミルバーン、ケヴィン・ブラッドフォード(アメリカ、SET/Coaching.com)、クラークらが合流したことで大きな追走グループが生まれた。
ナショナルチャンピオンジャージを着用するヨンゲワールドのラップタイムは6分0秒台。「(季節が逆転する)オーストラリアでのシーズンを終えて本調子ではなかったので、スタート前はナーバスだった」と言うものの、砂のシクロクロス東京では発揮できずにいたパワフルなペダリングで快調に飛ばしていく。このハイペースに後方では足切りが続出し、一気に40名がレースから除外される周回も。
しかし、そんな全豪王者に対してシクロクロス強豪国チェコからやってきた40歳のベテラン選手、エミル・ヘケレ(チェコ、Stevens Bikes Emilio Sports)が待ったをかける。2位グループから抜け出し、極めてスムーズかつ速いコーナリングでギャラリーを驚かせ続けると、レース後半にヨンゲワールドをキャッチした。
するとシケインをバニーホップで越えようとしたヨンゲワールドが落車してしまう。その脇を難なくヘケレがすり抜けて遂に先頭が交代。「後半に向けて体力を温存していた」とベテランらしい戦術を用いてトップギアに入れ替え、フィニッシュを目指して逃げ続けた。
その後方、6名の追走集団(クラーク、沢田、前田、竹之内、ミルバーン、ブラッドフォード)にも動きが生まれる。先頭を牽き続けていたクラークが舗装路でペースアップすると、竹之内のみが追従。「舗装路で少しパワーが足りていないように思った」という沢田らを引き離したクラークと竹之内が、激しく3位争いを繰り広げた。
歯を食いしばりながらも、安定した走りを貫いたヘケレが初来日初勝利を飾った。「野辺山はチェコと気候がよく似ているので走りやすかった。寒かったり、雨のコンディションが一番得意」と通訳を介して語ったヘケレ。「野辺山は素晴らしい場所だなと思った。観客も多いし、自分のレースが終わったホビーレーサーたちも温かく応援してくれたから。そんな日本のファンの前で、クリスを捉えて逃げ切るというスペクタクルな勝ち方ができて嬉しい。きっと面白いレースだったと感じてもらえたはず」。
「エミルとの差は舗装路でのパワーだったと思う。コースも僕向きだったけれど、レースから離れていたので上手く身体を合わせることができなかったが、逆にここまでできたことに満足も感じる。ウォームアップを改善すればもっと走れると思うので、明日は修正して臨みたい」と2位に甘んじたヨンゲワールドは晴れやかな表情でインタビューに応えた。
竹之内とクラークの表彰台争いは、最終周回に肩と肩をぶつけ合う激しい戦いとなった。コーナーが続く区間への競り合いに勝ったは竹之内は次のようにコメントしている。「めちゃくちゃキツかったですが、日本人として何としても表彰台に登らないといけないと思いました。彼(クラーク)も当たりが強い選手ですが、絶対気持ちで負けないと思っていったんです」。そのままリードを稼いだ竹之内が3位表彰台を射止め、クラークも「彼のライン取りはすごく上手くて、最後は気迫に負けてしまった。けれど良い勝負ができたのですごく楽しかったよ」と竹之内を評している。
また、長時間追走を強いられた小坂は終盤に5位争いのグループへと追いついた。最終周回の舗装路区間でアタックし、食らいついた沢田をロングスパートで下して5位入賞。その好調ぶりは他の日本人選手をして認めるところであり、本人も「展開的には残念でしたが、集中力も途切れず重いギアを踏み切ることができた。次に繋がる悔いのない走りだったと思います」と明日を見据えている。
白熱した女子レースの余韻が色鮮やかに残る中、14時45分にスタートした男子エリート。大会史上最も多い5カ国(日本、アメリカ、オーストラリア、カナダ、チェコ)から集った国際レースであり、クリストファー・ヨンゲワールド(オーストラリア、Flanders JBlood)のホールショットによって60分間の戦いが幕開けた。
太陽は姿を見せているものの、八ヶ岳から吹き下ろす風によって体感気温はかなり低め。路面コンディションは概ねドライ。スタート直後の第1コーナーでアンソニー・クラーク(アメリカ、Squid Bikes)が危うく落車しかけ、直後に位置した小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)は影響を受けてストップ。今期好調を維持している小坂は15番手付近から追い上げる展開を強いられた。
そんな混乱を尻目に飛び出したのは、全豪王者のクリストファー・ヨンゲワールド(オーストラリア、Flanders JBlood)だった。昨年覇者のギャリー・ミルバーン(SPEEDVAGEN X MAAP)や竹之内悠(東洋フレーム)らも遅れる中、ヨンゲワールドは一気に独走体制を築き上げる。
積極的に追走を担ったのは前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)。ここに全日本王者の沢田時(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)やミルバーン、ケヴィン・ブラッドフォード(アメリカ、SET/Coaching.com)、クラークらが合流したことで大きな追走グループが生まれた。
ナショナルチャンピオンジャージを着用するヨンゲワールドのラップタイムは6分0秒台。「(季節が逆転する)オーストラリアでのシーズンを終えて本調子ではなかったので、スタート前はナーバスだった」と言うものの、砂のシクロクロス東京では発揮できずにいたパワフルなペダリングで快調に飛ばしていく。このハイペースに後方では足切りが続出し、一気に40名がレースから除外される周回も。
しかし、そんな全豪王者に対してシクロクロス強豪国チェコからやってきた40歳のベテラン選手、エミル・ヘケレ(チェコ、Stevens Bikes Emilio Sports)が待ったをかける。2位グループから抜け出し、極めてスムーズかつ速いコーナリングでギャラリーを驚かせ続けると、レース後半にヨンゲワールドをキャッチした。
するとシケインをバニーホップで越えようとしたヨンゲワールドが落車してしまう。その脇を難なくヘケレがすり抜けて遂に先頭が交代。「後半に向けて体力を温存していた」とベテランらしい戦術を用いてトップギアに入れ替え、フィニッシュを目指して逃げ続けた。
その後方、6名の追走集団(クラーク、沢田、前田、竹之内、ミルバーン、ブラッドフォード)にも動きが生まれる。先頭を牽き続けていたクラークが舗装路でペースアップすると、竹之内のみが追従。「舗装路で少しパワーが足りていないように思った」という沢田らを引き離したクラークと竹之内が、激しく3位争いを繰り広げた。
歯を食いしばりながらも、安定した走りを貫いたヘケレが初来日初勝利を飾った。「野辺山はチェコと気候がよく似ているので走りやすかった。寒かったり、雨のコンディションが一番得意」と通訳を介して語ったヘケレ。「野辺山は素晴らしい場所だなと思った。観客も多いし、自分のレースが終わったホビーレーサーたちも温かく応援してくれたから。そんな日本のファンの前で、クリスを捉えて逃げ切るというスペクタクルな勝ち方ができて嬉しい。きっと面白いレースだったと感じてもらえたはず」。
「エミルとの差は舗装路でのパワーだったと思う。コースも僕向きだったけれど、レースから離れていたので上手く身体を合わせることができなかったが、逆にここまでできたことに満足も感じる。ウォームアップを改善すればもっと走れると思うので、明日は修正して臨みたい」と2位に甘んじたヨンゲワールドは晴れやかな表情でインタビューに応えた。
竹之内とクラークの表彰台争いは、最終周回に肩と肩をぶつけ合う激しい戦いとなった。コーナーが続く区間への競り合いに勝ったは竹之内は次のようにコメントしている。「めちゃくちゃキツかったですが、日本人として何としても表彰台に登らないといけないと思いました。彼(クラーク)も当たりが強い選手ですが、絶対気持ちで負けないと思っていったんです」。そのままリードを稼いだ竹之内が3位表彰台を射止め、クラークも「彼のライン取りはすごく上手くて、最後は気迫に負けてしまった。けれど良い勝負ができたのですごく楽しかったよ」と竹之内を評している。
また、長時間追走を強いられた小坂は終盤に5位争いのグループへと追いついた。最終周回の舗装路区間でアタックし、食らいついた沢田をロングスパートで下して5位入賞。その好調ぶりは他の日本人選手をして認めるところであり、本人も「展開的には残念でしたが、集中力も途切れず重いギアを踏み切ることができた。次に繋がる悔いのない走りだったと思います」と明日を見据えている。
Raphaスーパークロス野辺山2017 UCIエリート男子
1位 | エミル・ヘケレ(チェコ、Stevens Bikes Emilio Sports) | 1h02’43” |
2位 | クリストファー・ヨンゲワールド(オーストラリア、Flanders JBlood) | |
3位 | 竹之内悠(東洋フレーム) | |
4位 | アンソニー・クラーク(アメリカ、Squid Bikes) | |
5位 | 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) | |
6位 | 沢田時(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) | |
7位 | ギャリー・ミルバーン(オーストラリア、SPEEDVAGEN X MAAP) | |
8位 | ケヴィン・ブラッドフォード(アメリカ、SET/Coaching.com) | |
9位 | 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) | |
10位 | ポール・レーデンバッハ(オーストラリア、Flanders JBlood) |
text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji