2017/11/24(金) - 17:39
6戦目を迎えたDOWNHILL SERIES2017。ススキが黄金色に輝く熊本県の吉無田高原のハイスピードコースを、井手川直樹(AKI FACTORY/STRIDER)が制した。
春先から始まったレースラッシュのMTBシーズンが終わり、DOWNHILL SERIESは3カ月ぶりの開催。これからは、スキー場以外のMTBコースを使ったレースの時期となる。そんな第6戦の会場・吉無田高原がある上益城郡御船町は1年7カ月前の熊本地震で震度7を観測した地域。昨年は屋根にブルーシートを被った家が立ち並んでいたが、今年は新しい家を建築している光景が目立った。今回のレースも、昨年の「がんばろう熊本!」というテーマから一歩進んだ、いつも通りの吉無田高原らしい雰囲気を取り戻しての開催となり、東は東京、西は宮崎から今年も多くのライダーたちが集まった。
今大会には、CJ(Coupe du japon)富士見大会にも協賛をしているFDA(フジドリームエアラインズ)の特別協賛を頂いた。なんと!エキスパートクラスの優勝者にペア往復航空券が送られることとなり、エリートクラスへの昇格をかけて毎回白熱するエキスパートクラスがますます盛り上がることになる。
そんな今回の協賛は、名古屋小牧空港から熊本空港への就航便があること、今年5月からスポーツ用自転車の搭載サービス(事前予約で自転車梱包用の専用ケースを無料貸出)を行っていること、静岡を拠点としカラフルな機体で知られるFDAの「日本中の空をカラフルに」という理念と、DOWNHILL SERIESの地方活性の理念がマッチしたというもの。大会受付ではオリジナルグッズや機内誌が配布された。
昨年の大雨とは打って変わり、土曜日は朝から快晴。阿蘇の外輪山にある標高約600mの会場は風が強く、阿蘇の外輪山特有のクマザサとススキの草原がサラサラと鳴く。火山灰が混ざった真っ黒な土は柔らかく、ローカルライダーは晴れていてもマッドタイヤしか使わないというほどの特殊な路面。今回はレースのために用意された特設コースを使用した。昨年よりもコースは短く、ワンミスが命取りとなる。
タイムドセッションは、井手川直樹選手(AKI FACTORY/STRIDER)が43秒704で1位。阿藤寛選手(Acciarpone bikes)が44秒447で2位、田丸裕選手(Acciarpone bikes)が45秒915で3位となり、全ライダーでの総合ランキングでは、第3戦でエリート男子クラスに昇格したばかりの河本章選手(ちゅう吉福山DH部)が47秒418、エキスパート男子クラスでローカルライダーの中学生・井ノ一涼介選手(吉無田MTBクラブ/nu style/CLEAT)が5位と続いた。
タイムドセッション後の定番、PROライダーによる参加者交流企画「コースウォーク」は今回も大好評。井手川選手、阿藤選手、田丸選手、井本はじめ選手(Sram/Santacruz)、怪我で休養中の浦上太郎選手(Transition Airlines/Cleat)らPROライダーが参加し、ライン取りや走り方など参加者たちの質問に答えながら1時間ほどのコースウォークを行った。
日曜日も朝からスッキリと晴れた。風も無い。この会場の搬送は「恐竜リフト」と呼ばれる、ハンドルを紐で引っ張るスタイル。(このリフトのファンも多い!)このリフトにはお昼休憩があるため、その間も押し上げでの練習は可能といえどもライダーも必然的に休憩をとる。
メインエリアでは毎年出展してくれる、地元の「上田代ばぁば会」や「母ちゃん会」、「そらのもり」の飲食ブースエリアが賑わう。カレーや巻き寿司、温かいミネストローネを振る舞ってくれるお母さん方の「毎年レースを楽しみにしてるんですよ!」という言葉もうれしい。
そんなまったりとしたDOWNHILL SERIESならではのランチタイムを挟んで、本戦が始まった。XC BIKE Classでは、CJにも参戦する福岡県の若手・岡山優太選手(MASAYA YOUNG RIDERS)が52秒412のタイムで優勝。ファーストタイマーは佐賀県の大里昌真選手が54秒528で優勝。40人がエントリーした大混戦のスポーツ男子クラスでは、福岡県の館正倫選手(takebow-tune Gravity republic)が47秒232で優勝。エキスパートクラスでは木村宏一選手が46秒338で優勝し、FDAの往復ペア航空券を手にした。
エリート男子では、「九州の帝王」と呼ばれながらもDOWNHILL SERIESが始まって以来4年間、なかなか優勝には手が届かなかった本村貴之選手(delsol/cleat/十種ヶ峰)が44秒792で初優勝、PROクラスに挑戦する「下克上」の権利を得た。
PROクラス。阿藤選手はスタートでミスがあったようで43秒991、下克上システムで再走となった本村選手がタイムを延ばして44秒062、田丸選手は44秒313、井本はじめ選手は観客が一番集まるジャンプで弾かれ、ワンフットからの大クラッシュ。怪我は無かったものの5位に沈む。
そして、前日のタイムドセッションに続いて井手川直樹選手が42秒509という驚異的なタイムで優勝。「1カ月前のレース以降MTBに乗れていないうえに、今回持ってきたバイクは、最新モデルのPROCESS 153CRで、このレースが初乗り。それでも、来季に向けたトレーニングを既に始めていることもあって体はよく動いてくれました。新しいバイクで無事にデビューウィンを飾れて安心しました!」と話してくれた。
そして今回は、御船町役場から入賞者に「御船町特産品セット」が送られた。馬油製品や御船川そうめん、地元の陶芸家さんの作ったカップなど地元のものがたっぷり入っていた。また、御船町在住のローカルライダーの井ノ一兄弟のおじいさまからも「御船町のお米を食べて欲しい!」と賞品をご提供頂き、豪華な表彰台となった。1年7カ月前の震災で大きな被害を受け、復興まっただ中の熊本。それでも今年も、地元の方達の声援やおもてなしの心が溢れる雰囲気に、私たちが元気をもらった。これぞ吉無田。今年も素敵な大会となった。
また今回は、カナダ・バンクーバー在住で2ヶ月間日本中をMTB旅をしているEric Testroeteさんと有香さんご夫婦の参加があった。カナダから日本に来る際、MTBで走れる場所を探していたらDOWNHILL SERIESを見つけたとのこと。こんな風に気軽にエントリーしてもらえることも、登録制では無いDOWNHILL SERIESの特徴だ。
おふたりは「2日かけてひとつのコースを乗り込むことはなかなか無いので楽しいです。雰囲気も最高!」と話してくれた。夜は、DOWNHILL SERIES常連組が泊まる宿で楽しく一夜を共にしたよう。日本人ライダーたちにとってもいい出会いになったようだった。そんなエリックさんはユーチューバー(アカウント名:BCpov)。吉無田でのレース参戦動画がUPされるのが今から楽しみだ。
続く第7戦菖蒲谷森林公園(兵庫県)は12月16-17日に開催される。
春先から始まったレースラッシュのMTBシーズンが終わり、DOWNHILL SERIESは3カ月ぶりの開催。これからは、スキー場以外のMTBコースを使ったレースの時期となる。そんな第6戦の会場・吉無田高原がある上益城郡御船町は1年7カ月前の熊本地震で震度7を観測した地域。昨年は屋根にブルーシートを被った家が立ち並んでいたが、今年は新しい家を建築している光景が目立った。今回のレースも、昨年の「がんばろう熊本!」というテーマから一歩進んだ、いつも通りの吉無田高原らしい雰囲気を取り戻しての開催となり、東は東京、西は宮崎から今年も多くのライダーたちが集まった。
今大会には、CJ(Coupe du japon)富士見大会にも協賛をしているFDA(フジドリームエアラインズ)の特別協賛を頂いた。なんと!エキスパートクラスの優勝者にペア往復航空券が送られることとなり、エリートクラスへの昇格をかけて毎回白熱するエキスパートクラスがますます盛り上がることになる。
そんな今回の協賛は、名古屋小牧空港から熊本空港への就航便があること、今年5月からスポーツ用自転車の搭載サービス(事前予約で自転車梱包用の専用ケースを無料貸出)を行っていること、静岡を拠点としカラフルな機体で知られるFDAの「日本中の空をカラフルに」という理念と、DOWNHILL SERIESの地方活性の理念がマッチしたというもの。大会受付ではオリジナルグッズや機内誌が配布された。
昨年の大雨とは打って変わり、土曜日は朝から快晴。阿蘇の外輪山にある標高約600mの会場は風が強く、阿蘇の外輪山特有のクマザサとススキの草原がサラサラと鳴く。火山灰が混ざった真っ黒な土は柔らかく、ローカルライダーは晴れていてもマッドタイヤしか使わないというほどの特殊な路面。今回はレースのために用意された特設コースを使用した。昨年よりもコースは短く、ワンミスが命取りとなる。
タイムドセッションは、井手川直樹選手(AKI FACTORY/STRIDER)が43秒704で1位。阿藤寛選手(Acciarpone bikes)が44秒447で2位、田丸裕選手(Acciarpone bikes)が45秒915で3位となり、全ライダーでの総合ランキングでは、第3戦でエリート男子クラスに昇格したばかりの河本章選手(ちゅう吉福山DH部)が47秒418、エキスパート男子クラスでローカルライダーの中学生・井ノ一涼介選手(吉無田MTBクラブ/nu style/CLEAT)が5位と続いた。
タイムドセッション後の定番、PROライダーによる参加者交流企画「コースウォーク」は今回も大好評。井手川選手、阿藤選手、田丸選手、井本はじめ選手(Sram/Santacruz)、怪我で休養中の浦上太郎選手(Transition Airlines/Cleat)らPROライダーが参加し、ライン取りや走り方など参加者たちの質問に答えながら1時間ほどのコースウォークを行った。
日曜日も朝からスッキリと晴れた。風も無い。この会場の搬送は「恐竜リフト」と呼ばれる、ハンドルを紐で引っ張るスタイル。(このリフトのファンも多い!)このリフトにはお昼休憩があるため、その間も押し上げでの練習は可能といえどもライダーも必然的に休憩をとる。
メインエリアでは毎年出展してくれる、地元の「上田代ばぁば会」や「母ちゃん会」、「そらのもり」の飲食ブースエリアが賑わう。カレーや巻き寿司、温かいミネストローネを振る舞ってくれるお母さん方の「毎年レースを楽しみにしてるんですよ!」という言葉もうれしい。
そんなまったりとしたDOWNHILL SERIESならではのランチタイムを挟んで、本戦が始まった。XC BIKE Classでは、CJにも参戦する福岡県の若手・岡山優太選手(MASAYA YOUNG RIDERS)が52秒412のタイムで優勝。ファーストタイマーは佐賀県の大里昌真選手が54秒528で優勝。40人がエントリーした大混戦のスポーツ男子クラスでは、福岡県の館正倫選手(takebow-tune Gravity republic)が47秒232で優勝。エキスパートクラスでは木村宏一選手が46秒338で優勝し、FDAの往復ペア航空券を手にした。
エリート男子では、「九州の帝王」と呼ばれながらもDOWNHILL SERIESが始まって以来4年間、なかなか優勝には手が届かなかった本村貴之選手(delsol/cleat/十種ヶ峰)が44秒792で初優勝、PROクラスに挑戦する「下克上」の権利を得た。
PROクラス。阿藤選手はスタートでミスがあったようで43秒991、下克上システムで再走となった本村選手がタイムを延ばして44秒062、田丸選手は44秒313、井本はじめ選手は観客が一番集まるジャンプで弾かれ、ワンフットからの大クラッシュ。怪我は無かったものの5位に沈む。
そして、前日のタイムドセッションに続いて井手川直樹選手が42秒509という驚異的なタイムで優勝。「1カ月前のレース以降MTBに乗れていないうえに、今回持ってきたバイクは、最新モデルのPROCESS 153CRで、このレースが初乗り。それでも、来季に向けたトレーニングを既に始めていることもあって体はよく動いてくれました。新しいバイクで無事にデビューウィンを飾れて安心しました!」と話してくれた。
そして今回は、御船町役場から入賞者に「御船町特産品セット」が送られた。馬油製品や御船川そうめん、地元の陶芸家さんの作ったカップなど地元のものがたっぷり入っていた。また、御船町在住のローカルライダーの井ノ一兄弟のおじいさまからも「御船町のお米を食べて欲しい!」と賞品をご提供頂き、豪華な表彰台となった。1年7カ月前の震災で大きな被害を受け、復興まっただ中の熊本。それでも今年も、地元の方達の声援やおもてなしの心が溢れる雰囲気に、私たちが元気をもらった。これぞ吉無田。今年も素敵な大会となった。
また今回は、カナダ・バンクーバー在住で2ヶ月間日本中をMTB旅をしているEric Testroeteさんと有香さんご夫婦の参加があった。カナダから日本に来る際、MTBで走れる場所を探していたらDOWNHILL SERIESを見つけたとのこと。こんな風に気軽にエントリーしてもらえることも、登録制では無いDOWNHILL SERIESの特徴だ。
おふたりは「2日かけてひとつのコースを乗り込むことはなかなか無いので楽しいです。雰囲気も最高!」と話してくれた。夜は、DOWNHILL SERIES常連組が泊まる宿で楽しく一夜を共にしたよう。日本人ライダーたちにとってもいい出会いになったようだった。そんなエリックさんはユーチューバー(アカウント名:BCpov)。吉無田でのレース参戦動画がUPされるのが今から楽しみだ。
続く第7戦菖蒲谷森林公園(兵庫県)は12月16-17日に開催される。
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