2017/11/04(土) - 09:28
ジャージからシューズまで統一したコンセプトを採用し、妥協のない性能を追求したシマノのレーシングアパレルシリーズ「S-PHYRE(エスファイア)」に秋冬モデルが登場。オフシーズンのロードトレーニングをより快適に、かつハイパフォーマンスで行えるようデザインされたウェア群をテストした。
世界最大のサイクルコンポーネントメーカーであるシマノから、今春登場したアパレルシリーズ「S-PHYRE」。今シーズンのUCIワールドツアー初戦となるサントス・ツアー・ダウンアンダーに合わせて発表され、ロットNLユンボがシーズンを通してレースに投入したプロスペックのウェア群である。
そんな同シリーズにも、これからの季節に合わせて新たに秋冬モデルが追加されている。防寒、防風性能を追求しつつスマートでレーシングな着心地を実現することで、寒い天候でも効率的で快適なトレーニングが行えるハイスペックアパレルとして、全身がコーディネートできるラインアップが揃えられた。
トップスには優れた体温調整機能と抜群のフィット感を兼ね備えるS-PHYREウインドレジスタントジャージが登場。優れた防風性と透湿性を持つウィンドレジスタント素材を使用することでウェア内温度を常時37℃に保ち、高強度のライドでも汗冷えやオーバーヒートを防ぐ優れた温度調節機能を持つ。その上、アナトミック3D構造により、ウィンタージャージとは思えない程の格別なフィット感を実現しているのが特徴だ。
生地表面には撥水膜とコーティング素材を配することで多少の雨にも対応。裏地は起毛フリース素材となっているため、空気の層を取り込み、身体を暖かく保ってくれる。S-PHYREウインターグローブとの一体感を向上させるよう袖口部分をフラットにしたり、背中部分には大きなリフレクターを配置することで暗がりでの被視認性を上げたりするなど、細かな配慮も施されている。
インナーとして合わせるためのS-PHYREウィンターベースレイヤーも用意される。保温性と透湿速乾性に優れた2重構造のニット素材を用い、背面には通気性を高め熱を排出するためのメッシュパネルを搭載。アナトミック3Dデザインを採用し、伸縮性の高い素材と縫い目の一切ないシームレス構造により心地良いフィット感を実現している。他のS-PHYREウェアと合わせることで、より快適な保温性能を発揮してくれることだろう。
同じく体温を37℃に保つ素材技術と動きやすいアナトミック3Dデザインを採用したS-PHYREビブロングタイツもラインアップ。外面は防風撥水機能を備えたネオプレン素材、中央部には保温断熱材、内側には起毛素材というそれぞれ役割の異なる戦略的な3層構造とすることで体温を保持し、天候が変わりやすい秋冬でも雨風からライダーを保護してくれる設計となる。
パネルのカッティングには、トップスと同様のアナトミック3Dデザインを用いることで着心地の良さを追求。左右が独立することで身体への追従性を高めるS-PHYREパッドも搭載され、ロングタイツでも脚の動きが制限されること無く快適なペダリングが可能となっている。フロント部分はスライダー式ジッパーを2本配置したパネルが胸まで設けられ雨風を遮断。裾のデザインはS-PHYREインサレーテッドシューズカバーと合致するようフラットに仕上げている。この製品のみブラックと足首部分に蛍光色を配したネオンイエローの2色展開となる。
シューズカバーは気温と天候に応じて2種類を用意。厳しい寒さにはS-PHYREインサレーテッドシューズカバーを、秋から冬の始まりまではハーフタイプのS-PHYREトゥシューズカバーと使い分ける事ができるラインアップだ。インサレーテッドシューズカバーはジッパーのないプルオン仕様であるため、完全防水となっており、雨天時でも足元を快適に保つ事が出来るだろう。素材には柔軟性が高く、雨や風を通さないネオプレン素材を使用しているため、フィット感と保温性が高いのが特徴だ。
トゥシューズカバーはつま先部分に被せるだけで多少の冷気と雨を防いでくれる、汎用性の高いアイテムとなっている。S-PHYREシューズに適合したBOAダイヤル用のホールも設けられ、使い勝手も追求されたデザインとなる。いずれも熱を反射し保温性を高めるメタリックサーマルテック技術により、足先の冷えを防ぐ構造が用いられている。
バイク操作を担う指先を寒さから保護するS-PHYREウインターグローブは、長年の研究に基づいたコントロール性の高い3Dデザインと、手のひらの曲げに沿ったパネリングで高いフィット感を獲得している。高い断熱性を持つプリマロフト素材とメタリックサーマルテック技術により抜群の保温力を発揮。インナーグローブが付属したり、指先にはスマートフォンが操作できる加工が施してあったりと使い勝手にも配慮されている。
今回はこれらのアイテムをフルでレイヤリングし、気温10度ほどの天候にて走行テストを行った。
― 編集部インプレッション
S-PHYREの春夏ウェアといえば、レースで勝つためにより空気抵抗を抑えたエアロなフィット感が大きな特徴であったが、そのコンセプトは今作の秋冬モデルにも反映されている着心地というのが第一印象だ。筆者は171cmで体重54kgとかなり細身のクライマー体型。ウェアは最もサイズの小さいSでテストしたのだが、上下ともに着圧感のあるタイトなフィット感で、ゴワつきがちな冬用ウェアとは対照的なスマートなシルエットで着こなすことができる。
だからといって窮屈さは全く無く、伸縮性に富んだ独自の素材とライダーの動きを考えたカッティングの2つの方向から、メーカーの狙う通りの高いフィット感を得ることができた。特に袖口や裾といったウェアの端の部分がズレないデザインのおかげで身体との一体感も増しており、それによって冷たい風がウェア内に入り込む心配もなくなっている。
タイトなシルエットから全体的に薄手に見えるウェア群だが、秋冬のライドで重要な防風防寒の機能も高いレベルで備わっていた。グローブやシューズカバーまで合わせてしまえば冷たい風を感じるような隙間もなく、外気から体温を奪われるような感覚もない。
裏起毛によってそもそもの暖かさは確保されているが、ライド中に発生した熱が保持されるためより低い気温でも対応できる印象だ。今回気温10度ほどでテストして暑くなく寒くなくの快適な環境を保つことができたが、体感的には今回のレイヤリングでも気温5度前後までなら十分に対応できると感じた。ジャージがタイトに着れるため、上からジャケットを合わせればさらに寒い厳寒期にも対応できるだろうし、インナーを薄いものに変更すれば気温15度ほどの秋口や春先にも活躍しそうである。
各ラインアップ通して雨にも強い製品となっているのも好印象。実際にレインコンディションでテストはできなかったが、冬場は急に天候が崩れることも多く特に濡れたところから急激に冷えてくるため、撥水素材が多用されていることで精神的にも安心できる1枚となることだろう。
強いて問題点を挙げるとするならば、全身が真っ黒いコーディネートとなってしまうため、暗くなるのが早い秋冬においては被視認性の悪さという点が気になる。蛍光色や反射素材を用いたヘルメットやベストなど自身をアピールできるアイテムを一緒に合わせて着用できれば、より安全なライドを楽しめるだろう。
全体的な性能はさすがシマノのフラッグシップであるS-PHYREの名に恥じない、全方位に不満のない仕上がりであった。これだけストレスフリーなウェアであれば、寒い季節でも自然と実走トレーニングに出たくなるのではないだろうか。寒いからと言ってローラー等の設備に投資するのもアリだが、ちょっと良いウェアを買って外に繰り出すキッカケを作ってみてはいかがだろう(CW編集部:村田悠人)。
S-PHYRE ウインドレジスタントジャージ
サイズ:S、M、L、XL
カラー:ブラック
価 格:30,000円(税抜)
S-PHYRE ウィンターベースレイヤー
サイズ:S、M、L
カラー:ブラック
価 格:8,800円(税抜)
S-PHYRE ビブロングタイツ
サイズ:S、M、L、XL
カラー:ブラック、ネオンイエロー
価 格:35,000円(税抜)
S-PHYRE インサレーテッド シューズカバー
サイズ:S、M、L、XL
カラー:ブラック
価 格:8,500円(税抜)
S-PHYRE トゥシューズカバー
サイズ:S、M、L
カラー:ブラック
価 格:4,000円(税抜)
S-PHYRE ウインターグローブ
サイズ:S、M、L、XL
カラー:ブラック
価 格:11,500円(税抜)
世界最大のサイクルコンポーネントメーカーであるシマノから、今春登場したアパレルシリーズ「S-PHYRE」。今シーズンのUCIワールドツアー初戦となるサントス・ツアー・ダウンアンダーに合わせて発表され、ロットNLユンボがシーズンを通してレースに投入したプロスペックのウェア群である。
そんな同シリーズにも、これからの季節に合わせて新たに秋冬モデルが追加されている。防寒、防風性能を追求しつつスマートでレーシングな着心地を実現することで、寒い天候でも効率的で快適なトレーニングが行えるハイスペックアパレルとして、全身がコーディネートできるラインアップが揃えられた。
トップスには優れた体温調整機能と抜群のフィット感を兼ね備えるS-PHYREウインドレジスタントジャージが登場。優れた防風性と透湿性を持つウィンドレジスタント素材を使用することでウェア内温度を常時37℃に保ち、高強度のライドでも汗冷えやオーバーヒートを防ぐ優れた温度調節機能を持つ。その上、アナトミック3D構造により、ウィンタージャージとは思えない程の格別なフィット感を実現しているのが特徴だ。
生地表面には撥水膜とコーティング素材を配することで多少の雨にも対応。裏地は起毛フリース素材となっているため、空気の層を取り込み、身体を暖かく保ってくれる。S-PHYREウインターグローブとの一体感を向上させるよう袖口部分をフラットにしたり、背中部分には大きなリフレクターを配置することで暗がりでの被視認性を上げたりするなど、細かな配慮も施されている。
インナーとして合わせるためのS-PHYREウィンターベースレイヤーも用意される。保温性と透湿速乾性に優れた2重構造のニット素材を用い、背面には通気性を高め熱を排出するためのメッシュパネルを搭載。アナトミック3Dデザインを採用し、伸縮性の高い素材と縫い目の一切ないシームレス構造により心地良いフィット感を実現している。他のS-PHYREウェアと合わせることで、より快適な保温性能を発揮してくれることだろう。
同じく体温を37℃に保つ素材技術と動きやすいアナトミック3Dデザインを採用したS-PHYREビブロングタイツもラインアップ。外面は防風撥水機能を備えたネオプレン素材、中央部には保温断熱材、内側には起毛素材というそれぞれ役割の異なる戦略的な3層構造とすることで体温を保持し、天候が変わりやすい秋冬でも雨風からライダーを保護してくれる設計となる。
パネルのカッティングには、トップスと同様のアナトミック3Dデザインを用いることで着心地の良さを追求。左右が独立することで身体への追従性を高めるS-PHYREパッドも搭載され、ロングタイツでも脚の動きが制限されること無く快適なペダリングが可能となっている。フロント部分はスライダー式ジッパーを2本配置したパネルが胸まで設けられ雨風を遮断。裾のデザインはS-PHYREインサレーテッドシューズカバーと合致するようフラットに仕上げている。この製品のみブラックと足首部分に蛍光色を配したネオンイエローの2色展開となる。
シューズカバーは気温と天候に応じて2種類を用意。厳しい寒さにはS-PHYREインサレーテッドシューズカバーを、秋から冬の始まりまではハーフタイプのS-PHYREトゥシューズカバーと使い分ける事ができるラインアップだ。インサレーテッドシューズカバーはジッパーのないプルオン仕様であるため、完全防水となっており、雨天時でも足元を快適に保つ事が出来るだろう。素材には柔軟性が高く、雨や風を通さないネオプレン素材を使用しているため、フィット感と保温性が高いのが特徴だ。
トゥシューズカバーはつま先部分に被せるだけで多少の冷気と雨を防いでくれる、汎用性の高いアイテムとなっている。S-PHYREシューズに適合したBOAダイヤル用のホールも設けられ、使い勝手も追求されたデザインとなる。いずれも熱を反射し保温性を高めるメタリックサーマルテック技術により、足先の冷えを防ぐ構造が用いられている。
バイク操作を担う指先を寒さから保護するS-PHYREウインターグローブは、長年の研究に基づいたコントロール性の高い3Dデザインと、手のひらの曲げに沿ったパネリングで高いフィット感を獲得している。高い断熱性を持つプリマロフト素材とメタリックサーマルテック技術により抜群の保温力を発揮。インナーグローブが付属したり、指先にはスマートフォンが操作できる加工が施してあったりと使い勝手にも配慮されている。
今回はこれらのアイテムをフルでレイヤリングし、気温10度ほどの天候にて走行テストを行った。
― 編集部インプレッション
S-PHYREの春夏ウェアといえば、レースで勝つためにより空気抵抗を抑えたエアロなフィット感が大きな特徴であったが、そのコンセプトは今作の秋冬モデルにも反映されている着心地というのが第一印象だ。筆者は171cmで体重54kgとかなり細身のクライマー体型。ウェアは最もサイズの小さいSでテストしたのだが、上下ともに着圧感のあるタイトなフィット感で、ゴワつきがちな冬用ウェアとは対照的なスマートなシルエットで着こなすことができる。
だからといって窮屈さは全く無く、伸縮性に富んだ独自の素材とライダーの動きを考えたカッティングの2つの方向から、メーカーの狙う通りの高いフィット感を得ることができた。特に袖口や裾といったウェアの端の部分がズレないデザインのおかげで身体との一体感も増しており、それによって冷たい風がウェア内に入り込む心配もなくなっている。
タイトなシルエットから全体的に薄手に見えるウェア群だが、秋冬のライドで重要な防風防寒の機能も高いレベルで備わっていた。グローブやシューズカバーまで合わせてしまえば冷たい風を感じるような隙間もなく、外気から体温を奪われるような感覚もない。
裏起毛によってそもそもの暖かさは確保されているが、ライド中に発生した熱が保持されるためより低い気温でも対応できる印象だ。今回気温10度ほどでテストして暑くなく寒くなくの快適な環境を保つことができたが、体感的には今回のレイヤリングでも気温5度前後までなら十分に対応できると感じた。ジャージがタイトに着れるため、上からジャケットを合わせればさらに寒い厳寒期にも対応できるだろうし、インナーを薄いものに変更すれば気温15度ほどの秋口や春先にも活躍しそうである。
各ラインアップ通して雨にも強い製品となっているのも好印象。実際にレインコンディションでテストはできなかったが、冬場は急に天候が崩れることも多く特に濡れたところから急激に冷えてくるため、撥水素材が多用されていることで精神的にも安心できる1枚となることだろう。
強いて問題点を挙げるとするならば、全身が真っ黒いコーディネートとなってしまうため、暗くなるのが早い秋冬においては被視認性の悪さという点が気になる。蛍光色や反射素材を用いたヘルメットやベストなど自身をアピールできるアイテムを一緒に合わせて着用できれば、より安全なライドを楽しめるだろう。
全体的な性能はさすがシマノのフラッグシップであるS-PHYREの名に恥じない、全方位に不満のない仕上がりであった。これだけストレスフリーなウェアであれば、寒い季節でも自然と実走トレーニングに出たくなるのではないだろうか。寒いからと言ってローラー等の設備に投資するのもアリだが、ちょっと良いウェアを買って外に繰り出すキッカケを作ってみてはいかがだろう(CW編集部:村田悠人)。
S-PHYRE ウインドレジスタントジャージ
サイズ:S、M、L、XL
カラー:ブラック
価 格:30,000円(税抜)
S-PHYRE ウィンターベースレイヤー
サイズ:S、M、L
カラー:ブラック
価 格:8,800円(税抜)
S-PHYRE ビブロングタイツ
サイズ:S、M、L、XL
カラー:ブラック、ネオンイエロー
価 格:35,000円(税抜)
S-PHYRE インサレーテッド シューズカバー
サイズ:S、M、L、XL
カラー:ブラック
価 格:8,500円(税抜)
S-PHYRE トゥシューズカバー
サイズ:S、M、L
カラー:ブラック
価 格:4,000円(税抜)
S-PHYRE ウインターグローブ
サイズ:S、M、L、XL
カラー:ブラック
価 格:11,500円(税抜)
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