2017/09/30(土) - 09:14
創業50年を超えるイタリアの老舗、グエルチョッティが2018年モデルで投入したフラッグシップ。軽量で剛性に優れるオールラウンドレーサーとして、ブランド史上最軽量のフレーム重量740gを達成した「E740」をインプレッション。
大小さまざまなバイクブランドがひしめく、イタリアで半世紀以上に渡ってレーシングバイクを送り出してきたグエルチョッテイ。欧州の中でも、ロードレースが盛んなイタリアで1964年に創業したブランドである。同社の起源となったのは、1964年、兄イタロと弟パオロのグエルチョッテイ兄弟がミラノに構えた小さな自転車ショップだ。
シクロクロス選手として活躍したグエルチョッテイ兄弟は、競技と同時にショップ経営にも力を入れ、そのビジネスを大きく広げていくことに成功した。1975年には、ショップの枠を飛び出しバイクの製作を開始。プロチームへの機材供給を手がけ始めたグエルチョッテイは、それから4年後、弟のパオロがイタリア代表としてシクロクロス世界選手権へ出場を果たしたことや、ジロとブエルタを制覇したジョヴァンニ・バッタリンをはじめとした著名な選手が愛用したこともあり、レースバイクの世界で確固たる地位を築いてきた。
そんなグエルチョッテイだが、レースに対する情熱は現在も冷めてはいない。ブランドルーツとなったシクロクロスだけでなく、ロードレースにおいてもチームへのサポートを継続してきた。現在では、ポーランド籍のUCIプロコンチネンタルチームのCCCスプランディ・ポルコウィチェをサポートし、オレンジ色に染められたチームバイクのイメージを持つ人も多いのではないだろうか。
レーシングバイクへの熱い想いを持ち続けるグエルチョッテイが、2018年モデルとして2つのハイエンドバイクを発表した。1つは昨今多くのメーカーがラインアップに加えるエアロロードのEUREKA AIR、そしてもう一つが今回紹介する、ライトウェイトオールラウンダーのE740だ。
これまでラインアップしてきたECLIPSE 769に代わるハイエンドマシンとしてデビューしたE740、その最大の特徴はフレーム重量740gという軽さだろう。モデル名の由来となったその重量は、グエルチョッティ史上最軽量となる記念すべき一台でもある。
その重量を実現するために用いられるのは、高弾性なウルトラハイモジュラスカーボン。この高性能カーボンファイバーをメインのマテリアルとして使用しつつ、弾性率の異なるカーボンを強度を必要とする場所などへと使い分けることで、理想的なカーボンレイアップを実現した。
ハイグレードな素材を活かすのは、同社独自のワンピースモノコック成型技術だ。単一の構造体として生み出されるフレームは余計な接合部を極力排除することで、更なる軽量化を実現している。また、成型時に固体の芯材を用いることで余分なレジンを除去することが出来るEPS(発泡ポリスチレン成型)テクノロジーも合わせ、軽さと高い剛性を両立させているのだ。
フレームの設計自体は、クライミングバイクとしてオーソドックスでシンプルなデザイン。直線的なチューブによって構成されたフレームは、一切の無駄を感じさせない一振りの刃物のようなシルエットに仕上がっている。ライダーの踏力を受け止める必要のあるダウンチューブからBB、そしてチェーンステーにかけてのラインは肉薄ながらも大口径の角断面チューブを用い、横方向へのねじれを極力抑える設計だ。
一方、トップチューブそして、シートステーはボリュームを抑えられるとともに扁平形状とされ、縦方向への柔軟性を最大限に引き出すデザインとされている。軽く反応性が良いバイクながらも、一定の快適性やトラクション性能を確保した、レースで勝つための一台として生み出されている。
今回インプレッションしたのは、シマノの新型アルテグラで組み上げられた一台。ホイールはシマノのWH-R9100-C24を使用し、タイヤはコンチネンタルのGP4000Sを装着する。イタリアの老舗レーシングブランドが考えるクライミングバイクのインプレッションをお届けしよう。
― インプレッション
「漕ぎ出しが非常に軽く、登りの軽快さと加速感が光る」奥村貴(正屋)
フレームの軽さから漕ぎ出しが非常に軽く、登りで軽快な走りが味わえるバイクになります。ヒルクライムの大会などに出たくなるような登坂性能が特徴的ですね。ルックスもロードバイクらしい細身のチューブで構成されており、非常にシンプルで格好いいと思います。そこに少し丸みを帯びた字体のグエルチョッティロゴが可愛らしさも演出しています。
フレームの剛性感はガチガチに硬いという印象ではありませんが、登りで踏み込んだ際には飛ぶようにスッと進んでくれる感覚があります。チェーンステーやBBは見た目にも剛性を感じられる造形ですが、踏み味は硬すぎることなくバランスの良い味付けがされており、軽快な走りが印象的です。パワーをかけた時の進み具合も不満のない性能を発揮してくれますね。
剛性感だけではなく、何と言ってもフレームの軽量さがこのバイクのポイント。フレーム単体740gという軽さで、今回のテストバイクのアセンブルでも実際に手で持ち上げたときや、歩いて押したときでもその軽さを感じる事ができました。もちろん乗ったときも最初の一漕ぎ目で軽さを体感できますし、登りも気持ちよく進んでくれます。
ですので、重いギアで踏み込むような踏み方と言うよりは、軽いギアを高回転で回していくという踏み方がこのバイクには合っているような気がします。リズムの速いダンシングと織り交ぜて高ケイデンスで回していくとグングン加速していきますね。
その上、踏んだときの反発が身体に返ってくるようなこともなかったので、疲労も溜まりにくいのではないでしょうか。細く作られたシートステーが振動吸収に一役買っているのでしょう。路面が多少荒れた道でも振動を抑えてくれており、快適性も十分にあると感じました。
ただ、ハンドリングに関しては非常にクイックだと感じました。ワインディングロードなどの下りで切り込み過ぎるかもしれませんので、扱いには慣れが必要ですね。ただ、レーシーなハンドリングとも取れますので、レーシングな走りが好みの人にはマッチすると思います。
快適性もしっかりありますのでロングライドも良いですし、車重の軽さを活かしてヒルクライムにもオールマイティーに使用できると思います。これでフレームセット32万円というのは非常にお買い得だと感じます。これからヒルクライムを頑張っていきたいという人にはお勧めの1台です。
「バイクを操る楽しさを体験できる、人間本位な一台」錦織大祐(フォーチュンバイク)
正統派のレーシングバイクですね、軽くて硬くて、入力に対してキビキビ反応してくれる。かといって、軽量バイクにありがちな腰高感もあまり無いので乗っていても危うく感じるようなことはゼロです。とても扱いやすいバイクに仕上がっています。
個人的には軽量バイクは大まかに二つに分けられると思っています。一つはフレームをしならせることで快適性もアップさせようというバイク、もう一つはあくまで硬さを追求したバイク。E740はどちらかといえば後者のバイクで、フレームにはフレームが成すべき仕事をしっかりとこなすように味付けされています。
つまり、踏んだ力をしっかりと推進力に変換するための性能が最も重要視されているということですね。それ以外の部分、例えば快適性などは、基本的にはホイールやタイヤの領分なわけですから、フレームに対してその性能を過剰に盛り込むような設計ではない。もちろん、全くおざなりになっているわけではなく、あらゆる面で必要十分な性能は与えられているのは間違いありません。
得意なフィールドについていえば、もちろん登りは軽量バイクだけあって本領を発揮できる場面です。剛性の高さと車重の軽さによって、トルクをかけても回転を上げても応えてくれます。下りもニュートラルで安定しています。試乗車にはデュラエースのC24-CLがアセンブルされていたのですが、組み合わせるホイールによっていろいろな顔を見せてくれそうな素性の良さを感じました。
それでは、このバイクならではの良さは何かと言えば、ライダーがバイクを操る楽しさを残してくれているという点でしょうか。どんどんとテクノロジーが進歩していく中で大きなブランドが巨額の費用を投じて作り上げた最新バイクは、あまりにも高性能になりすぎたが故に、乗り手をスポイルしてしまうような部分があります。もちろん、それはフィジカル面でいえば「ラク」ですし、余裕が生まれるストレスフリーな乗り味で、乗り物として至極正統な進化なわけですが、一方で人間はそれほど進化していないわけです。
そこで人間の感覚とのギャップが生じます。特に、昔から自転車に乗り続けている人の中では、どこか自分がやるべき操作がバイクに奪われてしまっているような物足りなさを感じている人も多いのではないでしょうか。個人的には、機材がやってくれるならそれに越したことはないのですが(笑)、乗りこなしている感覚というのはロードバイクの楽しさの中でも大きな位置を占めるものです。
E740はそういった意味で、10年前のフラッグシップバイクを現代の技術と素材でリビルドしたような乗り味とでも言いましょうか。決して少なくない、自転車乗りが自転車乗りであるために必要な要素を人間の側に残してくれている。それはこのバイクにグエルチョッテイというブランドが込めた思いなのでしょう。
日本ではまだまだマイナーなブランドですが、いざ乗ってみれば「これこれ!こういうバイクを探していたんだよ!」という人もきっと多いはず。色んなバイクを持っていてもいつの間にか出番が増えていそうな、乗り手の感覚に寄り添ってくれる一台ですね。
グエルチョッティ E740(フレームセット)
フレーム:40HM、30HM、24HMカーボン
フォーク:カーボンモノコック
重量:740g
ヘッド規格:1-1/8 - 1-1/4
BB規格:プレスフィットBB86
シートポスト径:27.2mm
シートクランプ径:31.8mm
サイズ:XXS、XS、S、M
価 格:320,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
奥村貴(正屋)
福岡市東区千早の自転車店、正屋千早店の店長を務める。10代半ばからMTBの魅力に取り付かれ、2001年から2006年まではMTBジャパンシリーズのエリートクラスで全国を転戦。現在はロードバイクを中心として、ビギナーの方に自転車の楽しさを伝えるよう活動する一方、若きライダーをサポートするMASAYA YOUNG RIDERS PROGRAMで若手選手の育成に取り組んでいる。
CWレコメンドショップページ
正屋 HP
錦織大祐(フォーチュンバイク)
幼少のころより自転車屋を志し、都内の大型プロショップで店長として経験を積んだ後、2010年に東京錦糸町にフォーチュンバイクをオープンさせた新進気鋭の若手店主。世界各国の自転車メーカーと繋がりを持ち、実際に海外の製造現場で得た見聞をユーザーに伝えることを信条としている。シマノ鈴鹿ロードへ20年以上に渡り連続出場する一方、普段はロングライドやスローペースでのサイクリングを楽しむ。
CWレコメンドショップページ
フォーチュンバイク HP
ウェア協力:カペルミュール
text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO
大小さまざまなバイクブランドがひしめく、イタリアで半世紀以上に渡ってレーシングバイクを送り出してきたグエルチョッテイ。欧州の中でも、ロードレースが盛んなイタリアで1964年に創業したブランドである。同社の起源となったのは、1964年、兄イタロと弟パオロのグエルチョッテイ兄弟がミラノに構えた小さな自転車ショップだ。
シクロクロス選手として活躍したグエルチョッテイ兄弟は、競技と同時にショップ経営にも力を入れ、そのビジネスを大きく広げていくことに成功した。1975年には、ショップの枠を飛び出しバイクの製作を開始。プロチームへの機材供給を手がけ始めたグエルチョッテイは、それから4年後、弟のパオロがイタリア代表としてシクロクロス世界選手権へ出場を果たしたことや、ジロとブエルタを制覇したジョヴァンニ・バッタリンをはじめとした著名な選手が愛用したこともあり、レースバイクの世界で確固たる地位を築いてきた。
そんなグエルチョッテイだが、レースに対する情熱は現在も冷めてはいない。ブランドルーツとなったシクロクロスだけでなく、ロードレースにおいてもチームへのサポートを継続してきた。現在では、ポーランド籍のUCIプロコンチネンタルチームのCCCスプランディ・ポルコウィチェをサポートし、オレンジ色に染められたチームバイクのイメージを持つ人も多いのではないだろうか。
レーシングバイクへの熱い想いを持ち続けるグエルチョッテイが、2018年モデルとして2つのハイエンドバイクを発表した。1つは昨今多くのメーカーがラインアップに加えるエアロロードのEUREKA AIR、そしてもう一つが今回紹介する、ライトウェイトオールラウンダーのE740だ。
これまでラインアップしてきたECLIPSE 769に代わるハイエンドマシンとしてデビューしたE740、その最大の特徴はフレーム重量740gという軽さだろう。モデル名の由来となったその重量は、グエルチョッティ史上最軽量となる記念すべき一台でもある。
その重量を実現するために用いられるのは、高弾性なウルトラハイモジュラスカーボン。この高性能カーボンファイバーをメインのマテリアルとして使用しつつ、弾性率の異なるカーボンを強度を必要とする場所などへと使い分けることで、理想的なカーボンレイアップを実現した。
ハイグレードな素材を活かすのは、同社独自のワンピースモノコック成型技術だ。単一の構造体として生み出されるフレームは余計な接合部を極力排除することで、更なる軽量化を実現している。また、成型時に固体の芯材を用いることで余分なレジンを除去することが出来るEPS(発泡ポリスチレン成型)テクノロジーも合わせ、軽さと高い剛性を両立させているのだ。
フレームの設計自体は、クライミングバイクとしてオーソドックスでシンプルなデザイン。直線的なチューブによって構成されたフレームは、一切の無駄を感じさせない一振りの刃物のようなシルエットに仕上がっている。ライダーの踏力を受け止める必要のあるダウンチューブからBB、そしてチェーンステーにかけてのラインは肉薄ながらも大口径の角断面チューブを用い、横方向へのねじれを極力抑える設計だ。
一方、トップチューブそして、シートステーはボリュームを抑えられるとともに扁平形状とされ、縦方向への柔軟性を最大限に引き出すデザインとされている。軽く反応性が良いバイクながらも、一定の快適性やトラクション性能を確保した、レースで勝つための一台として生み出されている。
今回インプレッションしたのは、シマノの新型アルテグラで組み上げられた一台。ホイールはシマノのWH-R9100-C24を使用し、タイヤはコンチネンタルのGP4000Sを装着する。イタリアの老舗レーシングブランドが考えるクライミングバイクのインプレッションをお届けしよう。
― インプレッション
「漕ぎ出しが非常に軽く、登りの軽快さと加速感が光る」奥村貴(正屋)
フレームの軽さから漕ぎ出しが非常に軽く、登りで軽快な走りが味わえるバイクになります。ヒルクライムの大会などに出たくなるような登坂性能が特徴的ですね。ルックスもロードバイクらしい細身のチューブで構成されており、非常にシンプルで格好いいと思います。そこに少し丸みを帯びた字体のグエルチョッティロゴが可愛らしさも演出しています。
フレームの剛性感はガチガチに硬いという印象ではありませんが、登りで踏み込んだ際には飛ぶようにスッと進んでくれる感覚があります。チェーンステーやBBは見た目にも剛性を感じられる造形ですが、踏み味は硬すぎることなくバランスの良い味付けがされており、軽快な走りが印象的です。パワーをかけた時の進み具合も不満のない性能を発揮してくれますね。
剛性感だけではなく、何と言ってもフレームの軽量さがこのバイクのポイント。フレーム単体740gという軽さで、今回のテストバイクのアセンブルでも実際に手で持ち上げたときや、歩いて押したときでもその軽さを感じる事ができました。もちろん乗ったときも最初の一漕ぎ目で軽さを体感できますし、登りも気持ちよく進んでくれます。
ですので、重いギアで踏み込むような踏み方と言うよりは、軽いギアを高回転で回していくという踏み方がこのバイクには合っているような気がします。リズムの速いダンシングと織り交ぜて高ケイデンスで回していくとグングン加速していきますね。
その上、踏んだときの反発が身体に返ってくるようなこともなかったので、疲労も溜まりにくいのではないでしょうか。細く作られたシートステーが振動吸収に一役買っているのでしょう。路面が多少荒れた道でも振動を抑えてくれており、快適性も十分にあると感じました。
ただ、ハンドリングに関しては非常にクイックだと感じました。ワインディングロードなどの下りで切り込み過ぎるかもしれませんので、扱いには慣れが必要ですね。ただ、レーシーなハンドリングとも取れますので、レーシングな走りが好みの人にはマッチすると思います。
快適性もしっかりありますのでロングライドも良いですし、車重の軽さを活かしてヒルクライムにもオールマイティーに使用できると思います。これでフレームセット32万円というのは非常にお買い得だと感じます。これからヒルクライムを頑張っていきたいという人にはお勧めの1台です。
「バイクを操る楽しさを体験できる、人間本位な一台」錦織大祐(フォーチュンバイク)
正統派のレーシングバイクですね、軽くて硬くて、入力に対してキビキビ反応してくれる。かといって、軽量バイクにありがちな腰高感もあまり無いので乗っていても危うく感じるようなことはゼロです。とても扱いやすいバイクに仕上がっています。
個人的には軽量バイクは大まかに二つに分けられると思っています。一つはフレームをしならせることで快適性もアップさせようというバイク、もう一つはあくまで硬さを追求したバイク。E740はどちらかといえば後者のバイクで、フレームにはフレームが成すべき仕事をしっかりとこなすように味付けされています。
つまり、踏んだ力をしっかりと推進力に変換するための性能が最も重要視されているということですね。それ以外の部分、例えば快適性などは、基本的にはホイールやタイヤの領分なわけですから、フレームに対してその性能を過剰に盛り込むような設計ではない。もちろん、全くおざなりになっているわけではなく、あらゆる面で必要十分な性能は与えられているのは間違いありません。
得意なフィールドについていえば、もちろん登りは軽量バイクだけあって本領を発揮できる場面です。剛性の高さと車重の軽さによって、トルクをかけても回転を上げても応えてくれます。下りもニュートラルで安定しています。試乗車にはデュラエースのC24-CLがアセンブルされていたのですが、組み合わせるホイールによっていろいろな顔を見せてくれそうな素性の良さを感じました。
それでは、このバイクならではの良さは何かと言えば、ライダーがバイクを操る楽しさを残してくれているという点でしょうか。どんどんとテクノロジーが進歩していく中で大きなブランドが巨額の費用を投じて作り上げた最新バイクは、あまりにも高性能になりすぎたが故に、乗り手をスポイルしてしまうような部分があります。もちろん、それはフィジカル面でいえば「ラク」ですし、余裕が生まれるストレスフリーな乗り味で、乗り物として至極正統な進化なわけですが、一方で人間はそれほど進化していないわけです。
そこで人間の感覚とのギャップが生じます。特に、昔から自転車に乗り続けている人の中では、どこか自分がやるべき操作がバイクに奪われてしまっているような物足りなさを感じている人も多いのではないでしょうか。個人的には、機材がやってくれるならそれに越したことはないのですが(笑)、乗りこなしている感覚というのはロードバイクの楽しさの中でも大きな位置を占めるものです。
E740はそういった意味で、10年前のフラッグシップバイクを現代の技術と素材でリビルドしたような乗り味とでも言いましょうか。決して少なくない、自転車乗りが自転車乗りであるために必要な要素を人間の側に残してくれている。それはこのバイクにグエルチョッテイというブランドが込めた思いなのでしょう。
日本ではまだまだマイナーなブランドですが、いざ乗ってみれば「これこれ!こういうバイクを探していたんだよ!」という人もきっと多いはず。色んなバイクを持っていてもいつの間にか出番が増えていそうな、乗り手の感覚に寄り添ってくれる一台ですね。
グエルチョッティ E740(フレームセット)
フレーム:40HM、30HM、24HMカーボン
フォーク:カーボンモノコック
重量:740g
ヘッド規格:1-1/8 - 1-1/4
BB規格:プレスフィットBB86
シートポスト径:27.2mm
シートクランプ径:31.8mm
サイズ:XXS、XS、S、M
価 格:320,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
奥村貴(正屋)
福岡市東区千早の自転車店、正屋千早店の店長を務める。10代半ばからMTBの魅力に取り付かれ、2001年から2006年まではMTBジャパンシリーズのエリートクラスで全国を転戦。現在はロードバイクを中心として、ビギナーの方に自転車の楽しさを伝えるよう活動する一方、若きライダーをサポートするMASAYA YOUNG RIDERS PROGRAMで若手選手の育成に取り組んでいる。
CWレコメンドショップページ
正屋 HP
錦織大祐(フォーチュンバイク)
幼少のころより自転車屋を志し、都内の大型プロショップで店長として経験を積んだ後、2010年に東京錦糸町にフォーチュンバイクをオープンさせた新進気鋭の若手店主。世界各国の自転車メーカーと繋がりを持ち、実際に海外の製造現場で得た見聞をユーザーに伝えることを信条としている。シマノ鈴鹿ロードへ20年以上に渡り連続出場する一方、普段はロングライドやスローペースでのサイクリングを楽しむ。
CWレコメンドショップページ
フォーチュンバイク HP
ウェア協力:カペルミュール
text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO
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