2017/08/28(月) - 05:17
1級山岳クンブレ・デル・ソルで猛加速したマイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が1年ぶりのステージ優勝。最初の休息日を前に、ボーナスタイムを得て総合リードを更に広げた。
ブエルタ・ア・エスパーニャの前半戦も大詰め。9日間に渡る長い第1周目を締めくくるのは、ビーチリゾートが連なるバレンシア州のレバンテ海岸を北上する174km。スタート後100km以上に渡って続く平坦路に向けて、この日はマルケル・イリサル(スペイン、トレック・セガフレード)、マルク・ソレール(スペイン、モビスター)、トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、エフデジ)ら10名が20km地点から逃げ始めた。
この日メイン集団のコントロールを担ったのは、マイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス)を従えたチームスカイではなく、来季のスポンサーが未だ決定せず、チーム存続の危機に瀕しているキャノンデール・ドラパックの面々。この日グリーンのアーガイルトレインはフルメンバーを揃えてステージ終盤まで先頭を譲らず、終始無言のアピールを続けた。
序盤こそ風光明媚な沿岸風景が続いたが、残り50kmを切ってからプロトンは一路内陸へと舵を切る。その後は最大勾配21%の激坂区間を含む2級山岳プイグ・ジョレンサ峠(長さ3.2km/平均9.2%)を2度こなしてから残り800mから脇道へ。非公式ながら25%の激坂区間を経て、最後は地中海を見下ろす標高415mの1級山岳クンブレ・デル・ソル(長さ4km/平均9.1%)と至るという文字通りの山場が続く。逃げグループ、メイン集団共に緊張感を高めつつ、徐々に山岳に近づいていった。
およそ1分半のリードで2級山岳プイグ・ジョレンサ峠に到達した逃げグループでは、ルドヴィグソンの加速で集団が割れ、やがて追いついてきたソレールとの二人旅が始まる。メイン集団ではアタックを警戒して各チームが前方に集う中から、総合タイムを失っているロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)が単独で仕掛ける。しかし同調する動きは現れず、キャノンデールの牽引によって引き戻された。
ローテーションを回しながら(ルドヴィグソンはバンプでジャンプを決めながら)逃げる2人だったが、一塊になって峠を目指す集団を引き離すには至らない。単独で粘ったソレールも残り6km地点で、キャノンデールからチームスカイに牽引役をバトンタッチした集団に飲み込まれる。
2度めのプイグ・ジョレンサ峠に達し、勾配が18%に達する急勾配区間で、積極的な姿勢を崩さないバルデがこの日2度目のアタックを敢行する。一定ペースを刻むチームスカイに対してネオプロのエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)とリカルド・カラパス(エクアドル、モビスター)がバルデに合流し、続けざまにカラパスが爆発的な加速で単独先頭に躍り出た。
逃げ切りも匂わせるカラパスだったが徐々に失速し、ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)がハイペースで牽く集団に飲み込まれる。再三に渡るバルデの攻撃も封じられ、15名程度まで絞り込まれた集団がニエベ先頭で残り1kmのアーチを通過した。
総合上位勢でまず動いたのは、1分8秒遅れの総合7位につけるダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)。しかしフルームがガッチリとマークし、デラクルスがペースを弱めたその瞬間、マイヨロホ自らダンシングでアタックした。
早回しのようなフルームの急激な加速に、番手に付けていたアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)は中切れして脱落。エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)とマイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック)だけが残り200mで追いついたが、それを確認したフルームは再び踏み込み、まずウッズを、そして粘ったチャベスを引き離して独走でフィニッシュへ。ゴールライン上で勢い良くガッツポーズを繰り出した。
ステージ優勝としては昨年大会第19ステージ(個人タイムトライアル)以来、およそ1年ぶりの勝利を飾ったフルームは「最後の数百メートルは持てる力の全てを出してもがいた。ライバルたちは追いつけないと判断したようだ。本当に、本当に勝てて嬉しいよ。チームメイトは素晴らしい仕事をしてくれて、最後の峠で良いテンポを刻んだ。ブエルタ1周目が終わって、これ以上望めないほどに上手く運んでいて、そしてファンタスティックなブエルタ開幕となっている。脚の感触も上々だし、これまで何度も参加してきたブエルタの中でも最高の試合運びだ」とコメント。今回の勝利でボーナスタイムを加算し、チャベスとの差を36秒にまで広げてみせた。
そして総合トップ10内で順位を上げたのは、最後フルームに肉薄したウッズ(9位→8位)と、アタックの口火を切ったデラクルス(7位→6位)。最後に離れながらも6位に入ったコンタドールは総合17位→13位へとジャンプアップに成功している。
ブエルタ・ア・エスパーニャの前半戦も大詰め。9日間に渡る長い第1周目を締めくくるのは、ビーチリゾートが連なるバレンシア州のレバンテ海岸を北上する174km。スタート後100km以上に渡って続く平坦路に向けて、この日はマルケル・イリサル(スペイン、トレック・セガフレード)、マルク・ソレール(スペイン、モビスター)、トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、エフデジ)ら10名が20km地点から逃げ始めた。
この日メイン集団のコントロールを担ったのは、マイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス)を従えたチームスカイではなく、来季のスポンサーが未だ決定せず、チーム存続の危機に瀕しているキャノンデール・ドラパックの面々。この日グリーンのアーガイルトレインはフルメンバーを揃えてステージ終盤まで先頭を譲らず、終始無言のアピールを続けた。
序盤こそ風光明媚な沿岸風景が続いたが、残り50kmを切ってからプロトンは一路内陸へと舵を切る。その後は最大勾配21%の激坂区間を含む2級山岳プイグ・ジョレンサ峠(長さ3.2km/平均9.2%)を2度こなしてから残り800mから脇道へ。非公式ながら25%の激坂区間を経て、最後は地中海を見下ろす標高415mの1級山岳クンブレ・デル・ソル(長さ4km/平均9.1%)と至るという文字通りの山場が続く。逃げグループ、メイン集団共に緊張感を高めつつ、徐々に山岳に近づいていった。
およそ1分半のリードで2級山岳プイグ・ジョレンサ峠に到達した逃げグループでは、ルドヴィグソンの加速で集団が割れ、やがて追いついてきたソレールとの二人旅が始まる。メイン集団ではアタックを警戒して各チームが前方に集う中から、総合タイムを失っているロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)が単独で仕掛ける。しかし同調する動きは現れず、キャノンデールの牽引によって引き戻された。
ローテーションを回しながら(ルドヴィグソンはバンプでジャンプを決めながら)逃げる2人だったが、一塊になって峠を目指す集団を引き離すには至らない。単独で粘ったソレールも残り6km地点で、キャノンデールからチームスカイに牽引役をバトンタッチした集団に飲み込まれる。
2度めのプイグ・ジョレンサ峠に達し、勾配が18%に達する急勾配区間で、積極的な姿勢を崩さないバルデがこの日2度目のアタックを敢行する。一定ペースを刻むチームスカイに対してネオプロのエンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)とリカルド・カラパス(エクアドル、モビスター)がバルデに合流し、続けざまにカラパスが爆発的な加速で単独先頭に躍り出た。
逃げ切りも匂わせるカラパスだったが徐々に失速し、ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ)がハイペースで牽く集団に飲み込まれる。再三に渡るバルデの攻撃も封じられ、15名程度まで絞り込まれた集団がニエベ先頭で残り1kmのアーチを通過した。
総合上位勢でまず動いたのは、1分8秒遅れの総合7位につけるダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)。しかしフルームがガッチリとマークし、デラクルスがペースを弱めたその瞬間、マイヨロホ自らダンシングでアタックした。
早回しのようなフルームの急激な加速に、番手に付けていたアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)は中切れして脱落。エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)とマイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック)だけが残り200mで追いついたが、それを確認したフルームは再び踏み込み、まずウッズを、そして粘ったチャベスを引き離して独走でフィニッシュへ。ゴールライン上で勢い良くガッツポーズを繰り出した。
ステージ優勝としては昨年大会第19ステージ(個人タイムトライアル)以来、およそ1年ぶりの勝利を飾ったフルームは「最後の数百メートルは持てる力の全てを出してもがいた。ライバルたちは追いつけないと判断したようだ。本当に、本当に勝てて嬉しいよ。チームメイトは素晴らしい仕事をしてくれて、最後の峠で良いテンポを刻んだ。ブエルタ1周目が終わって、これ以上望めないほどに上手く運んでいて、そしてファンタスティックなブエルタ開幕となっている。脚の感触も上々だし、これまで何度も参加してきたブエルタの中でも最高の試合運びだ」とコメント。今回の勝利でボーナスタイムを加算し、チャベスとの差を36秒にまで広げてみせた。
そして総合トップ10内で順位を上げたのは、最後フルームに肉薄したウッズ(9位→8位)と、アタックの口火を切ったデラクルス(7位→6位)。最後に離れながらも6位に入ったコンタドールは総合17位→13位へとジャンプアップに成功している。
H3
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第9ステージ
ステージ結果
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 4h07'13" |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) | +04" |
3位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | +05" |
4位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | +08" |
5位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ) | |
6位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | +12" |
7位 | ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | |
8位 | サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) | |
9位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) | +14" |
10位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
11位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | +17" |
12位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) | +19" |
16位 | アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | +27" |
DNF | ヨアン・ルボン(フランス、エフデジ) | |
DNF | イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 36h33'16" |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) | +36" |
3位 | ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) | +1'05" |
4位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | +1'17" |
5位 | ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) | +1'27" |
6位 | ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) | +1'30" |
7位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | +1'33" |
8位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | +1'52" |
9位 | アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | +1'55" |
10位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ) | +2'15" |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 55pts |
2位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 49pts |
3位 | パウェル・ポリャンスキー(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) | 44pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) | 37pts |
2位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) | 18pts |
3位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 15pts |
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 5pts |
2位 | エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) | 15pts |
3位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | 39pts |
チーム総合成績
1位 | モビスター | 109h06'12" |
2位 | UEAチームエミレーツ | +19" |
3位 | アスタナ | +4'57" |
text:So.Isobe
photo:CorVos
photo:CorVos
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