2017/07/11(火) - 11:00
これまでの暑さから一転、気温は下がり、過ごしやすくなったものの、第9ステージのスタート地点・ナンテュアは小雨まじりの雨でした。天気予報でも一日、雨。そんなクイーンステージに訪れた日本からの観客たちと、縁の下の力持ちとして活躍する「下見先行車」について、お伝えしましょう。
第9ステージは、ナンテュア~シャンベリー間の181.5kmで、2級、3級、3級、超級、超級、4級、超級と、7つもの峠を登ったり下ったりの、今大会最難関のクイーンステージ。ただでさえテクニカルな、とてもハードなコースなのに、雨の中では路面も滑りやすく、視界も悪くなる……と、暑い日とは違った不安がよぎる、スタート地点でした。
ナンテュア湖畔では、雨にもかかわらずたくさんの人で集まっていました。チームはバスのサンシェードをおろし、雨除けを。その下で選手はローラー台をまわし、ウォーミングアップをはじめています。ローラー台に乗る選手もいれば、ヴィラージュが組まれたところから少し離れた場所まで自転車を走らせる選手もいました。スタートしてすぐに登りがあるため、昨日より熱心にアップをしているようでした。
前日の第8ステージ、ドール~スタスィヨン・デ・ルッスの187.5kmは「ジュラ山脈」満載のコースで、沿道には「ジュラ」の旗がたくさん見られましたが、このステージでは「Ici cest L'Ain!」(ここはラン!)の黄色い旗が。街中、沿道中が黄色です。そう、ここはフランスのラン県。ステージタウンとしては初めてであるものの、UCIヨーロッパツアー「ツール・ド・ラン」の舞台でもあるため、観客も観戦慣れしている様子。車に向かって隊列を組んでウェーブをしてきたり、峠の方ではワインを片手にキャンピングカーのテレビを見ながら観戦したりと、思い思いの方法で楽しんでいるようでした。
日本からの応援もたくさんいました。超級山岳のグランコロンビエールでは少なくとも3つの日本人グループに会いました。さいたまから家族で応援に来た山野井さんは家族で自転車を持ち込んで(?)超級山岳グランコロンビエールのクライミングに挑戦!
フランスで自転車旅行のアテンドをしている川田さんや、自転車に荷物をくくりつけて、おそらくツールの観戦を自転車で楽しんでいる様子の方も。沿道でテントを張り、焼きそばを作って観戦に備える方も!数年前に比べて日本人の数がぐんと増えたと言います。ツール出場7回目の新城幸也選手の活躍のおかげで、応援させてもらえる存在がいるというのは本当に大きなことです。沿道で他国の方に名前を言ってもすぐに通じるし、全世界中に名前が知れ渡っていることを感じます。
さて、天気の方は幸い大雨に降られることはなく小雨で終わってくれたものの、路面は濡れており、私たちの車もスリップするほど。このステージでも痛々しい落車が相次いでしまいました。ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)、ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)やマヌエーレ・モーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)までも……。
ここ数年の間で、チームは「下見先行車」を走らせることになったようです。レース中に選手のメカサポートや補給をするチームカーと違って、レースの30分くらい前に、間隔をあけて車を走らせ、コースや天候の下見をしているのです。どこどこの路面が濡れている、どこどこでは雨が降っている、横風が激しい、どこどこのロータリーはわかりにくいから気をつけろ……、などなど、30分後にやってくるレース本体に情報を流しているのです。
この下見先行車は、数年前にチームスカイが始め、今ではツールをはじめとしたグランツールでは全チームが出していると言います。たいていの場合、レースやコースをよく知っている元選手が車に乗ったり、第二監督、第三監督が乗る場合もあります。でも、レースを生で観られるわけでもなく、チームバスの中でテレビを観られるわけでもないためなのか、担当が決まっていなくて交代制になっているそう。
チームカーとは一見すると区別がつきませんが、この車には自転車も積んでいないですし、車に貼ってあるアクレディテーションのステッカーも「チーム」のものとは違います。そういわれてみれば私たちメディアのステッカーと同じ色です。30分くらい先行して走らせているのでテレビにも映ることはないかもしれませんが、「宣伝カー」的な役割も果たしているようです。
text&photo:Seiko.Meguro
筆者プロフィール:目黒 誠子(めぐろせいこ)
2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。2014年よりツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当していた。ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。趣味はバラ栽培と鑑賞。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。ライター、自転車とまちづくり・クリーン工房アドバイザー、宮城インバウンドDMOアドバイザー。
https://global-wifi.com/go-beyonder/067.html
第9ステージは、ナンテュア~シャンベリー間の181.5kmで、2級、3級、3級、超級、超級、4級、超級と、7つもの峠を登ったり下ったりの、今大会最難関のクイーンステージ。ただでさえテクニカルな、とてもハードなコースなのに、雨の中では路面も滑りやすく、視界も悪くなる……と、暑い日とは違った不安がよぎる、スタート地点でした。
ナンテュア湖畔では、雨にもかかわらずたくさんの人で集まっていました。チームはバスのサンシェードをおろし、雨除けを。その下で選手はローラー台をまわし、ウォーミングアップをはじめています。ローラー台に乗る選手もいれば、ヴィラージュが組まれたところから少し離れた場所まで自転車を走らせる選手もいました。スタートしてすぐに登りがあるため、昨日より熱心にアップをしているようでした。
前日の第8ステージ、ドール~スタスィヨン・デ・ルッスの187.5kmは「ジュラ山脈」満載のコースで、沿道には「ジュラ」の旗がたくさん見られましたが、このステージでは「Ici cest L'Ain!」(ここはラン!)の黄色い旗が。街中、沿道中が黄色です。そう、ここはフランスのラン県。ステージタウンとしては初めてであるものの、UCIヨーロッパツアー「ツール・ド・ラン」の舞台でもあるため、観客も観戦慣れしている様子。車に向かって隊列を組んでウェーブをしてきたり、峠の方ではワインを片手にキャンピングカーのテレビを見ながら観戦したりと、思い思いの方法で楽しんでいるようでした。
日本からの応援もたくさんいました。超級山岳のグランコロンビエールでは少なくとも3つの日本人グループに会いました。さいたまから家族で応援に来た山野井さんは家族で自転車を持ち込んで(?)超級山岳グランコロンビエールのクライミングに挑戦!
フランスで自転車旅行のアテンドをしている川田さんや、自転車に荷物をくくりつけて、おそらくツールの観戦を自転車で楽しんでいる様子の方も。沿道でテントを張り、焼きそばを作って観戦に備える方も!数年前に比べて日本人の数がぐんと増えたと言います。ツール出場7回目の新城幸也選手の活躍のおかげで、応援させてもらえる存在がいるというのは本当に大きなことです。沿道で他国の方に名前を言ってもすぐに通じるし、全世界中に名前が知れ渡っていることを感じます。
さて、天気の方は幸い大雨に降られることはなく小雨で終わってくれたものの、路面は濡れており、私たちの車もスリップするほど。このステージでも痛々しい落車が相次いでしまいました。ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)、ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)やマヌエーレ・モーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)までも……。
ここ数年の間で、チームは「下見先行車」を走らせることになったようです。レース中に選手のメカサポートや補給をするチームカーと違って、レースの30分くらい前に、間隔をあけて車を走らせ、コースや天候の下見をしているのです。どこどこの路面が濡れている、どこどこでは雨が降っている、横風が激しい、どこどこのロータリーはわかりにくいから気をつけろ……、などなど、30分後にやってくるレース本体に情報を流しているのです。
この下見先行車は、数年前にチームスカイが始め、今ではツールをはじめとしたグランツールでは全チームが出していると言います。たいていの場合、レースやコースをよく知っている元選手が車に乗ったり、第二監督、第三監督が乗る場合もあります。でも、レースを生で観られるわけでもなく、チームバスの中でテレビを観られるわけでもないためなのか、担当が決まっていなくて交代制になっているそう。
チームカーとは一見すると区別がつきませんが、この車には自転車も積んでいないですし、車に貼ってあるアクレディテーションのステッカーも「チーム」のものとは違います。そういわれてみれば私たちメディアのステッカーと同じ色です。30分くらい先行して走らせているのでテレビにも映ることはないかもしれませんが、「宣伝カー」的な役割も果たしているようです。
text&photo:Seiko.Meguro
筆者プロフィール:目黒 誠子(めぐろせいこ)
2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。2014年よりツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当していた。ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。趣味はバラ栽培と鑑賞。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。ライター、自転車とまちづくり・クリーン工房アドバイザー、宮城インバウンドDMOアドバイザー。
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