2017/07/05(水) - 06:25
落車が連続したツール・ド・フランス第4ステージでアルノー・デマール(フランス、エフデジ)が勝利。カヴェンディッシュの落車の原因を作ったとしてペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)に失格処分が与えられた。
小国ルクセンブルクから国境をまたいでフランスへ。ツール・ド・フランス第4ステージはフランス北部に広がる平野部を走る。残り37km地点の4級山岳トロワ・フォンテーヌ峠(全長1.9km/平均7.4%)を除いてコースは全体的にフラットで、207.5kmコースはミネラルウォーター産地として世界的に知られている人口5,000人強の小さな町ヴィッテルでフィニッシュを迎える。
正式なスタートが切られるとともに飛び出したのはギヨーム・ヴァンケイルスブルク(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)。他の選手が誰も反応しなかったため、ほぼ0km地点からヴァンケイルスブルクの長い一人旅が始まった。2016年までクイックステップに所属していた身長192cmの大柄なベルジャンライダーが緩い向かい風吹く平野を走り続けた。
最大13分15秒(59km地点)まで広がったタイム差を詰めにかかったのはロット・ソウダルとクイックステップフロアーズで、逃げる1人のベルギー人を2人のベルギー人(デヘントとヴェルモート)率いるメイン集団が追いかける。
レース後半に入るとエフデジとコフィディスも集団コントロールに合流し、残り90km地点でタイム差は6分まで縮小。ヴァンケイルスブルクを追う集団はスプリントポイント(157.5km地点)で本格的なスプリントを繰り広げ、サガンを下したデマールが17ポイントを獲得している。単独で逃げ続けていたヴァンケイルスブルクは残り17km地点で190kmに及ぶソロエスケープに終止符を打っている。
風を警戒する総合系チームも集団前方に位置しながら、スプリンターチームを先頭にヴィッテルの街に突入。細かいアップダウンや複雑な市街地コーナーを抜けると、最初の混乱が残り1.4km地点で発生する。ハイスピードで進む大集団の前から20番前後で落車が発生。新城幸也(バーレーン・メリダ)は前の選手に乗り上げる形になったが、落車は免れている。
そこから落車を切り抜けた約15名によるスプリントが始まった。ディメンションデータがトレインを組んでフラムルージュを通過したが、肝心のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)が後方に沈んでいたためトレインは崩壊。代わってロット・ソウダルが先頭に立ち、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)がアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)のために最後のリードアウトを見せる。
グライペルの後ろにアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)、ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)、サガン、デマール、カヴェンディッシュという並びで残り300mを切ると、クリストフが真っ先にスプリントを開始した。
勾配2〜3%の登り基調の最終ストレートで先頭に立ったクリストフを追う形で、そのスリップストリームを狙ってデマールやブアニ、サガンが加速。クリストフが右に進路をとった影響で、その後ろのデマールとサガンも同様にフェンス際へ(ブアニと接触したグライペルは失速)。すると、フェンスぎりぎりを走っていたカヴェンディッシュがサガンと接触する形で落車した。
カヴェンディッシュのすぐ後ろを走っていたジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)やベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)も避けきれずに地面に叩きつけられる中、クリストフの番手から加速したデマールがブアニの進路を横切りながら先頭に立つ。緩斜面で最後まで全開スプリント開始を待ったデマールが勝利した。
ツール直前のフランス選手権で優勝し、トリコロールを着てツールに挑んだデマールがガッツポーズ。「誰もが夢見るツールのステージ優勝。自分にとってミラノ〜サンレモと同じぐらい大きな勝利だけど、ツール・ド・フランスしか知らない人も多いので、この勝利の意味はより大きい。2015年以降、チームはリードアウトのメンバーを揃え、エフデジはスプリンターチームに進化したんだ。今日は落車でメンバーを失いながらも完璧にエスコートしてくれた。前半からスローペースだったのでスプリンターは全員がフレッシュな状態。混沌としたスプリントになると思っていたよ」と、落車多発の荒れたスプリントでステージ初優勝を飾ったデマールは語る。
2番手でフィニッシュラインを切ったのはサガン。しかしひじ打ちによってカヴェンディッシュを落車させたとしてリザルトに訂正が入り、30秒のペナルティが与えられることともにステージ115位に降格処分が与えられることに。その後、再びリザルトが訂正され、UCIコミッセールの判断によってサガンの失格処分が決定した。世界チャンピオンがレースから除外。ステージ優勝を飾った翌日に、サガンの6年連続マイヨヴェール獲得に向けた挑戦が終わった。
落車したカヴェンディッシュは負傷した右手に応急処理を施した状態でフィニッシュ。カヴェンディッシュは鎖骨の骨折によって第5ステージのDNSを決めている。残り1.4km地点の落車に巻き込まれた総合首位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)はマイヨジョーヌを堅守。その他、サガンの処分については現地レポートで詳しくお伝えします。
小国ルクセンブルクから国境をまたいでフランスへ。ツール・ド・フランス第4ステージはフランス北部に広がる平野部を走る。残り37km地点の4級山岳トロワ・フォンテーヌ峠(全長1.9km/平均7.4%)を除いてコースは全体的にフラットで、207.5kmコースはミネラルウォーター産地として世界的に知られている人口5,000人強の小さな町ヴィッテルでフィニッシュを迎える。
正式なスタートが切られるとともに飛び出したのはギヨーム・ヴァンケイルスブルク(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)。他の選手が誰も反応しなかったため、ほぼ0km地点からヴァンケイルスブルクの長い一人旅が始まった。2016年までクイックステップに所属していた身長192cmの大柄なベルジャンライダーが緩い向かい風吹く平野を走り続けた。
最大13分15秒(59km地点)まで広がったタイム差を詰めにかかったのはロット・ソウダルとクイックステップフロアーズで、逃げる1人のベルギー人を2人のベルギー人(デヘントとヴェルモート)率いるメイン集団が追いかける。
レース後半に入るとエフデジとコフィディスも集団コントロールに合流し、残り90km地点でタイム差は6分まで縮小。ヴァンケイルスブルクを追う集団はスプリントポイント(157.5km地点)で本格的なスプリントを繰り広げ、サガンを下したデマールが17ポイントを獲得している。単独で逃げ続けていたヴァンケイルスブルクは残り17km地点で190kmに及ぶソロエスケープに終止符を打っている。
風を警戒する総合系チームも集団前方に位置しながら、スプリンターチームを先頭にヴィッテルの街に突入。細かいアップダウンや複雑な市街地コーナーを抜けると、最初の混乱が残り1.4km地点で発生する。ハイスピードで進む大集団の前から20番前後で落車が発生。新城幸也(バーレーン・メリダ)は前の選手に乗り上げる形になったが、落車は免れている。
そこから落車を切り抜けた約15名によるスプリントが始まった。ディメンションデータがトレインを組んでフラムルージュを通過したが、肝心のマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)が後方に沈んでいたためトレインは崩壊。代わってロット・ソウダルが先頭に立ち、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)がアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)のために最後のリードアウトを見せる。
グライペルの後ろにアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)、ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)、サガン、デマール、カヴェンディッシュという並びで残り300mを切ると、クリストフが真っ先にスプリントを開始した。
勾配2〜3%の登り基調の最終ストレートで先頭に立ったクリストフを追う形で、そのスリップストリームを狙ってデマールやブアニ、サガンが加速。クリストフが右に進路をとった影響で、その後ろのデマールとサガンも同様にフェンス際へ(ブアニと接触したグライペルは失速)。すると、フェンスぎりぎりを走っていたカヴェンディッシュがサガンと接触する形で落車した。
カヴェンディッシュのすぐ後ろを走っていたジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)やベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)も避けきれずに地面に叩きつけられる中、クリストフの番手から加速したデマールがブアニの進路を横切りながら先頭に立つ。緩斜面で最後まで全開スプリント開始を待ったデマールが勝利した。
ツール直前のフランス選手権で優勝し、トリコロールを着てツールに挑んだデマールがガッツポーズ。「誰もが夢見るツールのステージ優勝。自分にとってミラノ〜サンレモと同じぐらい大きな勝利だけど、ツール・ド・フランスしか知らない人も多いので、この勝利の意味はより大きい。2015年以降、チームはリードアウトのメンバーを揃え、エフデジはスプリンターチームに進化したんだ。今日は落車でメンバーを失いながらも完璧にエスコートしてくれた。前半からスローペースだったのでスプリンターは全員がフレッシュな状態。混沌としたスプリントになると思っていたよ」と、落車多発の荒れたスプリントでステージ初優勝を飾ったデマールは語る。
2番手でフィニッシュラインを切ったのはサガン。しかしひじ打ちによってカヴェンディッシュを落車させたとしてリザルトに訂正が入り、30秒のペナルティが与えられることともにステージ115位に降格処分が与えられることに。その後、再びリザルトが訂正され、UCIコミッセールの判断によってサガンの失格処分が決定した。世界チャンピオンがレースから除外。ステージ優勝を飾った翌日に、サガンの6年連続マイヨヴェール獲得に向けた挑戦が終わった。
落車したカヴェンディッシュは負傷した右手に応急処理を施した状態でフィニッシュ。カヴェンディッシュは鎖骨の骨折によって第5ステージのDNSを決めている。残り1.4km地点の落車に巻き込まれた総合首位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)はマイヨジョーヌを堅守。その他、サガンの処分については現地レポートで詳しくお伝えします。
ステージ成績
1位 | アルノー・デマール(フランス、エフデジ) | 4:53:54 |
2位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) | |
3位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) | |
4位 | ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) | |
5位 | アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー) | |
6位 | ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル) | |
7位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | |
8位 | マヌエーレ・モーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ) | |
9位 | ティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル) | |
10位 | ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップフロアーズ) | |
53位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | |
失格 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
敢闘賞 | ギヨーム・ヴァンケイルスブルク(ベルギー、ワンティ・グループゴベール) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 14:54:25 |
2位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:12 |
3位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | |
4位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) | 0:16 |
5位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:25 |
6位 | フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) | 0:30 |
7位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | 0:32 |
8位 | ティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル) | |
9位 | アルノー・デマール(フランス、エフデジ) | 0:33 |
10位 | ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ) | 0:34 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | アルノー・デマール(フランス、エフデジ) | 124pts |
2位 | マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) | 81pts |
3位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 66pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ネイサン・ブラウン(アメリカ、キャノンデール・ドラパック) | 3pts |
2位 | テイラー・フィニー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック) | 2pts |
3位 | ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) | 2pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 14:54:50 |
2位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) | 0:12 |
3位 | シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) | 0:13 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 44:43:34 |
2位 | クイックステップフロアーズ | 1:01 |
3位 | モビスター | 1:16 |
text&photo:Kei Tsuji in Vittel, France
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