2017/07/03(月) - 05:01
ドイツのデュッセルドルフからベルギーのリエージュを目指す平坦なツール・ド・フランス第2ステージは前日に引き続いて雨。多くの選手が落車する荒れたレースの最後にマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)がスプリント勝利をつかんだ。
デュッセルドルフ中心部のブルグ広場(6月29日のチームプレゼンテーションの開催場所)からツール第2ステージはスタート。ライン川に面した広場から市内を9kmパレード走行後、ドイツ最大の人口を有するノルトライン=ヴェストファーレン州をぐるりと巡ってオランダとベルギーの三ヶ国の国境が交わるエリアへ。144km地点でベルギーに入国し、残り20.5km地点で4級山岳オルヌ峠を越えてリエージュに至る平坦基調の203.5kmだ。
長いニュートラル走行とオープニングセレモニーを経て正式なスタートが切られるとすぐに4名のファーストアタックが決まる。テイラー・フィニー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)、ヨアン・オフルド(フランス、ワンティ・グループゴベール)、ローラン・ピション(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)、トマ・ボダ(フランス、ディレクトエネルジー)という、全員がツール初出場という初々しい逃げメンバーがレース先頭で形成された。ワイルドカード枠で出場しているフォルトゥネオ・オスカロは4年連続でロードステージ初日に逃げている。
序盤の4級山岳グラフェンベルク峠を先頭通過したのは総合12位につけるフィニー。終盤にもう一つ4級山岳が設定されているものの、同ポイントの場合は総合上位の選手にジャージが与えられるため、総合12位のフィニーは早々にマイヨアポワ着用を確定させた。アメリカ人によるマイヨアポワ着用は2011年のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)以来となる。
平均44.6km/hで最初の1時間を駆け抜けた逃げ4名は3分30秒程度のリードを保ちながら曇り空の平野を駆け抜ける。後方ではロット・ソウダルやクイックステップフロアーズ、ディメンションデータというスプリンターチームが集団先頭に選手を送り込み、タイム差をチェックしながら状況をコントロールした。初日の個人TTで落車したルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・スコット)が今大会3人目のリタイア者となっている。
レース開始から1時間半が経つ頃には雨が降り始め、完全にウェットなスプリントポイントを逃げグループはボダを先頭に通過していく。2分後方の集団ではこの日1回目の本格的なスプリントが繰り広げられ、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)が先着している。
スプリンターチームの牽引によって順調にタイム差が縮まりつつある中、フィニッシュまで30kmを残したロータリーで大落車が発生する。集団先頭付近の選手が完全ウェットな路面に足元をすくわれて転倒すると、後続の選手が止まり切れずにスリップダウン。その中にはマイヨジョーヌを着るゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)やクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)の姿もあった。
フルームはクリスティアン・クネース(ドイツ、チームスカイ)のバイクに飛び乗ってすぐさま再スタートし、ボーラ・ハンスグローエやロット・ソウダルがペースを落とすメイン集団にチームメイトの力を借りて復帰。集団復帰後すぐにフルームは自分のスペアバイクに乗り換えている。
集団落車の影響で逃げグループは40秒前後のリードを保ったまま最後の4級山岳オルヌ峠を登りきり、ここもフィニーが先頭で通過。雨に濡れた危険なダウンヒルをそのまま先頭で下ったフィニーにオフルドがジョインして先頭は2人に。エフデジやボーラ・ハンスグローエ、クイックステップフロアーズが率いるメイン集団から40秒リードで残り15kmを切った。
逃げ吸収は時間の問題と思われたが、フィニーとオフルドの力走によって残り10km地点で逆にタイム差が50秒まで拡大。慌てるスプリンターチームが猛烈なペースで追い上げ、30秒で残り5km地点を通過する。牽制することなくローテーションして逃げ続けた先頭2人はリエージュの街中に達したものの、フラムルージュ(残り1kmアーチ)を目前にして吸収された。
人数を揃えてトレインを組んだロット・ソウダルだったが、隊列の崩れによってボーラ・ハンスグローエに主導権を奪われてしまう。しかしボーラのトレインも機能せず、およそフィニッシュラインまで200mを残してペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)やディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)、アルノー・デマール(フランス、エフデジ)、ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)がほぼ横並びでスプリントを開始した。
新城幸也のアシストにより好位置から勝負に持ち込んだコルブレッリだったが、そのスリップストリームにはキッテルの姿。ライバルたちのトップスピードをもう一段上回る加速を見せたキッテルが先頭に立つと、そのままフィニッシュラインまでリードを維持し続けた。
フィニッシュ後、しばらく動けずに顔を覆って座り込んだキッテル。チームメイトたちが祝福に到着してようやく腰を上げ、雄叫びをあげてから抱き合って喜んだ。
「ステージ勝利数の数なんて関係ない。誇れる成績を残せるようにその時その時を大事に走っている結果。デュッセルドルフをスタートし、ドイツのファンの声援を受け続けたステージだったのでこの勝利は特別だ」と、ステージ通算10勝目を飾ったキッテル。もちろんポイント賞でもトップのキッテルは表彰台でマイヨヴェールに袖を通した。
ボーナスタイムによってキッテルはトーマスと6秒差に迫る総合3位に浮上し、翌日にもう1勝すればマイヨジョーヌに手がとどく状態に。しかし第3ステージは短い登りフィニッシュが設定された丘陵コース。キッテルは「明日は去年の第2ステージのような登りフィニッシュなので決してイージーなステージじゃない。状況を見ながら、フィリップ・ジルベールやマッテオ・トレンティンで勝負することも考えて走りたい」と語っている。
デュッセルドルフ中心部のブルグ広場(6月29日のチームプレゼンテーションの開催場所)からツール第2ステージはスタート。ライン川に面した広場から市内を9kmパレード走行後、ドイツ最大の人口を有するノルトライン=ヴェストファーレン州をぐるりと巡ってオランダとベルギーの三ヶ国の国境が交わるエリアへ。144km地点でベルギーに入国し、残り20.5km地点で4級山岳オルヌ峠を越えてリエージュに至る平坦基調の203.5kmだ。
長いニュートラル走行とオープニングセレモニーを経て正式なスタートが切られるとすぐに4名のファーストアタックが決まる。テイラー・フィニー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)、ヨアン・オフルド(フランス、ワンティ・グループゴベール)、ローラン・ピション(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)、トマ・ボダ(フランス、ディレクトエネルジー)という、全員がツール初出場という初々しい逃げメンバーがレース先頭で形成された。ワイルドカード枠で出場しているフォルトゥネオ・オスカロは4年連続でロードステージ初日に逃げている。
序盤の4級山岳グラフェンベルク峠を先頭通過したのは総合12位につけるフィニー。終盤にもう一つ4級山岳が設定されているものの、同ポイントの場合は総合上位の選手にジャージが与えられるため、総合12位のフィニーは早々にマイヨアポワ着用を確定させた。アメリカ人によるマイヨアポワ着用は2011年のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)以来となる。
平均44.6km/hで最初の1時間を駆け抜けた逃げ4名は3分30秒程度のリードを保ちながら曇り空の平野を駆け抜ける。後方ではロット・ソウダルやクイックステップフロアーズ、ディメンションデータというスプリンターチームが集団先頭に選手を送り込み、タイム差をチェックしながら状況をコントロールした。初日の個人TTで落車したルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・スコット)が今大会3人目のリタイア者となっている。
レース開始から1時間半が経つ頃には雨が降り始め、完全にウェットなスプリントポイントを逃げグループはボダを先頭に通過していく。2分後方の集団ではこの日1回目の本格的なスプリントが繰り広げられ、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)が先着している。
スプリンターチームの牽引によって順調にタイム差が縮まりつつある中、フィニッシュまで30kmを残したロータリーで大落車が発生する。集団先頭付近の選手が完全ウェットな路面に足元をすくわれて転倒すると、後続の選手が止まり切れずにスリップダウン。その中にはマイヨジョーヌを着るゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)やクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)の姿もあった。
フルームはクリスティアン・クネース(ドイツ、チームスカイ)のバイクに飛び乗ってすぐさま再スタートし、ボーラ・ハンスグローエやロット・ソウダルがペースを落とすメイン集団にチームメイトの力を借りて復帰。集団復帰後すぐにフルームは自分のスペアバイクに乗り換えている。
集団落車の影響で逃げグループは40秒前後のリードを保ったまま最後の4級山岳オルヌ峠を登りきり、ここもフィニーが先頭で通過。雨に濡れた危険なダウンヒルをそのまま先頭で下ったフィニーにオフルドがジョインして先頭は2人に。エフデジやボーラ・ハンスグローエ、クイックステップフロアーズが率いるメイン集団から40秒リードで残り15kmを切った。
逃げ吸収は時間の問題と思われたが、フィニーとオフルドの力走によって残り10km地点で逆にタイム差が50秒まで拡大。慌てるスプリンターチームが猛烈なペースで追い上げ、30秒で残り5km地点を通過する。牽制することなくローテーションして逃げ続けた先頭2人はリエージュの街中に達したものの、フラムルージュ(残り1kmアーチ)を目前にして吸収された。
人数を揃えてトレインを組んだロット・ソウダルだったが、隊列の崩れによってボーラ・ハンスグローエに主導権を奪われてしまう。しかしボーラのトレインも機能せず、およそフィニッシュラインまで200mを残してペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)やディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)、アルノー・デマール(フランス、エフデジ)、ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)がほぼ横並びでスプリントを開始した。
新城幸也のアシストにより好位置から勝負に持ち込んだコルブレッリだったが、そのスリップストリームにはキッテルの姿。ライバルたちのトップスピードをもう一段上回る加速を見せたキッテルが先頭に立つと、そのままフィニッシュラインまでリードを維持し続けた。
フィニッシュ後、しばらく動けずに顔を覆って座り込んだキッテル。チームメイトたちが祝福に到着してようやく腰を上げ、雄叫びをあげてから抱き合って喜んだ。
「ステージ勝利数の数なんて関係ない。誇れる成績を残せるようにその時その時を大事に走っている結果。デュッセルドルフをスタートし、ドイツのファンの声援を受け続けたステージだったのでこの勝利は特別だ」と、ステージ通算10勝目を飾ったキッテル。もちろんポイント賞でもトップのキッテルは表彰台でマイヨヴェールに袖を通した。
ボーナスタイムによってキッテルはトーマスと6秒差に迫る総合3位に浮上し、翌日にもう1勝すればマイヨジョーヌに手がとどく状態に。しかし第3ステージは短い登りフィニッシュが設定された丘陵コース。キッテルは「明日は去年の第2ステージのような登りフィニッシュなので決してイージーなステージじゃない。状況を見ながら、フィリップ・ジルベールやマッテオ・トレンティンで勝負することも考えて走りたい」と語っている。
ステージ成績
1位 | マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) | 4:37:06 |
2位 | アルノー・デマール(フランス、エフデジ) | |
3位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) | |
4位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) | |
5位 | ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) | |
6位 | ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | |
7位 | ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ) | |
8位 | ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) | |
9位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | |
10位 | ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
23位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | |
DNF | ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・スコット) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 4:53:10 |
2位 | シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) | 0:05 |
3位 | マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) | 0:06 |
4位 | ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ) | 0:07 |
5位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 0:10 |
6位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 0:12 |
7位 | ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:15 |
8位 | ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ) | |
9位 | エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) | 0:16 |
10位 | ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ) |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) | 63pts |
2位 | アルノー・デマール(フランス、エフデジ) | 38pts |
3位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) | 25pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | テイラー・フィニー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック) | 2pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) | 4:53:15 |
2位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:20 |
3位 | アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ | 0:24 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 14:39:49 |
2位 | クイックステップフロアーズ | 0:37 |
3位 | サンウェブ | 0:58 |
text&photo:Kei Tsuji in Liege, Belgium
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