2017/06/12(月) - 08:26
115kmという短いアルプス山岳ステージで断続的にかかったアタック。孤軍奮闘したリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)に対し、超級山岳プラトー・ド・ソレゾンでステージ優勝を飾ったヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)が逆転で総合優勝に輝いた。
8日間の大会を締めくくるクリテリウム・デュ・ドーフィネ第8ステージには、距離が115kmと短いものの、4つの難関峠が詰め込まれている。1級山岳セジー峠、2級山岳アラヴィ峠、1級山岳コロンビエール峠を立て続けにクリアし、最後は超級山岳プラトー・ド・ソレゾン(11.3km/平均9.2%)にアタック。この「平坦区間が1メートルもない濃度の高い山岳ステージ」で総合争いは加熱した。
最初の1級山岳セジー峠で24名の巨大な逃げグループが形成され、その中から単独で抜け出したトニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)が50秒リードで頂上をクリアする。後方ではクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)がアタックを試みたが総合首位ポートは千切れない。続く2級山岳アラヴィ峠でも攻撃を継続したフルームはポートを振り切った状態で下りに突入したが、結局はこの動きも引き戻された。先頭で逃げていたガロパンも20名強のメイン集団に吸収されている。
アタックの応酬は、フィニッシュまで50kmを切り、この日3つめのカテゴリー山岳である1級山岳コロンビエール峠に入っても続いた。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)のアタックにファビオ・アル(イタリア、アスタナ)が反応し、総合4位と総合5位のコンビがメイン集団から1分のリードを稼ぎ出してコロンビエール峠の頂上を越えていく。続いて総合2位ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)や総合6位ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、総合8位ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)も抜け出し、ここには総合7位アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)も合流。ポートとフルームを含むメイングループとのタイム差を広げ始めた。
しばらくポートをマークしていたフルームはコロンビエール峠の頂上まで1kmを残してアタックを仕掛け、ついにポートを引き離すことに成功する。得意の下り区間で挽回したフルームは、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)のヘルプを得て、前を走るフルサンググループに合流。ポートとのタイム差を広げたいこのフルームグループは、最後の超級山岳プラトー・ド・ソレゾンを登り始めてすぐに先頭のアルとバルベルデに追いついた。
こうして、フルーム、フルサング、アル、バルベルデ、バルデ、コンタドール、マーティン・・・つまりポートを除く総合トップ10の選手で構成された集団が、ポートから1分15秒のリードで最終山岳に挑むことに。第7ステージを終えた時点で総合1位ポートと総合2位フルームのタイム差は1分02秒で、総合3位フルサングのタイム差は1分15秒。ステージ優勝者には10秒のボーナスタイムが与えられるため、フルームの逆転総合優勝に追い風が吹き始めた。
周りにチームメイトのいないポートは孤軍奮闘。懸命な追走によりフルームグループとのタイム差は縮小傾向になり、ポートの首位キープが現実味を帯びてくる。しかし頂上まで7kmを残したタイミングで先頭からマーティンがアタックし、ここにフルサングが追いつくと形勢は再び変わる。残り5kmから独走開始したフルサング(前述の通り総合でポートから1分15秒遅れ)と追い上げるポートのタイム差は再び1分を超えた。
総合リーダーらしい抜群の登坂力で、前を走るフルームやコンタドールらを追い抜いて先を急いだポートだったが、先頭フルサングとのタイム差が縮まらない。フルサングはステージ優勝と総合優勝を目指してひたすら独走を継続。最後は故ミケーレ・スカルポーニに捧げるガッツポーズで、超級山岳プラトー・ド・ソレゾンの頂上にフィニッシュした。
注目のポートはタイム差を詰めきれずに1分15秒遅れでフィニッシュ。ステージ優勝者に与えられるボーナスタイム10秒が勝敗を分け、フルサングの逆転総合優勝が決まった。「何を話したらいいのかわからない。これまで何度も惜しいところでリーダージャージを逃してきた。マイヨジョーヌに袖を通した今も現実を受け入れられない」と、僅差の総合争いを制したフルサングは語る。
「コロンビエール峠でファビオ(アル)がアタックし、フルームが追走しなければならない状況を作ることで、アスタナは作戦通りスマートにレースを進めることができた。スタートからフィニッシュまで平静を保ち、追い込みすぎないように走ったよ。出産が控えた妻にこの勝利を捧げたい。ツールではファビオとダブルエース体制を組む予定。自分の状態もチームの状態も良いし、気負うことなくツールに挑みたい」。フルサングは、今大会ステージ2勝と、自身初のUCIワールドツアーステージレース総合優勝を喜んだ。
「敗れはしたものの、7月に向けて良い状態であることは証明できたと思う」と語るのは10秒差の総合2位でレースを終えたポート。「僅差で総合優勝を逃すことは失望以外の何物でもない。僕を蹴落とすことだけに集中した結果、自らの総合表彰台を逃す選手もいた中で、フルサングは素晴らしいレースをしたと思う。重要な局面でチームメイトがおらず、大勢のライバルに単独で挑まなければならないような状況は7月までに改善したい。とにかくここで得た自信を胸にツールに挑むよ」。
ステージ2位に入ったマーティンが最終的にフルームと1秒差で総合3位フィニッシュ。総合4位でレースを終えたフルームは「今日は総合2位を守るためではなく、逆転総合優勝のために戦った。持っているカードは全て出したし、チームとしての力を見せることができたと思う。結果には結びつかなかったけど、この強度の高い1週間の戦いが自分のコンディションを押し上げてくれるのは間違いない」とコメント。大会3連覇は逃したが、ツールに向けて手応えを得た様子だ。
8日間の大会を締めくくるクリテリウム・デュ・ドーフィネ第8ステージには、距離が115kmと短いものの、4つの難関峠が詰め込まれている。1級山岳セジー峠、2級山岳アラヴィ峠、1級山岳コロンビエール峠を立て続けにクリアし、最後は超級山岳プラトー・ド・ソレゾン(11.3km/平均9.2%)にアタック。この「平坦区間が1メートルもない濃度の高い山岳ステージ」で総合争いは加熱した。
最初の1級山岳セジー峠で24名の巨大な逃げグループが形成され、その中から単独で抜け出したトニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)が50秒リードで頂上をクリアする。後方ではクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)がアタックを試みたが総合首位ポートは千切れない。続く2級山岳アラヴィ峠でも攻撃を継続したフルームはポートを振り切った状態で下りに突入したが、結局はこの動きも引き戻された。先頭で逃げていたガロパンも20名強のメイン集団に吸収されている。
アタックの応酬は、フィニッシュまで50kmを切り、この日3つめのカテゴリー山岳である1級山岳コロンビエール峠に入っても続いた。アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)のアタックにファビオ・アル(イタリア、アスタナ)が反応し、総合4位と総合5位のコンビがメイン集団から1分のリードを稼ぎ出してコロンビエール峠の頂上を越えていく。続いて総合2位ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)や総合6位ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、総合8位ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)も抜け出し、ここには総合7位アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)も合流。ポートとフルームを含むメイングループとのタイム差を広げ始めた。
しばらくポートをマークしていたフルームはコロンビエール峠の頂上まで1kmを残してアタックを仕掛け、ついにポートを引き離すことに成功する。得意の下り区間で挽回したフルームは、ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)のヘルプを得て、前を走るフルサンググループに合流。ポートとのタイム差を広げたいこのフルームグループは、最後の超級山岳プラトー・ド・ソレゾンを登り始めてすぐに先頭のアルとバルベルデに追いついた。
こうして、フルーム、フルサング、アル、バルベルデ、バルデ、コンタドール、マーティン・・・つまりポートを除く総合トップ10の選手で構成された集団が、ポートから1分15秒のリードで最終山岳に挑むことに。第7ステージを終えた時点で総合1位ポートと総合2位フルームのタイム差は1分02秒で、総合3位フルサングのタイム差は1分15秒。ステージ優勝者には10秒のボーナスタイムが与えられるため、フルームの逆転総合優勝に追い風が吹き始めた。
周りにチームメイトのいないポートは孤軍奮闘。懸命な追走によりフルームグループとのタイム差は縮小傾向になり、ポートの首位キープが現実味を帯びてくる。しかし頂上まで7kmを残したタイミングで先頭からマーティンがアタックし、ここにフルサングが追いつくと形勢は再び変わる。残り5kmから独走開始したフルサング(前述の通り総合でポートから1分15秒遅れ)と追い上げるポートのタイム差は再び1分を超えた。
総合リーダーらしい抜群の登坂力で、前を走るフルームやコンタドールらを追い抜いて先を急いだポートだったが、先頭フルサングとのタイム差が縮まらない。フルサングはステージ優勝と総合優勝を目指してひたすら独走を継続。最後は故ミケーレ・スカルポーニに捧げるガッツポーズで、超級山岳プラトー・ド・ソレゾンの頂上にフィニッシュした。
注目のポートはタイム差を詰めきれずに1分15秒遅れでフィニッシュ。ステージ優勝者に与えられるボーナスタイム10秒が勝敗を分け、フルサングの逆転総合優勝が決まった。「何を話したらいいのかわからない。これまで何度も惜しいところでリーダージャージを逃してきた。マイヨジョーヌに袖を通した今も現実を受け入れられない」と、僅差の総合争いを制したフルサングは語る。
「コロンビエール峠でファビオ(アル)がアタックし、フルームが追走しなければならない状況を作ることで、アスタナは作戦通りスマートにレースを進めることができた。スタートからフィニッシュまで平静を保ち、追い込みすぎないように走ったよ。出産が控えた妻にこの勝利を捧げたい。ツールではファビオとダブルエース体制を組む予定。自分の状態もチームの状態も良いし、気負うことなくツールに挑みたい」。フルサングは、今大会ステージ2勝と、自身初のUCIワールドツアーステージレース総合優勝を喜んだ。
「敗れはしたものの、7月に向けて良い状態であることは証明できたと思う」と語るのは10秒差の総合2位でレースを終えたポート。「僅差で総合優勝を逃すことは失望以外の何物でもない。僕を蹴落とすことだけに集中した結果、自らの総合表彰台を逃す選手もいた中で、フルサングは素晴らしいレースをしたと思う。重要な局面でチームメイトがおらず、大勢のライバルに単独で挑まなければならないような状況は7月までに改善したい。とにかくここで得た自信を胸にツールに挑むよ」。
ステージ2位に入ったマーティンが最終的にフルームと1秒差で総合3位フィニッシュ。総合4位でレースを終えたフルームは「今日は総合2位を守るためではなく、逆転総合優勝のために戦った。持っているカードは全て出したし、チームとしての力を見せることができたと思う。結果には結びつかなかったけど、この強度の高い1週間の戦いが自分のコンディションを押し上げてくれるのは間違いない」とコメント。大会3連覇は逃したが、ツールに向けて手応えを得た様子だ。
H3
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2017第8ステージ結果
ステージ成績
1位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 3h26'20" |
2位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | +12" |
3位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | +27" |
4位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +44" |
5位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | +1'01" |
6位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | +1'02" |
7位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | +1'15" |
8位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | +1'36" |
9位 | ラファエル・バルス(スペイン、ロット・ソウダル) | +1'41" |
10位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | +3'30" |
11位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | +4'10" |
13位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | +4'43" |
52位 | アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック) | +21'37" |
個人総合成績
1位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 29h05'54" |
2位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | +10" |
3位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | +1'32" |
4位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | +1'33" |
5位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | +1'37" |
6位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | +2'04" |
7位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +2'32" |
8位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | +3'12" |
9位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | +4'08" |
10位 | ラファエル・バルス(スペイン、ロット・ソウダル) | +4'40" |
ポイント賞
1位 | アルノー・デマール(フランス、エフデジ) | 59pts |
2位 | フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ) | 47pts |
3位 | リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) | 36pts |
山岳賞
1位 | クーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ) | 44pts |
2位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 29pts |
3位 | ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ) | 29pts |
ヤングライダー賞
1位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 29h08'26" |
2位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | +40" |
3位 | ティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル) | +5'31" |
チーム総合成績
1位 | アージェードゥーゼール | 87h44'22" |
2位 | ロット・ソウダル | +7'27" |
3位 | アスタナ | +8'36" |