2017/05/20(土) - 02:36
リードアウトマンを見失いながらも、自力でポジションを上げ、圧巻の加速力でライバルたちを抜き去ったフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)がスプリント2連勝。グランツール初出場の22歳がステージ4勝目を飾った。
ジロ第13ステージはこれほどまで起伏に乏しいステージは他にないと断言できるほど真っ平ら。ポー平原の南端を西に進む第13ステージに登りという登りは登場しない。残り1kmを切ってから現れるラウンドアバウトと左コーナーでのポジション取りが勝負に大きく影響すると予想された。
この日はピュアスプリンターにとって実質的にステージ優勝のラストチャンス。それだけに逃げ切りが決まる可能性は極めて低いが、マテイ・モホリッチ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、バルディアーニCSF)、パヴェル・ブラット(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)の3名が勇敢にも逃げを試みた。一時的に逃げグループに入っていたヨハン・ファンジル(南アフリカ、ディメンションデータ)はチームの指示で集団に戻っている。
真っ平らな幹線道路が続く単調なコースで、しかも人数の少ない"安全な"逃げにもかかわらず、メイン集団はスピードを弱めずにタイム差を2分前後に押さえ込む。2つある中間スプリントポイントでは、前日同様、ガビリアが集団先頭通過(4番手通過)してマリアチクラミーノのリードを広げている。
クイックステップフロアーズとロット・ソウダルに加えてこの日はウィリエール・トリエスティーナが集団牽引に合流。スプリンターチームが完全に集団を支配し、横風を警戒したモビスターやバーレーン・メリダも集団前方に姿を見せながら高速でレースは進行する。逃げ続けた3名は残り22km地点であえなく吸収された。
横風によってナーバスな状態のメイン集団は幹線道路をハイスピードで駆け抜け、中切れによる脱落者を置き去りにしてトルトナの街へ。残り3kmアーチを切るとスプリンターチームが先頭を独占。ロット・ソウダルとクイックステップフロアーズを退けて、残り1kmを切ったところから最も人数を揃えたボーラ・ハンスグローエが主導権を握った。
ボーラ・ハンスグローエが順調にリードアウトトレインを走らせたその後方で、発射台役マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)の番手を失ってしまったガビリアやアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)はポジションを落としてしまう。ボーラ・ハンスグローエを先頭に残り400mの最終コーナーを抜けると、先頭9名ほどと後続の選手たちの間にギャップが生まれた。
後方に取り残されたガビリアは自力でポジションを上げて先頭争いに加わると、リュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)に発射されたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)のすぐ横まで一気に加速する。フェンスぎりぎりを突き進んだガビリアがスピード差をつけてベネットを抜き去り、頭一つ抜け出した状態でフィニッシュラインを切った。
ここまでリケーゼのリードアウトを受けて勝利を手にしていたガビリアが、誰もが驚く加速で勝利を掴み取った。2日連続スプリント勝利、そして今大会ステージ4勝目を飾ったガビリアは「今までとは異なり難しいスプリントだったけど、チームのおかげでさらにもう1勝積み上げることができた。ジロで最も多くのステージ優勝を飾ったコロンビア人選手になったけど、そんな記録はあまり意味がない。準備をして挑んだジロで結果を出せたことに大きな意味を感じている」とコメント。ポイント賞争いでは2位のジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)に123ポイントという大差をつけており、ミラノでのマリアチクラミーノ獲得がグッと近づいた。
マリアローザ、マリアアッズーラ、マリアビアンカともに動きはなく、トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)はナーバスな平坦ステージを無事に乗り切っている。翌日は今大会3つ目の山頂フィニッシュ。1級山岳オローパ(全長11.8km/平均6.2%)で第14ステージはフィナーレを迎える。
ジロ・デ・イタリア2017第13ステージ結果
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 3h47'45"
2位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
4位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
5位 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)
6位 リュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
7位 サーシャ・モードロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
8位 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)
9位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
10位 ビアチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン)
マリアローザ 個人総合成績
1位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) 56h28'53"
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +2'23"
3位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +2'38"
4位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +2'40"
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +2'47"
6位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +3'05"
7位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +3'56"
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール) +3'59"
9位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)
10位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +4'17"
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 315pts
2位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) 192pts
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 144pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ) 49pts
2位 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 46pts
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 35pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 56h32'49"
2位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +2'23"
3位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +2'56"
チーム総合成績
1位 モビスター 169h40'58"
2位 アスタナ +3'39"
3位 UAEチームエミレーツ +9'30"
text&photo:Kei Tsuji in Tortona, Italy
ジロ第13ステージはこれほどまで起伏に乏しいステージは他にないと断言できるほど真っ平ら。ポー平原の南端を西に進む第13ステージに登りという登りは登場しない。残り1kmを切ってから現れるラウンドアバウトと左コーナーでのポジション取りが勝負に大きく影響すると予想された。
この日はピュアスプリンターにとって実質的にステージ優勝のラストチャンス。それだけに逃げ切りが決まる可能性は極めて低いが、マテイ・モホリッチ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)、ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、バルディアーニCSF)、パヴェル・ブラット(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)の3名が勇敢にも逃げを試みた。一時的に逃げグループに入っていたヨハン・ファンジル(南アフリカ、ディメンションデータ)はチームの指示で集団に戻っている。
真っ平らな幹線道路が続く単調なコースで、しかも人数の少ない"安全な"逃げにもかかわらず、メイン集団はスピードを弱めずにタイム差を2分前後に押さえ込む。2つある中間スプリントポイントでは、前日同様、ガビリアが集団先頭通過(4番手通過)してマリアチクラミーノのリードを広げている。
クイックステップフロアーズとロット・ソウダルに加えてこの日はウィリエール・トリエスティーナが集団牽引に合流。スプリンターチームが完全に集団を支配し、横風を警戒したモビスターやバーレーン・メリダも集団前方に姿を見せながら高速でレースは進行する。逃げ続けた3名は残り22km地点であえなく吸収された。
横風によってナーバスな状態のメイン集団は幹線道路をハイスピードで駆け抜け、中切れによる脱落者を置き去りにしてトルトナの街へ。残り3kmアーチを切るとスプリンターチームが先頭を独占。ロット・ソウダルとクイックステップフロアーズを退けて、残り1kmを切ったところから最も人数を揃えたボーラ・ハンスグローエが主導権を握った。
ボーラ・ハンスグローエが順調にリードアウトトレインを走らせたその後方で、発射台役マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン)の番手を失ってしまったガビリアやアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)はポジションを落としてしまう。ボーラ・ハンスグローエを先頭に残り400mの最終コーナーを抜けると、先頭9名ほどと後続の選手たちの間にギャップが生まれた。
後方に取り残されたガビリアは自力でポジションを上げて先頭争いに加わると、リュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)に発射されたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)のすぐ横まで一気に加速する。フェンスぎりぎりを突き進んだガビリアがスピード差をつけてベネットを抜き去り、頭一つ抜け出した状態でフィニッシュラインを切った。
ここまでリケーゼのリードアウトを受けて勝利を手にしていたガビリアが、誰もが驚く加速で勝利を掴み取った。2日連続スプリント勝利、そして今大会ステージ4勝目を飾ったガビリアは「今までとは異なり難しいスプリントだったけど、チームのおかげでさらにもう1勝積み上げることができた。ジロで最も多くのステージ優勝を飾ったコロンビア人選手になったけど、そんな記録はあまり意味がない。準備をして挑んだジロで結果を出せたことに大きな意味を感じている」とコメント。ポイント賞争いでは2位のジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)に123ポイントという大差をつけており、ミラノでのマリアチクラミーノ獲得がグッと近づいた。
マリアローザ、マリアアッズーラ、マリアビアンカともに動きはなく、トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)はナーバスな平坦ステージを無事に乗り切っている。翌日は今大会3つ目の山頂フィニッシュ。1級山岳オローパ(全長11.8km/平均6.2%)で第14ステージはフィナーレを迎える。
ジロ・デ・イタリア2017第13ステージ結果
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 3h47'45"
2位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
4位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
5位 ライアン・ギボンズ(南アフリカ、ディメンションデータ)
6位 リュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
7位 サーシャ・モードロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
8位 カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)
9位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
10位 ビアチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン)
マリアローザ 個人総合成績
1位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) 56h28'53"
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +2'23"
3位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +2'38"
4位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +2'40"
5位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +2'47"
6位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +3'05"
7位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +3'56"
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール) +3'59"
9位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)
10位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +4'17"
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 315pts
2位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) 192pts
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 144pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ) 49pts
2位 ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ) 46pts
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 35pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 56h32'49"
2位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +2'23"
3位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +2'56"
チーム総合成績
1位 モビスター 169h40'58"
2位 アスタナ +3'39"
3位 UAEチームエミレーツ +9'30"
text&photo:Kei Tsuji in Tortona, Italy
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