2017/05/18(木) - 13:38
折り返しを迎えたツアー・オブ・カリフォルニア第4ステージ。スプリントフィニッシュが予想される中、13秒差で逃げ切った集団からエヴァン・ホフマン(アメリカ、ラリーサイクリング)が優勝。チームメートのロブ・ブリットン(カナダ)と共に歴史的なワンツーフィニッシュを達成した。
ツアー・オブ・カリフォルニア(UCIワールドツアー)第4ステージは、多くの別荘やリゾートホテルが立ち並ぶ海沿いの街、サンタバーバラをスタート。進路を西へとり、内陸へ向かったプロトンはサンタクラリタへとゴールする、全長159kmのコースとなった。
2級山岳と3級山岳が2つずつ、計4つのカテゴリー山岳が現れるほか、ラスト40kmは緩やかに登り続けるというコースプロフィールで、昨ステージに引き続きスプリンター向けのステージと予想されていたため、この日も集団をコントロールするのはボーラ・ハンスグローエやクイックステップフロアーズといったスプリンターチームの面々だ。
この日、逃げ切りを成功させる動きを作ったのは、ラリーサイクリングのエヴァン・ホフマンとロブ・ブリットン。そこに、レナード・ホフステッド(オランダ、サンウェブ)、マティアス・ターネル(フランス、コフィディス)、ギャビン・マニオン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)らの5名が合流し、先頭集団を形成した。
ダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア)の山岳ジャージを守るため、チームメイトのギャビン・マニオンは、各山岳ポイントで先行。この日だけで14ポイントを稼ぎ、山岳賞で3位に浮上した。最大で集団に対して9分のタイム差を築いた逃げだが、最後の登りをこなすとスプリントに持ち込みたいメイン集団は猛追。
トレック・セガフレードとカチューシャが先頭に立って集団のペースを上げると、しばらくした後にクイックステップとチームスカイも手を貸し、追走体制を築きあげた。残り25kmを切るころにはタイム差は3分半にまで縮小する。しかし、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を警戒したのか、各チームの足並みが一瞬乱れてしまう。
強い追い風の助けもあり、5人の逃げは抵抗を続ける。メイン集団も新たな選手が牽引に加わり、じりじりとギャップを埋めていくが、思った以上に差が縮まらない。ラスト5kmを残してまだ1分以上の差を残し、逃げ切りの気配が濃厚になっていく。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)のためにチームスカイが一列棒状で全力の牽引を見せ、あまりのハイペースに集団が分裂するが届かない。
ラスト1km、集団が迫る中一瞬牽制が入った間隙を突いて、ロングスプリントを仕掛けたエヴァン・ホフマン。ギャビン・マニオンとマティアス・ターネルが追走を一瞬逡巡する間に抜け出したホフマンにホフステッドが追いすがるが、そのまま先頭でフィニッシュへと飛び込んだ。そしてペースを落としたホフステッドの背後からブリットンが抜け出し、ラリーサイクリングがワンツーフィニッシュ。本来、ワールドツアーであるツアー・オブ・カリフォルニアには出場できないコンチネンタルチームだが、UCIの特例によって出場を認められたラリーサイクリングのコンビが歴史的な勝利を挙げた。
「信じられないよ!」と興奮をあらわにして語るホフマンは、2年間アスタナで走り、昨年のツアー・オブ・カリフォルニアで山岳賞を獲得した実力の持ち主。「9分差がついたと知ったとき、逃げ切りの可能性が現実味を帯びてきた。その後、40kmで4分にまで縮小したけれど、そのペースなら逃げ切れると思った。本来なら、ロブ(ブリットン)は今日は力を抜いて明日の山岳を狙っていたし、僕はTTに全力を注ぐ計画だった。でも、目の前のチャンスを逃さないようトライしたんだ。」と、歴史的な勝利を振り返った。
明日は、オンタリオから超級山岳ボールディーへと登る大会最難関ステージ。本格的な山頂フィニッシュとなるため、総合勢の争いが激化することは間違いないだろう。
ツアー・オブ・カリフォルニア2017第4ステージ結果
1位 エヴァン・ホフマン(アメリカ、ラリーサイクリング) 3h41’52”
2位 ロブ・ブリットン(カナダ、ラリーサイクリング)
3位 レナード・ホフステッド(オランダ、サンウェブ)
4位 マティアス・ターネル(フランス、コフィディス)
5位 ギャビン・マニオン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
6位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) +13”
7位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)
8位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)
9位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)
10位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
個人総合成績
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 16h04’48”
2位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) +02”
3位 イアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ) +14”
4位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ) +16”
5位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) +45”
6位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング) +48”
7位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)
8位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)
9位 ヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
10位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ)
ポイント賞
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 32pts
2位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)) 18pts
3位 エヴァン・ホフマン(アメリカ、ラリーサイクリング) 17pts
山岳賞
1位 ダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア) 24pts
2位 スコット・スウェイツ(イギリス、ディメンションデータ) 16pts
3位 ギャビン・マニオン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) 14pts
ヤングライダー賞
1位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ) 16h05’04”
2位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) +32”
3位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ)
チーム総合成績
1位 チームスカイ 48h16’37”
2位 BMCレーシング +3’04”
3位 コフィディス・ソルシオンクレディ +4’07”
text:Naoki.YASUOKA
ツアー・オブ・カリフォルニア(UCIワールドツアー)第4ステージは、多くの別荘やリゾートホテルが立ち並ぶ海沿いの街、サンタバーバラをスタート。進路を西へとり、内陸へ向かったプロトンはサンタクラリタへとゴールする、全長159kmのコースとなった。
2級山岳と3級山岳が2つずつ、計4つのカテゴリー山岳が現れるほか、ラスト40kmは緩やかに登り続けるというコースプロフィールで、昨ステージに引き続きスプリンター向けのステージと予想されていたため、この日も集団をコントロールするのはボーラ・ハンスグローエやクイックステップフロアーズといったスプリンターチームの面々だ。
この日、逃げ切りを成功させる動きを作ったのは、ラリーサイクリングのエヴァン・ホフマンとロブ・ブリットン。そこに、レナード・ホフステッド(オランダ、サンウェブ)、マティアス・ターネル(フランス、コフィディス)、ギャビン・マニオン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)らの5名が合流し、先頭集団を形成した。
ダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア)の山岳ジャージを守るため、チームメイトのギャビン・マニオンは、各山岳ポイントで先行。この日だけで14ポイントを稼ぎ、山岳賞で3位に浮上した。最大で集団に対して9分のタイム差を築いた逃げだが、最後の登りをこなすとスプリントに持ち込みたいメイン集団は猛追。
トレック・セガフレードとカチューシャが先頭に立って集団のペースを上げると、しばらくした後にクイックステップとチームスカイも手を貸し、追走体制を築きあげた。残り25kmを切るころにはタイム差は3分半にまで縮小する。しかし、ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)を警戒したのか、各チームの足並みが一瞬乱れてしまう。
強い追い風の助けもあり、5人の逃げは抵抗を続ける。メイン集団も新たな選手が牽引に加わり、じりじりとギャップを埋めていくが、思った以上に差が縮まらない。ラスト5kmを残してまだ1分以上の差を残し、逃げ切りの気配が濃厚になっていく。エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア)のためにチームスカイが一列棒状で全力の牽引を見せ、あまりのハイペースに集団が分裂するが届かない。
ラスト1km、集団が迫る中一瞬牽制が入った間隙を突いて、ロングスプリントを仕掛けたエヴァン・ホフマン。ギャビン・マニオンとマティアス・ターネルが追走を一瞬逡巡する間に抜け出したホフマンにホフステッドが追いすがるが、そのまま先頭でフィニッシュへと飛び込んだ。そしてペースを落としたホフステッドの背後からブリットンが抜け出し、ラリーサイクリングがワンツーフィニッシュ。本来、ワールドツアーであるツアー・オブ・カリフォルニアには出場できないコンチネンタルチームだが、UCIの特例によって出場を認められたラリーサイクリングのコンビが歴史的な勝利を挙げた。
「信じられないよ!」と興奮をあらわにして語るホフマンは、2年間アスタナで走り、昨年のツアー・オブ・カリフォルニアで山岳賞を獲得した実力の持ち主。「9分差がついたと知ったとき、逃げ切りの可能性が現実味を帯びてきた。その後、40kmで4分にまで縮小したけれど、そのペースなら逃げ切れると思った。本来なら、ロブ(ブリットン)は今日は力を抜いて明日の山岳を狙っていたし、僕はTTに全力を注ぐ計画だった。でも、目の前のチャンスを逃さないようトライしたんだ。」と、歴史的な勝利を振り返った。
明日は、オンタリオから超級山岳ボールディーへと登る大会最難関ステージ。本格的な山頂フィニッシュとなるため、総合勢の争いが激化することは間違いないだろう。
ツアー・オブ・カリフォルニア2017第4ステージ結果
1位 エヴァン・ホフマン(アメリカ、ラリーサイクリング) 3h41’52”
2位 ロブ・ブリットン(カナダ、ラリーサイクリング)
3位 レナード・ホフステッド(オランダ、サンウェブ)
4位 マティアス・ターネル(フランス、コフィディス)
5位 ギャビン・マニオン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)
6位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) +13”
7位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)
8位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)
9位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)
10位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
個人総合成績
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 16h04’48”
2位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) +02”
3位 イアン・ボズウェル(アメリカ、チームスカイ) +14”
4位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ) +16”
5位 ロベルト・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) +45”
6位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング) +48”
7位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)
8位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)
9位 ヴェガールステイク・ラエンゲン(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)
10位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ)
ポイント賞
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 32pts
2位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)) 18pts
3位 エヴァン・ホフマン(アメリカ、ラリーサイクリング) 17pts
山岳賞
1位 ダニエル・ハラミーリョ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア) 24pts
2位 スコット・スウェイツ(イギリス、ディメンションデータ) 16pts
3位 ギャビン・マニオン(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア) 14pts
ヤングライダー賞
1位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ) 16h05’04”
2位 サム・オーメン(オランダ、サンウェブ) +32”
3位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、クイックステップフロアーズ)
チーム総合成績
1位 チームスカイ 48h16’37”
2位 BMCレーシング +3’04”
3位 コフィディス・ソルシオンクレディ +4’07”
text:Naoki.YASUOKA
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