2017/05/11(木) - 15:34
人気の観光地タオルミーナを越え、ニーバリの故郷メッシーナへ。好天続きのシチリア島での2日間を終え、ジロ・デ・イタリアはイタリア本土に渡る。
ジロ・デ・イタリアのお祭り感は、南に行けば行くほど強い。エトナ火山の麓に位置するスタート地点ペダーラは町中あげての大騒ぎ。前夜から交通規制された街の中で賑やかに。夜中には花火が上がり、人々はジロのスタートを祝った。
南イタリア全体に言えることだが、シチリア島の路面状況はすこぶる悪い。あまりにも路面が悪い箇所はジロ通過に合わせて新しく舗装されており、黒々としたアスファルトの上に真っ白な線が引かれている。一歩コースから外れると穴ぼこだらけで、幹線道路でもハンドルを切りながら走行ラインを選ばないといけない。高速道路にも驚くような段差があったりする。
「こんな綺麗な舗装になるなんて。何十年もひどい道路だったからジロに感謝だわ」とコース沿道のおばさまが言う。どうやらレース主催者ではなく地元のシチリア州が道の修復費を負担しているようで、「でも使われているのは自分たちが支払っている税金だけどね」と両肩を上げるジェスチャーを付け加えながら。
この日はステージ後半に映画「グランブルー」のロケ地となったタオルミーナを通過した。さすがに海がとても青く透きとおっていて、灰色がかったビーチでは気の早い観光客が海水浴を楽しんでいる。
観光客でごった返すタオルミーナの街中にはコースマップ上で「TV」と記されている「トラグアルド・ヴォランテ」が設置された。よくテレビ中継に関係する何かが設置されていると誤解されがちだが、TVは要するに中間スプリントのこと。ジロでは登りの頂上に設置されるパターンも多く、単純にスプリンター向きの賞とは言えない。
ヴェロンの公開データによると、3時間23分23秒におよぶ逃げの間、エフゲニー・シャルノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)は平均出力289W、平均スピード41.6km/hで走り続けた。推定消費カロリーは3,830kcalで、ハンバーガー換算で15個分。なお、ファーストアタックを仕掛けてから5分30秒間は385Wで、1分間のピークは495Wだった。これは際立って高いとは言えない数字であり、すんなりと逃げが決まったことがわかる。
1999年以来18年ぶりにジロのフィニッシュを迎えたメッシーナの街はニーバリ祭り。「ロ・スクアーロ・デッロ・ストレット=(メッシーナ)海峡の鮫」というニックネームをもつニーバリは、ステージ優勝や各賞ジャージの表彰の前にメッシーナ市長とともにステージに上がって大声援に応えた。活躍したわけでもない選手の登壇は異例だが、それがジロらしくてイタリアらしいと言えばとてもジロらしくてイタリアらしい。
最終周回突入を告げる鐘がなる中でのルカ・ピベルニク(スロベニア、バーレーン・メリダ)の勘違いガッツポーズは、無線機のバッテリー切れが原因だとニーバリは説明している。やってしまった感満開のピベルニクを吸収する集団前方では、熾烈なポジション争いを繰り広げながらも選手たちが笑みを浮かべている。
ガビリアは18秒にわたって934Wを出力し、最大出力1,339Wでステージ2勝目を飾った。向かい風が吹いていたこともあり最高スピードは67.8km/h。なお、ガビリアはコーナーが連続するメッシーナ周回コースを6分51秒、平均出力340W、平均スピード53.4km/hで走りきっている。
非ヨーロッパ国の中で最もステージ優勝を飾っているのはオーストラリアで、これまで通算29勝。次いでコロンビアが通算23勝で追い上げている。ガビリアにはこの先もステージ優勝のチャンスがあり、もちろんナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)も山岳ステージで活躍するはず。カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)が奮起しなければ両国の差は縮まりそうだ。
第5ステージ終了後、ジロはシチリア島から対岸のイタリア半島に渡る。メッシーナ海峡を渡るのに要する時間は30分ほどであり、サルデーニャ島からの12時間船移動と比べると雲泥の差だが、ジロの一団が一斉に詰めかけたためフェリー乗り場は大混雑&大渋滞。優先的に乗船したチームバス以外の車両はかなりの時間をフェリー乗り場で待つことになった。
なお、2015年に完成予定だったメッシーナ海峡大橋は計画が頓挫して中止。完成すれば明石海峡大橋(主塔間1,991m)を抜いて世界最長の橋(主塔間3,300m)になる予定で、1度は計画が再開されたものの予算不足により再び計画は中止に追い込まれている。現在のところ、計画が再開される見通しは立っていない。余計なお世話だが、それよりもシチリアとカラブリア全体の道路の補修を優先すべきだと思う。
text:Kei Tsuji in Messina, Italy
ジロ・デ・イタリアのお祭り感は、南に行けば行くほど強い。エトナ火山の麓に位置するスタート地点ペダーラは町中あげての大騒ぎ。前夜から交通規制された街の中で賑やかに。夜中には花火が上がり、人々はジロのスタートを祝った。
南イタリア全体に言えることだが、シチリア島の路面状況はすこぶる悪い。あまりにも路面が悪い箇所はジロ通過に合わせて新しく舗装されており、黒々としたアスファルトの上に真っ白な線が引かれている。一歩コースから外れると穴ぼこだらけで、幹線道路でもハンドルを切りながら走行ラインを選ばないといけない。高速道路にも驚くような段差があったりする。
「こんな綺麗な舗装になるなんて。何十年もひどい道路だったからジロに感謝だわ」とコース沿道のおばさまが言う。どうやらレース主催者ではなく地元のシチリア州が道の修復費を負担しているようで、「でも使われているのは自分たちが支払っている税金だけどね」と両肩を上げるジェスチャーを付け加えながら。
この日はステージ後半に映画「グランブルー」のロケ地となったタオルミーナを通過した。さすがに海がとても青く透きとおっていて、灰色がかったビーチでは気の早い観光客が海水浴を楽しんでいる。
観光客でごった返すタオルミーナの街中にはコースマップ上で「TV」と記されている「トラグアルド・ヴォランテ」が設置された。よくテレビ中継に関係する何かが設置されていると誤解されがちだが、TVは要するに中間スプリントのこと。ジロでは登りの頂上に設置されるパターンも多く、単純にスプリンター向きの賞とは言えない。
ヴェロンの公開データによると、3時間23分23秒におよぶ逃げの間、エフゲニー・シャルノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)は平均出力289W、平均スピード41.6km/hで走り続けた。推定消費カロリーは3,830kcalで、ハンバーガー換算で15個分。なお、ファーストアタックを仕掛けてから5分30秒間は385Wで、1分間のピークは495Wだった。これは際立って高いとは言えない数字であり、すんなりと逃げが決まったことがわかる。
1999年以来18年ぶりにジロのフィニッシュを迎えたメッシーナの街はニーバリ祭り。「ロ・スクアーロ・デッロ・ストレット=(メッシーナ)海峡の鮫」というニックネームをもつニーバリは、ステージ優勝や各賞ジャージの表彰の前にメッシーナ市長とともにステージに上がって大声援に応えた。活躍したわけでもない選手の登壇は異例だが、それがジロらしくてイタリアらしいと言えばとてもジロらしくてイタリアらしい。
最終周回突入を告げる鐘がなる中でのルカ・ピベルニク(スロベニア、バーレーン・メリダ)の勘違いガッツポーズは、無線機のバッテリー切れが原因だとニーバリは説明している。やってしまった感満開のピベルニクを吸収する集団前方では、熾烈なポジション争いを繰り広げながらも選手たちが笑みを浮かべている。
ガビリアは18秒にわたって934Wを出力し、最大出力1,339Wでステージ2勝目を飾った。向かい風が吹いていたこともあり最高スピードは67.8km/h。なお、ガビリアはコーナーが連続するメッシーナ周回コースを6分51秒、平均出力340W、平均スピード53.4km/hで走りきっている。
非ヨーロッパ国の中で最もステージ優勝を飾っているのはオーストラリアで、これまで通算29勝。次いでコロンビアが通算23勝で追い上げている。ガビリアにはこの先もステージ優勝のチャンスがあり、もちろんナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)も山岳ステージで活躍するはず。カレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)が奮起しなければ両国の差は縮まりそうだ。
第5ステージ終了後、ジロはシチリア島から対岸のイタリア半島に渡る。メッシーナ海峡を渡るのに要する時間は30分ほどであり、サルデーニャ島からの12時間船移動と比べると雲泥の差だが、ジロの一団が一斉に詰めかけたためフェリー乗り場は大混雑&大渋滞。優先的に乗船したチームバス以外の車両はかなりの時間をフェリー乗り場で待つことになった。
なお、2015年に完成予定だったメッシーナ海峡大橋は計画が頓挫して中止。完成すれば明石海峡大橋(主塔間1,991m)を抜いて世界最長の橋(主塔間3,300m)になる予定で、1度は計画が再開されたものの予算不足により再び計画は中止に追い込まれている。現在のところ、計画が再開される見通しは立っていない。余計なお世話だが、それよりもシチリアとカラブリア全体の道路の補修を優先すべきだと思う。
text:Kei Tsuji in Messina, Italy
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