2017/05/17(水) - 14:28
イタリアンブランド御三家の一角、ピナレロから、DOGMA F8の特徴を色濃く受け継いだ直系のレーシングバイク「GAN S」をインプレッション。より扱いやすいカーボングレードを採用し、万人向けに仕上げたバリューモデルを紹介しよう。
ピナレロ GAN S (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
2014年の登場以降、2度ツール・ド・フランスを制し、名実ともに世界最高のバイクとして評されるDOGMA F8。それまでピナレロが誇ったトップモデルDOGMA 65.1 Think 2に代わりピナレロの旗艦として登場したこのバイクは、ジャガーと共同開発されたエアロデザインが特徴的なレーシングバイクである。
そんなDOGMA F8の美しく機能的なフォルムを踏襲し、カーボングレード調整することで一般ユーザーでも乗りやすい剛性感を獲得したミドルグレードレーサーがGANシリーズである。今回インプレッションを行ったのは、3種類存在する同シリーズの中でも中間グレードに位置する「GAN S」だ。
シートステーは力強い太さながらも美しく緩やかなカーブを描く
トップチューブにはモデル名であるGAN Sと使用されるT700カーボンのロゴが入る
F8と同形状のONDA F8フォークをT700カーボンで成型
まずDOGMA F8からの大きな変更点がカーボン素材のグレード。DOGMA F8や、昨年発表されたF10が現時点で最高レベルの高強度高剛性を誇る「トレカT1100 1Kナノアロイ」を採用していたのに対し、GAN Sは「T700」カーボンを使用。コストパフォーマンスを向上させると共に、一般のユーザーにとっては過剛性となり得る高剛性をよりマイルドにし、誰もが過度な疲れを感じることなくライドを楽しめるよう調整されている。
フレーム成形にはDOGMA F8と瓜二つとも言えるほど似通ったGANシリーズ専用のモールドを使用。それまでの定型とも言えたDOGMA 65.1 Think 2のデザインを打ち破り、現在ピナレロが提案するエアロダイナミクスを意識した形状であり、オールラウンドモデルとしての性能はそのままに、高い空力性能を有したフレームに仕上がっている。
フラットバックを採用したシートチューブにはGANのロゴが入る
ボリューミーなヘッドチューブがレーシーかつ安定したハンドリングに貢献
すらっと伸びるチェーンステーがライダーのパワーを推進力に変える
BBはスタンダードなイタリアンスレッドタイプによりメンテナンス性を向上させた
DOGMA F10にも使われているFLATBACK(フラットバック)チューブデザインをフレーム各所やシートポストに採用。卵形断面の後ろ半分を切り落としたようなチューブ形状により、優れた整流効果を生み出し、追い風や向かい風といった前後方向の風はもちろんのこと、強い横風の中でも煽られることなく安定した走行を可能とする。
DOGMA F8において特長的なボリューム感溢れるヘッド周りや、マッシブに盛られたBBなど、グランツールを戦い抜くバイクの血統を受け継いでいるとあって、そのルックスはミドルグレードのロードバイクとは思えないほど戦闘力の高いものとなっている。もちろんピナレロが世界で初めて採用した左右非対称のチェーンステーデザインや、イタリアン規格のスレッド式BBなど、そのアイデンティティは随所に散りばめられた。
ドライブ側が太めに造形されたアシンメトリーチェーンステー
シートクランプは臼方式となる
DOGMA F8と見紛うばかりのフォルムを与えられているGAN Sだが、フレーム設計そのものは新規にデザインされており、フロントフォークやリアバックは微妙な形状異なる。カーボングレードに合った剛性バランスの調整が主な理由で、このバイクにまたがるであろう一般ライダーのレベルに合った性能を実現するためだ。
サイズを豊富に用意している点も特徴で、44、46.5、50、51.5、53、54、55、56、と1.5~1cm刻みで細かく8サイズを用意。自らの身長にあった最適なサイズが必ず見つかるだろう。なお44と46.5サイズはスローピングフレームとして用意されている。また今回紹介するモデルではないが、シマノ105組みの完成車には42という小さいサイズも用意されているため、小柄なユーザーでも無理なく選択可能だ。
エアロデザインの専用シートポストが付属
優れたエアロ性能を持つフラットバックデザインのダウンチューブ
ステムも空力性能の向上を狙ったエアロタイプが標準で装備される
今回インプレッションしたのは同郷のカンパニョーロPotenzaで組まれた完成車。ホイールにはフルクラムのRACING7がアッセンブルされ、バリューモデルながらイタリアンサイクルパーツをふんだんに使ったエレガントな雰囲気漂う組み合わせとなっている。ピュアレーシングバイクであるDOGMA F8の血統を引くGAN S。2人のインプレッションライダーの目にはどう映ったのだろうか。それではインプレッションに移ろう。
ーインプレッション
「ペダリングが上手くなったかと思うほどに進むバイク」渡辺勇大(GROVE港北)
このバイクはどんな踏み方をしても推進力に変えてくれる懐の広さが特徴的なバイクです。しっかり力を溜めてペダルを回しても、やや雑に漕いでみても、踏み込んだ力が推進力に変換される感覚が分かりやすく、ペダリングが上手くなっているのではないかと思えるような印象を受けます。
「ペダリングが上手くなったかと思うほどに進むバイク」渡辺勇大(GROVE港北)
エンデュランス系バイク程ではないにせよ、チェーンステーが少し長めに出来ており、BBの位置も低めですので、全体的に低重心なジオメトリーとなっている点がその理由でしょう。だから踏み込んだ時にフレームがしっかり力を受け止めてくれるような感覚が強く、安定感が高いのだと感じます。
同時にこの低重心ぶりはコーナリング性能にも繋がっています。レーシングバイク然としたシャープな切れ込みに加えてどっしりとした安定感を感じますし、ONDAフォークの反応がダイレクトなので、自由自在にラインを選べるだけのシャープさが不安無く演出されているんですね。
剛性面では大半のホビーライダーにとって十分でしょう。スプリントのような爆発的なパワーをかける場合は一歩遅れることがありますが、アップダウンがあるコースで勢いよく踏み込んでいくような走り方であれば十分活躍してくれるポテンシャルを秘めています。
またカーボンのグレードが上位モデルより下がっている分、振動吸収性が高くなっていますので、より快適性が向上しています。高速域でのちょっとした段差であるとか、少し荒れた路面を走る場合でも安心感がありますので乗っていてストレスが少ないですね。専用シートポストの乗り心地もポイントが高いです。
空力性能としてはF8とほぼ同形状ということで、横風などに対してもバイクの安定感が高いです。突風などを上手い具合にこなしてくれるので風に煽られる事も少ないでしょう。エアロロードというとハンドリングにクセがある場合がありますが、このバイクには全くありませんでした。
バイクの性格としてはオールラウンド系エアロバイクといったところでしょうか。ツーリング、グランフォンド、エンデューロイベントなど、幅広く一般ライダーが参加するサイクルイベントで活躍してくれる汎用性の高さが売りですね。
「ダンシングで腰を上げて踏んで行くとヒラヒラと軽快に登る」恒次智(サイクルショップフリーダム)
エアロロードバイクというカテゴリーにこそ入るものの、平地よりも登りが得意なのではないかという印象を受けました。ダンシングで腰を上げて踏んで行くとヒラヒラと軽快に登っていきます。もっと軽量かつ高剛性のホイールに交換すれば、もっとバイクの良さを際立てることが出来ると思います。
「ダンシングで腰を上げて踏んで行くとヒラヒラと軽快に登る」恒次智(サイクルショップフリーダム) 基本的にはレーシングバイクの血統を汲むバイクですので、ダンシング時のバイクの振りであるとか、コーナーを攻めていく感覚やスプリント時の力のかかり具合はピナレロのレーサーたる血が流れているように感じます。それでいてレースバイクにありがちなクセが無く、扱いやすいです。
アッセンブルされたカンパニョーロのポテンザも良かったですね。性能はもちろんのこと、やはりピナレロはイタリアンブランドなので、そこを統一していくとバランス良くスタイリッシュにまとまる感じがします。ロードバイクを購入する上で大切な所有欲を満たしてくれますね。
ホイールはリムハイトが20mmのロープロファイルホイールではなく、40mmくらいのディープリムホイールが良いと思います。平地も登りも得意なホイールが良いですね。剛性的にはギンギンに硬いホイールというよりは、やや硬さがある程度のものがベストだと思います。そうすればダンシング時のバイクの振りを軽快にできるはずです。
GANシリーズの中では真ん中、ピナレロのレーシングバイクラインナップの中でも真ん中のグレードということで、アルミバイクからの乗り換えとして非常にオススメ出来るグレードのバイクです。車で言えばちょうど"スポーツ"から"レーシング"に入っていく境界線に位置するような感じで、レースをメインでする訳ではないけれど、時々エンデューロなどレースイベントに出てみたいというユーザーに良いでしょう。
イタリアンブランドの金字塔であるピナレロのバイクですので、完全なレースバイクとしてだけでなく、部屋に置いて、たまに乗って、人にも自慢できるという、様々な要素を満たしてくれるバイクだと思います。これで43万円とコストパフォーマンスにも優れていますし、何年も乗りたくなる魅力を秘めていますね。
ピナレロ GAN S (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
ピナレロ GAN S Potenza 11S完成車
素材:HighStrength Carbon T700 12K
BB:イタリアン
サイズ:44SL、46.5SL、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5(SLはスローピング)
カラー:047/BOB(マット)
その他:MOst専用フルカーボンシートポスト付属
価格:435,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
渡辺勇大(GROVE港北) 渡辺勇大(GROVE港北)
横浜市港北区に店舗を構えるGROVE港北の店長。元MTBのダウンヒルプロライダーであり、20年以上に渡ってレース活動を行ってきたベテラン。その経験を活かしトータルとしての乗りやすさを求めるフィッティングやバイクセッティングに定評がある。ロードやMTBなど幅広くスポーツバイクをお客さんと一緒に遊びその楽しさを伝えていくことを大切にしている。愛車はスペシャライズドTarmac S-Works。
CWレコメンドショップページ
GROVE港北HP
恒次智(サイクルショップフリーダム) 恒次智(サイクルショップフリーダム)
岡山県岡山市に店舗を構えるサイクルショップフリーダムの店長。速さやスタイルに囚われることなく自由に自転車を楽しむのがショップのコンセプト。MTBから自転車を始め、クロスカントリーレースやロードの実業団レース等にも参加、自転車歴は20年以上。最近はツーリングやトレイルライドにも力を入れる。愛車はキャノンデールのSUPERSIX EVO HI-MOD。そしてホンダS2000やロータスエリーゼ、エキシージなどなど。
CWレコメンドショップページ
サイクルショップフリーダムHP
ウェア協力:Pandani
ヘルメット&アイウェア協力:KASK
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.AYANO
![ピナレロ GAN S](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-gans0001.jpg)
2014年の登場以降、2度ツール・ド・フランスを制し、名実ともに世界最高のバイクとして評されるDOGMA F8。それまでピナレロが誇ったトップモデルDOGMA 65.1 Think 2に代わりピナレロの旗艦として登場したこのバイクは、ジャガーと共同開発されたエアロデザインが特徴的なレーシングバイクである。
そんなDOGMA F8の美しく機能的なフォルムを踏襲し、カーボングレード調整することで一般ユーザーでも乗りやすい剛性感を獲得したミドルグレードレーサーがGANシリーズである。今回インプレッションを行ったのは、3種類存在する同シリーズの中でも中間グレードに位置する「GAN S」だ。
![シートステーは力強い太さながらも美しく緩やかなカーブを描く](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-gans0008.jpg)
![トップチューブにはモデル名であるGAN Sと使用されるT700カーボンのロゴが入る](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-gans0003.jpg)
![F8と同形状のONDA F8フォークをT700カーボンで成型](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-gans0004.jpg)
まずDOGMA F8からの大きな変更点がカーボン素材のグレード。DOGMA F8や、昨年発表されたF10が現時点で最高レベルの高強度高剛性を誇る「トレカT1100 1Kナノアロイ」を採用していたのに対し、GAN Sは「T700」カーボンを使用。コストパフォーマンスを向上させると共に、一般のユーザーにとっては過剛性となり得る高剛性をよりマイルドにし、誰もが過度な疲れを感じることなくライドを楽しめるよう調整されている。
フレーム成形にはDOGMA F8と瓜二つとも言えるほど似通ったGANシリーズ専用のモールドを使用。それまでの定型とも言えたDOGMA 65.1 Think 2のデザインを打ち破り、現在ピナレロが提案するエアロダイナミクスを意識した形状であり、オールラウンドモデルとしての性能はそのままに、高い空力性能を有したフレームに仕上がっている。
![フラットバックを採用したシートチューブにはGANのロゴが入る](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-gans0005.jpg)
![ボリューミーなヘッドチューブがレーシーかつ安定したハンドリングに貢献](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-gans0013.jpg)
![すらっと伸びるチェーンステーがライダーのパワーを推進力に変える](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-gans0007.jpg)
![BBはスタンダードなイタリアンスレッドタイプによりメンテナンス性を向上させた](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-gans0010.jpg)
DOGMA F10にも使われているFLATBACK(フラットバック)チューブデザインをフレーム各所やシートポストに採用。卵形断面の後ろ半分を切り落としたようなチューブ形状により、優れた整流効果を生み出し、追い風や向かい風といった前後方向の風はもちろんのこと、強い横風の中でも煽られることなく安定した走行を可能とする。
DOGMA F8において特長的なボリューム感溢れるヘッド周りや、マッシブに盛られたBBなど、グランツールを戦い抜くバイクの血統を受け継いでいるとあって、そのルックスはミドルグレードのロードバイクとは思えないほど戦闘力の高いものとなっている。もちろんピナレロが世界で初めて採用した左右非対称のチェーンステーデザインや、イタリアン規格のスレッド式BBなど、そのアイデンティティは随所に散りばめられた。
![ドライブ側が太めに造形されたアシンメトリーチェーンステー](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-gans0009.jpg)
![シートクランプは臼方式となる](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-gans0006.jpg)
DOGMA F8と見紛うばかりのフォルムを与えられているGAN Sだが、フレーム設計そのものは新規にデザインされており、フロントフォークやリアバックは微妙な形状異なる。カーボングレードに合った剛性バランスの調整が主な理由で、このバイクにまたがるであろう一般ライダーのレベルに合った性能を実現するためだ。
サイズを豊富に用意している点も特徴で、44、46.5、50、51.5、53、54、55、56、と1.5~1cm刻みで細かく8サイズを用意。自らの身長にあった最適なサイズが必ず見つかるだろう。なお44と46.5サイズはスローピングフレームとして用意されている。また今回紹介するモデルではないが、シマノ105組みの完成車には42という小さいサイズも用意されているため、小柄なユーザーでも無理なく選択可能だ。
![エアロデザインの専用シートポストが付属](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-gans0011.jpg)
![優れたエアロ性能を持つフラットバックデザインのダウンチューブ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-gans0012.jpg)
![ステムも空力性能の向上を狙ったエアロタイプが標準で装備される](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-155.jpg)
今回インプレッションしたのは同郷のカンパニョーロPotenzaで組まれた完成車。ホイールにはフルクラムのRACING7がアッセンブルされ、バリューモデルながらイタリアンサイクルパーツをふんだんに使ったエレガントな雰囲気漂う組み合わせとなっている。ピュアレーシングバイクであるDOGMA F8の血統を引くGAN S。2人のインプレッションライダーの目にはどう映ったのだろうか。それではインプレッションに移ろう。
ーインプレッション
「ペダリングが上手くなったかと思うほどに進むバイク」渡辺勇大(GROVE港北)
このバイクはどんな踏み方をしても推進力に変えてくれる懐の広さが特徴的なバイクです。しっかり力を溜めてペダルを回しても、やや雑に漕いでみても、踏み込んだ力が推進力に変換される感覚が分かりやすく、ペダリングが上手くなっているのではないかと思えるような印象を受けます。
![「ペダリングが上手くなったかと思うほどに進むバイク」渡辺勇大(GROVE港北)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-gans0017.jpg)
エンデュランス系バイク程ではないにせよ、チェーンステーが少し長めに出来ており、BBの位置も低めですので、全体的に低重心なジオメトリーとなっている点がその理由でしょう。だから踏み込んだ時にフレームがしっかり力を受け止めてくれるような感覚が強く、安定感が高いのだと感じます。
同時にこの低重心ぶりはコーナリング性能にも繋がっています。レーシングバイク然としたシャープな切れ込みに加えてどっしりとした安定感を感じますし、ONDAフォークの反応がダイレクトなので、自由自在にラインを選べるだけのシャープさが不安無く演出されているんですね。
剛性面では大半のホビーライダーにとって十分でしょう。スプリントのような爆発的なパワーをかける場合は一歩遅れることがありますが、アップダウンがあるコースで勢いよく踏み込んでいくような走り方であれば十分活躍してくれるポテンシャルを秘めています。
またカーボンのグレードが上位モデルより下がっている分、振動吸収性が高くなっていますので、より快適性が向上しています。高速域でのちょっとした段差であるとか、少し荒れた路面を走る場合でも安心感がありますので乗っていてストレスが少ないですね。専用シートポストの乗り心地もポイントが高いです。
空力性能としてはF8とほぼ同形状ということで、横風などに対してもバイクの安定感が高いです。突風などを上手い具合にこなしてくれるので風に煽られる事も少ないでしょう。エアロロードというとハンドリングにクセがある場合がありますが、このバイクには全くありませんでした。
バイクの性格としてはオールラウンド系エアロバイクといったところでしょうか。ツーリング、グランフォンド、エンデューロイベントなど、幅広く一般ライダーが参加するサイクルイベントで活躍してくれる汎用性の高さが売りですね。
「ダンシングで腰を上げて踏んで行くとヒラヒラと軽快に登る」恒次智(サイクルショップフリーダム)
エアロロードバイクというカテゴリーにこそ入るものの、平地よりも登りが得意なのではないかという印象を受けました。ダンシングで腰を上げて踏んで行くとヒラヒラと軽快に登っていきます。もっと軽量かつ高剛性のホイールに交換すれば、もっとバイクの良さを際立てることが出来ると思います。
![「ダンシングで腰を上げて踏んで行くとヒラヒラと軽快に登る」恒次智(サイクルショップフリーダム)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-gans0016.jpg)
アッセンブルされたカンパニョーロのポテンザも良かったですね。性能はもちろんのこと、やはりピナレロはイタリアンブランドなので、そこを統一していくとバランス良くスタイリッシュにまとまる感じがします。ロードバイクを購入する上で大切な所有欲を満たしてくれますね。
ホイールはリムハイトが20mmのロープロファイルホイールではなく、40mmくらいのディープリムホイールが良いと思います。平地も登りも得意なホイールが良いですね。剛性的にはギンギンに硬いホイールというよりは、やや硬さがある程度のものがベストだと思います。そうすればダンシング時のバイクの振りを軽快にできるはずです。
GANシリーズの中では真ん中、ピナレロのレーシングバイクラインナップの中でも真ん中のグレードということで、アルミバイクからの乗り換えとして非常にオススメ出来るグレードのバイクです。車で言えばちょうど"スポーツ"から"レーシング"に入っていく境界線に位置するような感じで、レースをメインでする訳ではないけれど、時々エンデューロなどレースイベントに出てみたいというユーザーに良いでしょう。
イタリアンブランドの金字塔であるピナレロのバイクですので、完全なレースバイクとしてだけでなく、部屋に置いて、たまに乗って、人にも自慢できるという、様々な要素を満たしてくれるバイクだと思います。これで43万円とコストパフォーマンスにも優れていますし、何年も乗りたくなる魅力を秘めていますね。
![ピナレロ GAN S](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/05/09/impre2017_3-gans0015.jpg)
ピナレロ GAN S Potenza 11S完成車
素材:HighStrength Carbon T700 12K
BB:イタリアン
サイズ:44SL、46.5SL、50、51.5、53、54、55、56、57.5、59.5(SLはスローピング)
カラー:047/BOB(マット)
その他:MOst専用フルカーボンシートポスト付属
価格:435,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
![渡辺勇大(GROVE港北)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/03/28/riding-8.jpg)
横浜市港北区に店舗を構えるGROVE港北の店長。元MTBのダウンヒルプロライダーであり、20年以上に渡ってレース活動を行ってきたベテラン。その経験を活かしトータルとしての乗りやすさを求めるフィッティングやバイクセッティングに定評がある。ロードやMTBなど幅広くスポーツバイクをお客さんと一緒に遊びその楽しさを伝えていくことを大切にしている。愛車はスペシャライズドTarmac S-Works。
CWレコメンドショップページ
GROVE港北HP
![恒次智(サイクルショップフリーダム)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2017/03/28/riding-9.jpg)
岡山県岡山市に店舗を構えるサイクルショップフリーダムの店長。速さやスタイルに囚われることなく自由に自転車を楽しむのがショップのコンセプト。MTBから自転車を始め、クロスカントリーレースやロードの実業団レース等にも参加、自転車歴は20年以上。最近はツーリングやトレイルライドにも力を入れる。愛車はキャノンデールのSUPERSIX EVO HI-MOD。そしてホンダS2000やロータスエリーゼ、エキシージなどなど。
CWレコメンドショップページ
サイクルショップフリーダムHP
ウェア協力:Pandani
ヘルメット&アイウェア協力:KASK
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.AYANO
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