7月19日(土)に千葉県袖ケ浦市・袖ケ浦フォレストレースウェイにて「そでがうらサマーサイクルロードフェスタ」が開催され、QNリーグのシリーズ第3戦も併催された。QリーグとNリーグ女子のリーダーは変わらず、Nリーグ男子は渡邉公太(ブラウ・ブリッツエン U15)がリーダージャージを獲得した。QNリーグ主催者からのレポートで紹介する。



晴れ渡る夏空の下、スタートを待つレディースクラスの参戦選手たち photo:QNリーグ事務局

7月19日(土)、関東地方が梅雨明け宣言となった直後の猛暑のなか、千葉県袖ケ浦市・袖ケ浦フォレストレースウェイでシリーズ第3戦となる「そでがうらサマーサイクルロードフェスタ」が開催された。

今大会は、株式会社マトリックスのサイクルロードレース協会東日本が主催する毎年、夏の恒例レースとして人気が高い大会。当日は朝から最高気温が35度まで上がる暑さで、参加者や観客の皆様は数々のブース出展に立ち寄りながら一足早い夏祭り気分でレースを楽しんでいた。会場の袖ケ浦フォレストレースウェイは、1周2.4kmのサーキットコース。普段は車のサーキットとして開放しており、自転車レースのコースとしてもお馴染みで、大人から子供まで幅広いクラスに対応できるのが魅力となっている。

恒例のサイクルクリニックは試走時間に合わせて講座を開催するので、コースに入る前の確認にも最適 photo:QNリーグ事務局

JBCF レースなど国内の様々な自転車レースお馴染みのMCノゾミ氏の実況でレースが盛り上がる photo:QNリーグ事務局

昨シーズンまでQリーグの対象クラスを120分エンデューロにしていたが、登録選手達の要望に反映し今シーズンからNリーグ中学生女子NWと同じレディースクラスに変更。一方、Nリーグ中学生男子Nについては中学生クラスのままとした。朝からホームストレートを追い風が強めに吹くコンディションのなか、先ずはサイクルクリニックからスケジュールはスタートした。

サイクルクリニックは本大会で5回おこなわれる試走時間の度に開催され、今回もトレーニングスタジオ「ハムスタースピン」代表で日本スポーツ協会公認自転車コーチの資格も持つ福田 昌弘氏が講師として指導を担当。特に初めて袖ケ浦フォレストレースウェイのコースを走る参加者たちに安全な走り方のコツを伝授した。

120分エンデューロを先導しながらスタートを切るマトリックスパワータグの所属選手達 photo:QNリーグ事務局

朝から暑かった会場ではコース脇で放水を実施 photo:QNリーグ事務局
ミニプールを設置しクールダウンに活用してもらった photo:QNリーグ事務局


最初のレースとなる120分エンデューロでは、大会のホストチームであるマトリックスパワータグの所属選手たちがゲストとしてスタートラインに勢ぞろい。この様子を目当てに多くの観客がコース脇に集まり、MCノゾミこと相原希美氏がスタートを盛り上げる。そして8時にスタートすると朝からの気温上昇で選手達は苦心するものの、スタートゴール地点であるコントロールライン近くで放水したり、自由に使えるプールも設置。

この熱中症対策はレース開催中、いつでも気軽に利用できるようにしていたため多くのキッズやジュニアを中心に水遊び場にもなっており、楽しいイベントにありがちな遊びに夢中になって、うっかり熱中症になるのも上手く予防していた。

スタートに並ぶQリーグ岡本(右)にNリーグ女子NW岡田(左)の現ポイントリーダー両名は、お互いにリラックスした良い表情だ photo:QNリーグ事務局

根本(左)がスタート前に岡田(中央)へ冷たい水を渡す。暑い中のレースにおいてベテランらしい気遣いが光る photo:QNリーグ事務局

そして更に気温が上昇するなか、12時45分からはQリーグとNリーグ中学生女子NWが対象となるレディースクラスがスタート。今回は9名エントリーの8名出走でコース4周回=9.6kmで競われる。昨シーズンの同大会で優勝したPxAcycling所属の武田和佳奈はエントリーしていなかったものの、Qリーグの現ポイントリーダーの岡本彩那(SPECIALIZED UTSUNOMIYA)に、Nリーグ中学生女子NWの現ポイントリーダーの岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツエン U15)がスタート地点に揃い踏み。

昨シーズンのQリーグポイントリーダー争いに加わりシーズンを盛り上げた根本 香織(Team 一匹狼)や、昨年の高石杯ロード3位の実績を持ち大磯クリテリウムでも活躍する黑川真理子(Cinq Morceau)なども顔を揃えた。

積極的に逃げ集団の前を引くQリーグ岡本(中央)、その後ろにつける黑川が岡本の動きを探る photo:QNリーグ事務局

後方に付く根本の動きを何度もチェックしながら先行するNリーグNW岡田 photo:QNリーグ事務局

そんなメンバーでレースはオンタイムでスタート。最初の1周回目は参加人数が少なかったこともあり集団は1つのまま、選手達は互いに牽制する状態でラップタイムは4分26秒とゆっくりしたペースとなった。しかし、2周回目に入ってからメイン集団から岡本、黑川、そして塚本 愛佳(クラブワンピーストヤマ)の3名が逃げると、ラップタイムは一気に3分40秒に上がる。そんな中、後を追う集団が急なカーブで落車寸前のトラブルがあり、幸城はるかが集団から遅れるも集団に復帰。残り1周となる3周目は先行する3名と、それを追う3名という構図になりゴールスプリントを迎えた。

優勝を競うゴールスプリントを制したのは岡本。表彰式でマトリックスパワータグの安原監督から「今日も最後まで、よう粘ってた。良かった!」と高評価をもらったように、今回もクレバーな判断で優勝を手にした。2位には僅差で入った黑川、3位は塚本となった。

思い切って早めに先行しゴールスプリントを制したQリーグ岡本 photo:QNリーグ事務局

レディースクラス表彰式。左より2位・黑川真理子(Cinq Morceau)、優勝の岡本彩那(SPECIALIZEDUTSUNOMIYA)、3位・塚本愛佳(クラブワンピーストヤマ) photo:QNリーグ事務局

Qリーグポイントリーダーの座を守った岡本はアメジストジャージ授与式で、このレディースクラス優勝に手応えを感じたようで「(前のシリーズ戦)そうまタイムトライアルでも優勝を目指していたので、有言実行で優勝できてメッチャ嬉しいです!」と笑顔でコメント。次戦の福島県 2連戦は「実は期末テストがあるので・・・」と残念ながら参戦は見合わせとなるが、大学 1 年生として勉強にレースにと頑張る一面も教えてくれた。アメジストジャージ防衛に関しては「この後も、全試合で優勝できるように頑張ります!」と高いモチベーションを誓ってくれた。

一方で、4位を競うスプリントは岡田が落ち着いて決め、Nリーグ中学生女子NWのポイントリーダー防衛に成功した。そのバトルマリンジャージ授与式で、今回は表彰台も逃す4位という結果に関して「今日は万全な状態でなかったのですが、次回は状態を戻してベストを尽くしたいです!」と応援する皆さんにコメント。

Qリーグ協賛の株式会社 隼ご提供のアスリチューン目録をマトリックスの安原監督から受け取り笑顔の岡本 photo:QNリーグ事務局
Nリーグ中学生女子NW協賛のアイリス株式会社EXLUBの特製賞品セットを手に満足の岡田 photo:QNリーグ事務局


夕方の時間帯になったものの、まだまだ暑い中で中学生クラスのスタートを待つ参加選手達 photo:QNリーグ事務局

岡田に詳しく聞くと先週、腰を痛めたそうで「何とか今日はレースに出られるようにしましたが、途中で落車に巻き込まれそうになって。その時はお互いに落車しないで済んだのですが、先行した3人に付き直そうとして踏み込みたいのに腰が痛くてダメでした」と悔しそうに語った。ただ、後続集団のなかではゴールスプリントを決めて上手に先頭を取ったことには安堵の様子で「今、スポーツ整体に通って治療しているので、来週には万全にします!」と次週の連戦に向けて気合を教えてくれた。

この後、少し日が傾いた15時45分からスタートとなったのはNリーグ中学生男子Nが対象の中学生クラス。28名のエントリーとなった今レースはコース5周回=12.0kmの闘いは、今レースからNリーグ入りした昨シーズン総合ポイントランキング2位の柬理日楠詩(Team FITTE)の単独アタックから幕を開けた。

午後になり、少し追い風が強い中、スタートを待つ中学生クラスの参加選手達 photo:QNリーグ事務局

スタート中央を陣取り気合の入るバトルマリンジャージ姿の髙橋(中央)。この後の無念を次戦で晴らして欲しい photo:QNリーグ事務局

その序盤からのスピードアップに反応する集団は、縦に⻑く伸びて一部で落車が発生。レースに復帰出来ずNリーグ登録の2名がDNFとなってしまう。そのうちの1名が先の「そうまタイムトライアル 2025」で素晴らしいタイムを叩き出しNリーグポイントリーダーとなった髙橋琉登(Komami.Racing)。

バトルマリンジャージが引き裂かれた状態で救護室に運ばれ、最初は脚が動かないとの連絡であったが骨折などは無く擦過傷のみで安堵。迅速な処置により自力で歩いて、少し気持ちが落ち着いた後には仲間と談笑していた。「(中学生クラスの前に出走した)ジュニア強化レースで調子も良かったから、優勝しか狙ってなかった」と大きく肩を落としていたが、また新しいバトルマリンジャージを手に入れられるように頑張ってほしい。

柬理(右)のファーストアタックに付いた渡邉(左)はゴールまで終始、他を寄せ付けない走りを見せた photo:QNリーグ事務局

さてレースに戻ろう。最初のアタックを決めた柬理は、現在ポイントランキング2位につける渡邉公太(ブラウ・ブリッツエン U15)と2名で逃げ続け、後続集団とのタイム差を広げていく。残り1周回には後続集団から白石大河(Komami.Racing)が単独で先行する2名にブリッジをかけるが僅か届かず。そのまま柬理と渡邉の一騎打ちとなった。

「ファーストアタックで逃げを決めて本当は1人で逃げ切りたかったんですけど、2人になっちゃったので、スプリントに持ち込んで」とレース後の表彰式で語った柬理は、前のレースで冷静になれなかったので「冷静に冷静に」と先輩にも言われていたので、なるべく冷静にして勝てました」というとおり、先着し優勝を決めてガッツポーズ。

勝利した柬理(中央)のコメントを、うなだれながら聴く渡邉(左)と飯田(右)は悔しそうな表情 photo:QNリーグ事務局

中学生クラスの表彰。左より2位の渡邉、優勝の柬理、3位には10名の後続集団から早く抜け出した飯田 稜也(Komami.Racing)が入った photo:QNリーグ事務局

1対1のスプリントに勝てたことについては「先輩達と練習を重ねていたおかげ」と感謝。Nリーグシリーズ戦で得意のヒルクライム以外のレースで初の優勝を振り返りながら、後半戦の目標として「少し遅れてNリーグに入ったので、ポイントリーダーを取ります!」と力強くコメントしてくれた。

その中学生クラスの後におこなわれたNリーグ中学生男子Nでは、前のシリーズ戦「そうまタイムトライアル」で手放してしまったバトルマリンジャージを奪還した渡邊が登壇。しかし、その顔が曇っていたのは「出来れば(中学生クラス)優勝をしてリーダーを獲得したかったから、ゴールスプリントで負けて2位で着るのは悔しい・・・でも嬉しいです。どう言えばいいのか難しいです!」と複雑な気持ちからだったよう。その胸の内を素直に答えなから「次は、ちゃんとレースで1位になってリーダーを取れるようにします!!」と勝利宣言をし、表彰ステージに集まった観客の皆さんから温かい拍手をもらっていた。

Nリーグ中学生男子N協賛の武田レッグウェアー株式会社から提供の賞品目録を手にする渡邉 photo:QNリーグ事務局

なお、この結果によりポイントランキングのTOP3はブラウ・ブリッツェン渡邉の60ポイントで現在リーダー、これにKomami.Racingの髙橋が40ポイントの2位で追い、Team FITTE 柬理は優勝でトップポイントの28を得てランキング3位に浮上している。

今レースのコースは、車のサーキット場という特徴もあり高低差は緩やかだが、きつい角度のコーナーが連続する箇所がある。特に特徴的なところでは、図にある3コーナーから4コーナーの先まで抜ける連続する同じ方向へ曲がり続けるコーナーのライン取りが肝となる。もう1つの手書きの図にある赤線のような最初の3コーナーからイン側に早く入りすぎて行き場が無くなり、また3コーナーを何とか抜けられても、次の4コーナーのカーブに間に合わなくなり曲がり切れなくなるケースを多く見かけた。

そでがうらコース図 photo:QNリーグ事務局

連続する同じ方向へ曲がり続けるコーナーのライン取りが肝となる photo:QNリーグ事務局

このような場合は、最初の3コーナーの入りから少しアウト側から侵入し、手前の3コーナーより先の4コーナーを意識してライン取り。手前の3コーナーのイン側は捨ててアウト側に粘りながら、4コーナーのインに余裕を持って入ることを意識すると余計なブレーキングをしないで、スピードを落とさずスムーズに走れると思う。

このような周回コースを走る時は「コース図を完全に頭に入れる」「走っている最中も自分がコースの、どの位置にいるのかを把握する」「万が一、コースの状況が分からなくなったら、すぐインに飛び込まないようにする」という3つのポイントを押さえておくと良いだろう。

福島県での2連戦として開催される両大会ともに公道コースを走るダイナミックなコースとなる。特にジュニアレースは公道コースが少ないので、この貴重な機会を体験してほしい photo:井上和隆

次戦は福島県での2連戦となる。先ずは7月26日(土)の「第8回あぶくま洞ヒルクライム」。こちらは日本でも珍しい公道コースで、第1ステージは入水鍾乳洞側の距離5.4km(平均斜度 7.4%)、第2ステージがあぶくま洞側の距離5.1km(平均斜度6.1%)の全2ステージ制となるヒルクライムレース。

スタート時間が午後3時からと涼しくなり始める時間帯とはいえ、暑い中での⻑い登坂となるので、昼ご飯を食べるタイミングぐらいから多めに水分を補給しておくと良いだろう。また頂上のゴール地点ではカキ氷の振る舞いがあるそうなので、上手くクールダウンをして翌日のレースに備えてほしい。

ジュニア強化レースで敢闘賞に選出された選手達と自撮りの記念撮影に応じるマトリックスパワータグの安原監督 photo:QNリーグ事務局

Qリーグポイントリーダー授与式で協賛目録を手にするアメジストジャージ姿の岡本 photo:QNリーグ事務局

その翌日となる7月27日(日)の「第6回小野こまちロードレース」は公道でのロードレース。小野町 B&G 海洋センターからパレードでスタートする4周35.5km。スタートが朝8時50分と早いので、朝ご飯を早めに食べておくだけでなく水分の補給は勿論のこと、レース中のエネルギー補給も大事だ。

昨年のレースに出場している選手達は、今年のコースが変更になっているので確認をしておくと良いだろう。何よりも2日間のレースとはいえ、初日は2ステージあるため、実質2日間で計3ステージを走ることになる。強くなると、もっと⻑い日程のステージロードレースに参戦する機会もあると思うので、この福島県での2連戦で翌レースへ疲れを持ち越さないように補給や休養を、この機会を利用して皆さんに探ってほしい。また引き続きリーグ登録の選手達には、SNSなどを通じて情報提供していきたい。

photo:QNリーグ事務局
text:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
協力:株式会社マトリックス、サイクルロードレース協会東日本
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