2017/03/27(月) - 08:06
1週間にわたって繰り広げられたボルタ・ア・カタルーニャが州都バルセロナでフィナーレ。残り3kmで抜け出し、僅差のスプリントを制したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)がステージ3勝目を飾るとともに自身2度目の総合優勝を果たした。
レース序盤の山岳を越えていく photo: TDWsport / KTボルタ・ア・カタルーニャを締めくくる第7ステージ。1992年の夏季五輪の舞台で、バルセロナの街を見下ろす3級山岳モンジュイックの丘(2km/平均5.7%/最大8%)を含む6.6km周回を8回リピートする。ステージ全長は138kmと短いが、毎年総合争いも動くアップダウンコースだ。
メイン集団を牽引するオリカ・スコット photo: TDWsport / KT前日に新城幸也(バーレーン・メリダ)を含むタイムアウト選手が続出したため、この日は114名でのスタート。バーレーン・メリダとCCCスプランディ、コフィディスは3名、カハルーラルは2名、ブラジルのファンビク・ブラジルに至っては1名での出走となった。
残り9km地点でアタックしたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo: TDWsport / KTカタルーニャ州の州都バルセロナをスタートしてすぐ、プシェメスワフ・ニエミエツ(ポーランド、UAEチームエミレーツ)やダヴィ・ゴデュ(フランス、エフデジ)、ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、ディメンションデータ)を含む22名の大きな逃げグループが形成される。モビスターの集団牽引によってタイム差は広がらず、郊外を走ってモンジュイックの周回コースに戻る頃には逃げグループのメンバーは6名に。
先頭でフィニッシュに飛び込むアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo: TDWsport / KT2分30秒あったタイム差はモンジュイックの周回を重ねるごとに縮小。先頭ではトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)とジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)の2人が粘り強く逃げたが、チームスカイのペースアップによって吸収される。フィリップ・ダイグナン(アイルランド)とミケル・ニエベ(スペイン)がペースを作ると、残り13km地点でゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が動いた。
最終スプリントを制したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo: TDWsport / KT集団を縦に長く伸ばしたトーマスのアタックが吸収されると残り9km地点でクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)がカウンターアタック。独走に持ち込んだツール覇者は15秒のリードを得て最終周回に入っていく。
しかしフルームのアタックは長続きせずに残り5km地点で吸収。アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)やアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)がハイペースを刻んでモンジュイックの丘をクリアすると、続くテクニカルなダウンヒルで集団はばらけながら縦に伸びる。続いて残り3km地点の短い上りでダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)が加速した。
マーティンのアタックにはバルベルデがすかさず反応し、約15名に絞られた追走集団を振り切った状態で残り1kmアーチを通過する。下り基調の最終ストレートに入ってもなおマーティンとバルベルデの2人が先行。そのままスプリントが始まり、もがき続けたバルベルデが集団に飲み込まれながらも先頭を守り抜いた。
「数日間の厳しい戦いを終えてもなお脚の調子はとてもよかった。過去の経験から、最終周回の短い上りでマーティンが動いてくると分かっていたので、すかさず彼の動きをチェック。彼との協調体制は決して良いとは言えず、追走グループのほうが速かったけど、何とかスプリントで逃げ切ることができたんだ」と、圧巻のステージ3勝目を飾ったバルベルデは語る。
2009年に続く2度目の総合優勝を果たしたバルベルデ。モビスターは第2ステージのチームタイムトライアルで最速タイムを叩き出したが、ホセ・ロハス(スペイン)がレース中にチームメイトを押したとしてバルベルデを含めて1分のペナルティを受けた。そんなペナルティもなんのその、バルベルデは最終的に総合2位以下を1分以上引き離す圧勝だった。
「正直言ってこんな素晴らしいエンディングは予想していなかった。先週、アンドラでの高地トレーニングを良い形で終えていたものの、1ヶ月間レースから離れていたので、コンタドールらと比べるとレース強度に耐えることができるか自信がなかった。でも実際は日を重ねるごとに調子は上がり続けたんだ。1週間にわたってファンタスティックな働きを見せてくれたチームメイトたちに報いようと勝利を追い求め続けた」。36歳のベテランは4月1日のGPミゲールインデュラインと4月3日開幕のブエルタ・アル・パイスバスコに出場予定。その後、アルデンヌクラシックに連戦出場する予定だ。
総合表彰台 2位アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)、1位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、3位マルク・ソレール(スペイン、モビスター) photo: TDWsport / KT
ボルタ・ア・カタルーニャ2017第7ステージ結果
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 3h08'50"
2位 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)
3位 アルテュール・ヴィショ(フランス、エフデジ)
4位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)
5位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)
6位 アルディマル・レジェス(コロンビア、マンサナポストボン)
7位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
8位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
9位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)
10位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)
個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 25h27'15"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +1'03"
3位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) +1'16"
4位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +1'31"
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +1'34"
6位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) +2'29"
7位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) +2'56"
8位 カルロス・ベローナ(スペイン、クイックステップフロアーズ) +3'00"
9位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) +3'01"
10位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) +3'05"
スプリント賞
1位 ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック) 13pts
2位 ピーター・セリー(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 5pts
3位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 3pts
山岳賞
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 105pts
2位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) 50pts
3位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) 49pts
ヤングライダー賞
1位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) 25h28'31"
2位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +15"
3位 カルロス・ベローナ(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1'44"
チーム総合成績
1位 モビスター 76h29'25"
2位 キャノンデール・ドラパック +13'28"
3位 ロットNLユンボ +16'27"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
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しかしフルームのアタックは長続きせずに残り5km地点で吸収。アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)やアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)がハイペースを刻んでモンジュイックの丘をクリアすると、続くテクニカルなダウンヒルで集団はばらけながら縦に伸びる。続いて残り3km地点の短い上りでダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)が加速した。
マーティンのアタックにはバルベルデがすかさず反応し、約15名に絞られた追走集団を振り切った状態で残り1kmアーチを通過する。下り基調の最終ストレートに入ってもなおマーティンとバルベルデの2人が先行。そのままスプリントが始まり、もがき続けたバルベルデが集団に飲み込まれながらも先頭を守り抜いた。
「数日間の厳しい戦いを終えてもなお脚の調子はとてもよかった。過去の経験から、最終周回の短い上りでマーティンが動いてくると分かっていたので、すかさず彼の動きをチェック。彼との協調体制は決して良いとは言えず、追走グループのほうが速かったけど、何とかスプリントで逃げ切ることができたんだ」と、圧巻のステージ3勝目を飾ったバルベルデは語る。
2009年に続く2度目の総合優勝を果たしたバルベルデ。モビスターは第2ステージのチームタイムトライアルで最速タイムを叩き出したが、ホセ・ロハス(スペイン)がレース中にチームメイトを押したとしてバルベルデを含めて1分のペナルティを受けた。そんなペナルティもなんのその、バルベルデは最終的に総合2位以下を1分以上引き離す圧勝だった。
「正直言ってこんな素晴らしいエンディングは予想していなかった。先週、アンドラでの高地トレーニングを良い形で終えていたものの、1ヶ月間レースから離れていたので、コンタドールらと比べるとレース強度に耐えることができるか自信がなかった。でも実際は日を重ねるごとに調子は上がり続けたんだ。1週間にわたってファンタスティックな働きを見せてくれたチームメイトたちに報いようと勝利を追い求め続けた」。36歳のベテランは4月1日のGPミゲールインデュラインと4月3日開幕のブエルタ・アル・パイスバスコに出場予定。その後、アルデンヌクラシックに連戦出場する予定だ。
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ボルタ・ア・カタルーニャ2017第7ステージ結果
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 3h08'50"
2位 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード)
3位 アルテュール・ヴィショ(フランス、エフデジ)
4位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)
5位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)
6位 アルディマル・レジェス(コロンビア、マンサナポストボン)
7位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
8位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
9位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)
10位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)
個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 25h27'15"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +1'03"
3位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) +1'16"
4位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +1'31"
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +1'34"
6位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) +2'29"
7位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) +2'56"
8位 カルロス・ベローナ(スペイン、クイックステップフロアーズ) +3'00"
9位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) +3'01"
10位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) +3'05"
スプリント賞
1位 ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック) 13pts
2位 ピーター・セリー(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 5pts
3位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 3pts
山岳賞
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 105pts
2位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) 50pts
3位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) 49pts
ヤングライダー賞
1位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) 25h28'31"
2位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +15"
3位 カルロス・ベローナ(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1'44"
チーム総合成績
1位 モビスター 76h29'25"
2位 キャノンデール・ドラパック +13'28"
3位 ロットNLユンボ +16'27"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
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