2017/03/26(日) - 10:26
トレック・セガフレードとモビスターによるレース序盤のペースアップで集団は分裂。乗り遅れたフルームや新城が脱落する中、40名に満たない集団によるスプリントでダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット)が勝利した。
トルトサからレウスまでの189.7kmで行われたボルタ・ア・カタルーニャ第6ステージ。終盤、残り35km地点に登場する1級山岳アルト・デラ・ムサラ(11.6km/平均5%/最大11%)でレースが動くと見られたが、決定的な動きが生まれたのは序盤のアップダウン区間だった。
スタート後、29km地点の3級山岳に向かってアタック合戦が繰り広げられたが決まらず、集団一つのまま頂上を通過する。するとモビスターとトレック・セガフレードのペースアップによって集団が割れた。
約50名の先頭集団に乗り遅れたのは総合2位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)や総合7位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)、総合8位サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)ら。フルームは「罠にはまってしまった。序盤のあのタイミングで集団が割れるとは予想していなかった。2kmの短い下り区間で決定的な分裂が発生したんだ。抜きどころのないテクニカルな下りで自分の前を走る選手が中切れをしてしまい、その差を詰めることができなかった」と、集団分裂発生時の様子を語る。
新城幸也(バーレーン・メリダ)も後方の集団に取り残された選手の一人。「逃げに乗るために序盤から動いたが決まらず。29km地点の3級山岳の下りで集団が分断してしまい、自分も後方にポジションを下げていたため取り残されてしまった。50人ほどで復帰を試み、前の集団を追おうと明日の為にゴールを目指したが、協力的ではない選手が多かった」と新城は語っている。
先頭集団とフルームを含む第2集団、新城を含む第3集団のタイム差は距離を重ねるごとに広がり、レース中盤に先頭集団のリードは5分を超える。フルームの総合表彰台は事実上なくなった。
1級山岳アルト・デラ・ムサラではアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が動きを見せたが、モビスター勢のコントロールによって引き戻される。勾配のゆるい上りでクライマーたちはチャンスを生かせず、先頭集団は約30名で頂上をクリアした。
フィニッシュに向かう下りでアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)とダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)が抜け出して先行開始。約10秒のリードで逃げるイタリアンコンビをオリカ・スコットとモビスターが追いかける。残り1kmアーチに差し掛かってもなおデマルキとカタルドは先行を続け、逃げる2人を追撃する形でスプリントが始まった。
集団先頭でスプリントしたのはリーダージャージを着るアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)とインピーの2人。フィニッシュラインまで20mほどを残してデマルキとカタルドを飲み込み、踏み抜いたインピーが先着した。
「今日は序盤から集団が割れる荒れた展開になったけど、オリカ・スコットは先頭集団に人数を残せていたので良いステージになった。スタートの時点ではまさか自分にチャンスが回ってくるとは思っていなかった。前半にかなり追い込んでいたけど、スプリントのための力が残っていてよかったよ」とインピーはコメント。チームメイトのアダム・イェーツ(イギリス)は総合4位に順位を上げている。
ステージ2位のバルベルデはボーナスタイム6秒を獲得し、総合リードを広げることに成功した。チームメイトでヤングライダー賞ジャージのマルク・ソレール(スペイン、モビスター)が総合3位に浮上している。
フルームを含む大集団は26分38秒遅れでフィニッシュ。フルームは「(分裂後)50kmにわたって追走したけど、先頭集団も人数を揃えていたのでタイム差は縮まらなかった。しばらくして諦めたんだ。今日のことから学んで前に進まないといけない」と語っている。
ルールブックによるとこの日のタイムアウトは10%以降。つまり優勝タイム4時間34分14秒の10%以内(27分25秒)にフィニッシュすれば完走扱いとなるが、新城を含む集団はリミットに19秒届かなかった。タイムアウト扱いとなった47名は最終ステージをスタートできない。新城は「もう二度とこのような経験はしたくない」と悔しいコメントを残している(チームユキヤ通信より)。
ボルタ・ア・カタルーニャ2017第6ステージ結果
1位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット) 4h34'14"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 アルテュール・ヴィショ(フランス、エフデジ)
4位 ペトル・ヴァコッチ(チェコ、クイックステップフロアーズ)
5位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)
6位 ニック・ファンデルライク(オランダ、ルームポット)
7位 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)
8位 レナード・ケムナ(ドイツ、サンウェブ)
9位 シリル・ゴティエ(フランス、アージェードゥーゼール)
10位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)
個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 22h18'35"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +53"
3位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) +1'06"
4位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +1'21"
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +1'24"
6位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) +2'19"
7位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) +2'46"
8位 カルロス・ベローナ(スペイン、クイックステップフロアーズ) +2'50"
9位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) +2'51"
10位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) +2'55"
スプリント賞
1位 ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック) 13pts
2位 ピーター・セリー(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 5pts
3位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) 2pts
山岳賞
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 105pts
2位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) 50pts
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) 47pts
ヤングライダー賞
1位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) 22h19'41"
2位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +15"
3位 カルロス・ベローナ(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1'44"
チーム総合成績
1位 モビスター 67h02'39"
2位 キャノンデール・ドラパック +9'08"
3位 オリカ・スコット +15'54"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
トルトサからレウスまでの189.7kmで行われたボルタ・ア・カタルーニャ第6ステージ。終盤、残り35km地点に登場する1級山岳アルト・デラ・ムサラ(11.6km/平均5%/最大11%)でレースが動くと見られたが、決定的な動きが生まれたのは序盤のアップダウン区間だった。
スタート後、29km地点の3級山岳に向かってアタック合戦が繰り広げられたが決まらず、集団一つのまま頂上を通過する。するとモビスターとトレック・セガフレードのペースアップによって集団が割れた。
約50名の先頭集団に乗り遅れたのは総合2位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)や総合7位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)、総合8位サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)ら。フルームは「罠にはまってしまった。序盤のあのタイミングで集団が割れるとは予想していなかった。2kmの短い下り区間で決定的な分裂が発生したんだ。抜きどころのないテクニカルな下りで自分の前を走る選手が中切れをしてしまい、その差を詰めることができなかった」と、集団分裂発生時の様子を語る。
新城幸也(バーレーン・メリダ)も後方の集団に取り残された選手の一人。「逃げに乗るために序盤から動いたが決まらず。29km地点の3級山岳の下りで集団が分断してしまい、自分も後方にポジションを下げていたため取り残されてしまった。50人ほどで復帰を試み、前の集団を追おうと明日の為にゴールを目指したが、協力的ではない選手が多かった」と新城は語っている。
先頭集団とフルームを含む第2集団、新城を含む第3集団のタイム差は距離を重ねるごとに広がり、レース中盤に先頭集団のリードは5分を超える。フルームの総合表彰台は事実上なくなった。
1級山岳アルト・デラ・ムサラではアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が動きを見せたが、モビスター勢のコントロールによって引き戻される。勾配のゆるい上りでクライマーたちはチャンスを生かせず、先頭集団は約30名で頂上をクリアした。
フィニッシュに向かう下りでアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)とダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)が抜け出して先行開始。約10秒のリードで逃げるイタリアンコンビをオリカ・スコットとモビスターが追いかける。残り1kmアーチに差し掛かってもなおデマルキとカタルドは先行を続け、逃げる2人を追撃する形でスプリントが始まった。
集団先頭でスプリントしたのはリーダージャージを着るアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)とインピーの2人。フィニッシュラインまで20mほどを残してデマルキとカタルドを飲み込み、踏み抜いたインピーが先着した。
「今日は序盤から集団が割れる荒れた展開になったけど、オリカ・スコットは先頭集団に人数を残せていたので良いステージになった。スタートの時点ではまさか自分にチャンスが回ってくるとは思っていなかった。前半にかなり追い込んでいたけど、スプリントのための力が残っていてよかったよ」とインピーはコメント。チームメイトのアダム・イェーツ(イギリス)は総合4位に順位を上げている。
ステージ2位のバルベルデはボーナスタイム6秒を獲得し、総合リードを広げることに成功した。チームメイトでヤングライダー賞ジャージのマルク・ソレール(スペイン、モビスター)が総合3位に浮上している。
フルームを含む大集団は26分38秒遅れでフィニッシュ。フルームは「(分裂後)50kmにわたって追走したけど、先頭集団も人数を揃えていたのでタイム差は縮まらなかった。しばらくして諦めたんだ。今日のことから学んで前に進まないといけない」と語っている。
ルールブックによるとこの日のタイムアウトは10%以降。つまり優勝タイム4時間34分14秒の10%以内(27分25秒)にフィニッシュすれば完走扱いとなるが、新城を含む集団はリミットに19秒届かなかった。タイムアウト扱いとなった47名は最終ステージをスタートできない。新城は「もう二度とこのような経験はしたくない」と悔しいコメントを残している(チームユキヤ通信より)。
ボルタ・ア・カタルーニャ2017第6ステージ結果
1位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット) 4h34'14"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 アルテュール・ヴィショ(フランス、エフデジ)
4位 ペトル・ヴァコッチ(チェコ、クイックステップフロアーズ)
5位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)
6位 ニック・ファンデルライク(オランダ、ルームポット)
7位 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)
8位 レナード・ケムナ(ドイツ、サンウェブ)
9位 シリル・ゴティエ(フランス、アージェードゥーゼール)
10位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)
個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 22h18'35"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) +53"
3位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) +1'06"
4位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +1'21"
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +1'24"
6位 ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) +2'19"
7位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) +2'46"
8位 カルロス・ベローナ(スペイン、クイックステップフロアーズ) +2'50"
9位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) +2'51"
10位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) +2'55"
スプリント賞
1位 ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック) 13pts
2位 ピーター・セリー(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 5pts
3位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) 2pts
山岳賞
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 105pts
2位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) 50pts
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) 47pts
ヤングライダー賞
1位 マルク・ソレール(スペイン、モビスター) 22h19'41"
2位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +15"
3位 カルロス・ベローナ(スペイン、クイックステップフロアーズ) +1'44"
チーム総合成績
1位 モビスター 67h02'39"
2位 キャノンデール・ドラパック +9'08"
3位 オリカ・スコット +15'54"
text:Kei Tsuji
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