2017/02/24(金) - 11:14
アブダビツアーの開幕とともにアタックした窪木一茂が170kmに渡ってエスケープ。残り1km地点で発生した落車によってキッテルやユアンが脱落する中、カヴェンディッシュが初日のスプリントを制した。
アブダビから車で2時間弱の内陸に位置するマディーナット・ゼイドがアブダビツアー第1ステージの舞台。幹線道路を南に90km走り、Uターンしてマディーナット・ゼイドに戻ってくる189kmのコースが設定された。コースの99%は片側2車線の道幅ある高速道路と言ってもいいような幹線道路で、緩やかな起伏のある砂漠地帯をまっすぐに貫いている。
1週間にわたって続いていた悪天候は回復し、この日は最高気温が32度まで上昇。スタートの最前列に陣取っていた窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)がアクチュアルスタートと同時に始まったアタック合戦に加わり、すぐさま形成された6名の逃げグループの中に入った。
3〜4km先の状況まで簡単に見渡せてしまう直線的な幹線道路を進むうちにメイン集団と逃げグループのタイム差は4分まで拡大。
ほぼ真っ平らなコースレイアウトの特性上、タイム差が10分を超えてもおかしくないようなシチュエーションだったが、ディメンションデータやクイックステップフロアーズ、オリカ・スコット、ロット・ソウダルが油断せずにメイン集団を牽引した。
2つあるスプリントポイントはいずれもマヌエーレ・モーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が先頭通過。窪木もスプリントに加わったものの2回とも3位という結果に。スプリント賞ジャージには届かなかったが、窪木は2秒のボーナスタイムによって総合6位で第1ステージを終えることになる。
残り70kmを切るとタイム差は早くも1分を割り込み、メンバーが6名から3名になってもなお逃げる窪木、モーリ、アルチョム・ザハロフ(カザフスタン、アスタナ)の先頭グループをメイン集団が容赦なく追撃。スプリンターチームによって逃げグループは残り20kmを切って吸収された。
170kmにわたって逃げた窪木は「ジャージを獲得できず残念だったが、脚の調子は良い。54のギアを試したが重たくて失敗だった」と、ツアー・オブ・オマーンに続く中東レースでの逃げを振り返っている。窪木はアブダビツアー直後にバーレーンで開催されるアジア選手権ロードレースに日本代表として出場予定だ。
比較的風が弱い平穏なコンディションが続いたものの、逃げ吸収後は風の強まりとともに集団内はナーバスな状態に。スプリンターチームが最前列で隊列を組む頃、残り5kmでアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が落車に巻き込まれてしまう。
すぐさまジュリアン・ベルナール(フランス)のバイクを受け取って再スタートを切ったコンタドールは、チームメイトの懸命なリードによってタイムを失わずに難局を乗り切っている。
コンタドールの集団復帰後、残り1kmの最終コーナーを曲がってすぐに再度集団落車が発生。集団前方で発生したこの落車にはマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)とカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)という優勝候補2人が巻き込まれた。
残り600mのロータリーを抜け、ディメンションデータのレイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ)とマーク・レンショー(オーストラリア)が強力なリードアウトを開始。残り150mから先に仕掛けたニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)と並走する形でスプリントに持ち込んだカヴェンディッシュがアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)らを振り切った。最終スプリントの最高速は74km/h。
「まさに台本通りのスプリントだった」と4日間のレースを優勝でスタートさせたカヴェンディッシュは語る。「昨年と同じフィニッシュのレイアウトだったので、1年前の反省を踏まえて今年は作戦を立てたんだ。チームミーティングで話していた通りの手順でスプリントが始まったので、自分はただレンショーのホイールに着いていっただけ。本当に何も力を使わずスプリントに挑むことができた」。
落車したキッテルとユアンはしばらく立ち上がれなかったものの、ともに自力でフィニッシュした。ユアンは病院でX線検査を受け、骨折なしの診断を受けている。ともに翌日の第2ステージをスタートする予定だ。
フィニッシュ後に話題となったのがキッテルのディスクブレーキ搭載バイクについて。キッテルと同時に落車したオウェイン・ドゥール(イギリス、チームスカイ)がパックリと破れたシューズと血の付いたソックスの写真を公開した。ドゥールはキッテルのブレーキローターが原因であると主張しており、ディスクブレーキについての議論が再燃することになりそうだ。
アブダビツアー2017第1ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) 4h37’06”
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
3位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)
4位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
5位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
6位 ロジャー・クルーゲ(ドイツ、オリカ・スコット)
7位 アレクサンダー・ポルセフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)
8位 マッテーオ・ペルッキ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)
9位 ニコラ・ルッフォニ(イタリア、バルディアーニCSF)
10位 エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
個人総合成績
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) 4h36’56”
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) +04”
3位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
4位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ) +06”
5位 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF) +08”
6位 窪木一茂(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)
7位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +10”
8位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
9位 ロジャー・クルーゲ(ドイツ、オリカ・スコット)
10位 アレクサンダー・ポルセフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)
ポイント賞
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) 20pts
2位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 16pts
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 16pts
ヤングライダー賞
1位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ) 4h37’02”
2位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +04”
3位 エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
スプリント賞
1位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 16pts
2位 窪木一茂(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) 6pts
3位 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF) 5pts
チーム総合成績
1位 ディメンションデータ 13h51’18”
2位 NIPPOヴィーニファンティーニ
3位 UAEチームエミレーツ
text&photo:Kei Tsuji in Abu Dhabi, UAE
アブダビから車で2時間弱の内陸に位置するマディーナット・ゼイドがアブダビツアー第1ステージの舞台。幹線道路を南に90km走り、Uターンしてマディーナット・ゼイドに戻ってくる189kmのコースが設定された。コースの99%は片側2車線の道幅ある高速道路と言ってもいいような幹線道路で、緩やかな起伏のある砂漠地帯をまっすぐに貫いている。
1週間にわたって続いていた悪天候は回復し、この日は最高気温が32度まで上昇。スタートの最前列に陣取っていた窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)がアクチュアルスタートと同時に始まったアタック合戦に加わり、すぐさま形成された6名の逃げグループの中に入った。
3〜4km先の状況まで簡単に見渡せてしまう直線的な幹線道路を進むうちにメイン集団と逃げグループのタイム差は4分まで拡大。
ほぼ真っ平らなコースレイアウトの特性上、タイム差が10分を超えてもおかしくないようなシチュエーションだったが、ディメンションデータやクイックステップフロアーズ、オリカ・スコット、ロット・ソウダルが油断せずにメイン集団を牽引した。
2つあるスプリントポイントはいずれもマヌエーレ・モーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)が先頭通過。窪木もスプリントに加わったものの2回とも3位という結果に。スプリント賞ジャージには届かなかったが、窪木は2秒のボーナスタイムによって総合6位で第1ステージを終えることになる。
残り70kmを切るとタイム差は早くも1分を割り込み、メンバーが6名から3名になってもなお逃げる窪木、モーリ、アルチョム・ザハロフ(カザフスタン、アスタナ)の先頭グループをメイン集団が容赦なく追撃。スプリンターチームによって逃げグループは残り20kmを切って吸収された。
170kmにわたって逃げた窪木は「ジャージを獲得できず残念だったが、脚の調子は良い。54のギアを試したが重たくて失敗だった」と、ツアー・オブ・オマーンに続く中東レースでの逃げを振り返っている。窪木はアブダビツアー直後にバーレーンで開催されるアジア選手権ロードレースに日本代表として出場予定だ。
比較的風が弱い平穏なコンディションが続いたものの、逃げ吸収後は風の強まりとともに集団内はナーバスな状態に。スプリンターチームが最前列で隊列を組む頃、残り5kmでアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が落車に巻き込まれてしまう。
すぐさまジュリアン・ベルナール(フランス)のバイクを受け取って再スタートを切ったコンタドールは、チームメイトの懸命なリードによってタイムを失わずに難局を乗り切っている。
コンタドールの集団復帰後、残り1kmの最終コーナーを曲がってすぐに再度集団落車が発生。集団前方で発生したこの落車にはマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)とカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)という優勝候補2人が巻き込まれた。
残り600mのロータリーを抜け、ディメンションデータのレイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ)とマーク・レンショー(オーストラリア)が強力なリードアウトを開始。残り150mから先に仕掛けたニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)と並走する形でスプリントに持ち込んだカヴェンディッシュがアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)らを振り切った。最終スプリントの最高速は74km/h。
「まさに台本通りのスプリントだった」と4日間のレースを優勝でスタートさせたカヴェンディッシュは語る。「昨年と同じフィニッシュのレイアウトだったので、1年前の反省を踏まえて今年は作戦を立てたんだ。チームミーティングで話していた通りの手順でスプリントが始まったので、自分はただレンショーのホイールに着いていっただけ。本当に何も力を使わずスプリントに挑むことができた」。
落車したキッテルとユアンはしばらく立ち上がれなかったものの、ともに自力でフィニッシュした。ユアンは病院でX線検査を受け、骨折なしの診断を受けている。ともに翌日の第2ステージをスタートする予定だ。
フィニッシュ後に話題となったのがキッテルのディスクブレーキ搭載バイクについて。キッテルと同時に落車したオウェイン・ドゥール(イギリス、チームスカイ)がパックリと破れたシューズと血の付いたソックスの写真を公開した。ドゥールはキッテルのブレーキローターが原因であると主張しており、ディスクブレーキについての議論が再燃することになりそうだ。
アブダビツアー2017第1ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) 4h37’06”
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
3位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)
4位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
5位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
6位 ロジャー・クルーゲ(ドイツ、オリカ・スコット)
7位 アレクサンダー・ポルセフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)
8位 マッテーオ・ペルッキ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)
9位 ニコラ・ルッフォニ(イタリア、バルディアーニCSF)
10位 エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
個人総合成績
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) 4h36’56”
2位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) +04”
3位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
4位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ) +06”
5位 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF) +08”
6位 窪木一茂(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)
7位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +10”
8位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
9位 ロジャー・クルーゲ(ドイツ、オリカ・スコット)
10位 アレクサンダー・ポルセフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)
ポイント賞
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ) 20pts
2位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 16pts
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 16pts
ヤングライダー賞
1位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ) 4h37’02”
2位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +04”
3位 エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
スプリント賞
1位 マヌエーレ・モーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 16pts
2位 窪木一茂(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) 6pts
3位 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF) 5pts
チーム総合成績
1位 ディメンションデータ 13h51’18”
2位 NIPPOヴィーニファンティーニ
3位 UAEチームエミレーツ
text&photo:Kei Tsuji in Abu Dhabi, UAE
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