2017/02/16(木) - 09:28
世界中の多くのプロチームを支えるイタリアのサイクルパーツブランド、FSA。昨年のユーロバイクにて正式発表されていた、同社初となるセミワイヤレス電動コンポーネント「K-Force WE」の国内リリースが開始される。
ステム、ハンドル、シートポストにおいて数多くのワールドツアーチームをサポートし、パーツブランドとしては確固たる地位を築き上げたFSA(FULL SPEED AHEAD)。次なる一歩としてFSAが繰り出してきたのが、電動変速採用のコンポーネントだ。すでにシマノ、カンパニョーロ、スラムの三大コンポーネントが世界中で使用されているわけだが、そこに割って入る第4のコンポーネントメーカーとなれるかに注目が集まる。
FSAの最上位グレードを表すK-Forceの名を冠したグループセット「K-Force WE」は、WE(Wireless Electronicの略)という名が示す通り、無線電動シフトのコンポーネントである。世界的にはスラムがRED eTapで先駆けたジャンルであるが、それに続く第2の製品となるわけだ。最大の特徴は、前後のディレイラーとシートポストバッテリーの間をケーブルで、シフトレバーとはANT+規格による無線で接続する「セミワイヤレス」式をとることにある。
ワイヤレスのシフターはより簡単にインストールが可能となり、大容量バッテリーを各ディレーラーに有線で繋げることでより長い使用時間を確保している。まさに無線と有線のメリットを併せ持った、ハイブリッドなコンポーネントに仕上がっている。フロントはダブル、リアは11スピード対応だ。
クランクやブレーキを含むグループセット全体で、ブラックカラーを主体とし、そこにゴールドの差し色が入る共通のグラフィックを採用。構成されるパーツにカーボンを多用し軽量化を図ることで、フルセット重量で2090gという他メーカーにも劣らない重量値をマークしている。
約5年にも渡る研究期間を費やし、さらに2年の路上テストを重ねてようやく製品化へと至ったと言う。開発のテスターにはジロ・デ・イタリアで2度の総合優勝経験を持つイヴァン・バッソも参加。さらにはボーラ・アルゴン18やコフィディス、ダイレクトエナジー、ティンコフといった多くのプロチームへプロトタイプを供給することで、トップ選手たちの声を製品へフィードバックさせている。
どのメーカーとも異なる独特なシフトスイッチの配置を採用した特徴的なシフターは、エルゴノミクスをとことん追求し、最適化されたブラケットにより握りやすい形状を獲得。艶めかしい曲線を描く、UDカーボンを使用した軽量なレバー部分は2種類の長さが用意され、各ライダーの手のサイズに合わせて交換することが可能となっている。また、ハンドルバーとレバーとの距離も調整ができるため、より高いフィット感を得られるだろう。
変速操作は上下で繋がった単一のスイッチ部分をそれぞれの方向に倒し込むことで行い、長押しによる連続変速にも対応している。レバーの先に上下で配されたシフトスイッチは、左右ともに初めからカスタマイズが可能となっており、各ボタンにシフトのアップダウン、リア・フロントの割り振りが自由に行える。
スラムのワイヤレスシフターと大きく異なる点は、無線信号にANT+を採用したところ。一般的な通信規格を用いることでパソコンやスマートフォンとの連携が容易になるだけでなく、ワフーやガーミンといったANT+対応のサイクルコンピューターとも接続が可能となっている。
電源にはコイン型のCR2032電池を使用。国内でもコンビニ等で一般的に売られているタイプの電池のため、交換も容易に行えるだろう。1回の交換で約2年間通信可能とされ、かなりの長寿命が期待できる。なおタイムトライアル用のシフターは現在開発中だという。
シフターとの無線接続を担うのが、システムのコントロールボックスが収納されたフロントディレイラーになる。ガイドプレートの形状は一般的なフロントディレイラーのそれと共通のデザインが用いられつつ、本体部分は四角い箱型となっているのが特徴だ。他メーカーの電動メカと比較するとやや大ぶりな印象は受けるが、安定したコネクションを実現するとともに、確実な変速をもたらしてくれる。加えてリアの変速に合わせて自動トリミングを行うなど申し分ない性能を備える。
設定のためのボタンは本体上部に配されることで、不意な衝撃でボタンを押してしまわないよう配慮されている。それぞれのボタンに電源マークとSETの文字が入るため、押し間違えの心配もないだろう。LEDランプの点滅によりバッテリー残量を表示するインジケーター機能もあり、充電フルの状態から順にブルー、グリーン、イエロー、レッドの4色でバッテリーの状態を示してくれる。もし走行中にバッテリーが切れた場合は、インナーギアの位置で固定されるよう設定されているため、目的地までたどり着けないということもないだろう。
従来のコンポーネントとは一線を画す近未来的なデザインが用いられたリアディレイラーは、本体内部に高精度のモーターギアを搭載することでスムーズな変速を実現。ケージの長さはそのままに、最大32Tのビックギアまで対応する。接続されるバッテリーケーブルはネジ止めで固定されるため、走行中に衝撃で外れてしまわないような工夫もされている。
これら前後のディレイラーは、シマノDi2と同様にシートポスト内に装備する筒状のバッテリーとケーブルで繋がれることで電源を供給される。そのためシートチューブやリア三角内部へのケーブル配線の作業は必要だが、バッテリーが内装とされることでバイクのルックスも損なわず、防水性や防汚性の面でも大きなメリットとなる。
大容量バッテリーにより、一度の充電で約4000~6000kmの走行が可能とされる。充電の際もシートポストをいちいち外すことなく、リアディレイラー側のケーブルより充電が可能だ。これらケーブル式のメリットは大きいものの、完全ワイヤレスのスラムRED eTapのように、どのバイクにもインストール可能という訳ではなく、電動コンポーネント対応のフレームに限られるということには注意してほしい。
これらコンポーネントの状態は、FSAから配信される専用アプリケーションによって常時モニタリングが可能となっている。バイクの使用時間やバッテリー残量、シフティングの可能回数を確認できるだけでなく、シフトスイッチのカスタマイズもこのアプリ一つで行える。パソコン、タブレット、スマートフォンの各種に対応し、ワイヤレスにて同期させて使用するという。
また、グループセットで合わせられるクランクとブレーキは、パーツ単体でラインアップしていた従来のK-Forceモデルを更にブラッシュアップしたものを採用。グラフィックだけでなく、細部に変更を加えることで各種性能を向上させている。
クランクセットはパワーメーター取り付けも考慮した新しいデザインを採用し、少しであるがルックスも変化した。中空カーボンとされるアームは、負荷がかかる部分は厚く、そうでない部分は最低限まで薄くすることで剛性はそのままに軽量化を果たしている。また、チェーンリングに施される変速ピンの形状を最適化することで、フロントギアの効率的でスムーズな変速を可能としている。
ブレーキに関しては、従来品とほぼ同じルックスを備えつつも、昨今のホイール事情に合わせより広いワイドリムへ対応させたものにリデザインされている。軽量なカーボンアームを使用したデュアルピボットデザインにより、高い制動力を発揮するだろう。
国内販売初年度となる今年は、これらにFSAの11速スプロケットとチェーン、充電器、ケーブルを加えたフルセットでのみ発売される。発売開始時期は今年の5~6月頃を予定しているが、電波法申請の関係で遅れる可能性もあるという。価格は380,000円(税抜)で、取り扱いはフタバ商店。
FSA K-Force WE
セット内容:
・ワイヤーレスシフト/ブレーキレバーセット(CR2032電池使用)
・電動フロントディレイラー
・電動リアディレイラー(最大対応ギア32T)
・バッテリー
・バッテリーコネクティングケーブル
・充電器
・カセットスプロケット(チタン製、重量:257g)
・クランクセット(BB386EVO規格対応)
・チェーン(5.6mm幅、中空ピン、重量:246g)
・前後キャリパーブレーキ(対応リム幅:18~28mm)
価格:380,000円(税抜)
ステム、ハンドル、シートポストにおいて数多くのワールドツアーチームをサポートし、パーツブランドとしては確固たる地位を築き上げたFSA(FULL SPEED AHEAD)。次なる一歩としてFSAが繰り出してきたのが、電動変速採用のコンポーネントだ。すでにシマノ、カンパニョーロ、スラムの三大コンポーネントが世界中で使用されているわけだが、そこに割って入る第4のコンポーネントメーカーとなれるかに注目が集まる。
FSAの最上位グレードを表すK-Forceの名を冠したグループセット「K-Force WE」は、WE(Wireless Electronicの略)という名が示す通り、無線電動シフトのコンポーネントである。世界的にはスラムがRED eTapで先駆けたジャンルであるが、それに続く第2の製品となるわけだ。最大の特徴は、前後のディレイラーとシートポストバッテリーの間をケーブルで、シフトレバーとはANT+規格による無線で接続する「セミワイヤレス」式をとることにある。
ワイヤレスのシフターはより簡単にインストールが可能となり、大容量バッテリーを各ディレーラーに有線で繋げることでより長い使用時間を確保している。まさに無線と有線のメリットを併せ持った、ハイブリッドなコンポーネントに仕上がっている。フロントはダブル、リアは11スピード対応だ。
クランクやブレーキを含むグループセット全体で、ブラックカラーを主体とし、そこにゴールドの差し色が入る共通のグラフィックを採用。構成されるパーツにカーボンを多用し軽量化を図ることで、フルセット重量で2090gという他メーカーにも劣らない重量値をマークしている。
約5年にも渡る研究期間を費やし、さらに2年の路上テストを重ねてようやく製品化へと至ったと言う。開発のテスターにはジロ・デ・イタリアで2度の総合優勝経験を持つイヴァン・バッソも参加。さらにはボーラ・アルゴン18やコフィディス、ダイレクトエナジー、ティンコフといった多くのプロチームへプロトタイプを供給することで、トップ選手たちの声を製品へフィードバックさせている。
どのメーカーとも異なる独特なシフトスイッチの配置を採用した特徴的なシフターは、エルゴノミクスをとことん追求し、最適化されたブラケットにより握りやすい形状を獲得。艶めかしい曲線を描く、UDカーボンを使用した軽量なレバー部分は2種類の長さが用意され、各ライダーの手のサイズに合わせて交換することが可能となっている。また、ハンドルバーとレバーとの距離も調整ができるため、より高いフィット感を得られるだろう。
変速操作は上下で繋がった単一のスイッチ部分をそれぞれの方向に倒し込むことで行い、長押しによる連続変速にも対応している。レバーの先に上下で配されたシフトスイッチは、左右ともに初めからカスタマイズが可能となっており、各ボタンにシフトのアップダウン、リア・フロントの割り振りが自由に行える。
スラムのワイヤレスシフターと大きく異なる点は、無線信号にANT+を採用したところ。一般的な通信規格を用いることでパソコンやスマートフォンとの連携が容易になるだけでなく、ワフーやガーミンといったANT+対応のサイクルコンピューターとも接続が可能となっている。
電源にはコイン型のCR2032電池を使用。国内でもコンビニ等で一般的に売られているタイプの電池のため、交換も容易に行えるだろう。1回の交換で約2年間通信可能とされ、かなりの長寿命が期待できる。なおタイムトライアル用のシフターは現在開発中だという。
シフターとの無線接続を担うのが、システムのコントロールボックスが収納されたフロントディレイラーになる。ガイドプレートの形状は一般的なフロントディレイラーのそれと共通のデザインが用いられつつ、本体部分は四角い箱型となっているのが特徴だ。他メーカーの電動メカと比較するとやや大ぶりな印象は受けるが、安定したコネクションを実現するとともに、確実な変速をもたらしてくれる。加えてリアの変速に合わせて自動トリミングを行うなど申し分ない性能を備える。
設定のためのボタンは本体上部に配されることで、不意な衝撃でボタンを押してしまわないよう配慮されている。それぞれのボタンに電源マークとSETの文字が入るため、押し間違えの心配もないだろう。LEDランプの点滅によりバッテリー残量を表示するインジケーター機能もあり、充電フルの状態から順にブルー、グリーン、イエロー、レッドの4色でバッテリーの状態を示してくれる。もし走行中にバッテリーが切れた場合は、インナーギアの位置で固定されるよう設定されているため、目的地までたどり着けないということもないだろう。
従来のコンポーネントとは一線を画す近未来的なデザインが用いられたリアディレイラーは、本体内部に高精度のモーターギアを搭載することでスムーズな変速を実現。ケージの長さはそのままに、最大32Tのビックギアまで対応する。接続されるバッテリーケーブルはネジ止めで固定されるため、走行中に衝撃で外れてしまわないような工夫もされている。
これら前後のディレイラーは、シマノDi2と同様にシートポスト内に装備する筒状のバッテリーとケーブルで繋がれることで電源を供給される。そのためシートチューブやリア三角内部へのケーブル配線の作業は必要だが、バッテリーが内装とされることでバイクのルックスも損なわず、防水性や防汚性の面でも大きなメリットとなる。
大容量バッテリーにより、一度の充電で約4000~6000kmの走行が可能とされる。充電の際もシートポストをいちいち外すことなく、リアディレイラー側のケーブルより充電が可能だ。これらケーブル式のメリットは大きいものの、完全ワイヤレスのスラムRED eTapのように、どのバイクにもインストール可能という訳ではなく、電動コンポーネント対応のフレームに限られるということには注意してほしい。
これらコンポーネントの状態は、FSAから配信される専用アプリケーションによって常時モニタリングが可能となっている。バイクの使用時間やバッテリー残量、シフティングの可能回数を確認できるだけでなく、シフトスイッチのカスタマイズもこのアプリ一つで行える。パソコン、タブレット、スマートフォンの各種に対応し、ワイヤレスにて同期させて使用するという。
また、グループセットで合わせられるクランクとブレーキは、パーツ単体でラインアップしていた従来のK-Forceモデルを更にブラッシュアップしたものを採用。グラフィックだけでなく、細部に変更を加えることで各種性能を向上させている。
クランクセットはパワーメーター取り付けも考慮した新しいデザインを採用し、少しであるがルックスも変化した。中空カーボンとされるアームは、負荷がかかる部分は厚く、そうでない部分は最低限まで薄くすることで剛性はそのままに軽量化を果たしている。また、チェーンリングに施される変速ピンの形状を最適化することで、フロントギアの効率的でスムーズな変速を可能としている。
ブレーキに関しては、従来品とほぼ同じルックスを備えつつも、昨今のホイール事情に合わせより広いワイドリムへ対応させたものにリデザインされている。軽量なカーボンアームを使用したデュアルピボットデザインにより、高い制動力を発揮するだろう。
国内販売初年度となる今年は、これらにFSAの11速スプロケットとチェーン、充電器、ケーブルを加えたフルセットでのみ発売される。発売開始時期は今年の5~6月頃を予定しているが、電波法申請の関係で遅れる可能性もあるという。価格は380,000円(税抜)で、取り扱いはフタバ商店。
FSA K-Force WE
セット内容:
・ワイヤーレスシフト/ブレーキレバーセット(CR2032電池使用)
・電動フロントディレイラー
・電動リアディレイラー(最大対応ギア32T)
・バッテリー
・バッテリーコネクティングケーブル
・充電器
・カセットスプロケット(チタン製、重量:257g)
・クランクセット(BB386EVO規格対応)
・チェーン(5.6mm幅、中空ピン、重量:246g)
・前後キャリパーブレーキ(対応リム幅:18~28mm)
価格:380,000円(税抜)
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