リオオリンピックのMTBクロスカントリー競技において男女ともに金メダルを獲得したスコット。ニノ・シューターの走りを支えたXC用レーシングバイクがフルモデルチェンジした同社より、フルサスモデルの「Spark」を紹介。



スコット Spark RC 700 WORLD CUPスコット Spark RC 700 WORLD CUP (c)スコットジャパン
リオオリンピック、独走でフィニッシュへ辿り着いたニノ・シューター(スイス)リオオリンピック、独走でフィニッシュへ辿り着いたニノ・シューター(スイス) (c)UCI下りのロックセクションを攻めるニノ・シューター(スイス) ハードなコースでSparkは彼の走りを支えてきた下りのロックセクションを攻めるニノ・シューター(スイス) ハードなコースでSparkは彼の走りを支えてきた (c)UCIアルカンシエルに5度袖を通したクロスカントリーレーサー、ニノ・シューターの活躍を支えてきたスコット。昨年行われたリオオリンピックでのシューターの金メダル獲得に大きな貢献を果たしたのが、フルモデルチェンジを遂げたフルサスXCレーシングバイク、Sparkだ。

多くの変更が加えられたSparkだが、ニューモデルの性能向上のキモとなるのが新しいリアショックのマウント規格である「トラニオンマウント」だ。従来のリアショックユニットがエンドアイを通して一本のボルトでマウントされるのに対し、トラニオンマウントはボディ側面に2つのアイレットを設けることでフレーム及びリンクにマウントする。

トラニオンマウントを採用することで得られるメリットは主に3つ。1つはマウントの幅広化によるねじれ剛性の向上。2つ目はショックの設計自由度の向上、そして3つ目はより長いストローク量の獲得だ。従来のリアショックと上下マウント間の距離は同じだが、エンドアイの廃止によってデッドスペースがなくなったことにより、ストローク量が38mmから40/45mmへと増加した。

この革新的なマウントシステムを搭載した新型スパークは、旧モデルからリンク方式も刷新。従来トップチューブにマウントされていたリアショックはボトムブラケット直上に移動された。フレーム側に設けられたトラニオンマウント台座を補強するためのカーボンレイアップは、結果としてペダリング効率に直結するハンガー部やメインピボット周辺の剛性向上にも繋がり、一石二鳥の効果を生み出している。

ダウンチューブからケーブル類は内装されるダウンチューブからケーブル類は内装される (c)スコットジャパン最小限の質量までダイエットしたロッカーリンク最小限の質量までダイエットしたロッカーリンク (c)スコットジャパン

ダウンチューブにトラニオンマウントによって設置されるリアショックダウンチューブにトラニオンマウントによって設置されるリアショック (c)スコットジャパンRCグレードのリアスイングアームはフロントシングルに最適化されているRCグレードのリアスイングアームはフロントシングルに最適化されている (c)スコットジャパン


加えて、リアショック位置が下げられたこと、重量がかさむボディ側を下にする配置によって、バイク全体の低重心化を実現。安定感のあるライディングフィールとダンシングでの車体の振りやすさが向上している。また、ショックの位置をフレームのセンターからオフセットすることによって、大きなカーボンシートを使用できるように設計されている。

リンク方式の変更に伴い、サスペンションストロークの特性も変化している。旧型に比べて、サグ値よりトラベル量が少ない領域ではよりセンシティブに反応する一方、サグ以上のトラベル領域ではより粘りのあるサポート感を重視した特性を与えられた。

ケーブルルーティングは考え抜かれているケーブルルーティングは考え抜かれている (c)スコットジャパン旧モデルに対し、ピボットレスとすることでシンプルかつ軽量な造りとなったスイングアーム旧モデルに対し、ピボットレスとすることでシンプルかつ軽量な造りとなったスイングアーム (c)スコットジャパン

リアブレーキ台座はフローティング機構を採用し、チェーン&シートステーのしなりを最大に生かす設計だリアブレーキ台座はフローティング機構を採用し、チェーン&シートステーのしなりを最大に生かす設計だ (c)スコットジャパンサンドイッチ形状となったリアディレイラーハンガーサンドイッチ形状となったリアディレイラーハンガー (c)スコットジャパン


リア三角の構造も大きく進化している。前作では左右のチェーンステーとシートステーがそれぞれピボットによって連結されていたが、新モデルではチェーンステーとシートステーが一体となった2ピース構造となる。ピボットが排除されることで、130グラム軽くなると同時に、メンテナンス性も向上。リアエンド幅148mmの「Boost」規格を採用することで、更に剛性も向上している。また、リアブレーキのマウントも新方式とされる。リアアクスルから延長される半フローティング設計の台座を採用することで、左チェーンステーの柔軟性を向上させることに成功した。

ジオメトリーも一新され、チェーンステーを短くすることでクイックな回頭性を実現する一方で、ヘッドアングルは寝かせられ最大限の安定性をもたらした。少し起こされたシートチューブによって、最適な重量配分とペダリングの高効率化を果たした。

スコット Spark RC 700 PROスコット Spark RC 700 PRO (c)スコットジャパンスコット Spark 700スコット Spark 700 (c)スコットジャパン

スコット Spark 710スコット Spark 710 (c)スコットジャパン
レーシングバイクである新型Sparkは、最新のXCレースを取り巻く環境を反映して、フロントシングル専用の”RC”グレードとフロントダブルに対応するノーマルモデルが用意される。XCレースでの勝利を追求するトップレーサーに向けて設計された”RC”モデルはフロントディレイラーへの干渉を考慮に入れず、スイングアームのボリューム及び形状を最適化することで、さらなるペダリング効率の向上を実現している。

トラニオンマウントを軸にした新リンク方式やBoost規格の採用に加え、ジオメトリーの刷新や1x/2xドライブトレイン専用設計など大幅な進化を果たした新型Spark。ラインアップされるのは、フロントシングル専用設計で、スコットの誇る最高グレードのカーボン素材”HMX”を採用するSpark RCシリーズが2車種。フロントダブルに対応する”HMF”カーボンを使用したミドルグレード、Spark700~Spark730の4車種。アルミフレームを採用し、リーズナブルな価格で最新のスコットレースバイクの性能を体感できるSpark740、750、760の3車種が用意される。




スコット Spark RC
フレーム素材:Spark RC Carbon / IMP technology / HMX1x Optimized Frame Design
コンポーネント:SPARK RC 700 WORLD CUP Sram X01 / Eagle 12 Speed
        SPARK RC 700 PRO Shimano XT
重量:SPARK RC 700 WORLD CUP 10.10kg
   SPARK RC 700 PRO 10.80kg
価格:SPARK RC 700 WORLD CUP 828,000円
   SPARK RC 700 PRO 628,000円

スコット Spark(カーボンモデル)
フレーム素材:Spark 3 Carbon / IMP technology / HMF Mainframe
コンポーネント:Spark700 Sram X01 /X1 Optimized 1x12 Drive Train
        Spark710 Shimano XT 2x11 Drive Train
        Spark720 Shimano XT/SLX 2x11 Drive Train
        Spark730 Sram GX1 Optimized 1x11 Drive Train
重量:Spark700 11.90kg
   Spark710 12.20kg
   Spark720 12.40kg
   Spark730 12.20kg
価格:Spark700 688,000円
   Spark710 588,000円
   Spark720 508,000円
   Spark730 468,000円

スコット Spark(アルミモデル)
フレーム素材:Spark 3 Alloy SL 6011
コンポーネント:Spark740 Shimano XT 2x11 Drive Train
        Spark750 Shimano 2x10 Drive Train
        Spark760 Shimano 2x10 Drive Train
重量:Spark740 13.00kg
   Spark750 13.60kg
   Spark760 13.60kg
価格:Spark740 428,000円
   Spark750 328,000円
   Spark760 238,000円


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