2017/01/07(土) - 11:30
野辺山シクロクロスと全日本選手権を終え、後半戦へと入ったシクロクロスシーズン。トップシクロクロッサーが駆るバイクを全3編にて紹介します。最終回となる今回は全日本U23王者の横山航太、同エリート男子2位前田公平ほか、中村龍太郎、池本真也という4名の機材にクローズアップ。バイク選びやセッティングのヒントにして頂ければ幸いだ。
横山航太(シマノレーシング) ジャイアント TCX Advanced PRO
終始レースをリードする走りで2度目のU23全日本選手権タイトルを獲得した横山航太(シマノレーシング)。篠ノ井高校時代からジャイアントのサポートを受けてきたが、シマノレーシングに加入したことで継続して同社製品を使い続けている。バイクはジャイアントが誇るレーシングCXバイク、TCX Advanced PROの2015モデルだ。
最新モデルでは前後12mmスルーアクスル、リア142mmエンド化されている同モデルだが、こちらはフロント15mm。「初めて乗った時はヘッド周りの剛性が高くて驚きました。1年乗っていますが、この走りはアドバンテージですね」とバイクについて語っている。
シマノのフルサポートを受けるだけあって、ほぼすべてのパーツはシマノもしくはPROで統一されており、コンポーネントはデュラエースDi2を基本にクランクのみ46-36Tの設定があるアルテグラ。最も特徴的な部分がジャイアントのOverDrive 2規格に対応したプロ供給用のステムを使っている部分で、1mm刻みで用意がある中から横山は111mm長を選択していた。なおこのステムは耐久性を高めるべくクランプ部分が市販品と同じパズル式ではなく、一般的な4ボルト式だ。
「SHIMANO」とだけ書かれたホイールはマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)やラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン)らも使用するプロトタイプであり、ブレーキ面を持たないディスクブレーキ専用のリム や、XTRに酷似した形状のハブなどが目を引く。
前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) BH RX Team
沢田に続いて男子エリート2位と、勝利には届かずとも自身最高の結果となった前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)の機材を紹介。バイクはロードレースで使うクォータではなく、昨年同様BHのRX Teamだが、今シーズン中盤からマイナーチェンジを経た最新モデルを使う。昨年モデルはディスクブレーキ移行への過渡期だったためディスク、カンチ共に両対応のクイックリリース式、かつリアエンド幅は130mmと135mm両対応だったが、2017モデルは前後12mmスルーアクスル、リアエンド幅142mmと1本化されている。
前田は「スルーアクスルになったのですごくキビキビと走るようになった。もともと直進安定が高かったので、バランスが良くなって細やかな動きがしやすいですね」とコメント。特注のフレームカラーは前田がパープル(弱虫ペダル作中の京都伏見高校)、チームメイトでU23で2位に入った織田聖がライトブルー(同箱根学園)という塗り分け。選手2人に対してバイクが2台ずつ用意され、バーテープやペダルなどのカラーが微妙に異なる。
パーツアッセンブルは昨年から変更なく、コンポーネントはスラムのワンバイシステムForce 1を基本に、クランクはローターの3D+、チェーンリングが楕円のQ-CX1、ここにKMC製のチェーンを組み合わせる。ホイールは昨年本国にリクエストを送り製作してもらった(今年は販売モデル)というプロファイルデザインの38/TWENTYFOUR 。タイヤはチャレンジのTEAM EDITIONであり、前田はサンドパターン+サイドノブのCHICAINEを、織田がオールラウンドパターンのGRIFOを選択した。
またハンドル周りやシートポスト、サドル、バーテープなどはフィジークで統一されており、前田はややハンドルを上向きにしたセッティングにしていたことが特徴だろう。ペダルはクランクブラザースのeggbeaterで、ステップ付きのCANDYでは無いのが珍しいf。
中村龍太郎(SNEL CYCLOCROSS TEAM)メリダ CYCLO CROSS
東京都大田区にあるプロショップ「SNEL」を母体とするSNEL CYCLOCROSS TEAMは、今年から機材をメリダにスイッチし、そのフラッグシップモデルであるCYCLO CROSSをチーム全員が使用している。軽量性と国内レースのコースを踏まえ、ディスクブレーキではなくカンチブレーキバージョンだ。
ホイール、タイヤは昨シーズンまではヴィットリアジャパンから供給されていたが、今シーズンから本国サポートになり、イタリア本国からの供給体制を取る。ホイールはキュラーノシリーズを中心に、豊富なタイヤバリエーションの中からコンディションに合わせてホイールを交換している。サドルも同じくヴィットリアが扱うアスチュート。
コンポーネントは基本的に選手のチョイスに任せている(ホイールを使い回せるようシマノが基本)が、チェーンはKMCで統一されている。ハンドルやステム、シートポストはITM。また今シーズンからブレーキフードをSHAKESがスポンサードしており、チームカラーに合わせたグリーンとレッドの特別仕様品をセットしている。中村龍太郎は12月中旬に開催された湘南シクロクロスで初のC1カテゴリー優勝を遂げている。
池本真也(FRIETEN)JFF #803
毎年ヨーロッパ遠征を行い、ベルギーのスーパープレスティージュなどに出場している池本真也(FRIETEN)。バイクは自身も開発に携わったJFF(東京サンエス)の軽量アルミバイク「#803」であり、昨年はこの仕様でヨーロッパレースを走っている。
2シーズン目に入ったこのバイクだが、「やはり細かいコーナーでの扱いが物凄く良いですね。フロントセンターを詰めているので、例えば森の中のシングルトラックのような、細かく左右に切り返す場所で有利に働きます。それでいてフロントフォークのジオメトリーが絶妙ですから、不安定感を感じないんです。スーパープレスティージュといった極限の環境下でも何も不安無く走れましたし、完成度は非常に高いですね」とコメント。
「この仕様で7.8kgほどですから、カーボンバイクにも引けを取りません。加えてシクロクロスで成績を求めようとするとスペアバイクが必要不可欠ですから、”無理なく2台揃えられる値段と規格”をリクエストして形にしてもらっています」。なお完成車の場合、ブレーキはミニVタイプのディズナ「カウンターカンティブレーキ」がセットされるが、池本は「ソフトな車体の性格とマッチするので」とグレードを下げた「カンティブレーキ」を使っていることが特徴だ。ホイールは一貫してノヴァテックのスプリント、タイヤはデュガスだ。
text:So.Isobe
横山航太(シマノレーシング) ジャイアント TCX Advanced PRO
終始レースをリードする走りで2度目のU23全日本選手権タイトルを獲得した横山航太(シマノレーシング)。篠ノ井高校時代からジャイアントのサポートを受けてきたが、シマノレーシングに加入したことで継続して同社製品を使い続けている。バイクはジャイアントが誇るレーシングCXバイク、TCX Advanced PROの2015モデルだ。
最新モデルでは前後12mmスルーアクスル、リア142mmエンド化されている同モデルだが、こちらはフロント15mm。「初めて乗った時はヘッド周りの剛性が高くて驚きました。1年乗っていますが、この走りはアドバンテージですね」とバイクについて語っている。
シマノのフルサポートを受けるだけあって、ほぼすべてのパーツはシマノもしくはPROで統一されており、コンポーネントはデュラエースDi2を基本にクランクのみ46-36Tの設定があるアルテグラ。最も特徴的な部分がジャイアントのOverDrive 2規格に対応したプロ供給用のステムを使っている部分で、1mm刻みで用意がある中から横山は111mm長を選択していた。なおこのステムは耐久性を高めるべくクランプ部分が市販品と同じパズル式ではなく、一般的な4ボルト式だ。
「SHIMANO」とだけ書かれたホイールはマテュー・ファンデルポール(オランダ、ベオバンク・コレンドン)やラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン)らも使用するプロトタイプであり、ブレーキ面を持たないディスクブレーキ専用のリム や、XTRに酷似した形状のハブなどが目を引く。
前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) BH RX Team
沢田に続いて男子エリート2位と、勝利には届かずとも自身最高の結果となった前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)の機材を紹介。バイクはロードレースで使うクォータではなく、昨年同様BHのRX Teamだが、今シーズン中盤からマイナーチェンジを経た最新モデルを使う。昨年モデルはディスクブレーキ移行への過渡期だったためディスク、カンチ共に両対応のクイックリリース式、かつリアエンド幅は130mmと135mm両対応だったが、2017モデルは前後12mmスルーアクスル、リアエンド幅142mmと1本化されている。
前田は「スルーアクスルになったのですごくキビキビと走るようになった。もともと直進安定が高かったので、バランスが良くなって細やかな動きがしやすいですね」とコメント。特注のフレームカラーは前田がパープル(弱虫ペダル作中の京都伏見高校)、チームメイトでU23で2位に入った織田聖がライトブルー(同箱根学園)という塗り分け。選手2人に対してバイクが2台ずつ用意され、バーテープやペダルなどのカラーが微妙に異なる。
パーツアッセンブルは昨年から変更なく、コンポーネントはスラムのワンバイシステムForce 1を基本に、クランクはローターの3D+、チェーンリングが楕円のQ-CX1、ここにKMC製のチェーンを組み合わせる。ホイールは昨年本国にリクエストを送り製作してもらった(今年は販売モデル)というプロファイルデザインの38/TWENTYFOUR 。タイヤはチャレンジのTEAM EDITIONであり、前田はサンドパターン+サイドノブのCHICAINEを、織田がオールラウンドパターンのGRIFOを選択した。
またハンドル周りやシートポスト、サドル、バーテープなどはフィジークで統一されており、前田はややハンドルを上向きにしたセッティングにしていたことが特徴だろう。ペダルはクランクブラザースのeggbeaterで、ステップ付きのCANDYでは無いのが珍しいf。
中村龍太郎(SNEL CYCLOCROSS TEAM)メリダ CYCLO CROSS
東京都大田区にあるプロショップ「SNEL」を母体とするSNEL CYCLOCROSS TEAMは、今年から機材をメリダにスイッチし、そのフラッグシップモデルであるCYCLO CROSSをチーム全員が使用している。軽量性と国内レースのコースを踏まえ、ディスクブレーキではなくカンチブレーキバージョンだ。
ホイール、タイヤは昨シーズンまではヴィットリアジャパンから供給されていたが、今シーズンから本国サポートになり、イタリア本国からの供給体制を取る。ホイールはキュラーノシリーズを中心に、豊富なタイヤバリエーションの中からコンディションに合わせてホイールを交換している。サドルも同じくヴィットリアが扱うアスチュート。
コンポーネントは基本的に選手のチョイスに任せている(ホイールを使い回せるようシマノが基本)が、チェーンはKMCで統一されている。ハンドルやステム、シートポストはITM。また今シーズンからブレーキフードをSHAKESがスポンサードしており、チームカラーに合わせたグリーンとレッドの特別仕様品をセットしている。中村龍太郎は12月中旬に開催された湘南シクロクロスで初のC1カテゴリー優勝を遂げている。
池本真也(FRIETEN)JFF #803
毎年ヨーロッパ遠征を行い、ベルギーのスーパープレスティージュなどに出場している池本真也(FRIETEN)。バイクは自身も開発に携わったJFF(東京サンエス)の軽量アルミバイク「#803」であり、昨年はこの仕様でヨーロッパレースを走っている。
2シーズン目に入ったこのバイクだが、「やはり細かいコーナーでの扱いが物凄く良いですね。フロントセンターを詰めているので、例えば森の中のシングルトラックのような、細かく左右に切り返す場所で有利に働きます。それでいてフロントフォークのジオメトリーが絶妙ですから、不安定感を感じないんです。スーパープレスティージュといった極限の環境下でも何も不安無く走れましたし、完成度は非常に高いですね」とコメント。
「この仕様で7.8kgほどですから、カーボンバイクにも引けを取りません。加えてシクロクロスで成績を求めようとするとスペアバイクが必要不可欠ですから、”無理なく2台揃えられる値段と規格”をリクエストして形にしてもらっています」。なお完成車の場合、ブレーキはミニVタイプのディズナ「カウンターカンティブレーキ」がセットされるが、池本は「ソフトな車体の性格とマッチするので」とグレードを下げた「カンティブレーキ」を使っていることが特徴だ。ホイールは一貫してノヴァテックのスプリント、タイヤはデュガスだ。
text:So.Isobe
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