2016/12/05(月) - 11:17
京都府南丹市美山町の大野ダムで行われた関西シクロクロス第5戦。目標とするシクロクロス全日本選手権を1週間後に控えた竹之内悠(Toyo Frame)が泥に覆われたコースで50名を周回遅れにする圧倒的な走りを披露した。
関西のサイクリストにとってお馴染みの京都府美山町。関西シクロクロス第5戦の舞台は美山ロードレースのスタート地点である南丹市美山支所の西8kmに位置する大野ダムの湖畔だ。
地元向山地区の誘致によって2015年に初登場した会場で、山間部は三船雅彦さん監修の「向山シクロクロスコース」として1年を通してシクロクロッサーに解放されている(営業日:土、日、祝/利用料:大人500円)。
第5戦のコースは山間部の常設コースにパターゴルフ場の芝地を組み合わせた全長1.9km。林を切り開いて作られた山間部は好天であっても路面は泥状で、滑りやすいコーナーとアップダウンが選手のテクニックとパワーを問うた。
全日本チャンピオンの竹之内悠(Toyo Frame)は、スタートからフィニッシュまで1秒も先頭を譲らなかった。開始早々に独走を開始した竹之内は、その他の選手たちを苦しめた泥の登りを異次元のスピードで踏み抜き、泥の急斜面も降りずに駆け上がり、ペースを弱めることなく後続の岡野樹(TEAMRINGOROAD)や伊澤優大(岩井商会RACING)とのタイム差を広げていく。
下車率の高いコースだったにも関わらず、シケインを除いてバイクを降りずに走った竹之内のシューズは綺麗なまま。地元関西で観客をあっと言わす圧倒的な走りで、竹之内は開始から20分も経たないうちに周回遅れの選手たちをパスし始めた。最後尾から猛烈な勢いで追い上げて2番手に浮上した横山航太(シマノレーシング)も「最初から最後まで竹之内選手の背中が見えなかった」。
最終的に竹之内が5分差をつけて勝利した。最後尾スタートの横山、中原義貴(BH SR SUNTOUR)、辻善光(Team Zenko SUNVOLT)はそれぞれ2位、9位、11位でレースを終えている。
ベルギーから帰国直後に挑んだ1週間前のRaphaスーパークロス野辺山では、土曜日10位、日曜日リタイア。大会6連覇がかかった全日本選手権を前に精彩を欠いたが、1週間で調子を戻してきた。「野辺山の初日は全力で走ったんですが、序盤から寒く、中盤に転んでからリズムも崩れ、目の焦点も合わなくなり、レース後は震えが止まりませんでした。2日目もスタートは良かったんですが、舗装路で他の選手とのスピードが明らかに違い、前日のこともあったのでリタイアしました。主催者の方々には申し訳なかったのですが、身体を壊して(全日本をフイにして)しまうと何のために日本に帰ってきたのか分からないので」。
「この1週間は特に気負わずいつも通りの練習をこなし、野辺山で初めて投入したディスクブレーキのバイクを乗りこなすことに集中しました。ブレーキシステムも違うしブレーキレバーの形も違う。下りの扱いやすさや直線の伸びがすごく良いのですが、総合的に上がったスピードにまだ身体が慣れていない感じです」。竹之内はこの日バイクを一度も交換することなく、徹底的に感触やポジションを確かめながら走った。全日本選手権ではもう一台同じセッティングのバイクを投入すると言う。
この日のC1は57名が出走し、竹之内と同一周回でフィニッシュしたのはわずかに3名。35名がマイナス1周回、15名がマイナス2周回という結果に。
それでも竹之内は「今日はこっち(関西)で誰よりも速いことを見せることができたと思いますが、思ったより踏めていなかった。(横山)航太は無理でも、それ以外の選手は全員ラップできるかなと思っていたけど届かなかった」と納得していない。
「今日の走りを振り返るとまだ足りていない。今の状態では他の選手ととんとんの走りだと思います。そこから抜け出して勝つためにはギアをもう一つ上げないといけない」。移動のストレスを少なくするために、竹之内は木曜日に京都を出発して静岡で宿泊し、2日に分けて宇都宮まで移動する予定だ。
CL1で前半から抜け出したのは、泥の山間部で速さを見せた江嶋綾(INTHEWOODS×MAAP)だった。「ダウンヒルから自転車競技に入りました。普段は山でマウンテンバイクのフリーライドやBMXを楽しんで、色んな自転車に乗ってからようやくシクロクロスに出会った」という江嶋が1分前にスタートしたCM1選手たちを抜いて先を急ぐ。
レース中盤に差し掛かると、「序盤に転んでチェーンが落ちてタイムを失ってしまった」という宮内佐季子(Club La.sistaOffroadTeam)が江嶋にジョインする。「山が得意なのでで、もっと泥々の下りが欲しかった。平坦区間で何度も転んでいるうちに追いつかれ、最後は体力が届かなかった」という江嶋を引き離した元全日本チャンピオンの宮内が力の差を見せつけた。
1週間後の全日本選手権を見据える宮内は「(江嶋)綾ちゃんがとても上手で、今日は彼女の後ろを走ったことがとても大きな収穫になりました。『そのラインは気づかなかった!』『そのスピードでここを突っ込んでいくんだ!』という発見の連続でとても勉強になった。そんな発見も、異種格闘技のシクロクロスならではですね」と異ジャンルからやってきたライバルとの戦いを振り返った。
C1
1位 竹之内悠(Toyo Frame) 57:26
2位 横山航太(シマノレーシング) +5:00
3位 伊澤優大(岩井商会RACING) +5:57
4位 岡野樹(TEAMRINGOROAD) +7:33
5位 大渕宏紀(DECOJARACINGTEAM) -1Lap
6位 松木健治(有 村上建具工房ハイランド)
7位 川辺史朗(ボナペティ)
8位 村田憲治(tacurino.net)
9位 中原義貴(BH SR SUNTOUR)
10位 久保伸次(岩井商会RACING)
CL1
1位 宮内佐季子(Club La.sistaOffroadTeam) 37:57
2位 江嶋綾(INTHEWOODS×MAAP) +0:43
3位 藤田桃花(有 村上建具) +2:22
4位 加納尚子(ストラーダレーシング) +2:29
5位 中里眞由美(ARAYA CX TEAM) +6:28
6位 矢野智子(モジュマ エリアゼロナナ) +6:58
7位 二口早紀(バルバクラブ フクイ) +9:49
8位 三井由香(ベロチスタアヴェル) -1Lap
CM1
1位 國分圭二(Mt.HASE321) 40:00
2位 羽鳥和重(cycleclub3UP) +0:01
3位 藤井修(きゅうべえsports) +1:01
4位 倉橋孝太郎(ベッキーシクロクロス) +1:02
5位 大河内二郎(シルクロード) +1:43
6位 船木和智晋(高野建具店) +2:11
CJ
1位 日野泰静(松山城南高校) 40:32
2位 村上功太郎(Decoja Racing Team) +0:39
3位 平林飛都(松山聖陵高校) +6:37
C2
1位 岡拓也 43:34
2位 石田純之(美山CC) +0:20
3位 浅井孝文(神戸大学) +0:36
4位 小森誠司(WP kyoto) +0:59
5位 景山昭宏(有 村上建具teamhigh) +1:28
6位 鎌谷哲也(有 村上建具) +1:35
CL2
1位 藤江恭子(TeamZepher) 26:15
2位 清水友恵(京都MTB朝ライド/CSヤマダ) +0:52
3位 美並聡子(TeamSpeed) +0:57
CM2
1位 高尾伸生(SKRKCX) 30:13
2位 鵜飼一彦(CHARGECyclingClub) +0:05
3位 矢野卓也(岩井商会レーシング) +0:25
C3
1位 橋本寛記(グランデパール播磨) 28:41
2位 辻啓(八ヶ岳CYCLOCROSSCLUB) +0:13
3位 アンディ・クラーク(CKCX) +0:15
CL3
1位 竹中希春 19:01
2位 藤本友理 +1:25
3位 佐々木優子 +2:14
CM3A
1位 小森健太郎(BLUE DRAGON) 29:39
2位 芝田保志(SAMZ SPEED) +2:25
3位 入江洋司(武田医院 ゲゲゲ) +2:27
CM3B
1位 森谷忠司(ベッキーシクロクロス) 31:23
2位 榮照洋(Team山の駅/COWBOY) +0:53
3位 鶴崎良太 +0:55
C4A
1位 岡本良(INTHEWOODS) 29:09
2位 柳神二郎(バルバクラブフクイ) +1:24
3位 上田泰正(SakataniRacing) +1:44
C4B
1位 溝杭亮二(京都MTB朝ライド) 30:24
2位 大浦涼雅(飾磨工業高校自転車競技部) +0:13
3位 夜久主明(Panaracer) +1:15
U15
1位 村上裕二郎(Decoja racing team) 14:44
2位 中田千太郎(桜井中学) +0:49
3位 副島達海(Limited846/OK牧場) +1:00
text&photo:Kei Tsuji
関西のサイクリストにとってお馴染みの京都府美山町。関西シクロクロス第5戦の舞台は美山ロードレースのスタート地点である南丹市美山支所の西8kmに位置する大野ダムの湖畔だ。
地元向山地区の誘致によって2015年に初登場した会場で、山間部は三船雅彦さん監修の「向山シクロクロスコース」として1年を通してシクロクロッサーに解放されている(営業日:土、日、祝/利用料:大人500円)。
第5戦のコースは山間部の常設コースにパターゴルフ場の芝地を組み合わせた全長1.9km。林を切り開いて作られた山間部は好天であっても路面は泥状で、滑りやすいコーナーとアップダウンが選手のテクニックとパワーを問うた。
全日本チャンピオンの竹之内悠(Toyo Frame)は、スタートからフィニッシュまで1秒も先頭を譲らなかった。開始早々に独走を開始した竹之内は、その他の選手たちを苦しめた泥の登りを異次元のスピードで踏み抜き、泥の急斜面も降りずに駆け上がり、ペースを弱めることなく後続の岡野樹(TEAMRINGOROAD)や伊澤優大(岩井商会RACING)とのタイム差を広げていく。
下車率の高いコースだったにも関わらず、シケインを除いてバイクを降りずに走った竹之内のシューズは綺麗なまま。地元関西で観客をあっと言わす圧倒的な走りで、竹之内は開始から20分も経たないうちに周回遅れの選手たちをパスし始めた。最後尾から猛烈な勢いで追い上げて2番手に浮上した横山航太(シマノレーシング)も「最初から最後まで竹之内選手の背中が見えなかった」。
最終的に竹之内が5分差をつけて勝利した。最後尾スタートの横山、中原義貴(BH SR SUNTOUR)、辻善光(Team Zenko SUNVOLT)はそれぞれ2位、9位、11位でレースを終えている。
ベルギーから帰国直後に挑んだ1週間前のRaphaスーパークロス野辺山では、土曜日10位、日曜日リタイア。大会6連覇がかかった全日本選手権を前に精彩を欠いたが、1週間で調子を戻してきた。「野辺山の初日は全力で走ったんですが、序盤から寒く、中盤に転んでからリズムも崩れ、目の焦点も合わなくなり、レース後は震えが止まりませんでした。2日目もスタートは良かったんですが、舗装路で他の選手とのスピードが明らかに違い、前日のこともあったのでリタイアしました。主催者の方々には申し訳なかったのですが、身体を壊して(全日本をフイにして)しまうと何のために日本に帰ってきたのか分からないので」。
「この1週間は特に気負わずいつも通りの練習をこなし、野辺山で初めて投入したディスクブレーキのバイクを乗りこなすことに集中しました。ブレーキシステムも違うしブレーキレバーの形も違う。下りの扱いやすさや直線の伸びがすごく良いのですが、総合的に上がったスピードにまだ身体が慣れていない感じです」。竹之内はこの日バイクを一度も交換することなく、徹底的に感触やポジションを確かめながら走った。全日本選手権ではもう一台同じセッティングのバイクを投入すると言う。
この日のC1は57名が出走し、竹之内と同一周回でフィニッシュしたのはわずかに3名。35名がマイナス1周回、15名がマイナス2周回という結果に。
それでも竹之内は「今日はこっち(関西)で誰よりも速いことを見せることができたと思いますが、思ったより踏めていなかった。(横山)航太は無理でも、それ以外の選手は全員ラップできるかなと思っていたけど届かなかった」と納得していない。
「今日の走りを振り返るとまだ足りていない。今の状態では他の選手ととんとんの走りだと思います。そこから抜け出して勝つためにはギアをもう一つ上げないといけない」。移動のストレスを少なくするために、竹之内は木曜日に京都を出発して静岡で宿泊し、2日に分けて宇都宮まで移動する予定だ。
CL1で前半から抜け出したのは、泥の山間部で速さを見せた江嶋綾(INTHEWOODS×MAAP)だった。「ダウンヒルから自転車競技に入りました。普段は山でマウンテンバイクのフリーライドやBMXを楽しんで、色んな自転車に乗ってからようやくシクロクロスに出会った」という江嶋が1分前にスタートしたCM1選手たちを抜いて先を急ぐ。
レース中盤に差し掛かると、「序盤に転んでチェーンが落ちてタイムを失ってしまった」という宮内佐季子(Club La.sistaOffroadTeam)が江嶋にジョインする。「山が得意なのでで、もっと泥々の下りが欲しかった。平坦区間で何度も転んでいるうちに追いつかれ、最後は体力が届かなかった」という江嶋を引き離した元全日本チャンピオンの宮内が力の差を見せつけた。
1週間後の全日本選手権を見据える宮内は「(江嶋)綾ちゃんがとても上手で、今日は彼女の後ろを走ったことがとても大きな収穫になりました。『そのラインは気づかなかった!』『そのスピードでここを突っ込んでいくんだ!』という発見の連続でとても勉強になった。そんな発見も、異種格闘技のシクロクロスならではですね」と異ジャンルからやってきたライバルとの戦いを振り返った。
C1
1位 竹之内悠(Toyo Frame) 57:26
2位 横山航太(シマノレーシング) +5:00
3位 伊澤優大(岩井商会RACING) +5:57
4位 岡野樹(TEAMRINGOROAD) +7:33
5位 大渕宏紀(DECOJARACINGTEAM) -1Lap
6位 松木健治(有 村上建具工房ハイランド)
7位 川辺史朗(ボナペティ)
8位 村田憲治(tacurino.net)
9位 中原義貴(BH SR SUNTOUR)
10位 久保伸次(岩井商会RACING)
CL1
1位 宮内佐季子(Club La.sistaOffroadTeam) 37:57
2位 江嶋綾(INTHEWOODS×MAAP) +0:43
3位 藤田桃花(有 村上建具) +2:22
4位 加納尚子(ストラーダレーシング) +2:29
5位 中里眞由美(ARAYA CX TEAM) +6:28
6位 矢野智子(モジュマ エリアゼロナナ) +6:58
7位 二口早紀(バルバクラブ フクイ) +9:49
8位 三井由香(ベロチスタアヴェル) -1Lap
CM1
1位 國分圭二(Mt.HASE321) 40:00
2位 羽鳥和重(cycleclub3UP) +0:01
3位 藤井修(きゅうべえsports) +1:01
4位 倉橋孝太郎(ベッキーシクロクロス) +1:02
5位 大河内二郎(シルクロード) +1:43
6位 船木和智晋(高野建具店) +2:11
CJ
1位 日野泰静(松山城南高校) 40:32
2位 村上功太郎(Decoja Racing Team) +0:39
3位 平林飛都(松山聖陵高校) +6:37
C2
1位 岡拓也 43:34
2位 石田純之(美山CC) +0:20
3位 浅井孝文(神戸大学) +0:36
4位 小森誠司(WP kyoto) +0:59
5位 景山昭宏(有 村上建具teamhigh) +1:28
6位 鎌谷哲也(有 村上建具) +1:35
CL2
1位 藤江恭子(TeamZepher) 26:15
2位 清水友恵(京都MTB朝ライド/CSヤマダ) +0:52
3位 美並聡子(TeamSpeed) +0:57
CM2
1位 高尾伸生(SKRKCX) 30:13
2位 鵜飼一彦(CHARGECyclingClub) +0:05
3位 矢野卓也(岩井商会レーシング) +0:25
C3
1位 橋本寛記(グランデパール播磨) 28:41
2位 辻啓(八ヶ岳CYCLOCROSSCLUB) +0:13
3位 アンディ・クラーク(CKCX) +0:15
CL3
1位 竹中希春 19:01
2位 藤本友理 +1:25
3位 佐々木優子 +2:14
CM3A
1位 小森健太郎(BLUE DRAGON) 29:39
2位 芝田保志(SAMZ SPEED) +2:25
3位 入江洋司(武田医院 ゲゲゲ) +2:27
CM3B
1位 森谷忠司(ベッキーシクロクロス) 31:23
2位 榮照洋(Team山の駅/COWBOY) +0:53
3位 鶴崎良太 +0:55
C4A
1位 岡本良(INTHEWOODS) 29:09
2位 柳神二郎(バルバクラブフクイ) +1:24
3位 上田泰正(SakataniRacing) +1:44
C4B
1位 溝杭亮二(京都MTB朝ライド) 30:24
2位 大浦涼雅(飾磨工業高校自転車競技部) +0:13
3位 夜久主明(Panaracer) +1:15
U15
1位 村上裕二郎(Decoja racing team) 14:44
2位 中田千太郎(桜井中学) +0:49
3位 副島達海(Limited846/OK牧場) +1:00
text&photo:Kei Tsuji
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