2016/10/09(日) - 09:48
アジア選手権や全日本選手権が開催された伊豆大島で、9月25日(日)と26日(月)の2日間に渡り、ヒルクライムとサイクリングを組み合わせたイベント「三原山ヒルクライム2016」が開催された。伊豆大島の魅力を満喫した2日間をレポートしよう。
2013年の台風26号による土砂災害で通行出来なくなっていた「御神火(ごじんか)スカイライン」。島の中央部にある三原山の山頂に通じる道路は、3年の月日を経た今年9月10日にようやく復旧・開通した。それを記念して開催されたのが、今回のイベント「三原山ヒルクライム2016」だ。ちなみに「御神火」とは、三原山の噴火や噴煙の事。今年は、全島民が避難した1986年の三原山噴火から30年目にあたる。
初日は御神火スカイラインを登るヒルクライム。2日目は大島を一周する「ジオパークライド」と、大島の名所めぐりとバーベキューを楽しむ「グルメライド」の二手に分かれてのサイクリングという2部構成だ。今回はモニターツアーとして参加者を公募。大島在住の参加者11名を含む100名が招待された。
前日まで雨続きだったという大島だが、幸運にもイベントの2日間は晴れ。気温は30℃近くまで上昇し、真夏のウェアで十分なくらいの暑さとなった。
最大勾配14%の御神火スカイラインヒルクライム
ツアー参加者は、24日夜に東京の竹芝桟橋から出港する夜行便に乗船し、東京湾クルーズを楽しみつつ一路大島へ。翌25日、夜が明けきらぬ朝5時に大島北部の岡田港に到着し、メイン会場となる元町港ターミナルへ移動する。
輪行してきた自転車を組み立てて準備を整えたところで、今回のライドリーダーを務める「ちゅなどん」こと石井美穂さんによるオリエンテーションが始まった。スタート前の自転車チェックポイントや、走行時の注意点などが説明される。その後は参加者の自己紹介タイム。皆さん意外と饒舌に話す方が多くてビックリ。
午前10時、三辻利弘・大島町長ら名誉スターターの号砲で元町港ターミナルを出発。ヒルクライムのスタート地点である火山博物館前から「リアルスタート」だ。
今回のヒルクライムに使用されたのは、三原山山頂口までの5.9km。平均勾配8.7%、最大勾配14%、標高差519mという、短距離ながらも登りがいのあるコース。とは言え、今回はタイム計測や順位づけは行わないヒルクライムサイクリング。ストイックに登るも良し、見晴らしの良さを楽しみながらマイペースで登るも良しと、各々が思い思いに楽しむ。スタートから3時間というかなり余裕のある制限時間が設定されていたが、1時間半ほどで全員が登り切った。
島一周か、グルメライドか。
翌日はサイクリング。自然豊かな大島一周46.2kmを走る「ジオパークライド」か、大島の名所とバーベキューを楽しむ「グルメライド」のどちらかを事前に選んで参加する。ここでは、グルメライドの模様をレポートしよう。グルメライドのコースは、大島南部の海岸線に沿って走る往復40km。島一周に比べればアップダウン少なめのお気軽なコースだ。
元町港を出発しておよそ10kmほど走ると、「地層大切断面」が現れる。三原山の噴火の歴史が作り出した地層の断面が露わになった景観は圧巻の一言。エイドステーションでは、大島銘菓「かしわんば」や、牛乳煎餅を食べながら一休み。さらに南下して折り返し地点となる波浮港(はぶこう)へ向かう。
伊豆大島の南端にある波浮港は、昭和の風情を残す漁港。ここには、川端康成の小説「伊豆の踊子」のモデルとなった踊子親子がいたという「港屋旅館」が、踊り子博物館として保存されている。漁港の周りは古い家並みが残り、遠洋漁業の港として栄えた頃の名残りを感じる事が出来る。
グルメライドと言うからにはおいしいものを食べずに終われない。ゴールの元町港に戻ったら、お昼のバーベキューだ。大島で採れた魚介類などが次々と焼かれては参加者のお腹の中へ。走った距離が食べる前の腹ごなしにちょうど良かったからか、皆さんよく食べる!。最初は座って食べていた人達も、焼き上がりが待ちきれずに最後は焼き網の周りで立食パーティー状態に。食べながら話すのは、今日走ったところの感想から、ディープなロードレース談義まで様々。
お腹を満たした後は、名残惜しみつつも帰路へ。波が穏やかだったこの日は、メイン会場の元町港から帰りの船が出発する事になったので、余裕をもって帰り支度を整えて乗船。最後にテープのお見送りまでして頂くと、「また来ようかな」と思ってしまう。
自転車乗りにやさしい伊豆大島
大島町では、今回のイベントを元に来年以降開催する新たなイベントを企画中との事。イベントがなくても大島は自転車に乗るには良い条件が整っている。島内には信号がたったの4ヵ所しかなく、交通量も少ない。大島一周道路の沿道施設や三原山山頂口など島内10ヵ所には、空気入れと自転車用工具が用意されている。
また、2017年3月までは1泊あたり3,000円の補助を2泊分まで受けられる制度があるほか、旅行代理店が扱う「伊豆大島・復興応援ツアー」を利用すれば、大島まで往復の船と1泊2日の宿泊がセットで、6,000円の割引を受けられる。
宿泊しなくても、今回同様に夜行便に乗れば早朝から走り出せる。島一周して御神火温泉につかり、夕方には東京に戻る事も可能だ。サイクリングに良し、ストイックな練習コースとしても良しな、伊豆大島に行ってみてはいかが?
text&photo:Satoru.Kato
2013年の台風26号による土砂災害で通行出来なくなっていた「御神火(ごじんか)スカイライン」。島の中央部にある三原山の山頂に通じる道路は、3年の月日を経た今年9月10日にようやく復旧・開通した。それを記念して開催されたのが、今回のイベント「三原山ヒルクライム2016」だ。ちなみに「御神火」とは、三原山の噴火や噴煙の事。今年は、全島民が避難した1986年の三原山噴火から30年目にあたる。
初日は御神火スカイラインを登るヒルクライム。2日目は大島を一周する「ジオパークライド」と、大島の名所めぐりとバーベキューを楽しむ「グルメライド」の二手に分かれてのサイクリングという2部構成だ。今回はモニターツアーとして参加者を公募。大島在住の参加者11名を含む100名が招待された。
前日まで雨続きだったという大島だが、幸運にもイベントの2日間は晴れ。気温は30℃近くまで上昇し、真夏のウェアで十分なくらいの暑さとなった。
最大勾配14%の御神火スカイラインヒルクライム
ツアー参加者は、24日夜に東京の竹芝桟橋から出港する夜行便に乗船し、東京湾クルーズを楽しみつつ一路大島へ。翌25日、夜が明けきらぬ朝5時に大島北部の岡田港に到着し、メイン会場となる元町港ターミナルへ移動する。
輪行してきた自転車を組み立てて準備を整えたところで、今回のライドリーダーを務める「ちゅなどん」こと石井美穂さんによるオリエンテーションが始まった。スタート前の自転車チェックポイントや、走行時の注意点などが説明される。その後は参加者の自己紹介タイム。皆さん意外と饒舌に話す方が多くてビックリ。
午前10時、三辻利弘・大島町長ら名誉スターターの号砲で元町港ターミナルを出発。ヒルクライムのスタート地点である火山博物館前から「リアルスタート」だ。
今回のヒルクライムに使用されたのは、三原山山頂口までの5.9km。平均勾配8.7%、最大勾配14%、標高差519mという、短距離ながらも登りがいのあるコース。とは言え、今回はタイム計測や順位づけは行わないヒルクライムサイクリング。ストイックに登るも良し、見晴らしの良さを楽しみながらマイペースで登るも良しと、各々が思い思いに楽しむ。スタートから3時間というかなり余裕のある制限時間が設定されていたが、1時間半ほどで全員が登り切った。
島一周か、グルメライドか。
翌日はサイクリング。自然豊かな大島一周46.2kmを走る「ジオパークライド」か、大島の名所とバーベキューを楽しむ「グルメライド」のどちらかを事前に選んで参加する。ここでは、グルメライドの模様をレポートしよう。グルメライドのコースは、大島南部の海岸線に沿って走る往復40km。島一周に比べればアップダウン少なめのお気軽なコースだ。
元町港を出発しておよそ10kmほど走ると、「地層大切断面」が現れる。三原山の噴火の歴史が作り出した地層の断面が露わになった景観は圧巻の一言。エイドステーションでは、大島銘菓「かしわんば」や、牛乳煎餅を食べながら一休み。さらに南下して折り返し地点となる波浮港(はぶこう)へ向かう。
伊豆大島の南端にある波浮港は、昭和の風情を残す漁港。ここには、川端康成の小説「伊豆の踊子」のモデルとなった踊子親子がいたという「港屋旅館」が、踊り子博物館として保存されている。漁港の周りは古い家並みが残り、遠洋漁業の港として栄えた頃の名残りを感じる事が出来る。
グルメライドと言うからにはおいしいものを食べずに終われない。ゴールの元町港に戻ったら、お昼のバーベキューだ。大島で採れた魚介類などが次々と焼かれては参加者のお腹の中へ。走った距離が食べる前の腹ごなしにちょうど良かったからか、皆さんよく食べる!。最初は座って食べていた人達も、焼き上がりが待ちきれずに最後は焼き網の周りで立食パーティー状態に。食べながら話すのは、今日走ったところの感想から、ディープなロードレース談義まで様々。
お腹を満たした後は、名残惜しみつつも帰路へ。波が穏やかだったこの日は、メイン会場の元町港から帰りの船が出発する事になったので、余裕をもって帰り支度を整えて乗船。最後にテープのお見送りまでして頂くと、「また来ようかな」と思ってしまう。
自転車乗りにやさしい伊豆大島
大島町では、今回のイベントを元に来年以降開催する新たなイベントを企画中との事。イベントがなくても大島は自転車に乗るには良い条件が整っている。島内には信号がたったの4ヵ所しかなく、交通量も少ない。大島一周道路の沿道施設や三原山山頂口など島内10ヵ所には、空気入れと自転車用工具が用意されている。
また、2017年3月までは1泊あたり3,000円の補助を2泊分まで受けられる制度があるほか、旅行代理店が扱う「伊豆大島・復興応援ツアー」を利用すれば、大島まで往復の船と1泊2日の宿泊がセットで、6,000円の割引を受けられる。
宿泊しなくても、今回同様に夜行便に乗れば早朝から走り出せる。島一周して御神火温泉につかり、夕方には東京に戻る事も可能だ。サイクリングに良し、ストイックな練習コースとしても良しな、伊豆大島に行ってみてはいかが?
text&photo:Satoru.Kato
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