2016/09/25(日) - 11:34
「アムステルゴールドレース」のようなアップダウンコースで5名の逃げ切り決まる。メイン集団を5秒差で振り切ったルカ・ピベルニク(スロベニア、ランプレ・メリダ)が勝利し、ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)がリーダージャージを着て最終ステージに挑むことに。
ベルギー東部のリエムストからラナーケンまで197.2kmを走るエネコ・ツアー第6ステージ。走るコースはベルギー国内に限定されるが、オランダ南部リンブルフ州マーストリヒトの西に広がる丘陵地帯が舞台であり、地理的にもコース的にも「アムステルゴールドレース」に近い。
6カ所の登りが詰め込まれたアップダウンコースの獲得標高差は1,500m前後。スプリンターにもチャンスがあるこの最終日前日のステージで6名の逃げグループが形成された。
アレクシ・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)、チャド・ハガ(アメリカ、ジャイアント・アルペシン)、ルカ・ピベルニク(スロベニア、ランプレ・メリダ)、マーク・マクナリー(イギリス、ワンティ・グループグベルト)、バート・ヴァンレルベルグ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)、ベルデン・デフリース(オランダ、ルームポット・オラニエ)という6名で構成された逃げはレース中盤に最大4分のリードを奪うことに成功。しかし総合で56秒遅れのハガの存在がBMCレーシングに緊張感を与える。
リーダージャージ擁する赤いアメリカチームの集団コントロールによってタイム差は拡大から横ばい、縮小に転じる。ボーナスタイムが設定された3つのスプリントポイントはいずれもハガの手に渡る(合計9秒獲得)。やがてメイン集団の先頭では、ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)の総合逆転を狙うティンコフがコントロールを開始した。
勾配のある登りの度に集団先頭ではアタックがかかったが、危険な動きが生まれるとすぐにBMCレーシングが吸収のために集団先頭に出る。デフリースの脱落によって5名に絞られた逃げグループと、スプリンターチーム率いるメイン集団のタイム差は残り15km地点で1分を切った。
長い直線路では逃げグループの姿がメイン集団の視界に入るタイム差。しかしそこから逃げる5名が粘った。タイム差は残り10kmで45秒、残り5kmで25秒。カチューシャやロットNLユンボ、FDJ、トレック・セガフレードが束にかかってかかったが、タイム差15秒のまま逃げグループは残り1kmアーチをくぐった。
逃げ切りを確実なものにした先頭5名は、短い牽制を経て、残り250mからスプリントを開始する。後方からジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)やナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)らが勢い良く追い上げたものの届かない。ランプレ・メリダに所属する1993年10月23日生まれの22歳、ピベルニクが先頭でフィニッシュに飛び込んだ。
「初めてのUCIワールドツアーレース勝利にとても満足している。ランプレ・メリダは毎日スプリントや逃げでステージ優勝を目指していて、今日は正しい逃げに残ることができた。逃げグループ内の協調体制は上手く築けていたし、メイン集団とのタイム差を保つことで一致団結。残り数キロになってようやく逃げ切りの可能性を感じた。逃げの中でグジャールが最も強かったので、彼の番手からスプリント。残り250mからのスプリントが正しい判断だった」とピベルニクは語る。
ピベルニクは2015年に地元スロベニアのUCIコンチネンタルチームからランプレ・メリダに移籍。同年ツアー・オブ・ジャパンのいなべステージ3位、南信州ステージ5位、伊豆ステージ2位という成績を残し、ポイント賞2位に入った。なお、新城幸也と同様に2017年バーレーン・メリダへの移籍が決まっている。
逃げ切りが決まったため集団スプリントに参加した選手たちにボーナスタイムは与えられなかった。ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が総合首位を守り、総合2位以下の選手たちとのタイム差は変わらず。スプリントに絡まず、ステージ45位でフィニッシュしたペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)が総合タイム差27秒の総合4位で最終日を迎える。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
エネコ・ツアー2016第6ステージ結果
1位 ルカ・ピベルニク(スロベニア、ランプレ・メリダ) 4h28’45”
2位 マーク・マクナリー(イギリス、ワンティ・グループグベルト)
3位 バート・ヴァンレルベルグ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
4位 アレクシ・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)
5位 チャド・ハガ(アメリカ、ジャイアント・アルペシン)
6位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード) +05”
7位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
8位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
9位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)
10位 ヨナス・ファンへネヒテン(ベルギー、IAMサイクリング)
個人総合成績
1位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) 18h09’37”
2位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング) +16”
3位 トニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) +24”
4位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) +27”
5位 ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)
6位 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ) +28”
7位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング) +29”
8位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) +33”
9位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +36”
10位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) +38”
スプリント賞
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) 94pts
3位 ディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) 66pts
2位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) 60pts
チーム総合成績
1位 BMCレーシング 53h43’05”
2位 ロットNLユンボ +23”
3位 エティックス・クイックステップ +28”
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
ベルギー東部のリエムストからラナーケンまで197.2kmを走るエネコ・ツアー第6ステージ。走るコースはベルギー国内に限定されるが、オランダ南部リンブルフ州マーストリヒトの西に広がる丘陵地帯が舞台であり、地理的にもコース的にも「アムステルゴールドレース」に近い。
6カ所の登りが詰め込まれたアップダウンコースの獲得標高差は1,500m前後。スプリンターにもチャンスがあるこの最終日前日のステージで6名の逃げグループが形成された。
アレクシ・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)、チャド・ハガ(アメリカ、ジャイアント・アルペシン)、ルカ・ピベルニク(スロベニア、ランプレ・メリダ)、マーク・マクナリー(イギリス、ワンティ・グループグベルト)、バート・ヴァンレルベルグ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)、ベルデン・デフリース(オランダ、ルームポット・オラニエ)という6名で構成された逃げはレース中盤に最大4分のリードを奪うことに成功。しかし総合で56秒遅れのハガの存在がBMCレーシングに緊張感を与える。
リーダージャージ擁する赤いアメリカチームの集団コントロールによってタイム差は拡大から横ばい、縮小に転じる。ボーナスタイムが設定された3つのスプリントポイントはいずれもハガの手に渡る(合計9秒獲得)。やがてメイン集団の先頭では、ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)の総合逆転を狙うティンコフがコントロールを開始した。
勾配のある登りの度に集団先頭ではアタックがかかったが、危険な動きが生まれるとすぐにBMCレーシングが吸収のために集団先頭に出る。デフリースの脱落によって5名に絞られた逃げグループと、スプリンターチーム率いるメイン集団のタイム差は残り15km地点で1分を切った。
長い直線路では逃げグループの姿がメイン集団の視界に入るタイム差。しかしそこから逃げる5名が粘った。タイム差は残り10kmで45秒、残り5kmで25秒。カチューシャやロットNLユンボ、FDJ、トレック・セガフレードが束にかかってかかったが、タイム差15秒のまま逃げグループは残り1kmアーチをくぐった。
逃げ切りを確実なものにした先頭5名は、短い牽制を経て、残り250mからスプリントを開始する。後方からジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)やナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)らが勢い良く追い上げたものの届かない。ランプレ・メリダに所属する1993年10月23日生まれの22歳、ピベルニクが先頭でフィニッシュに飛び込んだ。
「初めてのUCIワールドツアーレース勝利にとても満足している。ランプレ・メリダは毎日スプリントや逃げでステージ優勝を目指していて、今日は正しい逃げに残ることができた。逃げグループ内の協調体制は上手く築けていたし、メイン集団とのタイム差を保つことで一致団結。残り数キロになってようやく逃げ切りの可能性を感じた。逃げの中でグジャールが最も強かったので、彼の番手からスプリント。残り250mからのスプリントが正しい判断だった」とピベルニクは語る。
ピベルニクは2015年に地元スロベニアのUCIコンチネンタルチームからランプレ・メリダに移籍。同年ツアー・オブ・ジャパンのいなべステージ3位、南信州ステージ5位、伊豆ステージ2位という成績を残し、ポイント賞2位に入った。なお、新城幸也と同様に2017年バーレーン・メリダへの移籍が決まっている。
逃げ切りが決まったため集団スプリントに参加した選手たちにボーナスタイムは与えられなかった。ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)が総合首位を守り、総合2位以下の選手たちとのタイム差は変わらず。スプリントに絡まず、ステージ45位でフィニッシュしたペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)が総合タイム差27秒の総合4位で最終日を迎える。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
エネコ・ツアー2016第6ステージ結果
1位 ルカ・ピベルニク(スロベニア、ランプレ・メリダ) 4h28’45”
2位 マーク・マクナリー(イギリス、ワンティ・グループグベルト)
3位 バート・ヴァンレルベルグ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
4位 アレクシ・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)
5位 チャド・ハガ(アメリカ、ジャイアント・アルペシン)
6位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード) +05”
7位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
8位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
9位 アルノー・デマール(フランス、FDJ)
10位 ヨナス・ファンへネヒテン(ベルギー、IAMサイクリング)
個人総合成績
1位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) 18h09’37”
2位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング) +16”
3位 トニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) +24”
4位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) +27”
5位 ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)
6位 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ) +28”
7位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング) +29”
8位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) +33”
9位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +36”
10位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ) +38”
スプリント賞
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) 94pts
3位 ディラン・フルーネヴェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ) 66pts
2位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス) 60pts
チーム総合成績
1位 BMCレーシング 53h43’05”
2位 ロットNLユンボ +23”
3位 エティックス・クイックステップ +28”
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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