都道府県ロードは大三島を1周するコース。男子は水野恭兵(山梨県、那須ブラーゼン/水野ファーム)が強さを見せて優勝。女子は中原恭恵(広島県)が集団スプリントを制し優勝した。



26km地点、水野恭兵(山梨県、那須ブラーゼン/水野ファーム)らが抜け出す26km地点、水野恭兵(山梨県、那須ブラーゼン/水野ファーム)らが抜け出す photo:Hideaki TAKAGI
大三島を1周するロケーション

2017年に愛媛国体で使われるロードレースのコースをそのまま使うのが都道府県ロード。9月8日(木)に愛媛県今治市の大三島で男女ロードレースが行われた。コースはしまなみ海道の大三島を丸ごと1周するもので、小さいながらも6か所のピークがある以外はおよそ平坦で1周40.4kmというレイアウト。パンチャーやスプリンターに有利なコースだ。

女子はスプリント勝負へ

女子にとっては数少ない公道を使う全国大会だ。女子のトラックは今年の岩手国体から正式種目だが来年の愛媛国体ではロードはまだ行われない。2周する80.8kmで行われた女子は、序盤から福田咲絵(神奈川県、慶応義塾大学)と古山稀絵(東京都、日本体育大学)が抜け出す。3位以下のメイン集団に1分以上の差をつける。しかしメイン集団も追い上げて終盤に吸収。ゴールスプリントとなりこれを中原恭恵(広島県)が制した。

中原は自転車競技とトライアスロンを並行して活動する選手。昨年10月のジャパンカップオープンで落車し複数個所を骨折と筋断裂の大けがを負った。3カ月半入院、2月に退院し自転車の練習を再開できたのは5月。トライアスロンの練習と並行しているがいまだに右肩の骨折は治っていないという。

48km地点、1分以上の差をつける女子先頭2人48km地点、1分以上の差をつける女子先頭2人 photo:Hideaki TAKAGI42km地点、女子1分差のメイン集団42km地点、女子1分差のメイン集団 photo:Hideaki TAKAGI

優勝した中原恭恵(広島県)のコメント

2人が先行して差が1分を超えてこれはさすがにまずいと思って何人かで追いました。上りで合田さんと樫木さんから一時は離れましたが。最後のスプリントは経験もなかったので先行したことが良かったと思います。自分ではまだけがから復活できたとは思いませんが、今日は勝ててとてもうれしいです。

女子は中原恭恵(広島県)が優勝女子は中原恭恵(広島県)が優勝 photo:Kenji NAKAMURA女子表彰女子表彰 photo:Hideaki TAKAGI

男子は逃げ切りの展開に

男子は3周する121.2kmでレースが行われた。最初のアタックは橋本英也(岐阜県、NIPPOレーシングプロジェクト)で6人ほどが続く。その後は数人が前に出るが吸収されることを繰り返す。積極的なのは冨尾大地(鹿児島県、鹿屋体育大学)、岡本隼(和歌山県、日本大学)そして水野ら。逃げができたのは1周した平坦区間。集団が一つの時に前方に数人が飛び出した。それが決まって7人の逃げができる。

7人のメンバーは水野、青野将大(香川県、法政大学)、新村穣(茨城県)、北西佳輔(和歌山県、ボンシャンス)、中村圭佑(広島県、広島国際学院高校)、渡邊翔太郎(岐阜県、朝日大学)、浜田大雅(大阪府、藤井寺工科高校/EQADS)だ。最終的に5人は残り80kmを逃げ切ることになる。メイン集団とは最大2分のタイム差がつく。

25km地点、岡本隼(和歌山県、日本大学)らが抜け出す25km地点、岡本隼(和歌山県、日本大学)らが抜け出す photo:Hideaki TAKAGI28km地点、沿道の声援がうれしい28km地点、沿道の声援がうれしい photo:Hideaki TAKAGI

42km地点、先頭の7人42km地点、先頭の7人 photo:Hideaki TAKAGI88km地点、2分差の野本空(愛媛県、明治大学)ら追走集団88km地点、2分差の野本空(愛媛県、明治大学)ら追走集団 photo:Hideaki TAKAGI

5人が逃げ続ける

逃げるメンバーからは浜田そして渡邊が下がり5人となるがペースを維持して逃げ続ける。動きが出たのは3周目後半、残り14km地点の上り区間だ。それまでも上り区間では水野が先行する場面があったがここで水野と青野の2人が抜け出す。2人はそのまま先行してスプリント勝負を水野が制し優勝。後続集団は50秒差で5位の岡本を先頭にフィニッシュした。

平坦基調のコースだが6か所の小さな上りはハイペースで走るにはパワーが必要で平坦区間も終始風が吹き、集団が分断されるレースとなった。優勝した水野は2013年の都道府県長崎大会のロードで優勝しており、3年ぶりの優勝となった。

107km地点、水野恭兵(山梨県、那須ブラーゼン/水野ファーム)がペースを上げる107km地点、水野恭兵(山梨県、那須ブラーゼン/水野ファーム)がペースを上げる photo:Hideaki TAKAGI110km地点、逃げ続ける水野恭兵(山梨県、那須ブラーゼン/水野ファーム)と青野将大(香川県、法政大学)110km地点、逃げ続ける水野恭兵(山梨県、那須ブラーゼン/水野ファーム)と青野将大(香川県、法政大学) photo:Hideaki TAKAGI

水野恭兵(山梨県、那須ブラーゼン/水野ファーム)が都道府県ロード2勝目を挙げる水野恭兵(山梨県、那須ブラーゼン/水野ファーム)が都道府県ロード2勝目を挙げる photo:Hideaki TAKAGIメイン集団は岡本隼(和歌山県、日本大学)が5位にメイン集団は岡本隼(和歌山県、日本大学)が5位に photo:Hideaki TAKAGI

優勝した水野恭兵(山梨県、那須ブラーゼン/水野ファーム)のコメント

久しぶりの勝利で嬉しいです。今日は逃げで勝負することを考えていました。スプリントに強い岡本選手はとにかく離しておいて。逃げは一瞬集団が緩んだ瞬間に決まったもので力づくではないです。でも全員が逃げ切りの意思があって回していいメンバーでした。終盤の坂で自分だけ抜け出す場面があって今日は調子いいと確認できていました。新村選手のスプリントを警戒していたので、抜け出したとき青野選手と2人になっていい展開でしたね。

水野恭兵(山梨県、那須ブラーゼン/水野ファーム)が都道府県ロード2勝目を挙げる水野恭兵(山梨県、那須ブラーゼン/水野ファーム)が都道府県ロード2勝目を挙げる photo:Hideaki TAKAGI
愛媛国体のマスコットキャラクター みきゃん愛媛国体のマスコットキャラクター みきゃん photo:Hideaki TAKAGI個人ロードレース入賞者個人ロードレース入賞者 photo:Hideaki TAKAGI男子表彰男子表彰 photo:Hideaki TAKAGI結果

男子 121.2km
1位 水野恭兵(山梨県、那須ブラーゼン/水野ファーム)3時間02分58秒
2位 青野将大(香川県、法政大学)+01秒
3位 新村穣(茨城県)+43秒
4位 北西佳輔(和歌山県、ボンシャンス)
5位 岡本隼(和歌山県、日本大学)+50秒
6位 間瀬勇毅(大阪府、京都産業大学)
7位 辻本尚希(東京都、スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)
8位 片桐東次郎(東京都、昭和第一学園高校)+51秒
9位 中村圭佑(広島県、広島国際学院高校)+52秒
10位 野本空(愛媛県、明治大学)

女子 80.8km
1位 中原恭恵(広島県)2時間21分29秒
2位 樫木祥子(東京都、ニールプライド南信スバルサイクリングチーム)
3位 福田咲絵(神奈川県、慶応義塾大学)+01秒
4位 合田祐美子(岡山県、BH ASTIFO)
5位 古山稀絵(東京都、日本体育大学)+07秒
6位 石上夢乃(神奈川県、横浜創学館高校)
7位 菅原朱音(鳥取県、倉吉総合産業高校)+08秒
8位 中冨尚子(熊本県、千原台高校)+18秒

photo&text:高木秀彰