2016/09/11(日) - 16:08
増田成幸の総合優勝で幕を閉じたツール・ド・北海道。トップ選手がしのぎを削る一方で、今年も5つの大学チームが出場。彼らにとって最もレベルの高い戦いへと挑んだ。今回は各校にフォーカスを当てて、各選手の言葉で3日間4ステージの戦いを振り返る。
ツール・ド・北海道に出場する大学チームは、昨年のインカレ、今年5月の学生選手権チームTT、6月の学生選手権個人ロードレースの結果を元にランキングされた上位4校が推薦される。30回記念大会となる今大会に出場したのは、京都産業大学、鹿屋体育大学、日本大学、明治大学、そして地元の北海道大学を合わせた5校だ。
8月末にインカレが行われるため、ツール・ド・北海道まではあまり間がない事が多い。今年は例年よりも1週間早い事から、インカレを終えてすぐに北海道入りというタイトなスケジュールとなった。
京都産業大学
2年ぶりの出場となった京都産業大学。3人が完走し、U26チーム総合3位。大学チームの中では最上位という結果を残した。
特に間瀬勇毅は、大学生全員が6分以上の遅れとなってしまった第2ステージの後、タイム差を増やすことなく最終ステージまで走り切り、個人総合18位で完走した。
間瀬はこれまでのステージレースの経験が役に立ったと話す。「一昨年のツール・ド・北海道は、ステージレースそのものが初めてでしたが、今年は出場する事が早いうちに決まっていたので準備が出来たことと、ツアー・オブ・ジャパンも経験して気持ちに余裕がありました。第3ステージでは12位に入りましたが、集団の仲で足を溜めていただけで何もしていないので満足していません。チーム内での連携や、自分の経験をフィードバックして次に活かせるようにしたいです。」
京都産業大学の山岸監督は間瀬に対して、「この2年間で成長しているし、ステージレースに慣れて余裕が出た」と評価する。U26チーム総合3位という成績については「第4ステージの最後の登りで間瀬と安田京介が粘ってくれたおかげで、最終日にして3位にランクアップする事が出来ました。嬉しいし、よくやってくれました。ツール・ド・北海道はよい経験を積める場なので、今回は1年生やトラックメインの部員も連れてきました。この経験を今後に活かしてもらいたい」と語った。
鹿屋体育大学
鹿屋体育大学は、直前に行われたインカレロードでレースを主導した徳田優、山本大喜らを中心にメンバーを組んだ。総合成績は振るわなかったものの、初日のタイムトライアルでは黒枝咲哉が8位に入り、第2ステージ、第3ステージでは山本が逃げに乗る動きを見せた。特に第3ステージでは、レース中盤に形成された4人の逃げに乗った山本が残り1kmまで逃げ続けた。
山本は第3ステージ終了後に「昨日から熱中症気味ではあったのですが、今日はいけると思っていました」と、無念さをにじませていたものの、「今年初めにできものを切除する手術をしたので自転車に乗れませんでしたが、ようやく調子が戻ってきました。」と、手応えを掴めた様子だ。
インカレでキャプテンの座を後輩に譲った徳田は「第1ステージで(黒枝)咲哉が10位以内に入り、第3ステージでは(山本)大喜があれだけ強いメンバーと逃げ続けた事で、存在感は示せたと思います。」と、3日間を総括する。
自身については「最終日は狙っていました。大学最後のツール・ド・北海道の最終ステージで崩れてしまったのはすごく残念です」と振り返る。「昨年はチャンピオンシステムから出場して、メチャクチャ強いチームメイトと走って、チーム力の重要性を感じました。学生でもチーム力があれば有利にレースを出来ることが分かったレースでした」。
日本大学
日大も昨年に続いての出場だ。今季好調の岡本隼が、第3ステージで7位、第4ステージで11位に入った。個人総合では16位となり、大学生最上位に。
「第3ステージでは最後のコーナーの位置取りが悪く、20番手くらいで入りました。ゴールまでの登りがきついので、みんながタレて落ちてきて、結果として順位が上がったという感じです。これが10番手くらいで最終コーナーに入れたら、もっと前に行けたのかなと思っています。でも、登りのゴールスプリントはした事が無かったので、こういう展開は不得意ではないと感じました。最終日は、逃げとの差が3分差から30秒差まで詰めた集団の中に最後まで残れた事は収穫だと思います。このスピードがプロのレースなんだと感じました。今後のレースに活かせると思います。」と、岡本は反省点と手応えを交えて振り返る。
日本大学の井上監督は、「ゴール勝負だけは強いんです」と、岡本を評価する。「優勝した大町美麻ロードまでは良かったんですが、インカレがボロボロでしたので、来年あたりはただ付いて行くだけでなく、何か出来るようになって戻ってきたい」と、3日間を総括した。
明治大学
昨年に続き出場の明治大学。インカレロード優勝の野本空は、愛媛で開催される都道府県大会を優先するため出場せず、昨年のロードチャンピオンシップシリーズ総合優勝の小林和希が、ただ1人完走を果たした。
2回目の出場となる小林は、「今年は調子が良くて走れているという事もありますが、昨年の方が苦しかったという印象があります。登りで遅れ、降ろされてしまうのではないかという場面もありましたが、集団に踏みとどまれたので、昨年よりは進歩できているのかなと思います」と話す。
明治大学の本間監督は「初日を終えて小林と松本の2人が残っていたのですが、松本は体調があまり良くなく、2日目に力が入らなくなりてリタイアになってしまいました。故障という訳ではないのですが、インカレ明けということもあり厳しい大会になってしまいました。他の大学はしっかり走って残っていますから、言い訳にはなりませんね」と、苦笑交じりに語った。
北海道大学
5年ぶりの出場となる地元・北海道大学。最終ステージは木村祐己と清水優の2人がスタートしたものの、清水1人が完走という厳しい結果となった。
「ステージレースを走るノウハウをうまく伝えられなくて失敗ばかりでしたが、なんとか1人完走させることが出来たので、最低限の目標は達成出来たと思います。」と話す村木監督。「チーム順位がつく3人完走出来れば良かったのですが、力不足でそれは叶いませんでした。なんとか北大のジャージをゴールにつなげたいという想いもありました。今回は経験を積んで欲しかったので、2年生2人をメンバーに入れました。完走はなりませんでしたが、次に繋げて欲しいと思っています」と、期待を込める。
完走した清水は修士課程の1年生。普段は水産学部のある函館に在籍し、札幌の主要メンバーと会うのはレースの時くらいだという。「普段の練習は1人なので、個人競技と割り切ってやっていたのですが、今回ツール・ド・北海道に出場していかにチームメイトが大切かと言う事が分かりました。献身的にサポートしてくれた仲間に感謝しています。最終日も登りがきつかったけれど、プロでも足にきてる選手は遅れていくような状況の中で、中盤くらいでクリア出来たので良かったと思います」と、レースを振り返る。そして、「研究室に迷惑をかけつつ今回出場したので、先生の顔色を伺いつつ、今後のレースに出たい」と話してくれた。
北海道地域選抜・中川拳
ところで、ツール・ド・北海道には、北海道出身の選手で構成されるチーム「北海道地域選抜」が出場している。今回はその一員として、インカレロードで3位に入った早稲田大学の中川拳がエリートの選手に混じって出場し、個人総合24位で完走。大学生の中では、16位の岡本、18位の間瀬に次ぐ結果となった。
中川は、「ツール・ド・北海道は昔からあこがれのレースだったので、特別な想いがありました。今回初めて出場して、エリートの選手や海外チームの選手と同じレースを走る事が出来たのは嬉しかったです。大変なところもありましたが、3日間走るうちに慣れてきて、北海道選抜の一員として完走出来た事は良かったと思います。インカレの疲労もありましたが、ベストは尽くせたかなと思っています」と、3日間の感想を語った。
最終日、札幌の真駒内公園にゴール出来た大学チームの選手は、およそ半分の13名。話を聞いてみると、力量の差もさることながら、ステージレースの経験の有無が結果に影響しているように感じた。ステージ優勝や総合上位、各賞ジャージ獲得という目立つ結果こそ無かったが、ステージレースを経験する機会が少ない大学生にとって、この経験は今後に活かせるものだと思う。それは選手だけでなく、スタッフとして参加した大学生にとっても同様だ。31回目となる来年のツール・ド・北海道も、大学生達に貴重な経験と挑戦の場を与える大会であって欲しい。
text&photo:Satoru.Kato
ツール・ド・北海道に出場する大学チームは、昨年のインカレ、今年5月の学生選手権チームTT、6月の学生選手権個人ロードレースの結果を元にランキングされた上位4校が推薦される。30回記念大会となる今大会に出場したのは、京都産業大学、鹿屋体育大学、日本大学、明治大学、そして地元の北海道大学を合わせた5校だ。
8月末にインカレが行われるため、ツール・ド・北海道まではあまり間がない事が多い。今年は例年よりも1週間早い事から、インカレを終えてすぐに北海道入りというタイトなスケジュールとなった。
京都産業大学
2年ぶりの出場となった京都産業大学。3人が完走し、U26チーム総合3位。大学チームの中では最上位という結果を残した。
特に間瀬勇毅は、大学生全員が6分以上の遅れとなってしまった第2ステージの後、タイム差を増やすことなく最終ステージまで走り切り、個人総合18位で完走した。
間瀬はこれまでのステージレースの経験が役に立ったと話す。「一昨年のツール・ド・北海道は、ステージレースそのものが初めてでしたが、今年は出場する事が早いうちに決まっていたので準備が出来たことと、ツアー・オブ・ジャパンも経験して気持ちに余裕がありました。第3ステージでは12位に入りましたが、集団の仲で足を溜めていただけで何もしていないので満足していません。チーム内での連携や、自分の経験をフィードバックして次に活かせるようにしたいです。」
京都産業大学の山岸監督は間瀬に対して、「この2年間で成長しているし、ステージレースに慣れて余裕が出た」と評価する。U26チーム総合3位という成績については「第4ステージの最後の登りで間瀬と安田京介が粘ってくれたおかげで、最終日にして3位にランクアップする事が出来ました。嬉しいし、よくやってくれました。ツール・ド・北海道はよい経験を積める場なので、今回は1年生やトラックメインの部員も連れてきました。この経験を今後に活かしてもらいたい」と語った。
鹿屋体育大学
鹿屋体育大学は、直前に行われたインカレロードでレースを主導した徳田優、山本大喜らを中心にメンバーを組んだ。総合成績は振るわなかったものの、初日のタイムトライアルでは黒枝咲哉が8位に入り、第2ステージ、第3ステージでは山本が逃げに乗る動きを見せた。特に第3ステージでは、レース中盤に形成された4人の逃げに乗った山本が残り1kmまで逃げ続けた。
山本は第3ステージ終了後に「昨日から熱中症気味ではあったのですが、今日はいけると思っていました」と、無念さをにじませていたものの、「今年初めにできものを切除する手術をしたので自転車に乗れませんでしたが、ようやく調子が戻ってきました。」と、手応えを掴めた様子だ。
インカレでキャプテンの座を後輩に譲った徳田は「第1ステージで(黒枝)咲哉が10位以内に入り、第3ステージでは(山本)大喜があれだけ強いメンバーと逃げ続けた事で、存在感は示せたと思います。」と、3日間を総括する。
自身については「最終日は狙っていました。大学最後のツール・ド・北海道の最終ステージで崩れてしまったのはすごく残念です」と振り返る。「昨年はチャンピオンシステムから出場して、メチャクチャ強いチームメイトと走って、チーム力の重要性を感じました。学生でもチーム力があれば有利にレースを出来ることが分かったレースでした」。
日本大学
日大も昨年に続いての出場だ。今季好調の岡本隼が、第3ステージで7位、第4ステージで11位に入った。個人総合では16位となり、大学生最上位に。
「第3ステージでは最後のコーナーの位置取りが悪く、20番手くらいで入りました。ゴールまでの登りがきついので、みんながタレて落ちてきて、結果として順位が上がったという感じです。これが10番手くらいで最終コーナーに入れたら、もっと前に行けたのかなと思っています。でも、登りのゴールスプリントはした事が無かったので、こういう展開は不得意ではないと感じました。最終日は、逃げとの差が3分差から30秒差まで詰めた集団の中に最後まで残れた事は収穫だと思います。このスピードがプロのレースなんだと感じました。今後のレースに活かせると思います。」と、岡本は反省点と手応えを交えて振り返る。
日本大学の井上監督は、「ゴール勝負だけは強いんです」と、岡本を評価する。「優勝した大町美麻ロードまでは良かったんですが、インカレがボロボロでしたので、来年あたりはただ付いて行くだけでなく、何か出来るようになって戻ってきたい」と、3日間を総括した。
明治大学
昨年に続き出場の明治大学。インカレロード優勝の野本空は、愛媛で開催される都道府県大会を優先するため出場せず、昨年のロードチャンピオンシップシリーズ総合優勝の小林和希が、ただ1人完走を果たした。
2回目の出場となる小林は、「今年は調子が良くて走れているという事もありますが、昨年の方が苦しかったという印象があります。登りで遅れ、降ろされてしまうのではないかという場面もありましたが、集団に踏みとどまれたので、昨年よりは進歩できているのかなと思います」と話す。
明治大学の本間監督は「初日を終えて小林と松本の2人が残っていたのですが、松本は体調があまり良くなく、2日目に力が入らなくなりてリタイアになってしまいました。故障という訳ではないのですが、インカレ明けということもあり厳しい大会になってしまいました。他の大学はしっかり走って残っていますから、言い訳にはなりませんね」と、苦笑交じりに語った。
北海道大学
5年ぶりの出場となる地元・北海道大学。最終ステージは木村祐己と清水優の2人がスタートしたものの、清水1人が完走という厳しい結果となった。
「ステージレースを走るノウハウをうまく伝えられなくて失敗ばかりでしたが、なんとか1人完走させることが出来たので、最低限の目標は達成出来たと思います。」と話す村木監督。「チーム順位がつく3人完走出来れば良かったのですが、力不足でそれは叶いませんでした。なんとか北大のジャージをゴールにつなげたいという想いもありました。今回は経験を積んで欲しかったので、2年生2人をメンバーに入れました。完走はなりませんでしたが、次に繋げて欲しいと思っています」と、期待を込める。
完走した清水は修士課程の1年生。普段は水産学部のある函館に在籍し、札幌の主要メンバーと会うのはレースの時くらいだという。「普段の練習は1人なので、個人競技と割り切ってやっていたのですが、今回ツール・ド・北海道に出場していかにチームメイトが大切かと言う事が分かりました。献身的にサポートしてくれた仲間に感謝しています。最終日も登りがきつかったけれど、プロでも足にきてる選手は遅れていくような状況の中で、中盤くらいでクリア出来たので良かったと思います」と、レースを振り返る。そして、「研究室に迷惑をかけつつ今回出場したので、先生の顔色を伺いつつ、今後のレースに出たい」と話してくれた。
北海道地域選抜・中川拳
ところで、ツール・ド・北海道には、北海道出身の選手で構成されるチーム「北海道地域選抜」が出場している。今回はその一員として、インカレロードで3位に入った早稲田大学の中川拳がエリートの選手に混じって出場し、個人総合24位で完走。大学生の中では、16位の岡本、18位の間瀬に次ぐ結果となった。
中川は、「ツール・ド・北海道は昔からあこがれのレースだったので、特別な想いがありました。今回初めて出場して、エリートの選手や海外チームの選手と同じレースを走る事が出来たのは嬉しかったです。大変なところもありましたが、3日間走るうちに慣れてきて、北海道選抜の一員として完走出来た事は良かったと思います。インカレの疲労もありましたが、ベストは尽くせたかなと思っています」と、3日間の感想を語った。
最終日、札幌の真駒内公園にゴール出来た大学チームの選手は、およそ半分の13名。話を聞いてみると、力量の差もさることながら、ステージレースの経験の有無が結果に影響しているように感じた。ステージ優勝や総合上位、各賞ジャージ獲得という目立つ結果こそ無かったが、ステージレースを経験する機会が少ない大学生にとって、この経験は今後に活かせるものだと思う。それは選手だけでなく、スタッフとして参加した大学生にとっても同様だ。31回目となる来年のツール・ド・北海道も、大学生達に貴重な経験と挑戦の場を与える大会であって欲しい。
text&photo:Satoru.Kato
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