2016/08/29(月) - 12:33
8月28日にUCIワールドツアー「ブルターニュクラシック・ウエストフランス」が開催され、残り40kmから形成された逃げが集団を5秒振り切った。オリバー・ナーセン(ベルギー、IAMサイクリング)が優勝し、追いきれなかった集団の頭はアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が獲った。
フランス北西部、自転車競技の盛んな土地として知られるブルターニュ地方の小村プルエーを舞台としたブルターニュクラシック・ウエストフランスは、昨年まで「GPウエストフランス・プルエー」として親しまれていたブルターニュ地方最大のワンデーレース。一般サイクリストが参加するシクロスポルティフや女子ロードレース、MTBレースを含む「プルエー4日間レース(4jours de Plouay)」の最後を締めくくるビッグイベントだ。
コースは起伏豊かな田舎道を舞台にした235kmで、終盤には平均勾配6%の登坂「ティマレク」が含まれる13.9kmの周回コースを1周し、登坂の頂上からフィニッシュまでの距離はおよそ4km強。このためスプリンターにも、アタッカーにもチャンスが与えられており、昨年は集団ゴールでアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が、一昨年は逃げ切りでシルヴァン・シャヴァネル(フランス、現ディレクトエネルジー)が、3年前は集団ゴールでフィリッポ・ポッツァート(イタリア、現ウィリエール・サウスイースト)が勝利と、各ジャンルの選手が勝利を分け合っている。
今年のスタートラインにはディフェンディングチャンピオンのクリストフを筆頭に、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)、マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)、アルノー・デマール(フランス、FDJ)らスプリンターや、リオ五輪での金メダル獲得後初レースであり、ゴールドバイクを初披露したグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)らクラシックレーサーも並んだ。
序盤から逃げたのは、ダニアン・ゴダン(フランス、AG2Rラモンディアール)やアレクサンドル・ピショ(フランス、ディレクトエネルジー)など8名。タイム差は6分ほどまでに広がったものの、コース半分を過ぎた時点で既にリードは減少の一途を辿っていった。
残り40km地点、エティックス・クイックステップらの追走によって8名は成す術なく吸収され、激しいアタック合戦からアルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック)とアレクシ・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)、ギヨーム・マーティン(フランス、ワンティ・グループグベルト)、オリバー・ナーセン(ベルギー、IAMサイクリング)という4名が抜け出しを図る。
およそ1分のリードを得た4名からはグジャールが脱落したものの、ペースを落とすことなく集団との差を保ち続ける。一向に減らないタイム差を前に慌てたスプリンターチームが全力で追走を試みたが、残り10km地点で1分、残り5kmで30秒と、どちら有利ともつかない緊迫した状態が長く続いた。
ゴール前の勝負所ティマレクに差し掛かると先頭からマーティンが遅れ、集団からはルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)とファンアフェルマートがが10秒差で追走していく状態に。しかしコストとファンアフェルマートは追随したアタッカーに引き戻され、集団が乱れたことも手伝ってベッティオールとナーセンは再びリードを稼ぎだす。これが決定打となり、スプリンターを抱える40名ほどの集団を振り切って、先頭2名がそのままフィニッシュラインまで逃げ切った。
勝負はベッティオールの背後から加速したナーセンに軍配。最後の直線で牽ききったベッティオールが2秒遅れの2位に入り、5秒差でゴールになだれ込んだ集団ではクリストフが先着。残る一つの表彰台枠を確保した。
「キャリア最大の勝利」と喜ぶナーセンは、2014年にプロ入りした1990年生まれの25歳。今年のツール・ド・フランスでグランツアーに初出場し、第4ステージでは果敢な逃げで敢闘賞を獲得するなど注目を集めた。IAMのチーム解散に伴ってAG2Rラモンディアールと2年間契約を結んでいた。
また、この日の前日に開催された女子レース(UCIワールドツアー)には全日本チャンピオンの與那嶺恵理(ポワトゥーシャラント・フトゥロスコープ86)の他、梶原悠未、吉川美穂、上野みなみ、坂口聖香、合田祐美子、牧瀬翼の6名からなる日本代表チームが参加した。日本勢は6分4秒遅れの第2集団で梶原(30位)と與那嶺(34位)、上野(35位)がフィニッシュし、他4名はDNFとなった。
ブルターニュクラシック・ウエストフランス2016結果
1位 オリバー・ナーセン(ベルギー、IAMサイクリング) 5h58’46”
2位 アルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +02”
3位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) +05”
4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)
5位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
6位 マチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCスプランディポルコウィチェ)
7位 ダニエル・ホエルガールド(ノルウェー、FDJ)
8位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)
9位 マッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)
10位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
text:So.Isobe
photo:CorVos
フランス北西部、自転車競技の盛んな土地として知られるブルターニュ地方の小村プルエーを舞台としたブルターニュクラシック・ウエストフランスは、昨年まで「GPウエストフランス・プルエー」として親しまれていたブルターニュ地方最大のワンデーレース。一般サイクリストが参加するシクロスポルティフや女子ロードレース、MTBレースを含む「プルエー4日間レース(4jours de Plouay)」の最後を締めくくるビッグイベントだ。
コースは起伏豊かな田舎道を舞台にした235kmで、終盤には平均勾配6%の登坂「ティマレク」が含まれる13.9kmの周回コースを1周し、登坂の頂上からフィニッシュまでの距離はおよそ4km強。このためスプリンターにも、アタッカーにもチャンスが与えられており、昨年は集団ゴールでアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が、一昨年は逃げ切りでシルヴァン・シャヴァネル(フランス、現ディレクトエネルジー)が、3年前は集団ゴールでフィリッポ・ポッツァート(イタリア、現ウィリエール・サウスイースト)が勝利と、各ジャンルの選手が勝利を分け合っている。
今年のスタートラインにはディフェンディングチャンピオンのクリストフを筆頭に、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)、マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)、アルノー・デマール(フランス、FDJ)らスプリンターや、リオ五輪での金メダル獲得後初レースであり、ゴールドバイクを初披露したグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)らクラシックレーサーも並んだ。
序盤から逃げたのは、ダニアン・ゴダン(フランス、AG2Rラモンディアール)やアレクサンドル・ピショ(フランス、ディレクトエネルジー)など8名。タイム差は6分ほどまでに広がったものの、コース半分を過ぎた時点で既にリードは減少の一途を辿っていった。
残り40km地点、エティックス・クイックステップらの追走によって8名は成す術なく吸収され、激しいアタック合戦からアルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック)とアレクシ・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)、ギヨーム・マーティン(フランス、ワンティ・グループグベルト)、オリバー・ナーセン(ベルギー、IAMサイクリング)という4名が抜け出しを図る。
およそ1分のリードを得た4名からはグジャールが脱落したものの、ペースを落とすことなく集団との差を保ち続ける。一向に減らないタイム差を前に慌てたスプリンターチームが全力で追走を試みたが、残り10km地点で1分、残り5kmで30秒と、どちら有利ともつかない緊迫した状態が長く続いた。
ゴール前の勝負所ティマレクに差し掛かると先頭からマーティンが遅れ、集団からはルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)とファンアフェルマートがが10秒差で追走していく状態に。しかしコストとファンアフェルマートは追随したアタッカーに引き戻され、集団が乱れたことも手伝ってベッティオールとナーセンは再びリードを稼ぎだす。これが決定打となり、スプリンターを抱える40名ほどの集団を振り切って、先頭2名がそのままフィニッシュラインまで逃げ切った。
勝負はベッティオールの背後から加速したナーセンに軍配。最後の直線で牽ききったベッティオールが2秒遅れの2位に入り、5秒差でゴールになだれ込んだ集団ではクリストフが先着。残る一つの表彰台枠を確保した。
「キャリア最大の勝利」と喜ぶナーセンは、2014年にプロ入りした1990年生まれの25歳。今年のツール・ド・フランスでグランツアーに初出場し、第4ステージでは果敢な逃げで敢闘賞を獲得するなど注目を集めた。IAMのチーム解散に伴ってAG2Rラモンディアールと2年間契約を結んでいた。
また、この日の前日に開催された女子レース(UCIワールドツアー)には全日本チャンピオンの與那嶺恵理(ポワトゥーシャラント・フトゥロスコープ86)の他、梶原悠未、吉川美穂、上野みなみ、坂口聖香、合田祐美子、牧瀬翼の6名からなる日本代表チームが参加した。日本勢は6分4秒遅れの第2集団で梶原(30位)と與那嶺(34位)、上野(35位)がフィニッシュし、他4名はDNFとなった。
ブルターニュクラシック・ウエストフランス2016結果
1位 オリバー・ナーセン(ベルギー、IAMサイクリング) 5h58’46”
2位 アルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +02”
3位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) +05”
4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)
5位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
6位 マチェイ・パテルスキー(ポーランド、CCCスプランディポルコウィチェ)
7位 ダニエル・ホエルガールド(ノルウェー、FDJ)
8位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレック・セガフレード)
9位 マッテオ・トレンティン(イタリア、エティックス・クイックステップ)
10位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
text:So.Isobe
photo:CorVos
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