2016/08/27(土) - 03:43
3つの3級山岳を越えるアップダウンコースで、逃げを残り200mで捉えた集団がスプリント。IAMサイクリングのヨナス・ファンへネヒテンがキャリア初のグランツールステージ優勝を飾った一方で、終盤に落車したアルベルト・コンタドールが左半身に怪我を負った。
オウレンセ近郊のマセダから幹線道路を走ってプエブラ・デ・サナブリアに向かう第7ステージ。開幕から1週間走り続けたガリシア州に別れを告げ、ブエルタはカスティーリャ・イ・レオン州に入る。
ポルトガル国境と並行して走る158.5kmコースは3つの3級山岳を含む緩やかなアップダウンの繰り返し。フィニッシュまで18kmを残した地点で通過する3級山岳パドルネロ峠(7km/平均3.2%)が勝負のカギを握った。
照りつける太陽によって最高気温30度という数字以上に暑さを感じるマセダをスタートするとすぐ、ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がリタイアを決める。この日のスタート地点から100kmしか離れていないポンフェラーダで2年前にアルカンシェルを獲得した元世界チャンピオンは背中の痛みによってレースを去った。
12km地点でルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)、ヴェガルスターケ・ラーンゲン(ノルウェー、IAMサイクリング)、ヴィクター・カンペナールツ(ベルギー、ロットNLユンボ)、ヨアン・レボン(フランス、FDJ)、サンデル・アルミー(ベルギー、ロット・ソウダル)、ダヴィデ・ヴィッレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)の6名がアタックするとメイン集団はスローダウン。BMCレーシングはペースを上げることなくメイン集団をコントロールした。
タイム差が3分52秒まで広がったところでトレック・セガフレード、ジャイアント・アルペシン、エティックス・クイックステップが集団先頭に立ってペースを作り始める。スプリンターチームのコントロールによって逃げと集団のタイム差は2分を推移。
淡々と進んだレースを動かしたのは、前日にエースのミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア)を失ったアスタナだった。フィニッシュまで50kmを残し、道幅のある幹線道路を進むメイン集団のペースを急激に上げたカザフスタンチーム。このペースアップによってメイン集団から遅れたイゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)はこの日だけで18分近いタイムを失っている。
また、チームカーと接触して落車したレイン・ターラマエ(エストニア、カチューシャ)がリタイア。疲労によってニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、トレック・セガフレード)もバイクを降りている。
アスタナのペースアップによって逃げグループが残り43km地点で吸収されるとレースは新たな局面を迎える。アスタナがハイペースを刻み続けるメイン集団から、残り30km地点でダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)がアタックを仕掛けた。
登りで抜け出したカタルドにはジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)、サイモン・クラーク(オーストラリア、キャノンデール・ドラパック)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)、そして序盤から逃げていたマテマルドネスが合流して先行を開始。新たに形成された5名の逃げは、BMCレーシング率いるメイン集団から30秒リードで最後の3級山岳パドルネロ峠をクリアする。
フィニッシュに向かうハイスピードダウンヒルで徐々にタイム差は縮まり、先頭ではサンチェスとクラークだけが諦めずにエスケープを続行。サンチェスとクラークは8秒前後のリードで残り1kmアーチを通過したものの、残り400mから始まる登りでメイン集団がすぐ後ろに迫る。健闘も虚しく2人の逃げは残り200mで終わりを迎えた。
ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)のリードアウトを受けたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が発射のタイミングを窺う中、真っ先に仕掛けたのはIAMサイクリングのファンへネヒテンだった。バルベルデやダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ)、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)がすぐさま追撃したが、ダンシングでもがき続けるファンへネヒテンは先頭をキープする。
ギラギラした陽光を背に受けながら、ビッグネームを力で押さえ込んだファンへネヒテンが両手を大きく広げてフィニッシュ。平坦スプリントで全勝していたジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)はステージ7位にとどまった。
29歳のファンへネヒテンが初出場のグランツールでステージ初優勝。ファンへネヒテンは2015年にロット・ベリソル(現ロット・ソウダル)からIAMサイクリングに移籍したスプリンターで、2014年ツール・ド・ポローニュでステージ優勝を飾っている。「スプリンターのチャンスが少ないブエルタで、その貴重なチャンスを掴むことができた。序盤のステージでも勝負に絡んだけど届かず(第2ステージ5位)。今日は何としても集団から遅れるわけにはいかなかった。間違いなくキャリア最大の勝利だ」とファンへネヒテンはレース後の記者会見で語っている。
スプリントに向けてポジション争いを繰り広げていた集団内では落車が発生。残り1kmまでベンナーティの番手につけ、スプリントを前にポジションを下げつつあったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)が残り500mの左コーナーで落車した。
左半身に怪我を負い、先頭から数分遅れ(残り3km以内の落車のためタイム差はつかず)でフィニッシュラインを切ったコンタドールは「他の選手と接触して落車してしまった。左半身が痛むけど、怪我の具合はまだ分からない。これからは複雑な戦いになるかもしれない」とコメントしている。
マイヨロホはダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)がキープ。ステージ3位に入った総合2位バルベルデがボーナスタイム4秒を獲得したため、両者の総合タイム差は24秒に縮まっている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2016第7ステージ結果
1位 ヨナス・ファンへネヒテン(ベルギー、IAMサイクリング) 3h55’44”
2位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
5位 ケヴィン・レザ(フランス、FDJ)
6位 ゲディミナス・バグドナス(リトアニア、AG2Rラモンディアール)
7位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
8位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ)
9位 ロメン・アルディ(フランス、コフィディス)
10位 トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)
20位 別府史之(日本、トレック・セガフレード)
112位 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +9’50”
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) 25h41’05”
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +24”
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +32”
4位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +38”
5位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)
6位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング) +1’07”
7位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ) +1’12”
8位 ピーター・ケノー(イギリス、チームスカイ) +1’14”
9位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +1’22”
10位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) +1’28”
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ) 60pts
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 50pts
3位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) 39pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 アレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ) 10pts
2位 ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) 9pts
3位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 8pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) 22pts
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 23pts
3位 ルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター) 57pts
チーム総合成績
1位 モビスター 76h03’47”
2位 BMCレーシング +53”
3位 キャノンデール・ドラパック +1’09”
敢闘賞
ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)
text&photo:Kei Tsuji in Benavente, Spain
オウレンセ近郊のマセダから幹線道路を走ってプエブラ・デ・サナブリアに向かう第7ステージ。開幕から1週間走り続けたガリシア州に別れを告げ、ブエルタはカスティーリャ・イ・レオン州に入る。
ポルトガル国境と並行して走る158.5kmコースは3つの3級山岳を含む緩やかなアップダウンの繰り返し。フィニッシュまで18kmを残した地点で通過する3級山岳パドルネロ峠(7km/平均3.2%)が勝負のカギを握った。
照りつける太陽によって最高気温30度という数字以上に暑さを感じるマセダをスタートするとすぐ、ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)がリタイアを決める。この日のスタート地点から100kmしか離れていないポンフェラーダで2年前にアルカンシェルを獲得した元世界チャンピオンは背中の痛みによってレースを去った。
12km地点でルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)、ヴェガルスターケ・ラーンゲン(ノルウェー、IAMサイクリング)、ヴィクター・カンペナールツ(ベルギー、ロットNLユンボ)、ヨアン・レボン(フランス、FDJ)、サンデル・アルミー(ベルギー、ロット・ソウダル)、ダヴィデ・ヴィッレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)の6名がアタックするとメイン集団はスローダウン。BMCレーシングはペースを上げることなくメイン集団をコントロールした。
タイム差が3分52秒まで広がったところでトレック・セガフレード、ジャイアント・アルペシン、エティックス・クイックステップが集団先頭に立ってペースを作り始める。スプリンターチームのコントロールによって逃げと集団のタイム差は2分を推移。
淡々と進んだレースを動かしたのは、前日にエースのミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア)を失ったアスタナだった。フィニッシュまで50kmを残し、道幅のある幹線道路を進むメイン集団のペースを急激に上げたカザフスタンチーム。このペースアップによってメイン集団から遅れたイゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)はこの日だけで18分近いタイムを失っている。
また、チームカーと接触して落車したレイン・ターラマエ(エストニア、カチューシャ)がリタイア。疲労によってニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、トレック・セガフレード)もバイクを降りている。
アスタナのペースアップによって逃げグループが残り43km地点で吸収されるとレースは新たな局面を迎える。アスタナがハイペースを刻み続けるメイン集団から、残り30km地点でダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)がアタックを仕掛けた。
登りで抜け出したカタルドにはジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)、サイモン・クラーク(オーストラリア、キャノンデール・ドラパック)、ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)、そして序盤から逃げていたマテマルドネスが合流して先行を開始。新たに形成された5名の逃げは、BMCレーシング率いるメイン集団から30秒リードで最後の3級山岳パドルネロ峠をクリアする。
フィニッシュに向かうハイスピードダウンヒルで徐々にタイム差は縮まり、先頭ではサンチェスとクラークだけが諦めずにエスケープを続行。サンチェスとクラークは8秒前後のリードで残り1kmアーチを通過したものの、残り400mから始まる登りでメイン集団がすぐ後ろに迫る。健闘も虚しく2人の逃げは残り200mで終わりを迎えた。
ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)のリードアウトを受けたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が発射のタイミングを窺う中、真っ先に仕掛けたのはIAMサイクリングのファンへネヒテンだった。バルベルデやダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ)、フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)がすぐさま追撃したが、ダンシングでもがき続けるファンへネヒテンは先頭をキープする。
ギラギラした陽光を背に受けながら、ビッグネームを力で押さえ込んだファンへネヒテンが両手を大きく広げてフィニッシュ。平坦スプリントで全勝していたジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)はステージ7位にとどまった。
29歳のファンへネヒテンが初出場のグランツールでステージ初優勝。ファンへネヒテンは2015年にロット・ベリソル(現ロット・ソウダル)からIAMサイクリングに移籍したスプリンターで、2014年ツール・ド・ポローニュでステージ優勝を飾っている。「スプリンターのチャンスが少ないブエルタで、その貴重なチャンスを掴むことができた。序盤のステージでも勝負に絡んだけど届かず(第2ステージ5位)。今日は何としても集団から遅れるわけにはいかなかった。間違いなくキャリア最大の勝利だ」とファンへネヒテンはレース後の記者会見で語っている。
スプリントに向けてポジション争いを繰り広げていた集団内では落車が発生。残り1kmまでベンナーティの番手につけ、スプリントを前にポジションを下げつつあったアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)が残り500mの左コーナーで落車した。
左半身に怪我を負い、先頭から数分遅れ(残り3km以内の落車のためタイム差はつかず)でフィニッシュラインを切ったコンタドールは「他の選手と接触して落車してしまった。左半身が痛むけど、怪我の具合はまだ分からない。これからは複雑な戦いになるかもしれない」とコメントしている。
マイヨロホはダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング)がキープ。ステージ3位に入った総合2位バルベルデがボーナスタイム4秒を獲得したため、両者の総合タイム差は24秒に縮まっている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2016第7ステージ結果
1位 ヨナス・ファンへネヒテン(ベルギー、IAMサイクリング) 3h55’44”
2位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)
5位 ケヴィン・レザ(フランス、FDJ)
6位 ゲディミナス・バグドナス(リトアニア、AG2Rラモンディアール)
7位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
8位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ)
9位 ロメン・アルディ(フランス、コフィディス)
10位 トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)
20位 別府史之(日本、トレック・セガフレード)
112位 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +9’50”
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) 25h41’05”
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +24”
3位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +32”
4位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +38”
5位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)
6位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング) +1’07”
7位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ) +1’12”
8位 ピーター・ケノー(イギリス、チームスカイ) +1’14”
9位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +1’22”
10位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) +1’28”
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ) 60pts
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 50pts
3位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) 39pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 アレクサンドル・ジェニエ(フランス、FDJ) 10pts
2位 ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス) 9pts
3位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 8pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 ダルウィン・アタプマ(コロンビア、BMCレーシング) 22pts
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 23pts
3位 ルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター) 57pts
チーム総合成績
1位 モビスター 76h03’47”
2位 BMCレーシング +53”
3位 キャノンデール・ドラパック +1’09”
敢闘賞
ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)
text&photo:Kei Tsuji in Benavente, Spain