2016/08/22(月) - 11:02
雨でテクニカル度を増したオリンピックコース。ロンドンの金メダリスト、ヤロスラフ・クルハヴィー(チェコ)を退けた絶対王者、ニノ・シューター(スイス)が悲願の金メダルを獲得。序盤に好走した山本幸平は21位、2度のパンクに見舞われたサガンは周回遅れに終わった。
前夜に降りつけた豪雨はコース一部に泥区間を作り、岩場を湿らせ、登りをスリッピーに。競技中の降雨は回避されたものの、特にレース序盤は位置取りの重要度がより高くなった。
そんな中スタートしたMTBクロスカントリー男子。スタートで好ダッシュを見せたのはマルコアウレリオ・フォンタナ(イタリア)や、現世界王者のニノ・シューター(スイス)。3列目スタートだった山本幸平(日本)も混戦から抜け出し、5番手ほどの絶好の位置に付けてレースが動き出す。そして最後方スタートだったペーター・サガン(スロバキア)は圧倒的なごぼう抜きを見せ、この時既にレースの最前線にまで躍り出てみせる。
レースをリードするフォンタナ、シューター、サガンに対して、ジュリアン・アブサロン(フランス)は中盤から追い上げる展開に。レース開始15分で前回大会金メダルのヤロスラフ・クルハヴィー(チェコ)らが先頭に合流した一方で、好走していたサガンとフォンタナは相次いでフロントのパンクに見舞われてしまう。
サガンは何とかピットで修理を行い11位でレース復帰したものの、更にパンクを喫し戦線離脱。「これがMTBレース。もしパンクが無かったら先頭でレースを進めることができたと思うけれど、2度目のパンクでもう前を追うことはできなくなってしまった」とレース後にコメント。サガンのオリンピック挑戦は最終的に1周遅れの35位という結果に終わる。
サガンが離脱したトップグループにはシャッフルが掛かり、シューター、クルハヴィー、そしてカルロス・コロマ(スペイン)が抜け出し、やがてシューターとクルハヴィーの2人に。遅れたコロマにはフランスの期待を背負うマキシム・マロット(フランス)が合流して3位グループを形成。差を開いていく先頭2名は互いの様子を探りあいながら、レースは後半戦へと推移していった。
そしてスタートから5周目、1時間10分が過ぎた頃、先頭グループではシューターの狙い澄ましたアタックが炸裂する。登りで突き放し、余裕を持って下りを攻めたシューターは瞬く間に10秒以上のリードを稼ぎ出した。追撃を試みるクルハヴィーだったが、シューターの勢いは留まるところを知らず、その独走はいよいよ決定的なものとなっていく。
そのままリードを1分以上にまで広げたシューターは残り距離を逃げ切り、最後は笑顔を浮かべながらゆっくりとフィニッシュへ。ゴールラインでは2008年北京の銅、2012年ロンドンの銀に続く、自身初となる悲願の金メダルを決める、渾身のガッツポーズを繰り出した。
「夢が叶った」と言うオリンピック覇者。「ずっと金メダルを目標に努力を続けてきたが、今日は全てが上手くいった。信じられない。今日は物凄く調子が良くて、レース中ずっと自分に力が宿っているのを感じていた。作戦通りのレース運びで、最後は独走。今振り返ってみれば、ロンドンでの銀メダルは自分を強くする意味で必要だったように思う。3大会で銅、銀、金を獲得できたなんて出来すぎのようにさえ思えるよ」と加えた。
ロンドンで金、リオでは銀メダルとなったクルハヴィーは「とんでもなくハードなレースで、銀メダルは自分の全力を尽くした結果」と振り返る。「今シーズン負った手首の負傷を考えれば、今日の結果は嬉しいもの。今日は雨がダウンヒルやロックセクションをより一層難しいものに仕立ててしまった。ロンドンとはまったく違うレースだったけれど、結果的には再びニノとトップツー。絶好調な彼と戦えて嬉しく思う」。
そして銅メダル争いは、最終回にマロットを突き放したコロマに軍配。序盤に沸かせる走りを見せた山本幸平は次第に遅れてしまったものの、7分6秒遅れの21位でフィニッシュ。最終的な完走人数は34人だった。山本幸平のコメントは以下の通り。
山本幸平:リオ五輪が無事に終わりました。21番でゴールする形となりました。スタートは上手くいき4、5番でスタートループを過ぎ、最初の登りに向かいました。1周目が終わるくらいまでは、このまま調子でいけばトップ10入りは見えると走っていたのですが、2、3周目から15番手辺り走行中に周りの選手にパワー負けを感じる部分があり、レース中盤で後輪のパンクに見舞われ順位を落とすことになりました。精神的なロスはなくフィニッシュまでペースを刻んでいき最後まで走りきった状況でした。現状の力を出し切ってこの21番という成績。自身の目標は叶いませんでしたが、次のステップアップに向けて頑張りたいと思います。
リオ五輪2016MTBクロスカントリー男子結果
text:So.Isobe
前夜に降りつけた豪雨はコース一部に泥区間を作り、岩場を湿らせ、登りをスリッピーに。競技中の降雨は回避されたものの、特にレース序盤は位置取りの重要度がより高くなった。
そんな中スタートしたMTBクロスカントリー男子。スタートで好ダッシュを見せたのはマルコアウレリオ・フォンタナ(イタリア)や、現世界王者のニノ・シューター(スイス)。3列目スタートだった山本幸平(日本)も混戦から抜け出し、5番手ほどの絶好の位置に付けてレースが動き出す。そして最後方スタートだったペーター・サガン(スロバキア)は圧倒的なごぼう抜きを見せ、この時既にレースの最前線にまで躍り出てみせる。
レースをリードするフォンタナ、シューター、サガンに対して、ジュリアン・アブサロン(フランス)は中盤から追い上げる展開に。レース開始15分で前回大会金メダルのヤロスラフ・クルハヴィー(チェコ)らが先頭に合流した一方で、好走していたサガンとフォンタナは相次いでフロントのパンクに見舞われてしまう。
サガンは何とかピットで修理を行い11位でレース復帰したものの、更にパンクを喫し戦線離脱。「これがMTBレース。もしパンクが無かったら先頭でレースを進めることができたと思うけれど、2度目のパンクでもう前を追うことはできなくなってしまった」とレース後にコメント。サガンのオリンピック挑戦は最終的に1周遅れの35位という結果に終わる。
サガンが離脱したトップグループにはシャッフルが掛かり、シューター、クルハヴィー、そしてカルロス・コロマ(スペイン)が抜け出し、やがてシューターとクルハヴィーの2人に。遅れたコロマにはフランスの期待を背負うマキシム・マロット(フランス)が合流して3位グループを形成。差を開いていく先頭2名は互いの様子を探りあいながら、レースは後半戦へと推移していった。
そしてスタートから5周目、1時間10分が過ぎた頃、先頭グループではシューターの狙い澄ましたアタックが炸裂する。登りで突き放し、余裕を持って下りを攻めたシューターは瞬く間に10秒以上のリードを稼ぎ出した。追撃を試みるクルハヴィーだったが、シューターの勢いは留まるところを知らず、その独走はいよいよ決定的なものとなっていく。
そのままリードを1分以上にまで広げたシューターは残り距離を逃げ切り、最後は笑顔を浮かべながらゆっくりとフィニッシュへ。ゴールラインでは2008年北京の銅、2012年ロンドンの銀に続く、自身初となる悲願の金メダルを決める、渾身のガッツポーズを繰り出した。
「夢が叶った」と言うオリンピック覇者。「ずっと金メダルを目標に努力を続けてきたが、今日は全てが上手くいった。信じられない。今日は物凄く調子が良くて、レース中ずっと自分に力が宿っているのを感じていた。作戦通りのレース運びで、最後は独走。今振り返ってみれば、ロンドンでの銀メダルは自分を強くする意味で必要だったように思う。3大会で銅、銀、金を獲得できたなんて出来すぎのようにさえ思えるよ」と加えた。
ロンドンで金、リオでは銀メダルとなったクルハヴィーは「とんでもなくハードなレースで、銀メダルは自分の全力を尽くした結果」と振り返る。「今シーズン負った手首の負傷を考えれば、今日の結果は嬉しいもの。今日は雨がダウンヒルやロックセクションをより一層難しいものに仕立ててしまった。ロンドンとはまったく違うレースだったけれど、結果的には再びニノとトップツー。絶好調な彼と戦えて嬉しく思う」。
そして銅メダル争いは、最終回にマロットを突き放したコロマに軍配。序盤に沸かせる走りを見せた山本幸平は次第に遅れてしまったものの、7分6秒遅れの21位でフィニッシュ。最終的な完走人数は34人だった。山本幸平のコメントは以下の通り。
山本幸平:リオ五輪が無事に終わりました。21番でゴールする形となりました。スタートは上手くいき4、5番でスタートループを過ぎ、最初の登りに向かいました。1周目が終わるくらいまでは、このまま調子でいけばトップ10入りは見えると走っていたのですが、2、3周目から15番手辺り走行中に周りの選手にパワー負けを感じる部分があり、レース中盤で後輪のパンクに見舞われ順位を落とすことになりました。精神的なロスはなくフィニッシュまでペースを刻んでいき最後まで走りきった状況でした。現状の力を出し切ってこの21番という成績。自身の目標は叶いませんでしたが、次のステップアップに向けて頑張りたいと思います。
リオ五輪2016MTBクロスカントリー男子結果
1位 ニノ・シューター(スイス)
2位 ヤロスラフ・クルハヴィー(チェコ)
3位 カルロス・コロマ(スペイン)
4位 マキシム・マロット(フランス)
5位 ヨナタン・ボテロ(コロンビア)
6位 マティアス・フルッキガー(スイス)
7位 ルーカ・ブライドット(イタリア)
8位 ジュリアン・アブサロン(フランス)
9位 ダヴィド・バレロ(スペイン)
10位 ヴィクトール・コレツキー(フランス)
21位 山本幸平(日本)
2位 ヤロスラフ・クルハヴィー(チェコ)
3位 カルロス・コロマ(スペイン)
4位 マキシム・マロット(フランス)
5位 ヨナタン・ボテロ(コロンビア)
6位 マティアス・フルッキガー(スイス)
7位 ルーカ・ブライドット(イタリア)
8位 ジュリアン・アブサロン(フランス)
9位 ダヴィド・バレロ(スペイン)
10位 ヴィクトール・コレツキー(フランス)
21位 山本幸平(日本)
1h33’28”
+50”
+1’23”
+1’33”
+2’16”
+2’24”
+2’57”
+3’15”
+3’32”
+3’59”
+7’06”
+50”
+1’23”
+1’33”
+2’16”
+2’24”
+2’57”
+3’15”
+3’32”
+3’59”
+7’06”
text:So.Isobe
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