2016/08/21(日) - 09:31
27.8kmコースを54.48km/hで駆け抜け、総合争いにおけるライバルチームであるモビスターを0.19秒差で破ったチームスカイがブエルタ初日のチームタイムトライアルで優勝。ピーター・ケノー(イギリス)がマイヨロホを手にした。
8月20日、第71回ブエルタがスペイン北西部のガリシア州で開幕した。初日の第1ステージは27.8kmのチームタイムトライアル。ガリシアを代表する温泉施設であるライラスのリゾートホテルをスタートし、ミーニョ川をせき止めて造られたダム湖に沿った緩やかなアップダウンコースを駆け抜ける。
まだまだマドリードまで3週間以上を残したタイミングではあるが、ここでついたタイム差が山岳ステージの戦いに響く。全体的にクライマー有利と言われているブエルタにおいて、TTを得意とするチームはステージ優勝だけでなく最終的な総合争いも視野に走った。
18時26分、ワイルドカード枠で出場するUCIプロコンチネンタルチームのボーラ・アルゴン18から順に4分間隔でスタートが切られた。最終チームのフィニッシュ時間は20時を過ぎたが、日の入り時間が21時24分と遅いため明るさの問題はなし。
ともに2度チームタイムトライアルの世界チャンピオンに輝いているエティックス・クイックステップ(2012年と2013年)とBMCレーシング(2014年と2015年)が序盤から好走。しかしオリカ・バイクエクスチェンジがそれらを上回る走りを見せ、BMCレーシングを1秒差で下して暫定トップに立つ。
終盤スタートのモビスターとチームスカイはそれぞれオリカ・バイクエクスチェンジから11秒と3秒遅れで第1計測ポイント(9.4km地点)を通過する。タイム差は縮まらずにむしろ広がり、第2計測ポイント(18.2km地点)でモビスターは13秒遅れ、チームスカイは7秒遅れ。
オリカ・バイクエクスチェンジがステージ優勝をぐっと手元に引き寄せたとみられたが、クライマーを揃えるモビスターとチームスカイが終盤のアップダウン区間でタイムを挽回した。まずはモビスターがオリカ・バイクエクスチェンジのタイムを6秒更新して暫定トップに。しかしその4分後、チームスカイが同じ30分37秒のタイムでフィニッシュに飛び込むと暫定トップが入れ替わった。
アルベルト・コンタドール(スペイン)擁する最終走者のティンコフがステージ9位でフィニッシュしたところでチームスカイのステージ優勝が決定。27.8kmを走ってモビスターとのタイム差はわずか0.19秒。平均スピード54.48km/hという高速バトルを制したチームスカイが勝利を収め、マイヨロホは隊列の先頭でフィニッシュしたケノーの手にわたった。グランツールで初めてリーダージャージに袖を通したケノーは「自分が先頭でフィニッシュしてジャージを獲得することは予定していなかった。怪我から時間をかけて復帰した今、月にも昇る思いだ」と語る。
ケノーは5月のツアー・オブ・カリフォルニアで鎖骨を骨折し、予定していたツール・ド・フランスを欠場。調整不足という理由からリオ五輪ロードレースの代表入りも逃していた。「怪我以降、厳しいトレーニングに打ち込んできた。前哨戦のブルゴスで調子の良さを感じていたし、わざと自分にプレッシャーを与え続け、自信を持ってレースに挑んだ。明日、リーダージャージを着てスタートするのが楽しみだ」。
クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)と同タイムで初日を終えたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は「脚の調子は絶好調だった。ステージ優勝を逃したけど、チームの結束力を確認できたし、結果には満足だ」とコメント。その他、エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)やサムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)らが好スタートを切っている。
その一方でコンタドールはフルームやキンタナから52秒遅れる結果に。コンタドールは「この1週間はトレーニングの強度を落としていたので、高強度のチームTTは苦しかった。チームは100%の力で走ったし、もう一度走っても結果は変わらないだろう。確かにライバルたちから50秒失ったけど、走りには満足しているし、長いブエルタで挽回のチャンスは多く残されている」とコメントしている。
アスタナのエースを担うミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア)はチェーントラブルに見舞われて後退。アスタナはロペスモレーノを待つためにペースを落としたものの、最終的に58秒差のステージ11位という成績を残した。しかし、肝心のロペスモレーノは3分遅れでフィニッシュしている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2016第1ステージ結果
1位 チームスカイ 30’38”
2位 モビスター +00”
3位 オリカ・バイクエクスチェンジ +06”
4位 BMCレーシング +07”
5位 エティックス・クイックステップ +22”
6位 ロットNLユンボ +28”
7位 トレック・セガフレード +50”
8位 キャノンデール・ドラパック +52”
9位 ティンコフ +52”
10位 ボーラ・アルゴン18 +57”
11位 アスタナ +58”
12位 FDJ +1’05”
13位 IAMサイクリング +1’13”
14位 カチューシャ +1’17”
15位 ディメンションデータ +1’17”
16位 ロット・ソウダル +1’27”
17位 コフィディス +1’34”
18位 カハルーラル +1’36”
19位 AG2Rラモンディアール +1’48”
20位 ジャイアント・アルペシン +1’50”
21位 ディレクトエネルジー +1’55”
22位 ランプレ・メリダ +2’08”
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 ピーター・ケノー(イギリス、チームスカイ) 30’37”
2位 サルヴァトーレ・プッチオ(イタリア、チームスカイ)
3位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
4位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)
5位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
7位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)
8位 ルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター)
9位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
10位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
チーム総合成績
1位 チームスカイ 2h33’05”
2位 モビスター
3位 オリカ・バイクエクスチェンジ +30”
text&photo:Kei Tsuji in Ourense, Spain
8月20日、第71回ブエルタがスペイン北西部のガリシア州で開幕した。初日の第1ステージは27.8kmのチームタイムトライアル。ガリシアを代表する温泉施設であるライラスのリゾートホテルをスタートし、ミーニョ川をせき止めて造られたダム湖に沿った緩やかなアップダウンコースを駆け抜ける。
まだまだマドリードまで3週間以上を残したタイミングではあるが、ここでついたタイム差が山岳ステージの戦いに響く。全体的にクライマー有利と言われているブエルタにおいて、TTを得意とするチームはステージ優勝だけでなく最終的な総合争いも視野に走った。
18時26分、ワイルドカード枠で出場するUCIプロコンチネンタルチームのボーラ・アルゴン18から順に4分間隔でスタートが切られた。最終チームのフィニッシュ時間は20時を過ぎたが、日の入り時間が21時24分と遅いため明るさの問題はなし。
ともに2度チームタイムトライアルの世界チャンピオンに輝いているエティックス・クイックステップ(2012年と2013年)とBMCレーシング(2014年と2015年)が序盤から好走。しかしオリカ・バイクエクスチェンジがそれらを上回る走りを見せ、BMCレーシングを1秒差で下して暫定トップに立つ。
終盤スタートのモビスターとチームスカイはそれぞれオリカ・バイクエクスチェンジから11秒と3秒遅れで第1計測ポイント(9.4km地点)を通過する。タイム差は縮まらずにむしろ広がり、第2計測ポイント(18.2km地点)でモビスターは13秒遅れ、チームスカイは7秒遅れ。
オリカ・バイクエクスチェンジがステージ優勝をぐっと手元に引き寄せたとみられたが、クライマーを揃えるモビスターとチームスカイが終盤のアップダウン区間でタイムを挽回した。まずはモビスターがオリカ・バイクエクスチェンジのタイムを6秒更新して暫定トップに。しかしその4分後、チームスカイが同じ30分37秒のタイムでフィニッシュに飛び込むと暫定トップが入れ替わった。
アルベルト・コンタドール(スペイン)擁する最終走者のティンコフがステージ9位でフィニッシュしたところでチームスカイのステージ優勝が決定。27.8kmを走ってモビスターとのタイム差はわずか0.19秒。平均スピード54.48km/hという高速バトルを制したチームスカイが勝利を収め、マイヨロホは隊列の先頭でフィニッシュしたケノーの手にわたった。グランツールで初めてリーダージャージに袖を通したケノーは「自分が先頭でフィニッシュしてジャージを獲得することは予定していなかった。怪我から時間をかけて復帰した今、月にも昇る思いだ」と語る。
ケノーは5月のツアー・オブ・カリフォルニアで鎖骨を骨折し、予定していたツール・ド・フランスを欠場。調整不足という理由からリオ五輪ロードレースの代表入りも逃していた。「怪我以降、厳しいトレーニングに打ち込んできた。前哨戦のブルゴスで調子の良さを感じていたし、わざと自分にプレッシャーを与え続け、自信を持ってレースに挑んだ。明日、リーダージャージを着てスタートするのが楽しみだ」。
クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)と同タイムで初日を終えたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は「脚の調子は絶好調だった。ステージ優勝を逃したけど、チームの結束力を確認できたし、結果には満足だ」とコメント。その他、エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)やサムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)らが好スタートを切っている。
その一方でコンタドールはフルームやキンタナから52秒遅れる結果に。コンタドールは「この1週間はトレーニングの強度を落としていたので、高強度のチームTTは苦しかった。チームは100%の力で走ったし、もう一度走っても結果は変わらないだろう。確かにライバルたちから50秒失ったけど、走りには満足しているし、長いブエルタで挽回のチャンスは多く残されている」とコメントしている。
アスタナのエースを担うミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(コロンビア)はチェーントラブルに見舞われて後退。アスタナはロペスモレーノを待つためにペースを落としたものの、最終的に58秒差のステージ11位という成績を残した。しかし、肝心のロペスモレーノは3分遅れでフィニッシュしている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2016第1ステージ結果
1位 チームスカイ 30’38”
2位 モビスター +00”
3位 オリカ・バイクエクスチェンジ +06”
4位 BMCレーシング +07”
5位 エティックス・クイックステップ +22”
6位 ロットNLユンボ +28”
7位 トレック・セガフレード +50”
8位 キャノンデール・ドラパック +52”
9位 ティンコフ +52”
10位 ボーラ・アルゴン18 +57”
11位 アスタナ +58”
12位 FDJ +1’05”
13位 IAMサイクリング +1’13”
14位 カチューシャ +1’17”
15位 ディメンションデータ +1’17”
16位 ロット・ソウダル +1’27”
17位 コフィディス +1’34”
18位 カハルーラル +1’36”
19位 AG2Rラモンディアール +1’48”
20位 ジャイアント・アルペシン +1’50”
21位 ディレクトエネルジー +1’55”
22位 ランプレ・メリダ +2’08”
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 ピーター・ケノー(イギリス、チームスカイ) 30’37”
2位 サルヴァトーレ・プッチオ(イタリア、チームスカイ)
3位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
4位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)
5位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
7位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)
8位 ルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター)
9位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
10位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
チーム総合成績
1位 チームスカイ 2h33’05”
2位 モビスター
3位 オリカ・バイクエクスチェンジ +30”
text&photo:Kei Tsuji in Ourense, Spain