2016/07/25(月) - 14:39
ツール・ド・フランス最終日は定番パリ・シャンゼリゼ通りでのスプリント勝負。アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)が今大会初勝利を飾るとともに、総合優勝に輝いたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が凱旋した。
レース当日朝にシャンベリー空港からチャーター機でパリ・シャルルドゴール空港に降り立った175名の選手たち。郊外のシャンティイからゆったりと、3週間の健闘を称え合いながら、マイヨジョーヌがチームメイトとシャンパンで乾杯しながら、完走者たちはパリを目指した。
セーヌ川沿いを走ってルーヴル美術館のピラミッド前を通過するといよいよマイヨジョーヌの凱旋がスタート。例年通り凱旋門の周回道路を含む全長7kmのシャンゼリゼ周回コースを8周する。
今シーズン限りでの引退を表明している37歳のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が、他選手の許可を得て、集団から飛び出す形でシャンゼリゼに先頭でやってきた。総合7位で最後のツールを終えるロドリゲスが吸収されるとレースが本格的にスタート。フランスチャンピオンのアルテュール・ヴィショ(フランス、FDJ)のアタックを切っ掛けに8名の逃げグループが形成された。
ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)やジェレミー・ロワ(フランス、FDJ)を含む8名が逃げたものの、ディレクトエネルジーを中心に組織されたメイン集団の追撃によってタイム差は30秒以下に押さえ込まれる。
順調に集団スプリントに向けての準備が整いつつあったが、フィニッシュまで5周を残したところでマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)がメカトラでストップ。2013年と2014年にシャンゼリゼで勝利しているキッテルはバイク交換後に長い追走を強いられ、今大会2勝目が遠ざかってしまった。
先頭グループが近づくとルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)とワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)が集団からブリッジを仕掛けて合流したが、スプリンターチームの勢いにはかなわずに吸収。するとアレクセイ・ルトセンコ(カザフスタン、アスタナ)とグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がカウンターアタックを仕掛けて逃げる。
続発するアタックは結局いずれも吸収され、集団は一塊のまま最終周回を駆け抜ける。残り3km地点でブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー)がパンクで脱落する中、ロット・ソウダルが先頭でリードアウトトレインを走らせた。
ロット・ソウダルは完全に集団先頭を支配できず、フラムルージュを過ぎ、コンコルド広場に差し掛かると先頭はカチューシャに代わる。ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、カチューシャ)を先頭に最終コーナーを曲がり、シャンゼリゼ通りに入るとアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)がスプリントに持ち込んだ。
好位置からスプリントを開始したクリストフだったが、その後ろからドイツチャンピオンジャージが加速する。ここまでの平坦ステージで見せ場を作ることができていなかったグライペルがクリストフのスリップストリームから抜け出して先頭へ。後方から勢いよく追い上げたペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)とグライペルがハンドルを投げ合った結果、グライペルが先着した。
「なんと表現したらいいのか分からない。チームが成し遂げた勝利をとても誇りに思う。今日のために3週間走り続けてきたんだ。今朝のミーティングで向かい風が吹いているという情報だったので、落ち着いて勝負に持ち込むことを心がけた」というグライペルが2年連続でシャンゼリゼを制した。なお、ツールでのステージ優勝は2011年から6年連続。2007年のブエルタ・ア・エスパーニャ以降、出場した12回すべてのグランツールでグライペルは少なくともステージ1勝している。
そしてチームメイトと横一列に並んでフィニッシュしたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が総合優勝。ステージ2位のサガンが総合敢闘賞に輝くとともに、ポイント賞2位の2倍以上のポイントで5年連続マイヨヴェールを獲得した。新城幸也(日本、ランプレ・メリダ)は53位で最終日を終え、6度目のツールを総合116位で完走している。
ツール・ド・フランス2016第21ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 2h43’08”
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
4位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
5位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)
6位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
7位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、キャノンデール・ドラパック)
8位 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)
9位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)
10位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)
53位 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 89h04’48”
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +4’05”
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +4’21”
4位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) +4’42”
5位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) +5’17”
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +6’16”
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +6’58”
8位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、ランプレ・メリダ)
9位 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) +7’04”
10位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ) +7’11”
116位 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +3h57’06”
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) 470pts
2位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 228pts
3位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ) 199pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) 209pts
2位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 130pts
3位 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、IAMサイクリング) 121pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) 89h09’30”
2位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、ランプレ・メリダ) +2’16”
3位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・アルゴン18) +42’58”
チーム総合成績
1位 モビスター 267h20’45”
2位 チームスカイ +8’14”
3位 BMCレーシング +48’11”
総合敢闘賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
リタイア
トニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)
text&photo:Kei Tsuji in Paris, France
レース当日朝にシャンベリー空港からチャーター機でパリ・シャルルドゴール空港に降り立った175名の選手たち。郊外のシャンティイからゆったりと、3週間の健闘を称え合いながら、マイヨジョーヌがチームメイトとシャンパンで乾杯しながら、完走者たちはパリを目指した。
セーヌ川沿いを走ってルーヴル美術館のピラミッド前を通過するといよいよマイヨジョーヌの凱旋がスタート。例年通り凱旋門の周回道路を含む全長7kmのシャンゼリゼ周回コースを8周する。
今シーズン限りでの引退を表明している37歳のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が、他選手の許可を得て、集団から飛び出す形でシャンゼリゼに先頭でやってきた。総合7位で最後のツールを終えるロドリゲスが吸収されるとレースが本格的にスタート。フランスチャンピオンのアルテュール・ヴィショ(フランス、FDJ)のアタックを切っ掛けに8名の逃げグループが形成された。
ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)やジェレミー・ロワ(フランス、FDJ)を含む8名が逃げたものの、ディレクトエネルジーを中心に組織されたメイン集団の追撃によってタイム差は30秒以下に押さえ込まれる。
順調に集団スプリントに向けての準備が整いつつあったが、フィニッシュまで5周を残したところでマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)がメカトラでストップ。2013年と2014年にシャンゼリゼで勝利しているキッテルはバイク交換後に長い追走を強いられ、今大会2勝目が遠ざかってしまった。
先頭グループが近づくとルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)とワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ)が集団からブリッジを仕掛けて合流したが、スプリンターチームの勢いにはかなわずに吸収。するとアレクセイ・ルトセンコ(カザフスタン、アスタナ)とグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)がカウンターアタックを仕掛けて逃げる。
続発するアタックは結局いずれも吸収され、集団は一塊のまま最終周回を駆け抜ける。残り3km地点でブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー)がパンクで脱落する中、ロット・ソウダルが先頭でリードアウトトレインを走らせた。
ロット・ソウダルは完全に集団先頭を支配できず、フラムルージュを過ぎ、コンコルド広場に差し掛かると先頭はカチューシャに代わる。ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、カチューシャ)を先頭に最終コーナーを曲がり、シャンゼリゼ通りに入るとアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)がスプリントに持ち込んだ。
好位置からスプリントを開始したクリストフだったが、その後ろからドイツチャンピオンジャージが加速する。ここまでの平坦ステージで見せ場を作ることができていなかったグライペルがクリストフのスリップストリームから抜け出して先頭へ。後方から勢いよく追い上げたペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)とグライペルがハンドルを投げ合った結果、グライペルが先着した。
「なんと表現したらいいのか分からない。チームが成し遂げた勝利をとても誇りに思う。今日のために3週間走り続けてきたんだ。今朝のミーティングで向かい風が吹いているという情報だったので、落ち着いて勝負に持ち込むことを心がけた」というグライペルが2年連続でシャンゼリゼを制した。なお、ツールでのステージ優勝は2011年から6年連続。2007年のブエルタ・ア・エスパーニャ以降、出場した12回すべてのグランツールでグライペルは少なくともステージ1勝している。
そしてチームメイトと横一列に並んでフィニッシュしたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が総合優勝。ステージ2位のサガンが総合敢闘賞に輝くとともに、ポイント賞2位の2倍以上のポイントで5年連続マイヨヴェールを獲得した。新城幸也(日本、ランプレ・メリダ)は53位で最終日を終え、6度目のツールを総合116位で完走している。
ツール・ド・フランス2016第21ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 2h43’08”
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
4位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
5位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)
6位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
7位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、キャノンデール・ドラパック)
8位 クリストフ・ラポルト(フランス、コフィディス)
9位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)
10位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)
53位 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) 89h04’48”
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) +4’05”
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +4’21”
4位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) +4’42”
5位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) +5’17”
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +6’16”
7位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +6’58”
8位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、ランプレ・メリダ)
9位 ダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ) +7’04”
10位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、ティンコフ) +7’11”
116位 新城幸也(日本、ランプレ・メリダ) +3h57’06”
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) 470pts
2位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 228pts
3位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ) 199pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) 209pts
2位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 130pts
3位 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、IAMサイクリング) 121pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) 89h09’30”
2位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、ランプレ・メリダ) +2’16”
3位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・アルゴン18) +42’58”
チーム総合成績
1位 モビスター 267h20’45”
2位 チームスカイ +8’14”
3位 BMCレーシング +48’11”
総合敢闘賞
ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
リタイア
トニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)
text&photo:Kei Tsuji in Paris, France
フォトギャラリー
Amazon.co.jp